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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

ランナー第11回から第18回

ランナー第11回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

■ランナー第11回

 ヘルムはしばらく考えていた。
 「サムナー、俺からの提案だ。軌道外でお前と戦おう。もし俺が敗れても、この子だけは助けてくれ」
 「その子のことは考えておこうっ。いずれにしても、俺とお前は対決する宿命にある。いいか、お前は有酸素型サイボーグ、俺は外宇宙でも動ける併用型エネルギーサイボーグだ。勝敗は明らかだ。今ここで投降するなら考えんでもないぞ」

 「サムナー、おまえにはEDOの対テロリストサイボーグとしての誇りがあるだろう。
それと同じように俺にも誇りがある。ロードランナーとしての誇りがな。
俺はムーンウェイの中をここまで走ってきた。のべ、十五万キロだぞ。
今までどんなロードランナーも走ったことのない距離だ」
 「よし、わかった。お前はここでそのロードランナーの誇りと共に死ね。
墓碑銘は俺が書いててやる。その子は、俺が持ってきた携帯用救出カプセルにいれておくんだ」

 ムーン=ウェイ軌道の脱出用ハッチから、ヘルムは外宇宙へ出た。

月と地球を結んでいるのがよく見える。
二人はムーン=ウェイ軌道「クサカベ」の外壁上に立っている。

有酸素サイボ-グであるヘルムは宇宙服を着ていた。動きが緩慢になるというハンデがある。

 「ヘルムよ。フェアプレイだ。俺の武器は全部ここにおいておく」
 サムナーは自分の休に隠されているあらゆる種類のウェポンを出し、ヘルムに対峙した。
サムナーは彼の癖で、連絡通信を受ける「受光基キャプスター」を全開にしている。

 肉弾戦であった。

 ヘルムは、体ごとサムナーにぷつかっていく。ゆうゆうとサムナーはよける。

 「どうしたロードランナー。なんだその動きは」

 サムナーはヘルムの足を狙っている。
足をねじりとってしまえば、ヘルムは動きをとれない。
サムナーはヘルムの足をとろうとするが、ヘルムの恐るべきロードランナーのキックカ
無妨備なサムナーのわき腹を直撃していた。

 サムナーはふきとび、ムーン=ウェイ外から飛ばされそうになる。
ムーン=ウェイ軌道外壁突起物の端につかまる。
ヘルムの宇宙服を着た足が再び襲ってきた。
その足をサムナーはつかまえる。
キックされる。ムーン=ウェイ軌道外壁の上に蹴り上げられた。

そのままサムナーは空間に浮かんでいて、背中のブースターを使い、ヘルムの背後へ回る。
指のー突きて、ヘルムの宇宙服とヘルメットの間を破る。
サムナーの指が首の近くにあるエネルギーチューブをつかもうと、人工外皮をめくりあげようとした。

その瞬間だった。太陽が異常なフローラ光線を放った。
サムナーの頭部と背部のキャプスターは、もろにその影響を受ける。
恐るべき超電荷が、「受光基キャプスター」、サムナーの体のエネルギー源に流れる。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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ランナー第12回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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「ぐわっ」
 サムナーはひっくり返り、外壁上でのたうつ。
サムナーの体からエネルギーがはとばしっている。
サムナーの体は白熱化していた。
「どうしたんだ、サムナー」
 ゆっくり起き上かったヘルムが、サムナーの様子をうかがう。
 サムナーの体は趨電磁波をまわりに流していて、近づきようがない。
苦しい息の下からサムナーが言う。しかし、発声器も変調し、声が変わっている。
 
「行けよ、ヘルム、月にな。俺はお前に負けたよ」
サムナーは静かに言った。
 「作業用ポッドをここまで動かしてこよう。君をここに放ってはおけん」
 「仏心を出すな!いい、行け、早く行くんだ。
早くしないと、月のメースチングクレーターの出口が破壊されるぞ」
ムーンウエイの終点,ゴールがなくなると、サムナーは言うのだ。
「何。出口が封鎖される!」
ヘルムは考えていたが、
 「だめだ。お前をここに放っておくわけにはいかん」

