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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

●デュエット1

デュエット1デュ工ツト
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
●現在編集中●
------------------------------------------
 白神四郎の人生か音をれてて悪夢の中へなだれ落ち落めたのは、
一年前からだ。
 四郎は小さな工場で働いている工員にすきなかった。
 両親は四郎の小さい頃に死んでいた。遠い親戚に預けられた男は
よくある話だか、やがてその家を飛び出して働いた。苦労して定時
制の大学へ通った。
 どん底の生活だった。この日本ではありかたい筝に、若い男が飢
え死にする唄はない。何とか小さな工場に働き口をみつけた。
 日々の生活にほとんど変化はなかった。やるせない日々が四郎の
一日だった。
 が、小さな変化かあらわれ始めた。そう、一年程前の事だ。
 四郎は誰かに付けられていた。はっきりとはしないが、四郎のそ
ういう種の能力は子供の頃から研ぎ澄まされていた。いわゆるES
P能力だ。
 常に誰かから呼びかけられているような気もする。なにげなく後
をふりむくので同僚から大丈夫か、おまえ、働きすきじ々ないかと
いわれた。
 いろんな手を使って相手0様子を探ろうとするのだか、相手もプ
山 田 博 一
口だ。姿は見せない。
 それに付けている連中はチームらしく、毎日人間か変わっている
ようだ。
 小汚ないアパートから、抜けだした四郎は、これまた、やりきれ
ない通勤電車に乗りこんだ。今日も付けられていた。男は四郎の少
一し列の後から乗り込み、つり皮につかまって、秘かに四郎を観察し
 ている。
一 まるで研究者がモの対象物を見るようだった。
一一
一----一
  四郎の工場が車窓から見えた。降りる駅だった。男はいつものよ
うに、四郎を付けてくる。
 工場への道にさしかかっていた。普通ならもうそろそろ彼らは消
えてもいい頃なのだか、今日は、追跡者は足早に四郎の後にひっぱ
り・近づいてきた。
 四郎は思わず走り出そうとした。がそれよりも早く、四郎の背に
冷たいものかあてられていた。
 「静かに。騒がなければ、危害は加えません」
 男は静かにていねいな話し方で言った。
「俺をどうしようというのだ。俺は唯の工員だせ、人連いじそない

-17
のか」
 「残念ながら、白神四郎さん、人違いではありません。ある高貴な
方があなたにお会いになりたいと言っておられるのです」
 「高貴なお方だと、それがなせ俺に話を」
 「それはそのお方か直接話されます」
 後から外車が走ってきた。メルセデス=。へyツだ。
 両側には、同じような男がすわり、四郎をはさむようにすわる。
もちろん、逃げだせるわけかない。
 べyツは都内の一流ホテルの駐車場に辿り着いた。
 車から降ろされ、エレベーターに乗り、服ははぎとられ、無理や
り今まで着た事もないような金のかか{だ服を着せられていた。
 「何をするつもりだ」
 「あの方の前で、はずかしくないかっこうをしていただくためです」
 言葉は丁寧であったか、有無をいわせないものがあった。
 このホテルは東京の一流ホテルの一つだったが、そのフロアを全
部借り切っているようだ。
 廊下を警備する男はどうやらアラブ人だ。
 最上級の部屋の前で、四郎は一休みさせられた。
「いいですか。これからお会いになる方は普通の方ではありません。
日本人でもごくわずかな方しかお会いになる事ができない方なので 一
す」
 四郎はごくりと生唾を飲みこんだ。これか悪夢であればいいと思
