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カテゴリ:ロボザムライ
■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(9) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ http://ameblo.jp/yamadabook/ ■第七章 血闘場(9) 『それは、私が解決しよう』 空洞にいる人々の心に心柱の声が響き渡った。 「おお、心柱さまがしゃべられるぞ」 居並ぶ人々は、古代都市にいる全員が耳を傾ける。 クルトフ、シュタイフの聖騎士団。 山本の率いる反乱ロボット。 水野、斎藤の率いる西日本都市連合軍。 徳川空軍、徳川旗本ロボット、早乙女主水。 徳川公、落合レイモン、夜叉丸、足毛布博士等である。 『水野、斎藤、反乱ロボットを接収すること相成らぬ。 また反乱ロボットの皆、よく聞いてくれ。足毛布一族、われらをこの千年にもわたって守ってくれたのじゃ。それゆえ、憎むこと合いならん。また、夜叉丸はわしがレイモンつかわせた霊人間なのじゃ。 足毛布博士、落合レイモンは、このわしとともにこの古代都市を再開発、研究せよ。 徳川公は、早乙女主水と東京へもどり、東日本の内政を改めよ。 それから、クルトフ、シュタイフ、二人はルドルフとロセンデールに告げよ。私が解放された以上、日本への神聖ゲルマン帝国の侵入は、たやすくないぞとな。以上だ』 「おおーっ、さすがは心柱、みはしら様じゃ」 喚起の声と、失望の声があがっていた。が、いまや、みはしらさまにしたがう他はないのだ。 足毛布博士の屋敷で、最初にしゃべっていたのは、霊人間 夜叉丸であった。 「主水、わしの手元に戻ってきてくれるか」 足毛布博士が頼むように、主水に言う。 「が、博士、幾ら生みの親とはいえ、拙者は義に生きとうございます」 思わぬ答えに足毛布はたじろぐ。 「義とは?」 足毛布は不思議なものを見るような目をした。 「徳川公のおつかえして、日本につくすことです」 キッパリと言った。 「おお、よういうた。主水。足毛布博士、主水をお預かり申す」 徳川公廣が、博士に礼をした。そうそうにここから主水を連れ出すつもりだ。 が、博士は主水にたいして罵詈雑言をはく。「主水よ、私を裏切る気か。お前を作り、ここまで育てた私をな」 「博士、それは…」 「よいか、誰がお前、主水をあのNASAの空軍基地から助け出してやったと思うのだ。よいか、お前のために私は防御レーザーにより傷を負ったのだ、わかるか主水。自らの息子よりもお前のことを愛していたのだぞ。それをお前は裏切り、あまつさえ、この西日本から出ていこうとするのか。これをこれを裏切りと呼ばずして何と呼ぶのだ」 足毛布博士の怒りは治まりそうになかった。「主水、これを見よ」 足毛布はふところから、たばこを出して大地へ捨てた。 「…」 「今、捨てたのはお前のロボットストレス対処用の薬が入ったタバコじゃ。よいかもう二度と手には入らぬ。材料はアメリカ製じゃからな。これが親である私に対する裏切りに対する復讐の一つだ。これからも油断するなよ。生みの親を捨てたお前に災難が降りかかろうぞ」 「主水、気にするな」 徳川公がやさしく声をかける。 「お前は正しいのだ」 『主水よ…』 みはしらさまが、主水に話しかけた。 『忘れものじゃ。返してくれぬか』 「はっ…」 主水はどきまぎする。 『そのクサナギの剣どじゃ、しばらくは用はなかろう』 主水はまだその剣を握り締めたままだった。「しばらくですと」 『そうじゃ、その剣を再び使うときは、運命の七つ星すべてそろった時じゃ』 「運命の七つ星。それは一体…」 『主水、それは…、お前の運命じゃ。いずれわかるときがあろう』 恨めしげに眺める足毛布を背にしながら、主水は徳川空軍の飛行船に乗った。 「だんな、だんな…」 話しかけるものがある。鉄だった。下半身は吹き飛び、担架に乗せられている。 「あっしは、もうだめでさ。手も足もでませんや」 「鉄、お前…」 「えっ、だんな、どういたしました」 「そんなシャレを言ったから大丈夫だろう。 手ぐらいでようよ。足がないぐらいでな」「だんなも人が悪いや」 それを受けて 「これ、鉄、俺は人ではない。ロボザムライ早乙女主水じゃ」 「決まったね、ダンナ」 少しは元気を取り戻した主水である。 飛行船は、地下空洞から上空へ飛び上がって行く。 (続く) ■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(9) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2008.06.19 11:52:21
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