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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

腐敗惑星● (16)から

SF小説■腐敗惑星■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://w3.poporo.ne.jp/~manga/pages/

腐敗惑星(16)
「機械城の内部ならよく知っているよ」ユニコーンは言った。
「どうしてなのユニ」
(よかった、話題をこのまま続けようっと)「どうしてっていわれても。記憶があるんだ」「それじゃひょっとして、昔、あなたはここで造られたの」
「トリニティ、やめてくれよ、僕は一角獣だぜ」
「でも、ユニ、おかしいとはおもわない。あなたがさっき言ったように、生物はこの星にはいないんでしょ。生物はみな腐敗するのでしょ。じゃおかしいじゃない」と言ってトリニティは頭をかしげた。
「あなたって、やはり、もしかして機械じゃないの」
「やめてくれよ、トリニティ。僕の体っでは血液はどくどくと流れている。さわってごらん」トリニティは一角獣の体をさわる。確かに血液が流れているようだ。
「ほんとだ」
「腐敗するかどうかは、風族がきめることだ。僕の、意識があるときからずっと腐敗しないでいた」
「機械城ってどうして作られたの」
「今、ここ腐敗惑星を支配しているのは16面体なのだ。16面体は、落ちて来た宇宙船や、機械類を集め利用して、自分の棲息域を作り上げた。機械城には幾つものフロアがある。この16面体の動きは風は許しているようだ」「風って意識があるの」
「君って何もしらない子だなあ」
「いいわよ、じゃあ、物知りさん、どこに禁断の実があるの」
「たぶん、最上階じゃないかな。でも、ここの防御システムは生き物を寄せ付けないシステムになっているはずだ」
「それじゃあ、なぜ、あたし達ははいれたの」「僕はよく出入りする」
「あたし達は生命体ではないのかしら」
 急に風向きが変わる。
「ねえ、この匂いはなに」
「残念ながら、わからない」
匂いのする方向に通路を進む。コーナーを回り切るとそこは……
「ここは、いったい何よ、本当に機械城なの」トリニティは驚いた。 地平線まで草原が続いている。真ん中にドームがある。ガラスの階段が地面から上がっていた。
 ここは機械城の中なのに、木や草や普通の土がある。青空もみえる。昆虫や動物もいる。木々が茂り、この匂いが漂ってきたのだろう。すべて、トリニティが古代世界のコトとしてチャクラから学んだことばかりだった。それが実在している。
「なぜ、なぜなの」トリニティは叫んでいた。ユニは答えようがない。彼も始めて、ここまで進んだのだ。
「あっ、花よ、花。ユニ、悪いけど、あの花をとってよ」
「まったく、君は人つかいの荒い子だね。僕は君の奴隷じゃあないぜ」
「あなたはレディにたいする態度ができていないわよ。それに、あたしがあの花を髪につけると似合うと思うの」
 ユニはいやいや、花を取ってトリニティに渡す。
「どう、ユニ、きれい」
「どっちがさ。花か君か」
「あたしに決まっているでしょう、ユニったら何を考えているのよ」
「おいおい、仲のよいご両人」急に木のところから声がする。ユニは身構える。
「誰だ」
「俺かい。俺は蛇だよ」
 木の幹のところから1mくらいの蛇が姿を現す。
「ああ、あなたが蛇なの」
「トリニティ、君は知っているのか」
「ええ、機械教師にならったわ。あたしたちに何か」
「いいことを教えてやろう」
「何」教えるですってもううんざりなのに。「このリンゴの実を食べてごらん」蛇は、この木に実っている果実を示した。
「それを食べたら、どうなるの」
「賢くなるさ」もう賢くなるなんていいわよ「いいわよ、あたしはこれで充分」
「僕もさ」
「食べてもらわないとこまるんだ。俺がね」 蛇が急に、トリニティの口を目がけて何かを投げる。トリニティの口に入る。
「何よ、これ」
「何をする」
「うるさい奴だ」蛇は飛び掛かり、一角獣ユニの首を自らの体で締め上げる。
「何よ」トリニティはその蛇をユニから取り外そうとする。がトリニティの体から急に力が抜けていく。
「何が入っているの」蛇のからだを一角獣はかみ砕く。
「この蛇は機械だ」蛇はバラバラになり地面に転がる。
