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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

腐敗惑星● (21)から

SF小説■腐敗惑星■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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腐敗惑星(21)
 ラム中尉はチャクラを占領している装甲兵と通信がとだえ、あわてている。その透き間
をぬって、ラフラタがコントロールルームに入る。
「レインドロップ」ラフラタはなにげなくつぶやいた。
 ガクン、フライトデッキが揺れる。
「どうした。なにかしたなラフラタ」ラム中尉が銃口を向ける。
「私を甘くみたな。私がただの監視員だとおもったか。このフライトデッキに何年もいた
と思うのか」
「先刻のつぶやきは」
「そうだ、キーワードだ。このキーワードでこのフライトデッキがある種の作動をする。
私はこのフライトデッキの発明者なのだ。古代から、ずっと私は生きてきた。私はこの監
視機構の生みの親だ。この星に変化があれば、この星を破壊するつもりだったのだ」
「このフライトデッキに何か仕掛けを」
「そう、君のご想像どうり、このフライトデッキは腐敗惑星に落下する。さらにこのフラ
イトデッキには中性子爆弾がセットされている。落下と同時に爆発だ」
「やめろ。さもないと、君を殺す」
「残念ながら、一度作動させたフライトデッキはとまらんさ」
「くそ」装甲兵の一人ラム中尉はラフラタめがけ、銃を発射した。
 風のひとりがフライトデッキの異常にきずく。フライトデッキが我々の星を破壊しょう
としている。誰かとめるものは。
 残念ながら、我々には体が存在しない。何か、そうだ。一角獣の体はまだ、腐敗がすす
んではいまい。彼の体を使おう。やるだけの価値はあるだろう。
「おきろ、君の出番だよ」
 吹き飛んだ一角獣の脳に何かが話しかける。まだユニの生細胞は完全に死んではいない。
「誰だい。僕に話しかけるのは」
「以前、君に殺された回収子だよ」
「その人が、どうして僕に話しかける」
「私は風の意識体の一つになったのだ」
「風。やはり風の意識体はあったのか」
「いいから、聞け、レムリア。君に働いてほしい」
「御覧の通り、僕の体はバラバラだよ」
「我々が助ける。合体させてやる。それに、安心しろ。君の体は本来の体ではなかった。
霊体と機械の集合体だ」
「どういう意味」
「いずれ、わかる。そのかわり、君の役目を果してくれ」
「僕に何をしろというの」
「この星を助けるのだ」
「何のために。僕には何か得になることはあるの」
「君と君の子供のために」
「子供だって、何をいいだすのさ」
 が、レムリアの頭に何かがよぎる。小さな女の子だ。血が騒いだ。体が今欲しい。
「じゃ、とにかく、僕を復活させておくれ」「待っていろ、私の仲間が……」
 風の力が集まる。機械城の中に嵐がおこっていた。バラバラになったレムリアの体がよ
せ集められ、肉片の一つ一つがつなぎあわさっていく。一角獣が復活していた。
「さあ、飛びあがるのだ」
 一角獣の体となったレムリアを、風が上空へ舞いあがらせた。
「僕は空を飛んでいる」レムリアには生まれて初めての経験だった。血が騒ぐ。意識がは
っきりとしてくる。
 風は落下してくるフライトデッキの側まで、レムリアを運んだ。「さあ、ジャンプしろ」 
レムリアは落下するフライングデッキに飛び移った。コントロールルームに向かう。
「これは、これは、新手のおでましか。今度は一角獣というわけか。風が運んだか」血ま
みれのラフラタが、操作卓に捕まりながら言った。装甲兵のラム中尉が胸をやかれて倒れ
ている。
「どんなにあがいても無駄だ。お前たちこの星の生物は、すべて消滅する。私と一緒にな」
「あなたは一体、何者なの」レムリアは急に女言葉になっている。
「君たちを滅ぼしにきた男さ」
「それじゃ、あなたは、ダークサイドの……」「そうだ。一角獣、いや、王の妻レムリアと
呼ばせてもらおうか。お前も、寂寥王も、世界子であるお前の娘も殺してやる」
「世界子ですって、まさか、トリニティが、私の娘?」
「今頃、気づいたのか。まあいい、どうせ冥土のみやげだ」ラフラタが銃を向ける。
 一瞬早く、レムリアは、ラフラタののどを突き抜いた。
「俺を殺しても、中性子……」ラフラタの体がデッキの床を真紅に染めていた。
「どこ、どこにあるの、爆弾は」
「ここだ」風が導いてくれた。
 一角獣レムリアは、中性子爆発の信管をかみちぎったが、ユニの力ではフライトデッキ
の落下は停止できない。
「だめよ、このフライトデッキのコックピットのコンピュータはもう用をなしていない。
助けて、回収子、風」
 さあ、我々の力をみせる時だ。そうだ、我々もこの星で長い間生きてきたのだから。
「腐敗した肉を集めろ。我々風の力によってな」
 竜巻きがわきあがっていた。いままで、この星には存在しなかった程の大きさだ。その
竜巻きがフライトデッキを包み混む。ある地点へ運ぶ。
 フライトデッキの落下地点に腐敗した肉の山ができあがっていた。フライトデッキの落
下はそれで勢いをそがれる。ゴムのようにフライトデッキにまとわりつく。フライトデッ
キは爆発しなかった。一角獣はフライトデッキから飛び出す。再び機械城に向かい全速力
で走る。
「腐肉たちよ。よく聞け。お前たちは戦う相手を間違えている。風よ、お前たちも、よく
聞け」
 体がバラバラになったはずのラフラタが叫んでいる。どこかにその意識が残っている。
「お前たちが、腐肉になったのは誰のせいだ。誰のせいでもない。ここに出現している寂
寥王のおかげだ。お前たちは皆の力をもって、この寂寥王を倒せ。私はこのフライトデッ
キでこの寂寥王を倒そうとしたが、私のもくろみは一角獣であり、寂寥王の妻であるレム
リアにはばまれたのだ。寂寥王を倒せ」ラフラタは腐肉の意識にイメージを送り込む。
 腐肉という腐肉が連なり、巨大な巨人獣となった。地表が、もはや、地表ではなく、こ
の巨人獣の体となり、集まり始める。
「いけない、寂寥王よ、我々と一体化するのじゃ」ゴーストトレインとチャクラが叫んだ。
腐肉の巨人が機械城まで達していた。
「我々とこの腐肉との戦いじゃ」チャクラが言った。





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