カテゴリ:和歌・俳句・詩
本日は何と言ってテーマもこれなくあれば、偐家持が作りたる長歌をここにまとめて置くことといたします。既に何処かのページに掲載されているものの再掲載でありますが、一堂に集めてみるというのも面白いかと。そう面白くもないか(笑)。
若草の里の賦 春されば 花咲き匂ひ 朝風に 鳥もや来鳴く 夏されば 青葉さやぎて 夕風の 木陰に憩ひ 秋されば もみぢ葉燃ゆる 夕映えの 山ぞゆかしき 冬されば かぎろひ立ちて 山の端に 雲ぞたなびく 神さぶる 生駒高嶺の 帯にせる 恩智の川の 川の辺に 生ひて年経る 若草の 里ぞうるはし 思ふどち 恋ひて集ひし 語らひの とよのあかりを いや重ね 我妹我背子 絶えず通はめ 反歌 若草の 里にぞ匂へ 咲く花の 色それぞれに 今盛りなり 竹田城址之賦 春されば 桜花咲き 秋されば もみぢ葉匂ひ 夕べには 月の船ゆき 朝には 波立つ雲の 但馬なる 竹田の城に 播磨路ゆ 我が恋ひ来れば たたなづく 山は襞なし 廻りゆく 川は帯なし 吹く風は 草に戯れ 飛ぶ鳥は 木末にさやぐ 円山の 清き流れに 出で立ちて 振り放け見れば 虎臥すや 雄々し城址 高々に 空にぞ立ちて 鳴く蝉の 声のしぐれの 九十九折る 山道をゆけば 八重垣の 石は幾重ぞ 天空に 浮かべる城か 面影を 今に残せる 石垣に 偲べと云ふや 撫子の 花は咲きけり 夏草は 風にぞ遊ぶ 松が枝の 影に渡りて 白雲は 流れぞゆかむ 青き空 照る日が下に はるけくも 川面は光り いや遠に 町はありけり いや遠に 道は靡けり もののふの 夢のいかにと 思へかも 竹田の城の 見れば悲しも 反歌 我妹子を 思ひつゆけば 虎臥の 城に恋ふらむ 風の吹くらし
青雲会に寄す歌 春されば 桜花咲き 秋されば もみぢ葉匂ふ 待兼の 丘にぞ共に 学びたる 友のえにしや 若き日の 思ひな忘れそ あづまなる 我が背我妹子 青雲の たなびく空の 絶ゆるなく 継ぎて見が欲し のちにもあはめ 反歌 足柄の み坂に秋の 雲立てば 相見む時の 君と偲ばむ 待兼の 丘の秋萩 今日咲きて 君待つらむぞ 青雲の庭
独鈷山の賦 信濃なる 神のみ坂に 出で立ちて ふりさけ見れば 朝風に 霧は立つらし 夕風に 雲は燃ゆらし 九十九谷 か寄りかく寄り 春花の 咲ける盛りも 秋の葉の 匂へる時も いにしへゆ いや高々に 尊きと 人は見るらむ いや栄と 神は祝ぐらむ 我が山の 独鈷の山は 神さびにけり 反歌 秋深み 独鈷の山の 夕暮れは 恋ひや益される 雲燃えゆけば
無題 風吹けば 風がまにまに 雨降れば 雨がまにまに 雲のごと 吹かれも行かむ 水のごと 流れも行かむ 何気なく 我もありたし 野の花と 咲きても散れる 身にしもあれば
光る羽 風車の丘と 人いへる 鶴見の丘は 春花の 咲ける盛りも 秋の葉の 匂へる時も 夏草の 繁き盛りも 冬雪の 降り来る日にも それぞれの 愛しき色あり 出で立ちて ふりさけ見れば たたなづく 木々のほつ枝に 朝風は さやにぞ澄める 夕風は やはらに吹ける 木の暗の つづらの道は なつかしく もとほり行けば 大池の 水面に映す 島山の 影も清めり 行く人の 影も絶えざり こちごちに 花も咲くあり 百鳥も 数多にぞ鳴ける 神さぶる 生駒高嶺も はるけしと 遠み青みて 見ゆるあり 絶えず通はむ 鶴見野の 継ぎて見まくの 欲しき丘なり 反歌 ゴミ山の 昔は知らず 鶴見丘 今は木の花 咲くやよき山
木曽川の賦 しなざかる 信濃の木曽の 鉢山を 母とやすらむ 神さぶる 木曽の御嶽の 王滝を 父とやすらむ 山峡を めぐりへ廻り 美濃尾張 伊勢の平野を 潤しつ 揖斐と長良を 従へて とどろの波の 伊勢の海に 注ぎたりける 木曽川は 春さり来れば 咲く花の 寝覚めの床に 散り流る 夏さり来れば 若鮎は さはにた走る 青葉陰 秋づきたれば はやばやに 山ゆもみぢの 降りも来て 冬さり来れば 雪深く 尋ふ人絶えて 寝にやつく 川にぞあれり そらにみつ 大和の夜明け 見きとてか 暗き山路の 旅人の 道のしるべと 眺めやる 人も憩へり 古ゆ 丹の穂満つ田も 菜畑も みなこの川の めぐみなり 見る人こぞり 褒めよこの川 反歌 木曽川の 岸辺に立ちて 眺むれば 水面の風は 木間ゆ光れり 木曽川の 春浅ければ 木の下は 枯草踏める 音のほかなき
ついでに「漢詩もどき」も掲載して置きます(笑)。 杜甫甫蝶之賦 (偐家持) 翅破菊芋在 翅破れて菊芋在り 野秋天空高 野は秋にして天空高し 感時花求蜜 時に感じて花に蜜を求め 恨季鳥驚心 季を恨みて鳥に心を驚かす 夏日去一月 夏の日去りてひと月 盡家書万金 家書万金も盡く 鱗翅掻更短 鱗翅を掻けば更に短く 欲不勝飛翔 飛翔に勝へざらんと欲す 春望 (杜甫) 国破山河在 国破れて 山河あり 城春草木深 城春にして 草木深し 感時花濺涙 時に感じては 花にも涙をそそぎ 恨別鳥驚心 別れを恨んでは 鳥にも心を驚かす 烽火連三月 烽火 三月に連なり 家書抵万金 家書 万金に抵る 白頭掻更短 白頭 掻けば更に短く 渾欲不勝簪 渾て 簪に勝えざらんと欲す
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おはようございます。竹田城は「山陰の旅」に餘部鉄橋と
共に行くプランにしてましたが山城での天候や時間の関係で 又の機会にまわしましたよ。〇 朝刊に富山県の10大ニュースの候補として*2月のNZ地震で県人多数死傷*4月の 「焼き肉えびす」のユッケで食中毒全国波及。これなは・・今年の日本10大ニューストップ「東日本大震災」には敵いませんですがね。全国???位に入るかもです。 (2011.12.03 07:27:08)
おはようございます。今、墓参から帰って来た処です。
竹田城趾は、是非いらして下さい。見事な城址、一見の価値があります。 富山県10大ニュースですか。そう言えばニュージーランドの地震で富山の若い学生さんが多数お亡くなりになったのも今年のことでありましたね。東日本大震災の発生で、何やらもっと前のような印象になっていました。 もう今年の10大ニュースを云々する時期になったのですな。そう言えば例年の今年の漢字は何であるのでしょう。「震」とか「災」ではもひとつですから、新しい年につなげる意味でも「絆」なんかがいいかも知れませんね。 (2011.12.03 11:18:42) |
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