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カテゴリ: ガーディアンルポ03「洪水」
ガーディアンルポ03「洪水」第9回(1979年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ その同じ時期、黒き生物群がフネに近づきつつある。 ムの一族を滅ぼした一群だった。 彼らは強靭な膂力を持ち、重摩な体を持っている。複眼で、皮膚は粘液で彼われていた。 彼らはフネに到着し、その底に集合した。 しかし、フネからは何の反応もない。 フネはあまりに大きい。 海面下の乳白色の壁面は、うつろな太陽の光を受けてぼんやりと輝いている。しかし底には、大いなる闇がしめている。 「やはり外側から出入口を発見するのは不可能のようだな」 黒き生物群、彼らの一人が言った。 「フネの表面に密着するか。どんな探査装置があるか、わからんな」 「どうやら、あいつム=ウムが出入口を見付けてくれるまで待つしかないか」 「そうだな、彼の捜索行動を急ぐように主にお願いしよう」 彼らから、遠く離れた場所に主は存在する。 主は黒き生物群、彼らの思考を知覚した。そして行動に移った。 フネの内部に居るム=ウムに対して一族の電波を発した。 ム=ウムは体全体に力が蘇るのを感じた。 突如、体がーまわりも二まわりも大きくなった。 その時、ム=ウムは教導師ゼフから学習を受けている最中だ。 教導師ゼフはム=ウムの体から暗い陰りを感じた。 ム=ウムの急激な変貌に驚き、ゼフはフネ全体に警報を鳴らそうとする。ムはその巨大になった伴こと教導師ゼフにぶつかり、彼を行動不能の状態にし た。 ム=ウムの知覚能力もまた増大されたようた。 今まで発見でき々かっかフロア間の移動装置が発見できた。 一番外周にある核部屋のーつが移動装置になっていた。移動装置を使ってム=ウムは船底の方へ降りていく。フネは多層構造になっていた。 降下する。いつまで続くのかと思われた降下がやっと終わる。 ム=ウムは自分が、フネの底にいることを確信しか。 ムは収容子の出入口を捜し始める。透視能力をもムは手にしていた。 急に、フネの警告シグナルが点滅し、ブザーが鳴る。 ゼフが発見されたらしい。 ム=ウムはためらわず、収容子のコントロールパネルを操作した。 出入口は聞かれた。 底で待機していた、黒き生物達が出入口より突入した。 彼らの個々の体は溶解し、球体となりフネの内部へと向かう。 黒の球体は強大なエネルギーを発散させながら船内を暴れまわる。 底から上へと球体はフロア間の壁を突き破り上昇する。 核部屋は打ち壊され、回廊は吹き飛ぶ。 収容保護されていた生物達は身動きする間もなく、解体され死んだ。 進入した黒の球体の一部はやがて、船の動力部分を捜し末めた。 フネは自分の体の内に、起こった痛みを感していた。 すぐさま応急処置をしなければならない。 その間にも殺戮された生物たちの苦しみや悲痛な声が、フネの頭脳に響く。 フネは自己防御システムを作動させた。 破壊された出人口のまわりの倍加分離し、拡散し、溶解し、伺もなかっかようにその裂け目を埋めた。 フネの内部を我が物顔で走りすおり、破壊殺戮を行たっていた黒い球体の一つ一つに壁のあちこちから粘液が噴出された。 黒い球体はその粘液により、動きが緩慢と痙り、やがてまったく行動できなくなる。さらに続々と流出する粘液は球体に絡まり、全表面を包みこみ、球体の動きをとめてしまう。次に球体はまわりの圧力でしわしわと収縮していき、その圧力により破壊する。 黒い球体はその消滅の一瞬、思わず外部へと思念を、送り出していた。 「主よ、お許し下さい。我々は失敗いたしました」 海底の泥流の中に、一個の知性体が存在しているのだ。 その名前は、主(しゅ)である。 ■(続く) ガーディアンルポ03「洪水」第9回(1979年作品) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 http://www.yamada-kikaku.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.12.15 00:50:23
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