った。がこれは事実なのだ。ホテルの窓からは東京の町並が低くみ
えている。四郎もこの下の方で今朝まで寝て、負べていたのだ。モ
れが今は一流ホテルの中で、仕立てのいい服を着ている。この俺に
何がおこったのだ。四郎は思った。
 となりの扉が開かれた。
  一人のアラブ人が立っていた。四郎はこの人の顔を、テレビで見
た事があった。たしかアラブの産油国の小国の王子だったはずだ。
 アラブ人に゛しては、わずかだか顔色が違うような気かした。
 「四郎くん、突然の事で、驚いた事と思う。私はヤスラー王国の第
三王子、ハーリマッドだ。私がなせ君を探し出し、私が君に会いた
かったのか疑問に思ったろう。驚くかも知れんな。それは君と、私
とがいとこだからだ」
 「何ですって」
 四郎は、この部屋の照明が、すべて頭の上から落ちてくるのでは
ないかとすら思った。
 王子の側近らしい男が前に出てきていr 4jo
 「私から、ご説明申し上けましょう。あなたのおばに当る、白神良
子さまが、この方の母上さまなのです」
 白神良子おば、そういえぱ、そんなうわさ話を聞いたことがある。
「そんなそフイいとこがいるとは信じられん。俺に何をしろという
んだ」
 側近が言った。
「王子の前で、そんな乱暴な言葉使いはおやめ下さい」
「いい、このハーリマッドに対し、敬語を使う必要はな
いとこ同志だからな」
い。何しろ
 王子が四郎の方に近づいてきた。確かに似ている。そっくりだ。
顔色が少し違う事をのぞけぱ。王子は唐突に言った。
 「白神くん。君に私の国に来ていただきたい。今、私は君の助力が
18-
-
必要なのだ」
 「この俺に何をさせようと
 「これ、四郎様」
いうのかね」
 腹心0男がたしなめようとした。
「いいヽ卒直でいいさ。ある一つの仕唄をしてほしい」
 四郎は王子の言おうとする事が、不思議と感知できた。ESPが
働いたのか。
 「俺に影武者になれというのか」
 四郎は黒沢の映画の題名・を思いおこしていた。
 「そうだ。七の通りだ。さすがに白神家の者だね」
一一


- 7y -
-
俺が今の状況から脱出できるいい話さ。それに肉親にあえるのも
いことだ。アラブの国でおぱに会えるとはね」
 腹心たちが顔を見合わせた。
 「残念ながら、良子王妃はお亡くなりになりました」
 「何だって」
りx
 「おそらく、反対派の手によってです。王宮の一室に爆弾がなげこ
まれたのです。直接の下手人は斬首刑になりましたが、戻で手をひ
いていた者までは手が下せませんでした」
 「そうか。良子おばさんがか」
「白神家の者は代々、ESP能力が働くと母上から聞いて
はどうだね」
     ・  その時、四郎には、急に不安が生じてきた・四
いた。君 ・ 見た。
「俺は聞いていない、両親共、小さい頃、死んでしまったからな」
「七うか、そうだ{たねI
「実況を説明してもらおうか。ヤスラー王国がお家騒勁を起こして
いるのか」
 「その通りなんだ」
 腹心の者か説明しだした。「王位継承問。掴で、我々の王国はもめに
もめている。このまま争いが続くと、大国の介入をまねく」
 「で、このハーリマ″ドの地位は」
 王子か答えた。
 「今、私の手であるプロジェクトが進行中なのだ。それが成功すれ
ば、我々のヤス’フー王一足は発展し、今・白土も兄に王位継承楷を与え
てくれるだろう」
 「プロ。ジェクトだって。まあ、こ0俺の体か役に立つのなら。支応
郎は、王子の顔を
 王子と四郎の二人は同時に叫んでいた。
「いかん、この部屋から出ろ」
 全員が、日本の最上級に属するホデルの二部吊から聊。び出た。二
人のあとに、腹心達が続く。
「エレベーターに飛び呆れ」
 誰かが叫んでいた。
 「いかん、階段へ行くんだ」
 匹郎は叫んでいた。
 大きな爆発音がおこ{だ。閃光が目を剔る。