 サムナーを助けるために、ヘルムは数キロ先に繋留されている作業用ポッドの方
へ走りはしめた。
ムーンウエイのライン内では、急に人工重力が消滅していた。
「うわっ」
 ヘルムはムーンウェイ王からはじきとぱされる。
人工重力が消え、軌道内の内容物が脱出用ハッチか心はじきだされたのだ。

眠ったままのマコトの乗ったカプセルも噴出する。
ヘルムは、カプセルを叩きながら叫けぶ。

「マコト、起きてくれ、君の力だ。念動力しか、ここでは力がない」               ぃ
 マコトはカプセルの中で目ざめる。
「俺とサムナーを、あのポ。ドの中に動かしてくれ」
「事情は’わからないが、とにかく、言われたとおりにしよう』
 マコトの念動力によって、三人は作業用ポッドの中に入ることができた。

サムナーの体は、しかしまだ勤けない。
 「これからどうする。ヘルム」                            ’
 とマコトは心配そうに尋ねる。
「もう残りはわずかだ。‘俺としては走り続けよう」
 途中かち、わりこむように、サムナーが言った。
「やめておけ、それよりこのポッドを使い次の作業ステーションまで進むんだ。
作業ルート内の自己防禦システムが作動している。どんな敵が現われるかわからんぞ」
「ヤツの言う事は信じられるか、マコト」
「本当の事を言っているようだよ」
「が、残念ながら、この作業用ポッドの燃料は限られている」
 サムナーが言った。
「とりあえず走る所まで走ってみよう。サムナー、悪いが、君をここに残していくぞ」

「わかった。それが一番いいだろう」
 テロリストハンター、サムナーはまだ元の調子をとりもどしていない。
「もう燃料がきれかけている。とりあえず、この近くの作業用ハッチに繋留しておこう」
 作業用ハッチから、作業用回路へ入り、さらに軌道内に戻る。
「それじゃ、マコト、走るぞ」
 ロードランナー、ヘルムはマコトを肩に、伝説の中へと、ゴールへとその最後の走りを始めようとした。
(続く)
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ランナー第13回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■ランナー第13回
数日が経過していた。
地球は。死の天使(フイダイ)の暴動のおかげて、各地で火が燃えあかっている。
 ロードランナー、ヘルムといえば、マコトを背負って高速度に近い自らの足で、
月へと驀進していた。
がエネルギーか不足し始めている。

地球防衛機構(EDO)テロリストハンター、 サムナーは、ムーン=ウェイの
外壁にぷらさがって数日たっている。
作業ポ。ドからはい出したのだ。
 サムナーの前を、宇宙艇が月へ向かって進んでいくのがみえる。
 サムナーの体からは、救難信号が発されている。
 船は気づき、サムナーの方へ近づいてくる。

 マニュビレーターにより、サムナーの体は艇内へ運びこまれる。

 この艇は、地球連邦軍のものだ。
サムナーの様子を見に来た男は地球連邦軍技術将校の制服をつけている。

「何だ、貴様、サイボーグか。ムーン=ウェイにぶらさがっているとは、きさまは何者だ。
作業ロボットではあるまい」
 「EDO(地球防衛機構)の者だ」
 サムナーは割れた声で言った。

「EDOの者が外壁で、何をしていた」
「それに答える必要はあるまい。軍とEDOとは別組織だからな」
「何! それが助けてもらった者に対する言葉か」
「助けてくれとお願いしたわけではない」

「このくされサイボーグめ」
 将校は、サイボーグ公社ナンバーを調べるために、乱暴にサムナーの体にさわろうとした。
 「ぐわっ」
 サムナーの体は再び、白熱していた。
衝撃で将校の体は吹きとばされる。
 「どうした」
船の操縦席からあわただしく男が走ってくる。
 サムナーの体はまだ、動けない。
男は、倒れている将校を見て、レイガンを引き抜こうとする。
サムナーの体から超電磁波が流れ出す。
の体は瞬時に黒コゲとなった。
サムナーはほくそえみ、独りごちた。
「ふふ、どうやら、この艇は俺のものになったようだな。それにこの艇は月のメースチングクレーターヘ向か
かっているらしい。先に行っているぞ、ヘルム、マコト」
二人の名前を呼んだ。


