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倫理の進化

倫理の進化

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若樹

若樹

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2013.01.13
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カテゴリ:思想
神謡ーカムイ・ユーカラ-

汎神論と言うのは、人がまだ、狩猟、採集によって生活を営む時代に生まれた。

遠い遠い昔。

まだ、大きな歯車が、狂う事無く回転をしていた地球。

テレビも、車も、電話も、パソコンもなく、私たちは、土から焼いて作った器、

木を削って作った弓矢、木の皮を編んで作った敷物、同じく木の皮の服、

魚の皮で作った靴ーそんな素敵なものに、囲まれながら暮らしていた。

遠い時代。

ああ、でも、変わらず星は巡り、太陽は眩しいほどの、光を降らせていた。

私たちは、他の鳥獣兄弟に比べて、同じ地上で生きるのに、とても身を守る

体毛が薄く、手もまた、大地を歩く為に必要としない。

我々はそういう種なのだ。

私たちは、日ごと、夜ごと、考える。

生きる事について、世界について、星々について、我々が、この世界から

異端となってしまわない様に。

何故だろう。

体の中を流れる、赤い水が気を抜いてはいけないと、しきりに警告を与えて来る。

特に、こんな澄んだ時間、闇が支配する空、煌めく星が、世界の謎へ、招待を

与えてくれているかの様に、感じる時間には。




「地上に人類が誕生して間もない頃、あなた方は、裸のままで歩いていたのだ。

他の全ての種と同じ様に、生まれたままの姿で。」





私たちは皆、答えを求めていた。

この地上で目覚めた私たち。

我々は、一体何者であるのだろうか。

何故、他の兄弟は持たない疑問を、私たち人間だけが感じるのだろう。

同じ地球の子であるのに。


でも、誰も答えてはくれなかった。

目覚めてしまった時から、異質になってしまった私たち。

この世界との間に、見えない壁が作られてしまった。

私たちの前にあるものはただ、雄大にして、偉大な、母なる大地。

そして、兄姉なる全ての兄弟種族たち。

大空を風の様に飛翔する者。

大地を美しく走り抜ける四足の兄弟。

水の中に、世界を持った鰭のある者達。

私たちにとって、己自身を知る為の手がかりは、ただ、この人々だけだった。






「語ってはならない事がある。

人と神の世界とは、いつも入り口で、繋がっているとは限らない。

時として、我らの子である人間にも、決して語れぬ事がある。」





私たちは、自然の生命の中で、常に答えを求めて歩いた。

多くの場合、最も己の魂が呼応する、特定の種に。

私たちを、この世界と結びつける導師と成す為。

いつしかそれは、ヴィジョン・クエストと言う儀式になった。



わたしはオオカミの魂に魅せられた。

完全なる、父性と母性を併せ持つ。

地上で最も完成された精神。

彼らを称える為に日は登り、彼らにひれ伏す為に、日は沈む。

全能の者の、慈悲深き瞳。

それは神的世界への入り口。

見詰めるその眼差しの中で、我々は、その門をくぐる資格があるか、見極められる。

美しいその肢体。

大地を水が流れる様にすべる、その歩様。

神秘の被毛。

飾りなき王者の装い。

ああ母なる大地は、この方々の、被毛を創造される為に、凍て付く世界を創り給うたのか。

樹木の体を突き抜け、世界を振動させる、神々の遠吠え。

これこそが、わたしが求めて止まない神の世界。

朝な、夕なと、私はオオカミを求め、歩いた。

オオカミを通して、世界の答えを掴もうとする為に。

オオカミは私を愛し、至る所で私を待った。

遠い山の頂、古の森の奥深く。

湖の、鏡の世界の向こう側。

明け方に消え残る、夢の世界の残照の中。





「それでも我々の中の、何かが、あなた方に、このまま全てを隠す事を好まない。

原因と結果が、ある者達に、決定的な影響を及ぼしてしまった時、神もまた、一人の

迷える子山羊となる。

調和への道を見出す為には、何かに挑戦をする必要がある。

それが時には、人間達に、神が助けを請う事であったとしても。」




この世界は美しい。

昨日見た、オオカミのあの姿の様に。

全てが神秘の中にある。

それらの声は、耳で感知出来ない天上の囁き。

その姿は、明けに夜を、薔薇色で染め上げる荘厳な光。

語れ、語れ、偉大な天よ。

この取るにも足らない人間が、その恩恵に添えずとしても。




「あなた方の生い立ちを少し話そう。

どんなにか、それを求めているか、知っているから。

彷徨い人よ、この広大な宇宙には、様々な人間達が住んでいる。

あなた方は、その、他の星の人々と、少し異なる理由の基に、誕生した。




あなた方と、他の人々を分ける最大の違いとは、あなた方は、彼らと違い、初めから

知性を、授かってはいなかったと言う事にある。



かつて創造主は、変幻自在な我らの現し身として、固定の体を持つ生命を求められた。

我らの現し身として、人間を誕生させたのである。」






体の中に、心の耳を澄ませて行く。

聞こうとすればする程に、わたしの心は体と離れる。

神秘は全て、夜明けまだ遠い、深夜の眠りの中で、短い間、啓かれる。


・・・・・・・


本記事は、FC2ブログに一度拠点を移し、そこがオリジナルに今はなっています。
コメントは、認証制ですが、受け付け等もそちらで行っていますので、宜しくお願い致します。

また、FC2のブログの背景である、高いネットとバラ線で囲われた空間は、犬猫問わず、人間もかつては偏見や暴力によって閉じ込められた、自由を奪われた虚無の場所です。
今もそこで暮らすものが、その囲いの中から、どんな風に外が見えるのか、見ているのかー

囲いの中から、当ブログを通して外の世界と空を眺め、改めて、そこから出る事を許されないのがどんな思いなのかを、考え、感じて下さい。

FC2版 「倫理の進化」

http://ainumosiri.blog65.fc2.com/





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Last updated  2013.03.02 00:25:43



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