 突然、上の方から声がする。「最後の楽園へようこそ」中央部にあるドームから女の子が出てきて、2人に向かって言っていた。
「一体あなたは」彼女を見て、トリニティは冷汗をかいている。ユニもびっくりして声がでない。
 その女の子はトリニティと生きうつしだった。こんなことってあるの。
「あたし、あたしの名はアリスよ。びっくりしているでしょう、トリニティ」
「なぜ、あたしの名前を」
「あたしは何でも知っているわ、チャクラのこともね」
「一体君は…」
「わかったぞ、君は16面体がつくったコピーだな」
「おや、頭のよい一角獣だこと。トリニティ、ついでにあなたのさがしているものも見せてあげるわ」アリスは片手から黄金のリンゴを取り出した。
「それは一体」
「これが、あなたたちが探している禁断の実よ。わからない」
「それが禁断の実」トリニティは気おちした。 あんなリンゴに何の価値があるというの。ばかばかしい。そのトリニティの表情を見てアリスが言う。
「おやおや、あなたこの意味を知らないようね。これは総ての人がほしがる宇宙最高の宝なのよ」
このなまいきな女。しったからぶりな、いやな奴。
「何ですって」
「これは古代世界のデータバンク。この最後の楽園もこの黄金のリングのデータからとりだし再生したものよ。これは1種の機械能なのよ。おまけに、もう一ついいことをおしえてあげる」アリスはトリニティの反応をさぐる。
「いい、よくおきき、このリンゴはあなたの父親なんだよ」
「何それ。どういう意味、理解できないわ。禁断の実ってチャクラの一部でしょう」
「おやおや、チャクラは何も教えていないようね。これをあなたが…」
「もう、いい、やめておけ」急に声がした。「あっ、父さん」トリニティはアリスの視線方向を見た。16面体が出現していた。
「よく、辿りいたな。トリニティ。だが、ここは我々の領地だ。それゆえ、君をおもうぞんぶん料理できる」トリニティはおぞけをふるう。力は先刻、蛇に何かを食べさせられてから、どんどん抜けていく。
 ユニが走り出して、16面体にぶつかっていく。
「やめろ、16面体め」
「いつから、我々にそんな口がきけるようになった、一角獣。お前が、この機械城を自由に動いていたのは、お前が我々に害をおよばさなかったからだ。いわば、お情けで生かしておいたのだ。侵入してきた生き物を、お前が殺していたからな。それなりの利用価値を認めていたのだ」
「お前に、僕の生きていく意味なんか決められてたまるか」
「さあ、トリニティ、私のいう事をおきき」アリスはトリニティをつかんだ。力が抜けているトリニティは易々と捕まえられる。
「あなたを滅ぼせば、あなたの代りに私が世界子になれる」
次から次から新しい言葉をいう女だわ、この子って。
「世界子って一体」
「この世界を支配する王の子供よ。それになるためにはあなたの存在がじゃまなの」
 ちょっと、そんなに強くつかまないでよ。
 2人の目の前に、中央のドームへのガラスの階段が出現していた。まるで、青空につながっているように見える。
「あたしと一緒にこの階段をあがってもらうわ」虹の階段だ。
 恐ろしい程の力でアリスはトリニティをつかんでいた。
「この上にあたしの部屋がある。そこであなたをバラバラにするつもり」
 アリスはニヤッと笑う。
きゃっ、気持ちが悪い奴。
 二人でそのガラスの階段をのぼり始める。 何をするのよ、この子は、一体なんで、トリニティはその時、階段のガラスを見た。二人の体が写っているが、この世界は違ってみえた。
 アリスは機械のかたまりだ。それにあたしの体は、恐ろしい事に3人の体がだぶって見える。何、これ、このガラスの階段は。恐怖でトリニティに急に力が沸いて来る。
「キャッ何」思わず叫んだ。力一杯アリスの体を突いていた。
「何をするの」アリスの体は真っさかさまに地上に落下していく。
 アリスの体がバラバラにくだけちった。彼女の体は本当に機械から成り立っていたのだ。アリスが死んだ時間、最後の楽園の色彩が一変した。赤や緑や青の色が急にモノクロの世界に変わる。また楽園も急変する。木々がバラバラと分離し始める。木々や生物に見えたものはすべて機械部品の集まりだったのだ。
 16面体はチャクラの元で、トリニティの情報をつかんで、自ら脱出した。その時に決意していた。我々が、世界子であるトリニティを作ろうと。
「アリス」はトリニティのコピーなのだ。
