ロボサムライ駆ける■第44回
ロボサムライ駆ける■第44回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikku.com/ http://www.mangakadata.net/ ● http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009 第五章 機械城(7) 主水は乱戦にて、一人切り放されていた。「主水、この攻撃が受けられるか」 機械城城壁が前に動いた。「何と」城壁の一部が地上少しばかり浮き上がり、動き始めた。地下にはキャタピラが数基、装着されている。 「主水、機械城がただの前衛基地と思うたか。この機械城は、動く地上要塞よ」 「ロセンデール卿め、敵ながらさすが」 「主水、そこを動くな」 主水の左右前後から、接合から切り離された城壁の一部が迫ってきた。圧し潰すつもりだ。 「主水、我が城、機械城の人柱となれ」 機械城城壁の一つ一つの石垣が、ばらばらにあり、浮き上がる。そして花のように舞う、空に舞う石垣の上に、何人かのロボ忍が乗っている。「これは面容な」「『石垣の舞い・天城陣』をお目にかける、土木殿、拙者、花村一去じゃ」ロボ忍の頭が言った。「我らが護衛しておる機械城。ちよっとゃ、そっとのことでは、破られぬぞ、主水」「主水、我らが天城陣敗れるか」 ロボ忍たちの城府が、上水の頭上に自在に回っている。上に向かい、叫ぶ主水であった。主水のそばに、四方の城壁が緩々と追って来る。「花村殿、破って見せようぞ」「まずは、城壁で圧しつぷしてくれるわ」 両手で壁を支える主水。瞬間、主水は双剣を足元に立てた。両足でその双剣を挟み込む。竹馬の要領で乗る。目に止まらぬ早さで回転し始める。地埃が起こる。 数秒後、主水の姿は消えていた。「くっ、主水め。地に潜りよった」「ええい、捜せ」 城石から地上に降り立つ忍者たち。掘り返された地上には埃まみれである。「ぐわっ」バタバタと倒れるロボ忍たち。地中から急に飛び出した主水の刀が、ロボ忍をすべて切り離していた。「見たか、地づりの剣」 地中から土埃とともに、双剣を持ち、主水が現れていた。「皆様のお命頂戴致す」 地に倒れるロボ忍たちは。瞬時に切り刻まれている。主水は片手拝みする。花村だけが浮遊する減石に残っていた。「県怯なり、主水。我が手下の敵」 減石が主水の方へ飛び降りて来る。瞬時、主水は跳躍していた。 上空で態勢を変える。剣先を下にして、花村の天頂目かけて落下する。「ぎゃっ」 花村の体を、頭の笑中から胴体まで、主水の剣が貴いていた。倒れている花村の側に、主水が近寄る。「花村殿、徳川公の行方を教えてくださらぬか」「ふふう、甘いのう、主水。俺が教えると思うのか」 傷ついた花村は、側にいる主水の足をがっちり掴み込んだ。「どうじゃ、私の電子心臓はやがて爆発しよう。貴様も道連れじゃ」 主水は、自らの剣を、花村の死体から引き抜こうとしたが、外れぬ。小刀も失っていた。花村を両手で叩くが動かぬ。 最後の手段だった。主水は自らの右手で、しがみつかれている両足を叩き折った。 「くわっ」自らの足をそのまま残し、体を回転し逃れる。 直後、花村の休は爆発する。傷だらけの主水が転がった後には、花村の残滓が空から散らばり降りて来る。しばらくの間、動くものはなかった。 二つの影が、主水の残った体を抱いた。 「山本どの、すまぬ。知恵もすまぬ」(続く)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikku.com/http://www.mangakadata.net/ ● http://www.youtube.com/user/yamadakikaku2009