●デュエット2デュエット2作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yama-kikaku.com/ ●現在編集中● ------------------------------------------ 『彼に協力しろというのだな』 『そうだ。君のESP能力でチ″yを殺せ』 『残念だが、俺のESP能力では無理だ』 『私が君に力を貸してやる』 チャンは、外海からこちらへやってくる仲間の小船に一瞬、気を とられた。 四郎はチ″ンの胸に装着されていたコマyド=ナイフを、念動力 で動かし、チ″yの胸に突き立てる。 「うり!」 が、またチ″ソの心臓には届かない。 「きさま、エスパーか、くぞ{} チ″yはカラジンコフアサルトライフルのトリッガーを 四郎の胸めがけて。 銃弾はしかし、四郎の前で空間に停止している。 引い た m テロリスト達は、氷山から海に向かって飛び込んだ。 接舷していた小船は、火災をおこしていた。 「まて、船は攻撃するな。奴らを掴まえるんだ。敵の正体を知るた めだ。ジンベルー少佐、奴等を逮捕しろ」 小船の彼らは、シンペル少佐のコマンドに対して降伏しない。最 期まで抗戦した。ようやく小船が制圧された時、彼ら全員か死んで いた。傷ついた者は、ノドにナイフをあて、自殺していた。 ザイード号の4軸プロ。ヘラ=シ″フトの内軸が敵潜水艦の魚雷で 。。やられていた。修理が必要だ。当分、ザイード号は了フッカ海峡で 一停船したままである。横を日本の夕yカー群が通り過きていく。 四郎の胸めがけて。 ハーリマッド王子、教えてほしい事かある」 銃弾はしかし、四郎の前で空間に停止している。 郎は尋・ねた。 ^Iリ゛゛ド王子の超能力が弾丸をそこにとどめているの¨已下一 一いれは何だ・テ゜リスト。達かこのザイード号の氷山から取り出そ 部ハッチからプリッジヘ毒ガス弾が投げ込まれた・煙で相手が見え レっとしていた物だよ」 なくなる。 一 ハーリマ″ドは少し考え込んでいるようだヽた。 txt zサブマシyガンを構えたジンベル少佐のコマンドが突入し一一 「しかたがない。いずれわかる事だからね。話そう」 てきた。銃声があちこち皆いてくる。四郎はジソベル少佐によって 助けられる。チャンはウジの速射で即死した。 シyベル少佐のコマyドは敵テロリストに掴まっていた味方の船 員を解放した。 「よし、奴らを攻撃しろ」 上空で停止していたSTOLに四郎は命令を下した。バートル= ヘリはファントムの一撃で燃え上がった。 ----・- 一一 - - -S??ご??.I チャソ達テロリストが削り取ろうとしていた氷山の部分は、デイ ’-ド号の船員たちによって、修復されようとしていた。 「彼らが採していたのはこんなに小さな球なのだ」 ハーリマッドは四郎に球体の写真をみせた。 「我々が、浮氷界から氷山を切り離す作業中に発見されたものなの だ」 「この球がなせ、そんなに大切なのだ」 27- - 「モの球は、外宇宙から飛来してきた。それは一つのメ″セージを 携えてきた。それに触れた者に膨大な知識を与えるのだ。すでに私 達の王国の首都マハドに設備されている受容器、それは一つのビル の大きさに相当するのだか、に嵌め込まれたならば無限の大宇宙の 知識を我々に与えてくれるはずなのだ」 「受容器はどうやって設計したのだ」 「その球に最初に触れた者の頭に直接、投射されたのだ。その男は 電子工学にはまったく無知な作業員だったが、瞬時に設計図を書き あげた。それを我々の王国の財力を持って作りあげたのだ」 「その大宇宙の知識を君達ヤスラー王国一国で丁Λじめしようとす るのかね」 「違う」 「それならば、七れをなぜ公表しない」 「もし、一つの大国がそれをにぎったとすればどうなる。彼らはそ れを利用して、この地球の支配をめざすかもしれんのだよ」 「ヤごフー王国がそれをしないと断言できるのか」 「できる。僕の心の中は君が覗けは、それはわかるはずだ」 四郎はハーリマッドの心の中をさぐ(てみた。