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カテゴリ:加藤虎ノ介
待ち望んでいたスピンオフ!
若狭の「おかあちゃん」宣言と共に―いや、“落子”の産声と共に、と言うべきか― 突然、目の前から切り離されてしまった『ちりとてちん』の世界。 それにまた、こうした形で繋がることが出来て嬉しい。 何ヶ月もの隔たりがあったのに、すんなりと入り込めたのが嬉しい。 あの頃と空気が同じままなのが嬉しい。 あれから一年後=現在。 四草会で創作落語を披露する草々にいさん。 生まれたのは、やはり女の子。 名前は言わなかったけど…まさか本当に“落子”じゃないだろう(笑) 「おかあちゃん」宣言で物議をかました若狭だけど、相変わらずヘタレのようで そこがまた嬉しい。 正当派に拘っていた草々にいさんが創作に挑戦するのも嬉しいし、 それを若狭と一緒に作り上げたというのも嬉しい。 ベースは『宿屋仇』― 清八と喜六は草原にいさんと小草若さん。 源兵衛は四草さん。 そして万事世話九郎は、まんま萬事九郎さん。 時は1996年4月3日。 3兄弟が福井から大阪に帰る途中で遭遇した物語。 緻密に構成されたドラマなので、こうして裏の物語を入れる余地があったとは…。 でも、そう言われれば、あの時、 少し前まで和田家に滞在していた3兄弟が、肝心の夫婦会の日には去ってしまっていて 「え~、何で?」と、ちょっと思ったんだったよな。 あの時、既に今回の物語を考えていたのかもしれないね。 こうして私達が観られる形を取れるか否かは分からなかっただろうけど、 作者の頭の中には全てがキチンと組み込まれていたのかもしれない。 凄いなあ…。 凄いといえば、直に顔を見せるのは3兄弟と語り手である草々にいさんだけなのに 他の人達の存在もリアルに感じさせるところが、これまた凄いと思った。 福井の人々も大阪の人々も。 で、物語の方だけれど― 未だに落語の知識が乏しいままの私は、最初 草原にいさん、はしゃぎ過ぎ! 小草若さん、ちょっと怖い! 四草さんが相撲をとるなんて!? と、思っちゃったりなんかしたけど>ぉ 『宿屋仇』を調べてみたら、その内容をよくドラマに生かしてるのね、と納得&感心。 でも、最後の“嘘”は、落語では嘘だけれど、ドラマではどちらにも取れる。 そこのところがミソだね。 私的解釈では、萬事九郎さんは本当の事、四草さんは真偽が入り混じってる…って感じかな。 四草さんの性格からすると、母親との関係はあの話のままとは思えないんだよなあ…。 でも、全体的には“真実”だったと思う。 ま、このところはハッキリさせる必要はなく、 視聴者各自が自分なりの答を出せば良いことだね。 本編では小草若vs草々の対比が前面に出ていたけれど、 この外伝では小草若vs四草がクローズアップされていたのが興味深かった。 私もよく陥ることなんだけど… 相手の背後に目を向けて自分と比較してしまうと、 自分の持たないものばかり目立って見えて、僻み根性が出てきちゃうんだよね。 それは相手を対抗者として捉えている、ということなのかもしれない。 その人自身を見つめるべきなんだよね。 そうしたらその人が、仲間として自分の傍にいてくれることに気付くんだよね。 たった一度の出逢いだったけど、この夜を境に四草さんの足元は固まったのだと思う。 この出来事があったから、子供を黙って引き受ける四草さんになったのかもしれない。 骨の折れた扇子、ってのが何か粋だよね。 完全な分業制なので扇骨を作った人のことは分からない。 美しい紙の方に皆の目は行くから、扇骨職人のことなんて考えもしないだろう。 四草さんは紙が貼られる前の扇骨を手に入れた。 しかも、それは骨が一本折れている。 四草さんは、その扇子と同じ様に自分に足りないものを常に感じていたのだろう。 でも、四草さんは、その上に色んなものを塗り重ねて生きてきた。 