ロボサムライ駆ける■第六章 古代都市(4)
■ロボサムライ駆ける■第六章 古代都市(4)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yama-kikaku.com/ ■第六章 古代都市 (4) サイ魚法師が味方に付いたことで、戦いの流れが変わった。「いかん、シュトルフ逃げなさい」ロセンデールは命令していた。「しかし、殿下、我々は、敵には後ろをみせません。今まで、そんな負戦はしたことがありませんぞ」 呻くシュトルフ。「シュトルフ、今がその最初の時なのです。私の考えがある」 ロセンデールがいった「くそっ、ロボットども覚えていろ」 ののしるシュトルフ。 聖騎士団は奥へ退く。「へへん、ほえづらかくのはお前たちだよー」 知恵は悪態をついた。「心柱様、我々日本のロボット、外国勢からお守りもうした。どうぞ安心して下されい」『有り難い。が、決して奴らに油断するな。それでは、私を中心とした、いにしえの文化都市をお前たちに見せてあげよう』 心柱の表面が、一度ぐるぐると回りだし、さらには膨らんでいった。が、その表面は物理的なものではなかった。 半透明の膨張面は、背後から戦っていたロボットたちの体を突き抜け、心柱の中にロボットたちは、入っていた。 一瞬、あたりすべてが白熱化し、何も見えなくなる。 すべてのロボットの目がくらんだ。「我々ロボットの眼がくらむなど……」 彼らの視覚が普通に回復すると。 そこには、心柱のある島を中心に巨大な青々とした地底湖が広がり、六つの島がある。その各の島の上には石造ピラミッドの神殿が現れている。ピラミッドは心柱を中心にきれいに六方向にあるのだ。 心柱のそばには、超古代に造られたらしい石造りの神殿が出現していた。古代ギリシャのオリンポスの神殿を思わせる。 主水を始め反乱ロボットはそのそばにたっているのだ。「これは……」 絶句する主水。 いかなるロボットの電子頭脳もこれは理解の範囲を超えている。 心柱のある島の神殿に数十人の人影がある。西日本都市連合の首長たちである。 神殿の祭壇の中心に、落合レイモンが座っていた。 思わず主水は走り寄る。「レイモン様、ご無事でござりましたか」「おお、主水か。無論じゃ、危機は去ったようじゃな。こちらへこられるがよい」「この神殿は一体何でござるか」「主水にわからないのも無理はない。日本にも、古代には巨石文化がござった。霊戦争以前のこのあたりの奈良地方の山、三輪山、天の香久山、耳成山、畝傍山、忌部山、磯城山、の地下すべてには、このような石造ピラミッドが超古代からあった。また、サイ魚法師が出現された湖も、古代には存在しておった大和湖じゃ」 淡々と述べる落合である。「レイモン様、このことをすべてご存じだったのですか」「いや、すべてはわからなかった。が、この近畿新平野において、何者か古代の巨大な霊が復活し、私を呼んでいるのはわかっておったのじゃ」「それをわかっていて、都市連合会議に参加なさったのですか」「その通りじゃ、貴公には迷惑をかけたが、このような大いなる目的があった。許せ」「いえ、何度も私を始め皆の危うい所を、お助けいただき、感謝の言葉もございません。しかし、ロセンデールのものどもは、レイモン様を…」「ロセンデールは、私を下へもおかぬ丁重な扱いをしてくれおる。この心柱と化野のことを解決できるのは、落合レイモン様しかおられぬとか申しておったわ。はっはっは」 ちょうど六つのピラミッドの頂上から光が出ていた。この六つの山のエリア内に含まれる湖面が撥ねて変化している。 光の野となる。 光が感光したように、地上から浮かび上がっている。十万の人口を養い得る町並が出現していた。湖は三分の一の広さとなった。「見よ、主水。超古代都市の復活じゃ」「レイモン様、これは……」「はるか昔、古代ユダヤの民の一支族が、この日本に住み着き、『ソロモンの宝』をもってこの地を豊饒の地にされた。やがて人々はその祖先を忘れ、享楽にふけるようになった。それゆえ、この古代の都市は、最後の霊道士によって封印されたのだ」「ロセンデールが狙っていたのも」「そうじゃ、この都市に眠るソロモンの秘宝を、ロセンデールは狙っていたのじゃ」 あまりのことに驚く主水たちであった。「ところで主水、足毛布博士という方を存じぬか」(続く)■ロボサムライ駆ける■作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yama-kikaku.com/ ■第六章 古代都市