2020/05/06(水)18:38
まどろみつつみみよりな話
さて、本日も「花」の話。
話にも、「身近な話」もあれば「短い話」もあり、「耳寄りな話」もあれば「片寄った話」もある。「耳の痛い話」もあれば「片腹痛い話」もある。
「まどろっこしい話」は「退屈な話」、聞いているだけで目がとろんとなり、まどろみ始めるというもの。
「まどろむ」というのは「目(ま)泥む」が語源ではないかと思うが、ヤカモチ的「耳寄りな話」に碌なものはないのだから、まどろみつつこれを聞くべしというのが、上のタイトルの意味にして、目と耳を並べて洒落としたつもり。
しかし、目と耳では目鼻がつかぬことで、この先の話の成り行きは推して知るべしであることを、お断り申し上げて本題に入ります。
ミミナグサということで、耳よりな話という何の工夫もない駄洒落から入るあたりがヤカモチ的なのであります。
今日の花散歩は、オランダミミナグサから。
(オランダミミナグサ)
ハコベによく似た白い小さな花を咲かせるこの草。どこででもよく見かける雑草であるが、オランダなどというインターナショナルな名が示すようにヨーロッパからの帰化植物である。
ミミナグサ属の植物。
ミミナグサ、オランダミミナグサ、オオミミナグサ、オオバナノミミナグサ、コバノミミナグサ、ミヤマミミナグサ、タカネミミナグサ、クモマミミナグサと山のてっぺんから雲間にまで進出という草である。一方でタガソデソウ(誰が袖草)などという洒落た名をもらっているこの仲間もいる。
これらの区別はヤカモチが事に非ずでありますが、ミミナグサとオランダミミナグサとの区別位は知って置いてもいいのではないかと思う。
(同上)
先ず、萼片と花弁の長さである。
ミミナグサは萼と花弁の長さがほぼ同じ。従って、蕾段階では花弁が萼に隠れてしまって、ほぼ見えないということが多い。
これに対して、オランダミミナグサは花弁の長さが萼片と同じかそれよりも長い。従って、蕾段階でも花弁が外にはみ出ているのが普通。
オオミミナグサやオオバナノミミナグサなどは花弁が萼よりもはるかに長いので、大きく花弁がはみ出しているのだが、オランダミミナグサはそれほどでないが少しはみ出していることが多い。
普通よく目にするのは、ミミナグサとオランダミミナグサであるから、はみ出しているのはオランダミミナグサと判断してもいいだろう。
(ミミナグサ)
もう一つの区別方法は、花柄の長さである。
ミミナグサは茎から萼片の長さと同じくらいの長さの柄が伸びてその先に花を付ける。これに対してオランダミミナグサは花柄がほとんど無く、茎に直接くっ付くようにして花を付ける。
三つ目の違いは、上のミミナグサの写真のように、茎や葉や萼片が赤紫がかった色になっているのに対して、オランダミミナグサは緑色である。
(オランダミミナグサ)
<参考>オランダミミナグサ・Wikipedia
普通、道ばたや公園で見かけるのは殆どがオランダミミナグサである。田んぼの畦道など、田舎で見かけた場合は、ミミナグサであることもあるので、上の区別方法で見分けるといいでしょう。
で、見分けてどうするの?
それを言っちゃあ、おしめぇよ。
次は、ノゲシとオニノゲシ。
(ノゲシ<左>とオニノゲシ<右>)
<参考>ノゲシ・Wikipedia
オニノゲシ・Wikipedia
これは、過日の枚岡梅林で並んでいるところを見つけたもの。
両者が並ぶと、その体格の違いが一目瞭然ですが、これは左側のノゲシが余りにも貧弱過ぎたせいで、違いが強調され過ぎています。
(オニノゲシ)
名前に「鬼」と付くだけあって、いかにも荒々しい出で立ちである。
鬼野芥子と言うからには、こうでなくてはならない。
鬼とふは かくにこそあれ 棘とふ棘 猛り怒れや 葉にたて波うて (偐鬼)
次はカモジグサ。
これも枚岡梅林でのもの。
(カモジグサ)<参考>カモジグサ・Wikipedia
(同上)
かもじ、であるから髪のこと。
しかし、これは茶髪にて黒髪ではない。
(同上)
やっぱり茶髪ですな。
わが丘は 紫立てる 茶のカモジ 黒髪山の カモジ見が欲し (緋文字)
(カモジグサとカラスノエンドウ)
か文字なら私も「か」文字、とカラスが割り込んで来ました。
(同上)
確かに、カラスも「か」文字には違いない。
それにしても、カラスノエンドウと言うに、これではカラスノブエンリョではないか。
「今日はカラスの話ではなく、髪の話だ。」と言うも、
「髪は烏の濡れ羽色」などと言って、ひき下がろうとしない。
(同上)
こんなのを相手にしていたら、鴎も亀も蟹も蚊さえも「私も『か』文字」とやって来て、どさくさ紛れに特殊サギなんかも参加し兼ねず、収拾がつかなくなると危惧されましたので、早々にお引き取り願いました。
要請ではなく指示でありました。
さすがに「神様」は「ワシも『か』文字であるぞよ」などとは仰らないかとは思いましたが。
ということで、一件落着。
みみ寄りな話も、花だけに、お決まりの「実のない話」となりました。