ラストシーンで、現在の四草さんが広げた扇子は美しく完成されている。 そこに草原&小草若の名前も書かれている。 あの夜の思い出も沁み込んでいる。 小草若さんを「骨」と言ったのも示唆的だよね。 それから四草さんの誕生日が分かったのも良かった。 (って、メモリアルブックで思いっきりネタバレされてたけど^^;) “四草”の“四”=4番目の弟子+忍の“し”×草若師匠の遊び心 と単純に考えてたけど、誕生日も関係してたのか…も…? まあ、そんなシチメンドクサイ事なんて考えなくても良い。 楽しかったから、それで良い。 彼らは今も生きている、って思えるから良い。 四草さんが車の窓から振り返った時の笑顔が爽やかだったから、もうそれだけで良い。 「狐に化かされて朽ち果ててしまえ!」 『瞳』『ちりとてちん』etc.朝ドラ感想は「REVIEWの部屋」から行けるっす ☆やっくんち☆ クリックしてもらえると嬉しいっす ◇人気映画・TVBLOG◇ ふな寿しスライス(小) ビクター落語 上方篇 五代目 桂文枝10::船弁慶・宿屋仇・宿替え 2008年08月22日発売連続テレビ小説 ちりとてちん 総集編 DVD-BOX お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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ひじゅにさんのレビューを
首を長~くして待っていました。 あの四草愛用の「4」のマグカップもひょっとして お誕生日のプレセントだったのかもね。^^ 【四草会】での草々と四草の会話が聞けただけで 凄く嬉しかったです。 草若襲名ではゴタゴタあったけど、今はお互い認め合っているようで… 尊建の創作落語「だんご3兄弟」より、草々の「まいご3兄弟」の方がやっぱり完成度が高い。(笑) (2008.08.17 22:21:35)
たった43分。
それがあんなにも奥行きの深いドラマに。 本放送では小草若チャンが心配デシタガ・・・・。 四草に萌えてシマイマシタ。(あの笑顔は反則ヨ) 出演者は6人なのに、小浜&大阪の情景が目に浮かぶよう。 萬ハンの時を超えた演技もスンバラシイ。 ちえこサンの人柄も宜しオス。 もーレギュラー単発番組でエエヤン。(笑) (2008.08.18 10:08:45)
この言葉、我家で今思いっきりはやっています。
ドラマの前、偶然にも枝雀師匠の「宿屋仇」を聴いたばかりでした。落語をベースにしながら、ドラマとして見事なばかりの仕上がり、本編との繋がりも完璧、登場人物は愛おしい、、 どこぞのドラマとはえらい違いだ。。 (2008.08.18 12:52:38)
なんて、NHKは、言ってますが、さっさと「瞳」を過去にしたい。
BSの7/27の放送時は、ハリー・ポッター最終巻に夢中になってて、うっかり見損なってしまい、やっと観られました。 日々、「瞳」に毒されてるせいか、あらためて感想をいう必要もないほど心地よく癒されました。 (2008.08.18 23:43:23)
ひじゅにさん、忙しいところありがとうございます。
細部にまで目配りの効いた、中身の濃いドラマでした。 登場人物を絞り込んで、きちんと人物描写をしているから、誰もが皆魅力的に見えてきます。 その場にいない人も、言葉(セリフ)に力があるから、はっきりと感じることができます。 さすが、藤本さん。プロの力に脱帽です。 個人的には、若狭(喜代美)ちゃんが「一生懸命なアホ」でいてくれていることが嬉しかったし、田村さん演じる萬さんも良かったですが、それ以上にとぼけたというか、ほんわかとしたちえ子さんの魅力に参りました。 四草さんや萬さんの話は、どこまでが嘘でどこからが真実なのかわからないところがいいのですね。 ひじゅにさんが言われるように、「視聴者各自が自分なりの答を出せば良いこと」で、それが『ちりとてちん』の魅力でしょう。 本編も外伝も『ちりとてちん』は、百人いれば百通りの解釈ができる、行間を読む小説のようなドラマだということが何度も見直してよくわかりました。 そういう意味では、「テレビ小説」という言葉がこれほどふさわしい作品は他にはないでしょう。 (2008.08.19 00:40:24)