 民間のカイユースヘリコプターがホテルの窓に突っこんできたの
だ。爆弾をかかえて。こ0フロア全部を吹き飛ばすだけの量の爆弾
だ’た。
 エレベーターに乗っていたものは、エレベーターのワイヤーか吹
き飛び最下・滴まで落下した。
19 -
-
すでにフロアー全部が燃えだしていた。
階段0踊り場まで逃がれていた四郎たちは、何とか助かっていた。
「ひでえ奴らだ」
 四郎は筥った。
「そうだ。そんな奴らかウヨウヨいるんだよ、この世界にはね」
 王子が言った。
「わかった。この体をあんたとヤごフー王国に預けよう」
 もちろん犯人はわからなかった。日本国政府は王子の王国に丁寧
な謝罪と賠償金を払おうとしていた。
 三日後、王子は、四郎と一緒にすでにアラスカに向かうヤスラー
王国所有OB747の上にいた。四郎のパスボートはヤスラー王国
のものだった。ハーリマッド王子が外務省に交渉したのだ。
 腹心の大臣、』アラマドと紹介された男が言った。
 「王子のくせや身ぶりを研究して下さい。毎日お願いします」
 飛行機の一部屋で、体は染色剤で染められていた。
 「王子の日常を映したビデオがあります。これを昆て研究なさって
下さい。睡眠時には、学習操置がセットされていますから」
「おいおい、これじタまるで地獄だな、うご
 四郎は危機が近づいている事に気づいた。
 王子があらわれていた。二人とも予見してい
「再び、地獄が来そうだな」
 国籍不明の戦闘機がB747に接近してきた。アメリカ製のフ″
ントム戦闘蒙だ。B747の無線士は、そのフ″ソトムと連絡をと
-●y・WW-〃●I
ろうと必死になっていた。
 「こちら、ヤスラー王国のハーーリマソド王子専用機です。貴賤は接
近しすきています」
 相手には、ひきかえす意志はまったくない゜ようだった。
 ファントムから機銃弾という答えがかえってきた。加えてこハロ
ーミサイルが発射された。そハローヽヽ、ザイルはねらいたかわず、B
747に命中しようとする。が、王子機にあとlmという所で消滅
した。それから数秒後に、発射した方の飛行機が爆発をおこした。
 四郎は叫んだ。
 「これは一体どうしたのだ」
 アラマドが言った。
 「アッラーの神の力によって、王子がなされたのです」
 王子が疲れた顔でいった。
 「そうだ。私には、念動力がわずかだが、ある」
 そういって、ハーリマッドは横にな’た。
 「王子」
 四郎は、そぱに走りよった。
 アラマドは言った。
 「心配なさることはありません。王子は念動力を使われると、かな
りの体力を消耗なさるのです」
「この念動力の事は」
「わずかな者しか知りません」
 アラビア語も必要だといわれた。それにイスラム教徒にもならな
けれぱならない。
20-
-
 四郎は、アラマドから聞いただけで、うんざりしてしまった。勉・ 「その通りだ。つまり、二人の王子がいた方か動きやすい。二倍の
強ばかりさせられる。                        時間か持てるからね」
 その内にB747はアラスカ、アyカレッジ空港に辿り肴いた。   バロー岬から北極の浮遊水界をめざして、ヤスラー王国のキ’タ
給油し、それから北へ向かう。パローという土地らしい。      ビーフ車2台は動いていr瓦。
 「王子ヽいいかげんに行先を教えてくれよ。これは君のいっていた『‥ 「我々が切り取ろうとしている氷山はこれからかなりの距離がある、
ブロ・ジェクトに圈する事なんだね」                  当然、敵の防害もあるだろう」
 「そうだ。一つヒントをあげよう。私の王国でもっとも豊かな資源 ・’「敵とは、具体的には誰なんだ」
は」                                 「第四王子、第二王子が結びついている。それにパックには某国の