確かに地球支配と いう様な邪心はない。ハーリマッド王子の心は静寂な一片の風景画 である。 「わかった。あなたを信じよう。しかし、いずれはその知識は世界 へ公表されるのだろうね」 「そうだ。そうすべきだと私は考えている。ただその時期が非常に 問題なのだ」 「失礼します」 r'-゜y"-f9-W心 シン。ヘル少佐が入ってきた。 「テロリスト達の身元を割り出そうとしましたが、残念ながら、身 元がわかるようなものは所持しておりません。武器装備も中国製、 アメリカ製、ソ連製、イギリス製とパーフバラです。たた人種的には 中国系のよう・に見受けられます」 「わかった。ありがとう、四郎、君をこんな大事件にまきこんです まないと思っている。が、君のおかげで、私は助かっている事も事 実なんだ」 「ハーリマッド王子、心配なさる事はありません。私は私かかえっ て足手まといではないかと考えていたくらいです。それにあなたに 命を助けていただいてもいるのですから」 「いや、この一連の事件は総て、私が原因なのだからね」 「いや、王子、あなたは私に新しい世界を見させてくれたのですよ。 たぶん、私は王子にみつけたされていなけれは一介の工揃のままで 一生を終わったと考えております。こちらこそ本当に感謝していま す」四郎は心から言った。 「ありがとう、四郎」王子の眼には光るものがあった。 四郎とハーリマッド王子は抱きあった。 「運行できる状態に修復できました」 シモノフ博士が、四郎に報告にきた。 「そうか。それでは、早速、出発しよう。赤道近くでいつまでもい るわけにはいかん」 ジモノフ博士のめがねがキラッとまた光ってい 一 28 - 太陽光線によっていくぶん溶解したザイード号は、ようやくマラ ッカ海峡を抜けインド洋に入った。 一週間は何事もなく過ぎ去っていく。四郎の学習はすばらしい進 歩を見せる。 アラビア語、イスラム教、ヤスラー王国の地理など、睡眠学習に よって、一定のレ。ヘルまで到達した。まるで本物のアラブ入のように。 「アラマド大臣」 アラマドは王子の声に呼ぱれ、部屋に入る。 「何か、御用でございますか、ハーリマ″ド王子。おお、四郎様も おられましたか」 四郎と呼ぱれた方の男がアラマドに言った。 「おい、アラマド、私かハーリマッド王子だよ」 「えI、四郎様、御冗談を。が、しかし」 アラマドは、二人の顔を見比らぺ、頭をかしけている。そしてび っくりしたように頭をさげた。 「お許し下さい。じいも年を取りました。自分の加主人かわからな くなるとは、何たる不破」 ` アラマドは泣き始めた。 「アラマド、泣く眼はないぞ。それほど、四郎は私にそっくりにな C 4DJいう事だ。いい事ではないか。なあ、四郎」 「そうです。アラマド大臣、これで私もヤスラー王国へ行っても充 分役目を果たす事ができると思います」 「ありかたい御言葉です」 アラマドは床にひれ伏した。 J● 一- 一一 突然、ザイード号全体が、震動した。爆発音が響いてきた。 「何事がおこったんだ」 四郎達は部屋の外へ飛び出した。四郎はこの時はハジム記者の姿 である。 扉を出たとたん、数人○男達が銃を構えている。船員達はかりだ。 「王子、艦橋へあが{ていただきましょう} 船員の一人が言った。有無を言わさぬ様子だ。艦橋には、シモノ フ博士が、悠然とすわっている。 「博十六これはどういう事だ」 シモノフは平然と答える。 「簡単な事ですよ。これは反乱です」 「反乱1 それにしては、君はいやに落ちついているな」 ジモノフは、ニヤリと笑う。 「私が、その反乱の指揮者ですからね」 王子は驚く。 「何だって、君が」 「そうです。ハーリマッド王子。このザイード号は、すでに私の手 中にあります。この水船はマルディブに着ける予定です」 「何!・ マルディブ。それじ?、君は」 マルデ″ブにはソ速海軍基地があるのだ。 「そう、私はKGBエージェントです。それにこの反乱には、ヤス ラー王国の第二王子、第四王子の承認を得ているのです」 「ヤスラー王国をソ連但にするつもりか」 「いえいえ、そんなつもりはありません。