 Z89は、軌道内の清掃を目的として作られたロボットだった。

軌道内に異物があった場合、シャトルトレインを危険にさらす事になる。
Z89は異物除去に必要な装置を持っていた。
 Z89のセンサーは異物の存在を先程からとらえていた。
これ程大きい異物はZ89にとっても初めてであった。
おまけにそいつらは生体反応かあるのだ。

このような場合、通常Z89は中継ステーションに連絡を取るのだが、
先刻からステーションとは通信がとれなくなっていた。
Z89にとって初めての試練であった。自分で判新しなければならない。
過去のデータからして破壊、もしくは除去すべきであろう。
こうZ89は類推した。

 マコトとヘルムは巨大な機械が目の前に現われたのに驚いていた。
マコトはこの機械に交信しようと試みた。が、機械はマコトのテレパシーには
まったく反応しない。おまけに敵意が感じられるのだ。危険だ。
 「逃げろ、ヘルム、あいつは軌道内部から、僕達を除去するつもりだ」
 Z89は、その四肢をのばし、全軌道をふさぐ大きさに拡大して、二人の行く手を塞いだ。
 ヘルムの足は、・瞬間停止ができなかった。
加えてマコトのテレポートも一瞬、遅れた。
 ヘルムはマコトを背負ったまま、軌道内でZ89に激突する。
ヘルムとZ89の体は共に、激しいショックを受け、反動で吹き飛ぶ。

マコドは軌道に倒れた時、Z89の体内エネルギー構造を読み取っていた。
 まだ、ショックで倒れたままの傍らのヘルムに言った。
 「喜んでと、ヘルム。このロボットのエネルギーは、君の体に適応するよ」
軌道最後のユニットだった。

これを走り抜ければ、あとはメースチングクレーターの出口なのだ。
 その時、重々しい声が上から響いてきた。

 「ヘルム君、聞いているかね、私はEDO長官オットーだ。ごくろうだった。君は驚嘆すべき男だ。我
々は偵察衛星をつかーい、君たちめ行動をずっとモニターしていた。さて、今君がいるこの最後のユtニッ
トの外壁の表面に核融合剤が付着されている。我々がスイッチをおせば、ユニットもろとも君たちは噴
き飛ぶ。」

EDO長官オットーはしばらく黙り、やがて口を開く。
「しかし、ものは相談だ。ヘルム君に提案しよう。おとなしくマコトを我々に渡したまえ、そうすれば
君は生きてこのムーン=ウェイから出れる。恐らく、君がこのムーンウェイを走破したということは
長く記録に残り、世界は君にすばらしい特典を与えることだろう」
 「話にならないな。EDOか何か知らないが、いいか、俺はロードランナーだ。走ることそれ自体が俺
の名誉なのだ。そして俺はこのロードランナーになった瞬間から、あらゆる権力という代物と戦ってき
たのだ。いまさら妥協などできない。たとえ、爆死しようと最後まで走り続ける。それが俺のーロードラ
ンナーとしての誇りなのだ」

(続く)
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ランナー第14回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■ランナー第14回
EDO長官オットーは怒りを感じさせる口調でいった。
ムーン=ウェイ、出口メースチングのクレーターの軌道最後のユニットに ヘルムとマコトはいる。

「ヘルム君、我々の提案には応じられないというわけだね。残念だ。我々は君を生かしたいんだ」
「ありかたい言葉だが、遠慮するぜ。俺の今の目標は、月のメースチングクレーターまで走り抜くこと
なんだ」
 走りながら、ヘルムは答える。
「ありがとう、ヘルム。これをあずかっておいて」
 マコトが、背中からヘルムに古い紙を渡す。
中には今までヘルムか見たことのない文字か書かれている。
 ヘルムは少し速度をおとし、首を振り向けながらマコトに尋ねた。
 「何だ、この紙は」
 「僕のカタミだよ」
 「カタミだと、不吉なことをいうな。君を、必ず俺が、月まで送り届けてやる。
約束するぞ」