「そリタ、石油だろう」                      ・石油会社がついているらしい」
「それじタ、もっとも貧しい資源は」                 「そうだろうな。戦闘機をとぱしてまで、襲ってくる連中だからなI
「水だろう、当然」                         「そう、それゆえ、そんな天候の悪い季節をえらんだ。それにここ
「その水を求めてここまできた」                   はまだ、アメリカ領土内だからな。奴らも動きにくいだろう」
「何だって、水を」                          突然、今まで、快調に進んでいたキ’タピラ車2台が動かなくな
 確かに、水は彼の王国、
貴重なはずだ。
いやもう四郎の王国でもある、それでは  った。
水・は石油010倍の値段と聞いて
r¥tj ‘"、氷山を切りとって」


 Q
「そうだ、浮遊水界から氷山を切りとり、氷山を一つの船にしたて
て、私の王国まで、もっていくのだ」
「赤道をこえる時は」
「もちろん何%かは途中で水となるだろう。しかし、ある特殊な処
置、対太陽光線緩衝剤をほどこして七れをできる限り少なくする。
このプロジェクトが成功すれば、あとは何回でももってこれ乙。殼
初が肝心なのだ」
 「当然、防害も予想されるというわけだな」
 「どうしたんだ」
 王子が尋ねた。
 「エンジンがやられたようです」
 運転手が答えた。謳べるとガソリンの中に誰かが砂糖をぶちこん
だのだ。暁ききれている。
 外は天候があやしくなってきた。
「無線で、救助を頼むんだ」
 アラマドかどなる。
「空電です。電波状況が悪くなっています」
「くそ、呼びっづけろ」
一ここから、その基地まで遠いのか」
21-
-
 「残念ながら、かなり遠い」
 外はブリザードになク瓦。四郎達は体を結び、前へ進まざるを得
なかった。一緒にいたならは、敵は必ずや、キャタピラ車の場所は
発見し、攻撃してくるだろう。
 ブリザードが体に吹きつけていた。
 「水や氷がこれ程のものとは思いませなんだ」
 アラマドが叫んだ。彼はここまで来たのは初めてらしい。
 突然、一行の前にクレパスかできた。
 「うわっ」
 黒い巨大なものが、海中から突き出されてきた。
 それは潜水艦の艦橋だった。ハフアが開き、男達が降りてきた。
 我々は銃を構えた。
 「あわてるな。私が呼んだのだ・一
 疲れきった顔の王子かいった。
 「ヤヌラー王国親衛隊コマンド部隊長、アリ日ジソベル少佐、ロハ今
到着しました」
 「ようやく、私のテレパジーーが通じたか」
 王子は、そう’いって、再び意識を失なった。
 シンベル少佐は四郎の顔をのぞきこんだ。
 「あなたが、王子のいっておられたいとこの方か」
 「そうだ」
 彼は部下に命令した。‘
 「よし、早く、お前達、王子達を潜水艦の中にお連れしろ、凍死な
さってしまうぞ」
 王子達は艦の中に収容された。
--=
ir・
〃9yt-f-'四^-S乙・罵゛iWI・thttp://www. 「よく、我々の位置がわかったな」
 アラマドが歯をガチガチいわせながら言った。
 「王子は、我々が別行動をとるようにいわれたのです」
 「それじゃ、王子か飛行機でヤヌラー王国を出られた時から、君達
は」
 「そうです。先行して北極海に来ておりました。それで、基地の下
で潜水していました」
 艦長があらわれた。
 「王子はこの艦に対サイコ・レーダーを搭載されよと命令されてい
たのです」
 「それで、我々は王子の呼び掛けがわかったわけです。しかし、レ
ーダーには二人の影がありましたが」
 「彼がそうだろう’一
 王子は四郎を指さした。
 「これは、王子とうり二つだ」
 艦長は驚いていた。
 「この方が、王子の影武者になっていただく方だ。白神四郎さま。
王子のいとこにあたらせられる」