 トリニティは急いで階段の下まで走り降りる。がかけ降りる端から、ガラスの階段が崩れ落ちていく。
 トリニティはアリスの機械のそばに散ばっている残骸から“黄金のリンゴ”をみつけ出し、つかみとった。これがそうなの。
 その時、一角獣と争っていた16面体が、その様子に気づく。
「何という事を、我が子よ」16面体がトリニティの所へ飛来してくる。
「よくも我が子を殺したな。それに黄金のリンゴをかえしてもらおう。それをお前に渡すわけにはいかん」
 16面体からトリニティを守ろうとしてユニが突き込んできた。
「ええい、じゃまな奴め」16面体の突起がユニの内腹をつき破っていた。
「ユニー」トリニティは声を限りにはりさけんでいた。
「早く、早く、その禁断の実を飲み込め」苦しい息の下でユニがつぶやく。こんなの、本当に食べれるの。
「ええい。消えろ、このうすぎたない一角獣め」
 つきささったままの突起が白熱した。轟音と共にユニの体がふき飛ぶ。
 やめて、やめてよ。こんなの見たくない。16面体って、情け容赦もない奴。
 肉片の端々に機械が混ってキラキラと輝く。ユニはサイボーグだったのだ。ゆっくりと臭気の中をユニコーンの肉片が舞い降りていく。「よくも、ユニを…」トリニティの眼がまっ赤に燃え上っていた。
 禁断の実を口にほおり込む。もう、やけくそよ
 禁断の実は甘かった。トリニテイの喉の粘膜から、流動化した機械脳は、トリニテイの脳まで流れ込んだ。
 変な味。気持ちが悪い。
 トリニテイの脳部位に空白部分がある。その場所をそれは占めた。「あたしは誰なの」食べなきゃ良かった。トリニティの意識が白濁する。頭の中が、爆発したようだった。
 『娘よ』声がする。『私はお前の父だ』
 ええっ、どうしたの、私。知らないわよ、そんな事。聞いていない。
『おまえは、配偶者でもある、お前のおかげで復活できる』わかんない。どういうこと。『お前は運命の道を進んできた。お前はこの生命球を作り尚ねばならぬ。この腐敗した世界を作り直さねばならぬ』トリニティの意識が消える。
 別の生物が心の奥底からうかびあがってきた。トリニティのからだの細胞が分裂する。別のDNA情報が浮かびあがってくる。トリニティの体が急激に膨張し、姿形が急変する。
「ようやく姿をあらわしたな、寂寥王よ」16面体は新しいトリニティの姿に対して言った。 寂寥王が出現していた。
「私に復讐しょうというのか、16面体。まだそんな過去の事を覚えているのか」
「過去だと、お前のおかげで我々がこんな姿に変化させられたのを忘れたとはいわせない」「そうだ、私がお前たちの生体構造を書きかえた。その姿の方が動きやすいと思ってな」「お前のおかげで我々はこの肉体の牢獄から出ることができないのだ。我々を分解しろ、寂寥王よ」
「分解したければそうしてやる」寂寥王は手をなぎはらった。
「ぐわっ」16面体は16個の三角錘にわかれて散らばった。
「さあ、それで、私に対して闘えるというのかね」
「卑怯だぞ。寂寥王」
「寂寥王よ忘れているな。ここは機械城、我々が作ったエリアだ」16面体の一人が言った。「我々には長い時間があつたのだ。寂寥王よ、我々のもてる力、もてる時間をもって、この城に仕掛けを作った。それを充分に味わってもらおうか」
 あらゆる方向から、ヤリが飛んで来た。機械ででき、自分で考えるヤリだ。それは、自分の意志をもち寂寥王のねらうべき一点をついてくる。すなわち寂寥王の頭である。16面体の一人一人が自らの脳波を使い、数本のヤリを操る。一度に脳をハリネズミの様にしようというわけだ。16人の考えが一致しなければできない芸当だった。寂寥王は攻撃の的確さに恐れを抱く。
「貴様ら」寂寥王の怒りの精神波が、それぞれの三角錐を襲う。巨大な渦の様に、ねめあげる痛みが16面体の全員の意識をフェイドアウトさせた。同時に、16のヤリがみごとに、寂寥王の頭を突き破っていた。寂寥王は一瞬、ゆらゆらと体を動かし、唐突に、フロアに激突する。寂寥王の体は緩やかに収斂し、黄金のリンゴが口からころが出る。トリニティの意識が呼び戻されようとしていた。
トリニティの脳部位にい流れ込んでいた機械脳が、危険を感じ、黄金のリンゴに収斂していた。
 今、このエリアで動くものはない。静寂が総てだった。

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