「幻視者狩り」(未完)■「幻視者狩り」作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yama-kikaku.com/ 1. 「何だ、これは。」 俺は、叫び声をあげていた。目ざめて、鏡をのぞいて、自分が、全然知らないものになっていたら、そんな叫び声をあげるだろう。ましてや、自分が機械生物になっていれば。 「輪廻だよ。」 部屋のどこかから声が響いてくる。俺はこの声に口ごたえしていた。 「いくら、俺が犯罪者だからといって、この姿はないじゃないか。」 「君がこれから赴任する生物生息惑星には、その形態がぴったりなんだよ。」 声は続けた。 「もとの姿にもどる方法はないのか」 俺は泣き叫んでいた。 「ひとつある。」 長い沈黙のあとで、声は言った。 「何だ、はやく教えてくれ。」 「それは、この世界を変えることだ。」 「世界を変えるだと、どういう事なんだ、ちゃんと説明してくれ。」 「それは自分で考えろ。」 冷たい調子で声は言う。 次の瞬間、私はある星に転移させられていた。私の姿は一角獣。星の名は地球。 2. 最終壁は、この“地球”という生物牢獄の果てに存在していた。今日も多くの宇宙のあちこちから集まった巡礼者が、この壁に読みこまれた秘密を読みこもうと必死だった。 幾人かの巡礼たちは、壁の前で急に倒れる。巡礼たちが逆に壁に読み込まれたのだ。 巡礼の体は幽体となり、処理班のカーゴが、その幽体を積み込みいずこかへと走り去っていた。 そんな様子を見らがらも、巡礼たちは、誰一人としてここから立ち去ろうとしない。 「私の名はアシューラ=アン。私を読みとりなさい。」 石のひとつが心に呼びかけてきた。 「あなたは、何という名前。」 「ローラン・クレイだ。」 自然にこう答えていた。が、アシューラ=アンと名のついた石からは驚きの声がかえってきた。 「あ、あなた幻視者ね」 「幻視者って何だ。知らない言葉だ。」 「う、うそおっしゃい、知っているはずよ。あ、あ、私の意識が。」 最終壁の意識の1つが巡礼の1人に吹いとられた。 壁の構成因子の石の中に、その巡礼の意識は潜り込む。 3. 熱い。体が燃えあがって灰になりそうだ。河岸だった。クレイは数時間前から追いかけられているのを感じていた。そいつは姿を現わさないで、クレイをおいかけているのだ。 「くそっ、いいかげんに姿をあらわせ。」 クレイは叫んでいた。 「姿をあらわしてほしいか、幻視者」 あし原の中からそいつが姿を現していた。一角獣だった。 ■「幻視者狩り」(未完) ジャンル別一覧
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