 アラマド大臣が言った。
 「日本人の?」
 艦長が尋ねる。
 「そうだ」
 四郎は答えた。
 「白神さん、よろしくお願いいたします。ESP能力を使う事は、
王子の身体を疲れさせるのです。何とぞ、あなたのお力で、王子の
22-
-
重荷を少しでも軽くしてあげて下さい」
 「わかりました。努力いたします」
 潜水艦は北極海の中を静かに進んで行く。
 基地へたどりつくのに数十分かかった。
 基地の七ぱには、艦橋浮上用の穴が開けられていた。
 意識を取り戻した王子と共に白神は基地を訪れた。作業現場を艦
長はさし示した。
 「これは」
 四郎は驚愕の言葉をあげた。まさに、空母大の部分が水界から切
り離されていた。つまり、基地は船の艦橋にあたる部分である。
 「基地の下から後部に向かって、エンジン部分と、4軸のプロペラ
=ジーフトが貫いている。先導は、潜水艦二隻と、この基地に収容
してある、垂直上昇陛(STOL)とヘリであたる」
 王子が言った。
 彼の指さした方には、三蔵のポーカーHジドμ-ハリヤーが駐機
されていた。BOWヘリもあった。
 「前にも、いった通り、今回のプロジェクトが成功する事か第一だ。
大きさはどうにでもなるからね。だから、今回は割と小さな面積し
か氷山は持って帰らないのだ。それでも普通の空母よりIまわり大
きい」
 基地に入る時、四郎に王子は変装を命じた。
 「すまん、他人を欺くためには、味方の者から欺かなけれぱならん
からね」
 「サングラスとひげで大分、印象か変わるだろう。君は、新聞の記
者という唄で乗り込んでもらう話になっている」
目孵く王子をみつけた、一人の背の高い白髪の老人がこちらへ走
ってきた。
「あれは、このプロ’yエクトの指導者シモノフ博士だ」
「王子、ご無事でお着きになられましたか。早速ですが、早々に出
発したいのです。準備は万全です。この時期を逃すと、天候が悪化
しそうなのです」
「わかった。明日、出発しよう。あ、紹介しておこう。この人はア
レキ・サンドリア新聞のハシム記者だ。私の要請で、船に同乗しても
らう事にした」
「よろしく」
 と、シモノフと四郎は簡単なあいさつをかわした。シモノフ博士
のメガネがキラリと光る。
 「この水船の名は、わが父王の名前をとって、ザイード号と名づけ
る。出発は明日正午とする」
 王子が基地の全員を集め、宣言した。
 数十名の乗員が、聞き入っていた。
 ジンベ。ル少佐を呼んで王子は耳打ちをした。
「いいか、船員0防害工作に気をつけろ。特に、赤道付近で○遅滞
か一番心配なのだ」
 それから四郎の方へ向かい、言った。
「ハジム記者、よろしく噸む」
 全長1』、幅w一mの巨大な氷塊か動き始めた。水船である。北極
海の永久浮氷界から動き出すためのルートにはTNT爆弾で爆破、
さらにSTOL機によってナパーム弾が役下され、通路ができあが
-
23
-
っていた。ザイード号は動き始める。氷山が自らの意志を持って動
き始めたのだ。先頭は潜水艦「剣の先」号と「アラーの目」号が付
き添っている。
 「現在の所、敵の姿は見当りません」
 「剣の先」号艦長からザイード号のブリ″。yとなった基地へ連絡が
はいった。
 {ようし、}気にベーリング海峡をぬける」
 ザイード号からアラスカのマッキンリー一山が遠く見えていた。
 「ソ連側の領海に入らないように気をつけろ」
 ザイード号は右手にカムチ″ッカ半島、左手にアリーシfン列島
をみながら、南下を続ける。
 四日後、日本列島の側を雨下。何もおこらない。七日目、台湾と
フイリッピyの間を雨下する。その間、各国の報道陣がヘリを飛ば
して、ザイード号の写真を撮り、取材に来る。
 ザイード号への着陸を希望したヘジもあったが、それは丁寧に拒
否された。
 物資の補給は、搭載されているBOWヘリによって続けられる。