「いいぞ、兄弟」
 オットーとは別の声が前方の方から聞こえてきた。
ヘルムはゆっくりと止まり、腕のサイドポケットにマコトからあずかった紙をいれた。
 人の影が、ヘルムの視野にはいってきた。
「誰だ」
 ヘルムは叫んでいた。
「ヘルム、俺だ」
「どうしたんだ」
サムナーの姿がそこにあった。
「お前」
「お前さんを助けるために来だんだ」
「何だと?」
ヘルムとサムナー二人は、肩を並べて駆け出す。
 モニターCRTを見ていた地球上のEDOの連中は、サムナーの出現に驚いていた。
「サムナーだ。あいつは何を考えているんだ」
 フリッツ局長が叫んでいた。

「構わん。フリッツ、早く、ムーン=ウェイユニットごと奴らを爆破しろ」
 オットー長官が怒りながら発言する。

「しかし、サムナーがいます」
「構わんといっておるだろう、テロリストハンターの一人や二人、死んでも構わん。早く爆破しろ」
ロードランナー、ヘルムと、EDOに属するテロリストハンター、サムナー、そしてヘルムの肩の
サイコテレパシスト、マコト。彼ら3人のために、地球から月への、ムーン=ウェイを破壊するという。
それは、建設に10年かかった地球の財産なのだ。

EDOにある操作卓の爆破スイッチは押された。

が、爆発はおきない。


「ユニットに付着した核融合剤の事は心配するな。俺があらかじめ、信管を俺の目、レザーアイで焼ききっておいた」
サムナーがにやりと笑う。
「すまん、サムナー。しかし、なぜ俺達を助けるんだ」
「お前達の心意気に感動したからだ。というとキザかな。どうせ俺の体もそう長くはもたん。俺も何か
歴史に残ることをやってみたかっただけだ」
サムナーがヘルムに言った。

(続く)
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ランナー第15回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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地球にある、地球防衛機構(EDO)本部で、EDO長官オットーは、命令を出していた。
「カイロにいるエスパー部隊で呼び出せ!
。とりわけ「ジャンプ」能力に優れたもの。ここの司令部に呼び出せ」
「わかりました。彼らをこの本部に、自分自身をジャンプさせるのですね」
「ジャンプ」とは、空間移動をいう。

別の係官が報告する
「長官、しかしながら、世界のいる「フイダイ(死の天使)」たちが。不安な動きをしているという連絡が入ってきております」。
「何だと」
「いわば同時テロと思われます」
続けて。
「そのテロ、ターゲットは、世界各地に存在する原子爆弾給料倉庫に」
「通常の倉庫は。フエイルセイフが行われていて、核融合は不可能ではないのか」
「それに対する、解除装置対応を行なっている模様です」

本部ジャンプベースに、カイロから、ジャンプしてきたエスパー部隊の隊員が、現れ始めていた。

彼らを前にして、宇宙服を着たEDO長官オットーは、明らかに興奮し、命令を出していた。
「私の体を、月のアムラーピラミッドにジャンプさせるのだ」
「長官、それは、危険ではいませんか」
「今はその論議を言ってる場合じゃない。そのテロをやめさせるためにも私が、アムラー内部にいかねばならん」
「やれ、ジャンプさせろ!」
長官オットーの姿は、本部から、消えていた。

跡に残った、エスパー部隊隊員は、すべてをその能力を使い切り、消耗し、全員が息が切れていた。

多くのエスパーの精神的なエネルギーを持って、
長官オットー、は「ジャンプ」を行い、アムラーピラミッド内部に、たどり着いていた。

ピラミッド内部玄室の中で、昔懐かしい「マニ」が実体化し、オットーを、
古い友人を迎える口調でいった。
「オットー。君は世界の王になろうとしたね。何を目的として?ええっ犠牲はどれだけだせば気が済むのだね」


■サムナーはヘルムの側を駆けながら答える。
「サムナー、俺は速度を上げるぞ
「待て、いいものがある。ただし,マコトのテレポーテーション能力が必要だがな」
「サムナー、いったいこの軌道内に何を入れるつもりだ・」
 メースチングクレーターの軌道出口から、大きな発射音が響いてきた。
 そこから飛び出してきたのは「シャトルトレイン」ならぬ「ロケット艇」である。