友好国になりたいだけで すよ。それに少しはかりの石油も入用ではありますが」 -29- ジモノフは王子を指さして言う。 「それに、ハーリマ″ド王子、あなたをソ連に御招待いたしますよ。 我々のESP研究の材料としてね」 シモノフは次に、四郎の方を向く。 「それに、ハジム記者、いや日本人、白神四郎くん、君もソ運に来 ていただこう。理由は王子と同じだよ」 「なゼ、俺達のESP能力の唄がわかったのだ」 四郎はジモノフに問いただす。 「マラ″カ海峡でのあのはでな行動では、いくら何でも隠すことは できんだろう」 『ジンベル少佐、ジソベル少佐』 ハーリマ″ド王子は、親衛隊コマンドをテビハジーで呼んでいた。 「残念ながら、勇敢なるシンベル少佐はこない」 ジモノフは笑いながら言う。 「なぜだ」 「我々が、食事に毒を混入した。コマンド諸君は、全員死亡しただ ろう。それにすでに、先行する潜水艦二隻も我々同志の手に陥ちて いる。あきらめたまえ。ここまで、ごくろうだった」 「ジモノフー 君はいつからKGBの手先S! 4;M’たんだ」 ハーリマッド王子が叫んだ。怒りで顔の表情が変っている。 「昔から、私はソ達人ですよ。が私がジモノフになったのは、あの 球体が発見されたが吋ですよ。本名はアレクサンドロフ大尉です、 どうぞお見知りおきを」 アレクサンドロフと名のった男は、キザに腰を曲げておじぎをし た。 W -″-`W゛`マ W -- 四 「それじて本物のジモノフ博士はどうしたのだ」 アμクサンドロフはまゆをあげる。 「とっくに、北極の永久永原の下でおやすみg4j Cていますよ」 目の前に、「剣の先」号と、「アラーの目」号が浮上した。本来 は、二隻とも、海面下でザイード号の護衛に当たるはずだったのだ が。 トロール船団が近づいてきて、水船「ザイード号」をとり囲み始 めた。トロール船団はジ速の情報収集船である。 ハーリマッド王子と四郎はテレパシーで会話を行なっていた。近 くに見張‥リが立っているが、二人とも押し黙っている様に見える。 『ジy.ヘル少佐は本当に死んだのだろうか』 『わからん、ずっと、呼び続けているのだが反Cがないのだ』 『潜水艦内を逸脱できないのですか』。 『どうやら、対ESP能力訪客装置を使っているようだな』 マルディブ諸島の島影が見えてくる。 『四郎、また、協力してくれるか』 『わかりました』 『今、ちょうどこのブリッジの上空を飛んでいるヘリがあるだろう』 四郎は透視する。 『ああ、ザイード号の艦載隨の一つですね』 『あのヘリの下部に爆弾が装備されているのが透視できるだろう。 あれをこの上に落下させたいんだ』 『艦橋の上に落下させようというのですね』 『そうだ、いくぞ』 -30- 二人はESP能力、念動力を共振させて働かさせる。 ヘリの諌縦士は驚いた。勝手に爆弾がはずれたのだ。ねら わず、小型爆弾はプリッジに落下する。 J-W¬- い た が ~ 閃光が襲う。みはりの目を盲いさす。爆風が見張りの体をなき払 っ。二人は見張りのサブマジyがyをとりあげようとする。 シモノフことアレクサンドロフが姿を現わす。肢は怒りを顔にあ。 らわしている。 ・。 「くそっ、君達の仕わざか」 一・ 四郎と王子に向け、トカレフ拳銃を発射しよぅとする。瞬間、姿 ・ をあらわした男がいる。弾丸はその男の体にくいこむ。アラマドが ’ 体を呈して、二人を守ったのだ。 一 王子は落ちていたマシンガンを取り上げ、一連射する。アレクサ ー ンドロフの体はズタズタになって吹き飛ぶ。 アラマド0体を王子か抱き上げる。 。・ 「アラマド、しりかりするんだ」 アラマドは血を口からしたたらせながら笑顔を王子に見せる。 「大丈夫でございます。あなたが王位に付くまでは、私は死ぬわけ にはまいりません」 しかし、かなりの重傷と見てとれる。至近距燧から、腹を打ち抜 かれている○だ。 銃声を聞きつけて、他の船員が、押し寄せてくる。多勢に無勢だ。 が、その時、ジソベル少佐の姿が炭野に入ってくる。 ジyベル少佐の部下か、まず、サブマジyガンで、船員たちをな ぎ倒し、進入洛を作る。