ザイード号は途中、どこの国の港へも寄港することはない。という
よりヽ不可能なのだ。赤道が近づくにつれ、ヘリによって対太陽光
線緩衝剤が、BOWヘリにより何回も氷山上表面にスプレーされた。
ザイード号の氷が溶けていくのを防ぐためである。
 敵の攻撃がなく、水船はマレー半島とスマトラ島の間、マラッカ
海峡へ入っていた。
 四郎と王子は、交互に服を着かえ、ある時はブリッジ、ある時は
先行する潜水艦内にいた。
J`
w'W
-
Wrゝ・t● f●r7W?・j●W?曹を馮
-「恐らく、彼らはそろそろ攻撃を仕掛けてくるだろう。何しろイy
ドネジアとマμIびアはイスラム教徒が多いからね」
 ブリッジ内の一部屋で王子は四郎堅=7だ。
 イyドネジアの新聞社「アジ″」のヘリが近づいてきた。ザイ・‐
ド号上のエ7ポートヘ着陸しようとする。
 ジモノフ博士は大声でマイクに向かっていた。
 「やめろ、着陸するな。すぐ上昇しろ。さもないと、攻撃するぞ」
 氷山の各部分に対空機関銃が装備されている。
 ヘリは警告を無視して着陸する。その瞬間、機関銃か発射された。
ヘリは爆発をおこした。ヘリの破片が、ザイード号のあちこちへ玖
び散った。と同時に、火が氷山表面を走った。
 「どういう筝だ」
 王子は叫んでいた。
 「そうか王子、例の対太陽光線緩衝剤のエア・ソルの際に、敵は発
火性の強い薬に取り替えてし1い、それを我々はスプレーしてしまっ
たに違いありません」
 燃料庫に火が燃えうつり、爆発がおきる。さいわい戦闘機とヘリ
コプターに被害はなかった。
 「艦長、浮上して消火に当ってくれ」
 王子は二隻の潜水艦に浮上を命じた。潜水艦は浮上し、ジェット
噴射隋で水をザイード号にふきかけ始める。
 「インドネシア海軍に頼み、ザイード号に消火剤の投下を求めろ」
 インドネシア本土から、消火剤を積んだヘリや飛行機が飛来し、
消火剤を数十回、投下した。やがて火勢は弱まった。
 「ふう。よかった」
-24-
 「しかし、容積がかなり削られてしまいましたね」
 「残念だが、しかたがない。一層の注意を払(てくれたまえ)
 王子に化けていた四郎はシモノフに言った。
 潜水艦はザイード号の火勢の弱まったのを観察し、再び濫行した。
ソーナーに潜水艦を感知したからだ。
 ザイード号のヘリと戦闘漑は燃料補給のため、近くのインドネシ
ア空軍飛行場へ向かっていた。
 消火剤を撒いていたヘリの一哉が、ブリッジの上を通過した。
 「うわべ何だ、ここは燃えていないぞ」
 「気をつけろ」
 乗員は口々にヘリをののしった。が、乗組員は急に眠気を催し、
倒れるように眠ってしまった。睡眠ガスがエア・ソルされたのだ。
続いて大型ヘリパートルが飛来してきた。ザイード号の乗組員全員
が眠り込んでいる。ザイード号に着陸する。中からはテロリストが
飛び出して来た。彼らはザイード号の要所、要所をおさえた。
 無線か入っていた。潜水艦にいる王子が四郎を呼んで言った。
 「艦長、ザイード号との連絡がとだえた。どうしたんだ。デイード
号、応答しろ」
 同時にソナー手が艦長に叫んでいた。
 「敵潜水艦が、魚雷を発射しました」
 「二本はザイード号後部を目指しています」
 残り二本は潜水艦に向かっていた。
「く七っ、ザイード号の推進機をねらっている。航行不能にしよう
としている」
 「転舵しろ。後部魚雷発射!」
'9〃
 「剣の先」号から発射された魚雷は敵の潜水艦からの魚雷二本の内、
 一本を破壊する。が、一本はザイードー号に命中する。プロ。ヘラHジ
 こノトの一本を吹き飛ばした。
 「剣の先」号は二本の魚雷をきわどい所でよけ、敵潜水艦の攻撃に
移りだ。
 「前部魚雷、発射I・」
 「剣の先」号の魚雷は、敵潜水艦の艦橋を吹き飛はした。
 「反転しろ、デイード号に向かう」
