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偐万葉田舎家持歌集

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2009.06.06
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カテゴリ:能・狂言

  昨日は、第468回大槻能楽堂自主公演能ナイトシアターに行ってまいりました。
 演目は狂言が「長光」、能が「天鼓」。
 前シテ・後シテの浅井文義先生は、小生の謡曲の師匠H先生の師匠であるということもあって、H先生と小生と一緒に謡曲を稽古しているB氏の3人で観能せむとて、出掛けたもの。早くに着き過ぎたので、難波宮址など周辺を少し散策してから、大槻能楽堂へ。H先生とB氏はすでに来て居られて、会場にて合流。<大槻能楽堂ホームページ

 能・天鼓は、後漢時代の中国の話をもとに世阿弥元清が創作した曲にて、そのあらすじは次の通り。

 後漢の世に、天から降り下った鼓を持つ天鼓という少年がいた。彼が見事に打ち鳴らす鼓の評判を聞きつけた帝はその鼓を召し上げようとする。少年はそれを拒み、鼓を持って山中に逃げるが、探し出されて呂水の江に沈められてしまう。
 かくて帝は鼓を手に入れるが、誰が打っても音が出ない。そこで、天鼓の父親の王伯に打たせてみようと、勅使を遣わせる。王伯は己れの嘆き悲しみを述べるが、勅使に促されて鼓を打つと、妙なる音が鳴った。その音を聞き哀れを催した帝は、涙しつつ、管弦講で天鼓の霊を慰めると約束して、王伯を家に帰す。
 呂水の堤に鼓を置き、供養を始めると、天鼓の霊が現れ、供養に感謝し、鼓を打ちながら、舞楽を奏するが、夜明けに消えてゆく。この天鼓の霊の舞が見もの。笛が盤渉
(ばんしき)調という常より高い調子となり、シテは橋掛を使ったり、鼓を打ったりして、鼓を愛しむ心が強調される。なお、盤渉は水に関係ある場合に用いられる調子とのこと。

大槻能楽堂能舞台.JPG
(大槻能楽堂・能舞台)

能公演パンフレット.JPG(パンフレット)

難波宮址 (3).JPG
難波宮址 (2).JPG
(難波宮址)

 難波宮は、大化改新の後、孝徳天皇が営んだ長柄豊崎宮と聖武天皇の難波宮があるが、その二つが重なって発掘されている。
 孝徳天皇が、中大兄皇子と対立し、皇后の間人皇女ほか役人を引き連れ中大兄が明日香に帰ってしまい、一人取り残されることとなり、憤怒と悲嘆の余り病死してしまったのも、この宮であったのですな。彼の死がその息子、有間皇子の悲劇に繋がり、万葉集の名歌も生まれることとなったのではある。 

(かなぎ)着け 吾が飼ふ駒は 引出(ひきで)せず

       吾が飼ふ駒を 人見つらむか (日本書紀孝徳天皇4年7月条)

 この宮跡と大槻能楽堂の間の道を東に行くと、史蹟・越中井がある。昔、ここには細川越中守忠興の屋敷があり、その屋敷の台所の井戸を今に遺すと伝えられ、徳富蘇峰筆の碑が立っている。細川ガラシャ夫人が自らの命を絶った最後の地でもある。これまた悲劇の女性につながる場所でありました。

越中井.JPG
(越中井)
越中井 (3).JPG越中井 (5).JPG

散りぬべき 時知りてこそ 世の中の
          花も花なれ 人も人なれ  (細川ガラシャ辞世の歌)

 帰宅する頃は夜も更けて、雲間に月が美しく。
月にむら雲.JPG
<参考> 難波宮址
     細川ガラシャ夫人

 






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最終更新日  2016.07.07 18:01:11
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Re:大槻能楽堂自主公演能(06/06)   siinomi1566 さん
母の親戚が謡いをしていましたので、
能舞台での発表会を、数回観に行きました。
背景の松の絵のどうどうとしていたことを、
思い出しました。
(2009.06.06 15:41:14)

Re:大槻能楽堂自主公演能(06/06)   るるら. さん
私も過去に蝋燭能を見たことがあります。
その時は意味が良く分からず、舞台の美しさだけを
見ていたように思います。
また機会があれば、今度はしっかりと味わいたいですね。

雲間の月は美しいですね
月も能を見たのでしょうね (2009.06.06 21:27:25)

Re:大槻能楽堂自主公演能(06/06)   小万知 さん
昔、勤務場所が近かったせいもあり、玉造カトリック教会堂の庭に立つ高山右近と細川ガラシャ夫人の像を見たことがありました。
大槻能楽堂のことは知りませんでした。 (2009.06.06 23:57:55)

siinomi1566さんへ   けん家持 さん
 能は正面の鏡板に描かれた松の絵と橋掛の一の松、二の松、三の松だけが舞台装置ですね。
 この鏡板の松は「老松」と呼ばれ、もともとは奈良の春日大社に実在した「影向の松」を模して描かれたのが始まりらしいですよ。 (2009.06.07 00:11:26)

るるら.さんへ   けん家持 さん
 能は田楽、猿楽から発展したものですから、元々が屋外で演じられていたんでしょうね。小生もよくは存じませんので、少し勉強しなくては、と思っていますが、最近は勉強不熱心にて、思うばかりですな。
(2009.06.07 00:26:16)

小万知さんへ   けん家持 さん
 大槻能楽堂のホームページも追加でリンクしておきます。能についてのQ&Aとか曲目解説とか、結構面白いです。
(2009.06.07 01:09:47)

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