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カテゴリ:本
今日の病院は、長時間の「待つ」が分かっていたので、芥川賞が掲載されている「文藝春秋」3月号を駅の売店で買って臨んだ。 待合室の隅の方を選んで座り、目次を見て「早稲田大学で同級生だった下重暁子さんとの対談に目がいった。 先にこれを読んだら「abさんご」の感じ方が違ってくるかもしれないと、ちらっとは頭をよぎったが、誘惑に負けて一気も読んだ。そのabサンゴの生まれた背景が少しは分かったので、読んでいてもあっ、これが、そのことかと思い描くことができた・ ひらがなが多い(一部は漢字だが)上に横書きというスタイルに、目がついていかないので、いつも速読では読めない。 例えば普段カタカナになれている「がらす」が前後の文章から(ガラス)と理解するまで時間がかかるし。 <<生まれてからさせたことのないじょうきょうをとつぜん十五さいにしいるわけにはいかないとためらわれた、だが、どうせ半ねんか一ねんか、どうおもいちがいにつきあっておいてもあやういはずのない、、>。などの文章が最後まで続く。 読み始めはなかなか進まない苛立ちもあり、頭のなかは熱くなるが、 <下重さんの言っていた、ひらがなの一辺一辺が花びらのように、ひらひらと押しよせてくる感じがしました。あれはひらがなでないと出せない感覚ですね>が読み進めているうちになんとなく理解できるようになるのが不思議な感覚だった。 さっと斜め読みなどはできない文体で、自然とひらがなを漢字に置き換えていることに気がつき、ゆっくりと言葉の持つ意味を反芻しながら筋を追う、これは今までになかったことでまるで、古典の源氏物語を読んだ時の感覚に似ていると思った。
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読み始めましたよ。独特のスタイルですね。でも嫌ではなく静かに読み進めています。このスタイルにたどり着くまで長い時間と試みがあったでしょうね。
(Feb 22, 2013 09:38:53 PM)
私は大人の小説の文章は書いたことがありませんので、文体や構成、展開は分かりませんが、細部にわたっての描写に新鮮さを感じ、磨きこまれ練りこまれたものを黒田さんの人生を感じながら読みました。
(Feb 23, 2013 08:46:02 AM) |