 ザイード号艦橋は、バートル=ヘリから降り立ったテロリストに
よって完全に占拠されていた。四郎始め、乗組員はまだ意識を失な
ったままだ。
 テロリストの隊長は、四郎を王子と思い込んでいた。
 「ズーン」
 鈍い音かして後部からショックが伝わってきた。後部シ。フーrか
潜水艦の魚雷によって吹き飛ばされていたのだ。
 続いてテロリストの隊長チ″ンは、隊員に命令を下した。
 「時間がない。この艦の搭載既が返ってくる前までに、例の物のあ
りかを語べるのだ」
 テロリスト達は、地雷探知器のような道具をそれぞれセットし、
氷山の上で勤かし始めた。
 潜望鏡をながめていた王子はジンペル少佐に命令を下した。王子
はESPの透視能力によって艦橋の状況を把握していた。
「シソベル少佐。どうやら君の出番のようだな」
「わかりました。さっそく出動します」
25-
-
 挙礼をして、ジソ。ヘル少佐は彼のコマyド部隊を出撃させるため一
に部屋へ向かった。                       一
 「準備はいいか、少佐」                      一
 艦内電話によって命令が下される。              一
 「いいか、ザイード号の艦底にある脱出ハッチに接舷しろ」    一
 王子は艦長に命令を下した。そしてハーリマッド王子は四郎にテ’
レパジーを送「ていた。
 『四郎、起きろ、起きるんだ』                   ←
 四郎は暗闇の中で自分の名前が呼ぱれるのを聞いていた。   ゛
 四郎の意識が戻ってきた。自分の前にチ″ソの銃口が構えられて’
いた。
 「何者だ。君たちは」
 「お静かに。ハーリマッド王子」
 「君達の目的は何だ」
 「少なくとも、あなたの命をねらいに来たのではありません。しか
し、あなたを入質にはできますな」
 ザイード号のSTOL機が戻ってきた。ブリ。ぴの眼を潜水艦か
ら連絡を受け、攻撃しようと近づいていく。チャンが叫ぶ。
 「いいか、攻撃をやめさせろ。そうしないとhzx 5 t全員が死ぬこ
とになる」
 四郎はしぶしぶ、飛行機に向かい連絡をとる。
「残念ながら、我々は人質に捕られている、攻撃・は中止しろ」
「同志ヂ″y、見つかりました。この氷山の中央部にあります」
 テロ9ストの一人が艦橋へ走ってきてチ″yに報告した。
 「七うか。わかった。さっそく掘り出せ」
「かなりの時間がかかると思われますが」
「かまわん。我々がここを押さえている。それから、至急、迎えの
船を呼ぶんだ」
「わかりました」
「一体、君達はこのザイード号の氷山の中で何を探しているんだ」
「王子、いいかげんにしらばくれるのはよしてほしい。我々の国は、
いや全世界の情報部はそれほど、甘くはない」
「何の事を言っているのだ」
「あなたは、このザイード号のプロジェクトを、あれを運ぶための
カモフラージュとして利用しているはずだ」
「何だって! 何の事だ、わからない」
 チャソの部下は、氷山の一角にドリルで穴をあけ、小型爆弾を穴
に落下させた。爆発がおこった。何度もそれをくり返している。
『いかん、yンベル少佐、急げ、奴らは発見したぞ』
 ンyベル少佐に王子はテレパシーで連絡する。コマンドは説出ハ
ッチから上へ階段をのぼっていく。
『四郎、大丈夫か』
 王子は四郎にテレパシーで呼びかけていた。
『王子、いったい、肢らは何を探しているんだ』
『その話はあとだ』
『わかった。私は何をすればいい』
『隊長のチ’ンをやっつけろ』
『どう・ぞって、私は素手だ。他の人間もしぱられているんだ』
『もうすぐ、yyベル少佐のコマンドが些底のハ″チから上へ上が
ってくる』
26-
-


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