|
カテゴリ:カテゴリ未分類
セイイチローはクワガタの♀をコクチャンとなずけた。
友人のご主人が何故、その名前なのかと尋ねると 「国産だから」と答えていた。 セイイチローはコクちゃんをとても可愛がっていた。 どんなときも離れなかった。 セイイチローが友人の子のケンちゃんとクワガタのコクちゃんと遊んでる間、 私達は後片付けや朝食の用意をした。 私が記念写真を撮ってると、コクチャンがぶつかってきた炊事場の写真や コクチャンと自分が並んでるとこを撮ってとせがんできた。 明るい日差しの中で私はあることに気付いた。 蟻の大群がバラしたハエを運んでいる。 どうやら1匹1匹役目があるようで 中には透明のハネを高く掲げて運ぶ蟻がいた。 まるで、時代劇の戦国武将が長いのぼり旗をかかげて 戦をしているかのように見えた。 そして蟻たちはまさしく、私が寝ていた斜め上でそれらを繰り返している。 私、ここで寝てたんだ・・。 私が寝てるすぐ傍で蟻たちは獲物を運んでいた。 私は運ばれなくて良かった。 もう、この部屋に虫がいるのは平気だった。 この部屋はログハウスで見た目は綺麗だが、あっちこっち虫がいた。 蝶々もずっと窓のとこにいて逃げないし 身体をヘコヘコしてる虫はいるし、とにかく虫だらけだった。 もう、すべてどうでもよくなった。 帰りは友人が佐賀県の唐津の海の家のバーベキュー券を頂いてきていたので 山口から高速をとばし、唐津まで行った。 運転は途中から交代した。 私は飴を買ったり栄養ドリンクを買ったりと必要以上に 眠気対策をしたが、万全を期して大丈夫だった。 友人のご主人にスピードを合わせてもらい、なんとか唐津にたどり着くことができた。 真っ青な空、白い雲。少しにごった海。 海辺にはカラフルな水着のお姉さん、カラフルな刺青のお兄さんお姉さんがたくさんいた。 キャンプ場とうって変わりこっちは別世界だった。 セイイチローはこの時、友人の車に乗っていたが このときもコクチャンを連れていた。 コクチャンを海の家に連れて行こうとすると、旦那からとめられ 車の中へおいていくよう言われていた。 ちょっとだけ嫌な予感がした。 美味しいバーベキューを食べたあと、このチケットにはバナナボードか ビスケットという海面をひっぱりまわされる乗り物券がついているとういう。 チケットは5枚。友人と旦那とセイイチローと私。 ご主人は乗らないそうなので子守役。 ということは誰かが2回乗れる。乗らないともったいない。 旦那に進めると、俺は1回でいいといい断られた。 バナナボードには私と友人だけだった。 金髪で日焼けしたお兄さんが運転し、水上バイクでにバナナボードを引っ張っていく。 友人は怖い怖いと黄色い悲鳴を上げる中、 私は初めてのバナナボード、怖いけど イルカに乗った気持ちでいた(乗ったことはないけど) 途中、若いお兄さん、お姉さんが水上バイクで傍を通り、思いっきり水をかけていった。 「あれは演出ですか~」と友人の悲鳴と叫び声が聞こえた。 途中、何度もお兄さんが振り返ってスピードを落としたりあげたり なんか様子がおかしかった。 私達はもう、泳いでは戻れない位置にきていた。 遠く、遠くに海岸が見える。 海岸の人々は蟻に見えるほど遠い。 チャプンチャプンと波が私達をなでるようだ。 お兄さんが「ちょっと待って下さいね」と言ってロープはついてるものの 少し遠くに行ってしまった。 友人が泣きそうに「え、ニブさんどういうこと?」と動揺している。 「あ、あれ演出よ、きっと油断させておいていきなり引っ張るんでしょう」 「いや、マジですか。嘘でしょう。怖い怖い。」友人はビビって半泣き。 私はギャグにするしかなかった。 「このまま、しかの島(福岡の島)まで漂流されるのかな」 そう呟いた。 チャプンチャプン。波が小さく揺れる。 私達二人と白いバナナボードはこの広い海にポツンと浮かんでいた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 21, 2011 03:01:54 PM
コメント(0) | コメントを書く |