 EDOの連絡で待ち構えていた、連邦軍の集中砲火を浴びたロケットは大爆発をおこす。
 「ようし、残骸をしらべるんだ」
 しばらくして連邦軍の隊長がいった。隊員がロケットの残骸の方へ近づいていく。
 その間隙をぬって、残骸の中から、マコトを背負ったヘルムが走り出していた。
マコトのバリヤー能力で彼らは爆発から身をまもったのだ。
彼の速度なら、アムラービラミッドまで数分である。が、アムラーピラミッドまでの道には連邦軍があらゆる火器をしきつめていた。
 やや遅れて、サムナーが残骸から現われ、二人を援助するため、ハンドキャノンを射ちまくりながら
走る。が、全力疾走のヘルムと速度が違う。二人はずっと先を走っている。
 ヘルムの過去の試合のVTRがEDOの情報悩に入力され、彼の走る行動パターンが分析されていた。
その分析結果が、月に設置された連邦軍の高速レーザー砲の照準器に送り込まれていた。
データには月の重力の影響が計算されtいる。
高速レーザー砲のすさまじい速射がおこる。
アムラーピラミッド目前、数千m‘まで走っヽていたヘルムの体をレーザーの光条が走り抜けた。
「ぐっ」
「ヘルムー」
マコトが叫ぶ。
彼の生体維持装置は、この一速射でほとんど機能を停止していた。
しかし、ヘルムの体はまだ走っている。
ヘルムは最後の力をふりしぼり、マコトの体をかかえあげると、アムラービラミッドの方へ高く投げた。
 マコトも疲労で意識が原朧としていたが、アムラーピラミッドヘのわずかな距離をテレボートしよう
とした。
その瞬間、マコトの体を速射レーザー砲のレーザー光条が突き抜けた。
 「マ・コ・ト」
 ヘルムはもう眼がほとんどみえなかった。
しかし、ヘルムは走りながら、マコトが射たれたのを感じ
た。ヘルムの体に再び、高速レーザー砲の光条が射ち込まれる。

(続く)
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ランナー第16回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
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■ランナー第16回
地球防衛機構(EDO)長官オットーは、月の「アムラーピラミッド」内部で
くちごもる。
「そいつは」
「いえまい、君は、自分の意識を、古い先住民人類の意識中に閉じ込めているな。君、オットーが、
恐れてことは地球が「始原」に戻ることだな」
預言者マニは、オットーの答えを待つ。
「地球人類使ってどうしょうとした、、古いタイプの宇宙征服の話か。
「残念だったねオットー。私マニは君オットーにチャンスを与えるはずだった」
「チャンスをだと」オットーは、いぶかしげに言った。
「最後の世界の王。地球の王になるチャンスをね」

「月と地球が結ばれた。これはどう意味か。オットー、分かるかな」
「月資源も地球の産業に寄与させるためだ」
「ここ、アムラーピラミッドをジャンプ地点として考えてくれ、地球人類は外
部宇宙に、ジャンプするチャンスを持っていたのだ」
「宇宙にジャンプするだと」
「そうだ。いいかね。私マニは、地球人類史上、最後の予言者のだ。
私のまえを、キリスト、ブッタ、マホメット。すべての予言者が過ぎ去っていった。
最後と言われマホメットのそばに、私マニは、暮らしていた。

「君とは、大昔から何度もあっているよね。異なる人間の顔としてね」
オットーは、まだ黙ったままだ。
「モンゴル帝国のプラグとしての君は、私マニを捕まえようとした。あれは、西暦1256年だ。
私の持つ、世界の王のしるしを、取り返すのためにね」
古代から世界の王となろうして者は、王者の印を獲得しょうとした。
プラグとしての君は、私を捕まえようとし。それに失敗した。

