2024/02/05(月)21:51
第28回和郎女作品展
第28回和郎女作品展
昨年の2月以来の和郎女作品展であります。
今回は、若草読書会の新年会に向けて、多数の作品を宅配便で若草ホールにお届けくださり、ヤカモチほかの出席者がそれらを頂戴して持ち帰りましたが、肝心の和郎女さんご本人は他用で急遽ご欠席となり、残念なことでありました。
当日、若草ホールにて、その作品の一部を撮影しましたので、これを以って和郎女作品展を開催させていただくこととしました。
毎年、干支に因む作品を作成くださいますが、今年は辰年ということで、辰に因む作品からご紹介します。
(辰1)
竜の万葉歌で思い浮かぶのが大伴旅人のこの歌。
竜(たつ)の馬(ま)も 今も得(え)てしか あをによし
奈良の都に 行きて来(こ)むため (大伴旅人 万葉集巻5-806)<竜の馬が今すぐにでも欲しい。(あをによし)奈良の都に行って戻って来るために。>
大宰府の帥であった大伴旅人のこの歌に答えて奈良の都に居た何某が詠んだ歌がこれ。
竜(たつ)の馬(ま)を 我(あれ)は求めむ あをによし
奈良の都に 来(こ)む人のたに (作者不詳 万葉集巻5-808)<竜の馬を探してみましょう。(あをによし)奈良の都に来ようとする人のために>
(注)「来む人のたに」の「た」は「ため」と同じ。
(辰2)
万葉集にはこんな歌もある。
虎(とら)に乗り 古屋(ふるや)を越えて 青淵(あをぶち)に
蛟竜(みつち)捕(と)り来(こ)む 剣(つるぎ)大刀(たち)もが (境部王 万葉集巻16-3833)<虎にまたがり古い家屋を越えて、青淵で蛟竜を捕って来られるような剣大刀が欲しいものだ>
(辰3)
同じデザインの作品を重複して撮影してしまったようですが、没にするのもどうかと思うので、「3’」として掲載して置きます。
(辰3’)
(辰4)
(辰5)
なお、作品のタイトルはヤカモチが勝手に付けたものであります。
(エコバッグ)
こんな手芸作品も。
作品を持ち帰る便宜も考慮してのものでしょうか。
(ひな祭り1)
ひな祭り、というタイトルで合っているのかどうか分かりませんが、ひな祭りも近いことであり、そんなイメージがしました。
(ひな祭り2)
これはヒラメですかね。
(ヒラメ)
赤い草履を汚したくないと、裸足になって水たまりを歩く少女。
(少女と水たまり)
(桜美人)
この花の 一枝ひとよのうちは 百種ももくさの
言こと持ちかねて 折をらえけらずや (娘子 万葉集巻8-1457)<この花の一枝の中に沢山の言葉を持ち切れなくて、折れたのではありませんか。>
(節分と梅)
(梅)
これも前掲の「節分と梅」右側の作品と同じデザインの作品でした。
(バラと辰)
これも右側の辰は、前掲の「辰4」と同じデザインの作品でありました。
(鶴と松と少女)
(七夕)
七夕はさすがに少し早過ぎますが、まあいいでしょう。
天の川 梶の音(と)聞こゆ 彦星と
織女(たなばたつめ)と 今夜(こよひ)逢ふらしも (柿本人麻呂歌集 万葉集巻10-2029)<天の川に櫂の音が聞こえる。彦星と織女星が今夜逢うらしい。>
(三日月と梟)
三日月の万葉歌と言えばこれでしょうか。
月立ちて ただ三日月(みかづき)の 眉根(まよね)掻(か)き
日(け)長く恋ひし 君に逢へるかも (大伴坂上郎女 万葉集巻6-993)<新しい月が立って、わずか三日目の月のような細い眉を掻きながら日々長く恋してきたあなたに逢うことができました。>振り放(さ)けて 三日月見れば 一目(ひとめ)見し
人の眉引(まよび)き 思ほゆるかも (大伴家持 万葉集巻6-994)<振り仰いで三日月を見ると、一目見たあの人の引いた眉の形が思い出される。> 帰りがけにバタバタと撮影したので、3作品について同じデザインのものが重複してしまいましたが、これはヤカモチ館長の手落ちにて、お詫び申し上げます。また、ごく限られた数の作品しか撮影できなかったことについてもお詫び申し上げます。
<参考>和郎女作品展の記事一覧はコチラ。
フォト蔵アルバム「和郎女作品集」はコチラ。