それからダンベル少佐が突入してきた。 ジソ‘ヘルか尋ねる。 「大丈夫ですか、王子」 「私は大丈夫だが、アラマド大臣が」 「大臣、しっかりして下さい。私が来た限り安心して下さい」 「君達は大丈央だったのか、少佐」 「いえ、残念ながら、3一4の者が、動けない状態です。我々は下の 脱出用ハ″チから登ってきたのです。が、王子、喜んで下さい。我 我の力で『剣の先』号は奪取しました。ただ艦長は射殺されており ました」 「では、『アラブの目』号はどうな○だ」 「残念ながら『アラブの目』号は反乱分子に押さえられています」 「よし、『アラブの目』号を吹き飛ばすのだ」 「わかりました」 ジンベルは暗号で、『剣の先』号へ連絡を送った。 やがて、大きな水柱が、目にはいってくる。『アラブの目』号が 爆破されたのだ。 ザイード号の側にいたy運の時報収集船が離れ始めた。 ザイード号上でも、ジyベル少佐の指拝のもと、反乱分子は掃討 されっつあった。 反乱が完全に鎮圧できたのは、半時間後であった。 「よし、舵を、アラビア海に向けろ」 ザイード号は、航行は可能でゐったが、防備設備は、ほとんど使 用できない。STOL随は総て、破壊されていた。ヘリは形勢を見 てマルディブヘ逃亡している。 アラマド大臣の傷は悪化の一方であった。 31- - 一週間後、ザイード号は、オーマン湾に入っていた。 シンベル少佐が王子に言った。 「あと、ホルムズ海峡をこえれば、もう。ヘルジア湾です。もう一歩 という所ですね」 「そうだ。。ヘルジア湾に入れぱ、ヤスラー王国海軍の海上哨戒艇が 迎えに来ている」 ホルムズ海峡のイラyの基地キシムを一群のゲリラが襲撃を行な っていた。この基地には対&ミサイルが装備されている。ゲリラか ら、守備隊の立てこもるトーチカに毒ガス弾が射も・込まれた。青酸 ガスが・rlチカ全体に充満した。 缶ガスマスクをかぶったゲリラが卜1チカに突入する。生き残’ ていた守備隊の兵士をTΛずつ処分していく。 基地のコントロールHルームにはいったゲリラはコyソールを見 ながら、ザイード号がホルムズ海峡にはいってくるのを待構えてい る。 さらに、ホルムズ海峡の海底深くには、ソ迷タンカーの下部から 静かに沈下し、潜行していた小型戦闘基地が作動を始めていた。 ゲリラが押さえているキシム基地のレーダーにザイード号が映っ ている。ゲリラのリーダーは命令を下した。スイ。チが押された。 ミサイルぃサイロから中距離ミサイルか発射される。 ザ”’Iド号から先行している「剣の先」号は、ソ連海中基地にと らえられていた。 - S.亀 W● ・ ハーリマッド王子と四郎は、同時に危咳を感じていた。飛翔体だ。 一瞬、二人は思った。 『かなり大きな代物だな、我々の手に負えるものか』 が選択の余地は゛ない。ザイード号は丸裸同然なのだ。彼らの持つ ESP能力が最後に残された武器である。 飛来してきたヽヽヽザイルの方向が、少しずつ上へと変化していく。 ゲリラたちは動きに気づく。二人は油汗をかいている。ンンベル少 佐はがんぱっている二人の姿を見ながらも、どうすることもできな い。 。 二人の顔はまっ赤になり、今にも倒れそうだ。 ミサイルは艦橋をかすめ、上空へと飛び去っていく。 ゲリラの一入はレーダーを見ていた。彼は当然、命中と思った瞬 間、ザイード号が消滅していないので、愕然とした。 おかしい。ゲリラのりIダーはもう一度、ミサイルを発射させよ うと命令する。が、彼は二度と、ミサイルの飛び出すところを見る 事はできなかった。ヽヽヽザイル基地の異常に気づいた、イラソ軍の屯 軍のミサイルが、基地を吹き飛はしていたのだ。 二人は息も絶え絶えだった。 が二人のうち、ハーリマ″ド王子は、ソ連海中基地から「剣の先」 号から放たれた魚雷を感知していた。王子は最後の力をふりしぼ、 て、魚雷の方向をまげた。近距離から発射された魚雷を「剣の先」 号はよける余裕がなかったのだ。魚雷は潜水艦の鼻先をかすめ、飛 び去っていった。ソ運海中基地はすぐさま「剣の先」号の爆雷によ って、反撃され、海のもくずと消えた。 =32- 王子のただならぬ様子に気づいたのはジンベル少佐だった。 「王子、王子、どうなされたのです。しっかりして下さい」 四郎は、ミサイルヘの念動力を働かされたので体を動かせない。 声もほとんどでない。 「お、王子ど、どう……」 王子は、わずかに口を開こうとしたが、その体力も残っていない。 ミサイルと魚雷の方向転換は、彼の念動力の出力限界を越えていた。 彼は体にわずかに残っていた力をふりしぽ、てシンベル少佐にテレ 。ハシーで伝える。 『いいか、ジyベル、今日この日から、この四郎がハーリマソド王 子だぞ。私の死体はハジム記者として処理しろ。これからは四郎の 命令を……』 それが、彼の最後の言葉だった。一瞬、静寂がおこった。四郎は 苦しい思いの下から叫ぶ。 「王子! それは無理というものだ」 四郎は、王子の死の前に泣き期れる。 ブジヅジにアラマド大臣が、従者にかつがれて現われた。 「アラマド、あなたは大丈夫なのですか」 「いや、私も長くない。もうすぐ王子の後を追う。その前に皆に真 実を伝えておきたい」 「真実」 アラマドの言葉に、皆、耳をかたむける。 ¬ い いか、この四郎様は、ハーnノマッド王子の本当Q弟なのだ」 「何ですって」 「双子の王子を王妃はお生みになったのだ。しがし[人は私の手で W四・7-・●S-?-゛I..・~`・---・一雫S-¶゛-・9-一摩‘ 日本の王妃の親戚に預けられた。名前はジ″ド王子。それがあなた の本名なのです。あなたは本当に正当なるヤスーフー王国の王子なの です。皆、この方のいう事を聞くように。命令に従うのだ」 これだけ言い終ると、床の上のアラマドは目を閉じた。 「その話は本当なのですか」 力を失なっている四郎は、アラマドの側までにじりよって尋ねた。 「本当です」 アラマドは再び、目を開ける。 「王国でもわずかな者しかこの廣実を知らないのです。ぶ武者にな ってくださいとお頼みしたのは、あなた様の人格を調べるためだっ たのです。いずれ、御兄弟である事を、お二人にあかすつもりでは いたのですが」 「では、ハーリマッドエ子はこの事を」 「加存知ではありませんでした」 「兄さん!」 四郎いや、ジャド王子は兄のなきがらを抱き、再び泣き始める。 アラマドも静かに目を閉じた。再び目が開かれる頃はなかった。 ジンベル少佐が、ジ″ド王子をだき起こす。 「我々は、あなたに忠誠を誓います」 「わかったシyベル少佐」 四郎はそう言って、意識を失なった。ヤスラー王国の海上哨戒挺 が、近づいてくるのが見えた。 世界中の新聞、。テレビに、ハーリマッド王子のピ″グ=プロジェ 33- - クトが、多大な犠牲を払い、成功を収めたことが報じられた。 氷山は、ヤスラー王国に純水を供給した。そして、球体は秘密裡 に、首都マハドにある特別研究所に運びこまれ、ヤスラー王国軍に 守られつつ、解読が進められている。 ハーリマッド王子は正式にザイード王から王位継承を認められた。 ソ連と結託しようとしていた二人の王子は、反逆者として、民衆の 前で、斬首された。 ハーリマッド王子こと、四郎は、王宮のベッドに横たわりながら、 T刀月前の出来眼は夢ではなかったと思い始めていた。 あの日本の東京ですごした日々。 あるいは、今の自分が、あの東京の安アパートの一室での夢では ないをと思った。 しかし、いずれにしても、この悪夢はまだまだ続くだろう。いや 醒める唄はないだろう。 彼は、地球文明を打ちくだく事ができる、大いなる剣を手にして いるのだから。 が、それはまた、別の話になる。 〈作者覚書〉 「異郷」第2回は、お休みさせていただきます。物語を再構成して いたので今回、書きあげる事ができませんでした。 「神よ、その必Pて闇を払いたまえ」第3回も、書きあがっており ま汁ん。 つ’-=il t= さらに昔々の「新人類戦記」の最終回も書いておかないと気持ち 一が悪いのですが。 一 今年の夏、星群のアンソロジーに「ランナー」と ・ますのでお読み下さい。 レプ い う作品が載 り -、4 ざ 34- - |