モンゴルは、私から「世界の王の印」を捕まえ損なったために、ヨーロッパを征服できなかった。
世界帝国は、目前だったのだよ。揚子江から、ジブラルタルまで、すべてのユーラシア大陸を征服
するはずだった。
古代から、多くの者が、世界の王になろうと挑んできた。
アレクサンダー、モンゴル、チムール、ナポレオン、スターリン、ヒットラーとね。
オットー。君は、世界史上で、転生を繰り返し、常に、「世界の王」になろうとした男のそばにいた。
アメリカ合州国が、この地球世界を制し、宇宙空間に乗り出した折、君は今の
組織を提案し、まんまと地球防衛機構(EDO)の長官の職を手にした。

そして、今、この2016年、このアムラーピラミッドで再開を果たしたわけだ」
オットーの表情が変わっていた。

「そうだ、私がわざわざここアムラーまで来たのは、君から「王の印」をもらい受け
たいがためだ」
(続く)
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ランナー第17回(1986年作品)地球防衛機構(EDO)シリーズ
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 マコトの体は、レーザーの光を受けた瞬間炎に包まれた。
それは速度を増し、アムラーピラミッドヘ激突した。
とみる間に、その炎はアムラーピラミッドの中に吸い込まれていく。
 ついに聖火は、月のアムラーピラミッドに届いたのであった。
 サムナーはまだ生きていた。
一部始終を見た彼は、すべてを理解した。
聖火はマコトだったのだ。
そして聖火ランナーはヘルムというわけだ。
 サムナーの体を高速レーザー砲の光条が貫いた。

「どうやら聖火が届いたようだ」
マニが告げた。
アムラーピラミッド玄室内空間に、大きな映像が浮かび上がってきた。
映像として、地球が浮かび上がっている。
小さな爆発が地球のあちこちで、ゆっくりと起こり始めていた。

「ムニ、貴様、何を自分の部下「フイダイ」たちににさせた」
「おわかりの通り、核爆発だ。私の手の中にあるフイダイを使って特攻させた。
世界中にあるすべての核兵器を、爆発させた。すべての人類はね。自分の手で滅ぶんだ。
いやもうほろんでるかも知れんと言っていいかもしれない」

「いやはや、まだわかっていただけないのかね」
「私は、地球を始原の状態に戻している。地球と月が一体化した。大いなる昔にね」
「地球を「リセット」した。つまり地球を滅ぼして、新しい星と生物を生む」

オットーは、滅びつつある地球人類の中覚醒した人たちは、
自分たち生物の昔の記憶がよみがえる。
のみならず理解していた。
遠くからの恒星から来た星人が、一つの星を二つに分けた。
一つは地球となり、一つは月となった。
もともとが、地球と月は、一つの惑星なのだった。

地球の上で人類が進化し、宇宙へ乗り出そうとした創造者であった生命体は、
その地球の人類の姿を哀れんだ。

●ロードランナー、ヘルムリッカートの意識は、「星間戦争」を思い起こしていた。
そのなかで彼が被弾し、生き残るのった誰のおかげだったのだろうか。
そして地球のロードランナーとしての能力が足り与えられたのか、
リッカートという自分は、何かのパーツであり、使命を与えられた者であった意識が芽生え始めていた。

ロードランナーとして、初めて地球から月へムーンウェイも自分の力で走りきった。
その栄光は何のためだったのだろうか。
防衛組織を作った地球人類。それが消滅しようとしていた。

●マコトの意識は、2017年のエジプトカイロにおける「フイダイの襲撃」を思い出していた。
うす汚れた民族服を着た二人の人間たちがの方たちをはじめとする。
EDOのエスパー部隊達のいる研究所に、爆弾を投げつけた。

●サムナーの意識もまた。炎の中で、自分の役割を思った。

何故にサムナーはマコトと、ヘルムにカートと、解決しなければならなかったのか、
他に更に何故に、長官オットーは。何のために、自分を送り込んだのか、
ついには、スペースシャトルが攻撃一つ使われたのか、
そもそも、月のピラミッド、アムラーピラミッドは何だったのか、


