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テーマ:小説書きさん!!(609)
カテゴリ:飛鳥京香小説
AF腐敗惑星のアリスー宇宙連邦の監視機構の元で封印されている惑星がある。その腐敗惑星内で新生命トリニティが蘇生し、世界の秩序を変える動きが始まる
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n6825dd/2/ 幻想イラストはTHESEIJI(今西精二)作品集からお借りしました。 http://www.yamada-kikaku.com/artists/52-seiji-imanishi.html 腐敗惑星のアリス■第2回■レムリアという「宇宙の記憶を任務づけられた端子」の回収へ未知の生命体、回収使ゲノンが腐敗惑星へ向う。腐敗惑星の上では、一角獣が、禁断の実の発生を感じていた。 腐敗惑星のアリスー第2回 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ 腐敗惑星(2)未知の生命体《回収使ゲノン》 ■遠い旅だった。回収使かいしゅうしの彼は思った。 やっと恋人に会えるのだ。が、その恋人はもう過去のことは忘れている。 なぜあの星に飛来してきたのか。 そんなことすらも、ひょっとして昔の恋人である回収使「ゲノン」のひとすら覚えていないのでは。 ゲノンはぞくっと身震いした。 そんなことはありえないはずだ。 我々の種族は、記憶をよりどころに生きている種族なのだ。 それゆえに、回収子「ゲノン」の役割は大変なのだ。 このあたりの「宇宙の記憶を任務づけられた端子」である、コードネーム“レムリア”が、連絡をしてこないばかりか。どうやらレムリアは、形態変化を起こしたらしい。 そういう報告が、「ノド」のドームに連絡が入ってきていたのだ。 急遽、回収使が派遣されることになった。それがゲノンだった。 ■《回収使ゲノン》の思い 「何という汚らしい星だ」 それがゲノンが腐敗惑星を見た印象だった。 人間型ヒューマノイド肌色か、人間体の血色、その肉色、どすぐろく腐った色が地表の上で、ぐるぐるまわって移動していた。 まるで惑星自体が生物で、腐った肉の海がたゆとうているようだった。 臭い感覚はゲノンにはなかったが、もしゲノンにそれがあるとしたなら、 嘔吐していたろう。 それほど遠くから見ても、感覚的におぞましい星だった。 (本当にレムリアは、まだこの星で生き残っているのか) 絶望がゲノンの心を占めた。 ■(2)腐敗惑星の上 そのとき、腐敗惑星の上で、一角獣は、長い時間、舞おうと思った。 一角獣はその舞踊行為が、償いにあるかもしれないと思ったからだ。 その舞踊行為以外に感情を表す方法がなかつた。 彼、一角獣は涙も、でないのだ。 はぎ取られてしまった人間としての感情。 心の動きは決して戻ることはないだろう。 一角獣の筋肉がはためく。 血流が彼の体を巡る、波打つ。 充分な酸素が必要だつた。 (くそ、この星腐敗惑星はあまりに寂しい) 彼の感情が爆発する。 彼の体を充分に動かすにたるだけの酸素がなきに等しい。 一角獣は、昔の元とうりの自分(他の生命体)の姿を思い起こそうとする。 が、残念。記憶がないのだ。 誰かに、はぎ取られた、そんな気がした。 『僕は一体何者だったのだろう。今の僕は一角獣だ。 悲しさを紛らわせるために踊るんだ、一角獣にすぎない事を忘れようとして。 それもこの放棄された星の上でただ一匹だけだ。なぜなんだ。寂しいよう』 彼は興奮していた。顔を何かが濡らしている。 『何、これ、生暖かい。いやだ。血だよ』 そう、いましがた、彼の鋭い角が、屠った相手の血だった、、事にきづく。 『そうか、僕の踊りは死の舞踊だったんだ。任務はこの呪われた 星の腐った生物を殺戮することだ』 彼は急に自分の任務にきずく。 『でも、一体だれが僕にこの役割を』 いっそう疑問が深まる。 腐敗惑星の肉は、一角獣の足まで及んでいた。 少し動くと足がずぶっと沈んだ。 目の前で爆発が起こる。 何やら、分からぬ生物の内蔵が膨れ上がり破裂したようだった。 臭気が立ちのぼり地平線は真っすぐには見えない。歪んで見えた。 彼の頭の中に、急にイメージが広がっていた。 記憶がもどったのか。それとも。 (禁断の実を発見し、彼女がそれを食べたなら、そう、王が発生するかもしれん) 『一体、何だ、このイメージは。禁断の実だって、それに、彼女だって。何なの』 この意識の流れは。彼は一層激しく体を動かす。 目の前の腐敗物へ体ごと、身をぶつけるユニコーン一角獣だった。 (続く)20210830改定 腐敗惑星のアリス (トリニテイ・イン・腐敗惑星・1975年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ #腐敗惑星のアリス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.08.30 19:59:24
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