ありがとうございます。
草々と四草の2ショットって、あまりなかったような気がします>気だけかも? だからラストは嬉しかったですね。 時間が空いてしまったので自分の中の『ちりとて』への愛が冷めていないか不安でしたが 全くそんなことはなかったのが何より嬉しいです>作品の力ですね (2008.08.20 17:53:19)
ありがとうございます。
もう~四草を主役に据えるところが憎いっ!と叫びたくなりました(笑) 脚本家さんはきっと細かい細かい細かい部分まで頭の中で作りこんでいるに違いないですね。 まだまだ外伝の種は尽きないと思います。 せめてせめて年に一回、『ちりとて』を制作してほしいです。 (2008.08.20 17:56:42)
ありがとうございます。
おおお、何という幸福な偶然!! これは絶対にベースになっている落語を知っていた方が何倍も楽しめるでしょうね。 本放送時もそう思いながら、まだまだ勉強不足の私です>まだまだでなく全然 登場人物を愛おしく思えるドラマでなければ本物じゃない!と言いたいっすね(笑) (2008.08.20 18:00:10)
ありがとうございます。
『瞳』が大傑作だったら、今回のスピンオフへの思いも半減したでしょうか? だとしたら、『瞳』のダメダメぶりも少しは役に立つことがある、と言えるかも? いえいえ、仮に『ちりとて』を超える名作に出会えたとしても やはり『ちりとて』は愛しい存在であり続けるでしょうね(^^) (2008.08.20 18:03:31)
ありがとうございます。
確かに本編でも色々と解釈が分かれるような深いエピも多かったけれど ドラマはハッキリとした答を見せず進行していきましたっけね。 予告を観ただけで結末が知れてしまう、どこぞのドラマとは別世界ですね>ぉ しかし、改めて、人物が生き生きと魅力的だなあ、と思いました>また逢いたいですね (2008.08.20 18:07:55)
こんばんは~♪
今か今かと待ちわびたひじゅにさんのレビューなのに、何とした事か今頃読んでます・・・(~~;) 今更ですが、コメントさせてくださいね! 私が初めて見たのは10日の総合TVだったんですが、前半は笑いながらも少々呆れて見てました。が、後半は前半のグタグタした事にも意味があったんだとウルウル&心が温かくなりました。 そして、それから何度も見直しても飽きることは無く、見る度6人の演者のセリフや表情、演技を堪能しています。 また、最初見た時、四草と萬さんは本当の親子じゃ無いと確信していたのに、その後見れば見るほど分からなくなってしまいました。 ただ、本当の親子でも親子じゃ無くても、四草と萬さんはその場はお互いの心は通じ合えたのじゃないかと思いました。 それと本編に繋がる四草と小草若ちゃんの心の変化も垣間見え、本当に素晴らしいドラマだったと心から思ってます。 ムリを承知で、出来ればまたいつかこんな感じでスピンオフドラマを作って欲しいと思いました。 (2008.08.23 21:12:09)
ありがとうございます。
前半はちょっとワザトラシイくらいにテンション高かったので「あれ?」と思いましたが それも後半の伏線になっていたわけですから、さすがの『ちりとて』ですよね。 四草は嘘だたっとしても真実だったとしても、あれで彼の足元の揺れが収まったのだと思います。 またスピンオフ作ってほしいですね…ネタは尽きないと思うのですが。 (2008.08.24 21:51:01) |