65億の地球人類の意識は、滅び行く中で、自分たち人類の未来をそれぞれに理解した。
この新しい、いわば「新地球」の上で、新たな生命として転生することを期待した。

その瞬間は、地球のすべての宗教が持つ「煉獄と地獄」として、最終的には、「天国」
を思わせるものであり、生命体としての滅亡の不安を解消しょうとしていた。

アムラーピラミッドとは、「意識の時間装置」だったのだ。
「マコト」という生命体が、「聖火」として地球から届いたとき、生成装置が発火したのだ。


その方法は地球人類の聖者と呼ばれる人々が、存在した。
イスラム教指導者のマニは、1956年から、フイダイを作り上げていた。

一方、地球をこのまま形式で保存しょうとする生命体がいた。
彼らは、自分たちの地球人類の生命を守る組織を作り上げた。地球防衛機構EDOである

「オットー、君にも私の立場は分かるはずだ。ただ君は先住民のといたからだ。
私は、私の名は時の旅人。
君たちの人類、中国に諺がある。「邯鄲の夢」というものだ。
それとは一瞬の時になる。、君たち人類の長い歴史も、
全宇宙の流れる中で、くらべてみれば。それは一瞬にすぎないのだ」

(続く)
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ランナー第18回ー最終回(1986年作品)
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「マコト、君の長い間の眠りをどうだった」
導師マニ、マコトの意識にたづねる。
「マニ導師、あなたは私の夢に現われました」
「そうだ。君を、この世界地球人類のメモリカードとしょうとした。
長い地球の歴史の記憶脳として使おうとした」
「私が、全人類の歴史をどのように滅んだのかを見届けるのですか」
「いや、君には、新しい人類の誕生を見てほしい。それから、あちらの世界へ
「ジャンプ」してほしい」
マニは、続けた。
「そこでにリッカート、サムナー両君たちにも役目を与える。マコトを守って、同じような同じようにジャンプ
をしてほしいのだ」
「君達が聖灯マコトを、ここに運んでくれたのは、予想外の健闘であった。
君たちにも「ジャンプ」してほしい」
「ジャンプ先かね。そこは、人類が長くに夢見た「天国」というところだ」

 アムラーピラミッドが大きく膨脹したように見えた。
さらにピラミッドの地下から振動が始まり、やがて振動は月全体に拡がり大地震となった。
 アムラービラミッドは大きな光条を放ち始め、その光は月全体を被った。月は光球となった。

 月と地球が相互に引き合っていた。ムーン=ウェイが、まるできずなのように見えた。
 月と地球が互いに近づいていく。

地球の上にも、原爆爆発以外の大変動か起こり始めていた。
火山は噴火を始めている。海
の水は沸き上がる。大地は振動し始める。建物は倒壊し、人々は逃げ感う。

 地球は、まるで天地創造の時のようであった。あるいはこれが『審判の日』なのであろうか。
 EDO長官オットーであった者は、自らの分析の甘さを恥じていた。
この判断の甘さが、人類の滅亡を招いたのだ。
 地球と月の表面は最後には接触した。
が爆発は起こらない。静かに融合し始めた。まるでお互いが溶
け、交じりあうようであった。数日後、宇宙空間に新しい星が、生まれていた。
その星は何と呼ばれるであろうか。それに答える旧人類はもう生息していない。

「聖なる火が、二つの世界を焼きつくし、やがて、二つの世界は一つになる。
これは元々、一つの世界であり、新しき一つの世界では、平和は満ちあふれるであろう』

 爆発の瞬間、バラバラに吹きとんだヘルムの片腕の金属はくるくると回りながら、この新しい星の成
分へと同化していく。
火の中にいる生物らしきものが、その金属を指さした。
その瞬間それは、情報がつまった新しい金属片となり、タイムジャンプした。
その金属片は2016年の宇宙空間を漂っていた。

 月のピラミッドと一体化したマコトの魂は、この新しい世界の中で浮遊していた。
この魂を再び火の中にいる生物が指さした。
 マコトという魂を持った子供となって、2016年にタイムジャンプした。
それと同時に植民船の残骸も2016年に送り込まれた。
 マコトであった者は、ムーンウェイ内でのシャトルトレイン爆発事故が、自らの超能力がおこしたもので
あったとは最後まで気づいていなかった。
 この火の中で、盛んに蠢く新生物、新人類は、昔の旧人類の進化した姿であった。
(完)1986年作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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