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カテゴリ: ガーディアンルポ03「洪水」
ガーディアンルポ03「洪水」第3回
(1979年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ ム=ウムは、水棲人一族の者と共に狩りに精を出していた。ム=ウムのエラから泡が立ち登っている。 ムの一族は水棲人で、体全身はうろこで被われ、海の中を自在に泳ぎ、自分達の世界としていた。 狩りの獲物はまた、変貌した魚類であった。魚類は巨大になり強力な力を手にしていた。 かつて陸上で我が世の春を謳歌していた肉禽獣のごとく、彼ら魚類は力強ぐ柔軟な体躯を自分のものとしてい九。 大昔、アフリカ人達が、白身の持てる智力と体力でライオンや豹と対峙していた様に、水棲人達は魚類と闘っているのだった・ 今日の獲物は飛切上等の「グル」だ。何にちも部族が食べる事ができるこの時代のくじらだ。ム=ウムの仲間遠はもう小一時間も奴を追いかけていて、薙ぎ倒そうとしていた。 手にしているモリは唯一の武器。ム=ウムたちは集団戦法を得意としている。ダルに一人で立向かうとす奴は生まれながらのパカなのだ。ダルにかかって何人の仲間が死んでいったろう。ダルの愕は昔のサメの伺倍もあった。 グルもか々り傷ついて、狂暴になっていた。気をつけ痙ければいけない。こんな時が一番危い。心仏らも注意力が散漫になっている。疲れているのだ。 海上から伺かが落下してきた。その透明の半球状のものが、突如水棲人達を襲ってきた。 底部から突出した無数の触手を水棲人遠にのばす。 ムは痛みを感じた。上はく部のうろこの下から血が、わずかだが流れている。 突然の「くらげ状のもの」が襲来、彼らは呆然としたが、気をとりなかした。攻撃の相手を今までのダルから、この半球状のものへとかえた。 しかしム遠のモリ はこいつの体には役にたたない。その突然の出現とうって変わって、ヤいつは浮遊していた。ム遠はそいつにカー杯モリを叩き付けるが、跳ね返される。 そいつ「くらげ状のもの」の内部では、触手に隠されたレーザーメスで収集した 皮膚細胞が分析されていた。 染色体の調査が行なわれ、フネのメインデータセンターを通じ、チェックが行なわれていた。 再びそいつは活動を開始した。今までとは異なった動きをした。触手を眼にもとまらぬ速さで自在に勣かし始め、水棲人を追いたて始めた。 触手は一人、ムだけ を追い求めた。 フネのメインコンピ’―ターは、ムを真人の可能性が高いと分析したのである。ムの体は、三本の触手によってがっちりと掴み こまれたかと思うと、その透明の内部へ収容されてしまった。 ムが、そいつの体の中に人れられる。それを見て水棲人達は総攻撃をかけた。 が、触手から激しい電気が流れる。水棲人は生まれて始めて受けた電気攻撃にかもわずたじろいた。その瞬間、その半円球は水ヘ向かい急速に浮かび上が言cいっ九。 水棲人達は必死でそいつを追いかけたが、みるみる引き離され、 やがて、そいつは見えなくなった。 「くらげ状のもの」半円球の物体はフネに引き寄せられ、フネ船底部から吸い込まれた。 ミ=ムネは愛していたムが、そいつに連れていかれた、ショックで水面をずっと見上げていた。 やがてみんながあきらめて集落へ帰り始める時も。まだあきらめきれず、眺め続けている。緋がミの肩を叩いて言った。 {ミ=ムネ、残念だが、あきらめるんだ。もうム=ウムは帰ってこないぞ、いつまでまってもな」 ミはそれに答えなかった。長はじっとミを見守っていたが、やがて皆の方へと泳いていった 「ミ=ムネ、いいか、早く帰ってくるんだぞ。このあたりは危険だからな」 と心配しながら。 ミ=ムネはうなだれて、 近くの岩棚に腰かけてム=ウムの事を考え始めた。 ■(続く) ガーディアンルポ03「洪水」(1979年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ ●http://manga-training.com ●http://mekamushi.com/ ●http://manga-agency.com ●http://suzuki-junko.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.08.07 00:17:30
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