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カテゴリ:ガーデイアンレポシリーズ
■ガーディアンルポ03「洪水」第7回(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ ■ガーディアンルポ03「洪水」第7回■ ■8 ム=ウムの姿は、かつてシュクセイキにフネが入間の姿をしていた時の姿に うり二つだった。フネは爆発のショックでシュクセイキに自分が人間であったことを思い出していたのだ。フネの全記憶機構の働きにより、ゾュクセイキの自分の姿に、ム=ウムを再構成したのだ。 ム=ウムは、主によって創りあげられたが、今はフネの意志により、遠い 昔のフネの姿をした入間だった。フネは暴力には暴力で迎えうつ決意をした 。 主はフネが消滅していないことに気づぐのに時間がかかった。 なぜならフネの近ぐにのばしてあった.その感応枝も吹きとんだからか。主白身も原子爆弾の破壊力のすざまじきにより神経中枢に支障をきたしていた。 吹き飛んだ感応枝はその最後の瞬間に神経系の痙學のインパルスを彼にもた らした。 熱風が吹き去って、海面が平常に戻り始め、やがて主も息を吹きかえし、 感支柱を復活させフネのあったであろう所へ再生させた。 フネは、しかし、まだ存在していた。 驚愕が主を襲う。しばらくは呆然としていた。存在すべきで痙いものがま たあるのた。一時は放射能の影響による感応枝の異常では々いかとさえ思っ た。 だが、事実、フネはその傷ついた姿をまだ海面上に保っているのだ。 主はポラリス・ミザイルを再度フネに襲いかからせようとした。ポラリス・ミザイルの再生には時間がかかる。もてる能力を最大限に利用するが、何せ古代の代物だ。記憶が定かではない。 その内、別の異物が、主の感支柱に感じられ始めた。巨大々人間だ。その姿に主はわずかな動揺を感じた。何だ、あの姿は、、 ム=ウムを再び自分の統禦下にかこうと思老波を送る。ためだ。主の意向には従かうとしない。ム=ウムの姿、特にその顔は、主の記憶回路にうったえる何物かがあった。かつて見た事がある。それもかなり昔に。 ム=ウムは完全に古代の、シェクセイキの入間の姿をしている。 とまどい、熟考している間に、ム=ウムは潜水艦のすぐそばまで泳ぎついて いた。主はあわてて、ポラリス・ミサイルを発射しようとしていた。 最初の二発は、ム=ウムの手刀でなき払われた。ぞサイルは水面に水しぶき をあげて飛び出した瞬間、ム=ウムは手刀で大きく横にはらい、ミサイルの中央部をまっぷたつに分断した。さらにム=ウムの体は急速に潜水艦に接近してぐる。潜水艦は急深度潜行を開始する。ム=ウムも潜ってぐる。ム=ウムの体はもう水棲人間の形をとってはいない。人間の形をしている。しかし恐今へき潜水能力をもっていた。 ■9 潜水艦ソードフイッシュの後部魚雷発射管が開く。ム=ウムの眼をねらって魚雷が発射された。思わずムは両手で眼をかばう。小さな爆発がかこる。ムがひるんだ間にポラリス・ミサイルが発射された。ム=ウムは目の前の潜水艦から水面にむけて水柱が走った瞬間、水面に向けて一度はねあがったが、間にあわなかった。二本の火線はフネの方へ向ってのびていく。 ム=ウムの体はダイブし、再び、抜き手で潜水艦を追いかけ始めた。 ム=ウムには潜水艦の行き先がわかっていた。 ム=ウムの一族の禁制地域だ。 ム=ウムの目前の暗いよどんだ海水を間に訟いて、潜水艦が見えた。 もう少しだった。僅差でム=ウムの右手の中に、そのテアドロップ型の艦体 をにぎり込めそうだ。 禁制地域の目の前たった。 主はその中枢部から巨大な触手を江じり出した。 触手はのびてム=ウムの足にまとわりつき、ム=ウムの動きを静止させた。触手は、ム=ウムの体しゅうに給与つき、体をもて遊び始めた。 海底にム=ウムの体は激しく打ちつけられれる。ム=ウムの体のあちこちか ら血が流れ出していた。 ふりまわされている時、偶然ム=ウムの手が、潜水艦に触れ、ム=ウムは無意識に艦体をしっかりとにぎりしめた。 ム=ウムは、手にした潜水艦の船体を相棒の代わりにして、触手をふりほどこうと痙ぐりつける。触手の神経系がとぎれ始める。 ずたずたに触手は分断され、分解したす。 ソードフイッシュ号は中央部からひびがけいり、一挙に海水が船内になだれ こみ、原子炉が爆発をかこした。 核爆発は、周囲の触手を完全に消滅させた。主は再度の核爆発にショックを受けた。 一方、フネは自分に向かって飛来してくるミサイルを、今度は自覚しでいた。前は、近くにいた空母「エンタープライズ」とその塔敵機に気をとられていたのだ。フネもその空母や飛行機をシュクセイキに見たことがあったのだ。バルカン砲や爆発はうろさかったが、その姿自体にはなつかしさすら覚えていたのた。 昔をよりよく思い出していたのだ。それゆえ16発のポラリス・ミサイルの飛来に気づいた時はすで遅かった。 その時の放射能や熱予イエネルギーはフネの体をまだ蝕んでいたが、怒りが彼をささえていた。 二発のポラリス・ミサイルに対してフネは無力感を持ち始めていた。今度、体にポラリスミサイルが命中した時には自分は終わりだと考えていた。待てよ。自分はもう終わりたと思ったことが、大昔にあったような気がする。いつのことたったろう。ずっと昔だ。そう私の体が人間だった時……。 ■10 主は核爆発、自分が再構成した潜水艦ソードフイッシュの核爆発によって 自分の体の一部である触手が破壊された時、ある種の記憶がはっきりと甦っ た。ムの体も爆発によって吹き飛ばされ、近くの海底に横だわっている。あ のムの顔。今の潜水艦によって痙ぐりつけられる痛さ。確か、大洪水の時、 伺かの物体が僕の体に……。 主は完全に理解した。 主もシュクセイキには入間の体を持っていたのだ。 そして放射癩が地球を襲った陵にかこった大洪水、放射線により地球上の 于べての水山、氷河が解け去り、陸地を水没ざせ、地球を文字通りの「水球 」とさぜたあの時。 彼アベルと、彼の兄カインは、その大洪水の時、別れ別れになり、弟だった「主」は流木に頭を激しく打ちつけられ、意識を失ない、そして……。 ムはまぎれもなく兄の顔をしている。主は認知した。フネは伺らかの理由で変貌Lだ兄カインの姿であると。 フネは間近に迫ったポラリス・ミサイルが急に消滅するのを感じた。 なせだろう。フネにはそのわけが、わからなかった。 やがて、「主」から今までに痙い親密の念をこめてテレパシーが送られてきた。それは 『兄さん、カイン兄さんだろう、僕だよ。アベルだよ、、』 ■ガーディアンルポ03「洪水」第7回(1979年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ http://ameblo.jp/yamadabook お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.27 16:25:01
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