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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

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ハーモナイザーシリーズ

2006.04.03
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回
■5-2
ユニコーンは,大球と小球を結ぶ通路である「コード」の中を、北の詩人を乗せて、ゴーストトレインの後を走っていた。
「あ、腹の中にいる生物が動いたようたよ。彼に知らせ々ければ」
ユニコーンはゴーストトレインに向かって大声でどなった。
「ゴーストトレイン、腹の中にいる生物が、今、動いたそ」

それを聞いて、ゴーストトレインは,少しばかり、腹の中にいる生物を消化して動かさ
してしまかうと考えた。生物の意識部分だけでも、残してかけば、調査には充分だろう。
ゴーストトレインの腹腔内に分解液を分泌し始める。
分解液は今までに断機類を解体している。やがてゴーストトレイン
の腹腔内は分解液で充満し、アーヘブンの体は、液中に沈んだ。
「何だ、この液体は?」
アー・ヘプンの触手の一部が解けていた。
アー・ヘプンはこの液から逃がれようと、再び、触手を全開する。
が、腹腔はアー・ヘプンの触手にあわせ、やわらかく包み込むように自在に拡張した。
いくら試みても、柔らかな腹腔をつき破る事はできない。

アー・ヘブンは今度は、自分の体に蓄積している体内エネルギーを放つ。
光合成によって蓄積されたエネルギーだ。
アー・ヘブンの全身は赤色に輝き、次第に熱をかび始める。

ゴーストトレインの腹腔が、今度はアー・ヘブンの発した熱で溶ける。
穴は徐々院ひろがり、充分々大きさになったのを見はからって、アー・ヘブンは外へころがり堕ちた。

 それでもゴーストトレインは惰性で走り続け、張力が効かなくなった腹腔
は前後二つに裂けた。
上半身は、大球と小球を結ぶ「コード」の内部で、つっぷし、
下半身は後にとりのこされたが、あたり一面に消化液が、コード内部にふちまけられた。

 アー・ヘブンはゆっくりと立ちあがり、ゴーストトレインに近づく。
ゴーストトレインはかま首を突然持ち上げた。悲しそうな顔だった。

 『この動く″木″は一体何だったのだろう』
 それがゴーストトレインの最後の意識であった。
動く″木″である、アー・ヘプンはゴーストトレインの半透明の体が、コード内部の
空気中に、かえっていくのをながめている。

ユニットコードナンバー 836250
ユニットタイトル 幽霊列車(ゴーストトレイン)
実体化された、情報ユニット「ゴーストトレイン」は消滅した。

大球と小球を結ぶコードの通路上には、二つの光るラインがずっと続いていた。
 急に、後からアー・ヘブンの体に衝撃があった。
 ゆっくりと振り向く。
 ユニコーンだった。

角が、アー・ヘプン体を見事に突き抜けていた。
ユニコーンは自分のペアとゴーストトレインの
敵討ちをしようとしたのだ。

「くそっ、彼女とゴーストトレインをかえせ」
 ユニコーンはそう叫んでいた。
『無益な事をするな』
 アー・ヘブノは悲しくなった。
ヘブンのエネルギーが、ユニコーン角に収斂する。
 ユニコーンの両眼がまっ赤になる。ユニコーンの体はきしり、爆発した。
 コードー面に、肉片が散らばった。
 角は、アー・ヘブンの体に突きささったままだった。
ゆっくりとアー・ヘブンの内部細胞は、ユニコーンの角を、体外へと押し出した。
 角はコード上にころがりがち、ゆっくりと静止する。
角はユニコーンが存在したことの唯一の証拠に見える。

ユニットコードナンバー 386574
ユニットタイドル ユニコーンの旅
情報ユニット消滅。

 しばらくして、アー・ヘブンは、側に北詩人が忍びよってきたことに気づく。
 「北の詩人よ、教えてくれ、天宮はどこにある」
 アー・ヘブンは、この生物の名が自分が「北の詩人」という事を知っている。
北の詩人は、少しづつ消滅しつつあるユニコーンの肉片の側にうずくまり、涙を流していた。
「ユニコーンよ、とうとう、君まていなくなってしまった。僕はひとりぼっちじゃないか」

北の詩人はアー・ヘブンに問いただす。
「アー・ヘブン。なぜ、ユニコーンや、ゴーストトレインを殺したのた。私
の数少々い友人達を」

 北の詩人の言葉にはアー・ヘブンヘの激しい怒りが含まれている。
「許してくれ、北の詩人よ。私にとっても以外なのだよ。殺戮とか抹殺とかい
う狂暴なイメージをふりまく事すら、昔の私には耐えられきい事だった。
が、私はやってしまった。いかなる事があろうと私は「天宮」の元に辿りつかなければ左らないのだ。それが私の使兪なのだ」

アー・ヘブンは、悲しげに北の詩人の眼をのそき込んだ。
「それに君達は、この世界には存在しないはずの生き物なのだ。ただの情報ユニットなのだ。それが
実体化させられたものだ。生物ではない」
「存在しないはずの生物だって?」

アー・ヘブンを見ていて、北の詩人詩人は想いかこす事があった。
北の詩人は思わず、アー・ヘブンの体に両手をのばし、その表面をなてていた。

アー・ヘブノは詩人の心に悪意のない事を知り、なすがままにした。
「ああ」
急に、北の詩人はうめき声をあげ、ひざをおとした。

北の詩人の眼からは、新たなる涙がこぼれ訟ちていた。
「わが家よ、暖かき住み家よ、、」
北の詩人の口からは、そんなフレーズが湧き出ている。
「住み家? どういう意味だ」
「わから々い。ても、僕のイメージ脳が、そう告げている」
涙をたたえた眼て、北の詩人は言う。

「さあ、思い出してくれたまえ。こう質問を変えてみてもいい。君は大
球のなか、一体、どこで生まれたのだね」

「どこで生まれたかって? そういえば、、」
北の詩人は、アー・ヘブンの体から手を放し、遠い所に視線を移して、昔の事を
想い出し始めていた。
「そう、大地の中だ」
「地中はわかっている」

「闇の中、いや光があった。そうだ。空洞があり、私の仲間たちがそこにた
くさん居た」

「仲間がたくさん居ただと?」
「そう。まだ、実体化していない多くの仲間だ」

「いったい、君やゴーストトレイノは何者なのか、わかったか」
「僕達は、、僕達は、そう、情報ユニットが実体化されたものだ」

北の詩人はそこまで言うと、突如、その場に倒れた。
自分白身の記憶の復活があまりに強烈だったのだ。これは事実々のたろう
か。イメージ脳がくるったのか。そう、北の詩人は考えていた。
 脳裏には、かつてアー・ヘブンに似たモノ、動く″木″、に記号を印した事を思い出して
いる。すっと昔の事だ。

『かしのきに、ナイフでしるしを……』
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://ameblo.jp/yamadabook






最終更新日  2006.05.05 16:41:26
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2006.04.02
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回
■5-1
北の詩人は考えていた。
私はどこへ行くのだろう。
北の詩人は、ユニコーンから降りて、大球と小球をつなぐ「コード」の中間地点である通路に腰かけてい
た。
やがて、北の詩人は、通路の奥、つまり「小球」側に近い所から大きな音が響いてく
るのを聞いた。
伺だろう。
北の詩人は、すぐに立ち上がると、ユニコーンに音のした方向へ進むよに命じた。

 ゴーストトレインは、倒れているアー・ヘブンの体をさぐる。かま首をヘブンの体にあてる。鼻先から黒い舌の様なものが飛びでる。どうやら、今までにむさほり食った新機知の知いてはカいらしい。端をすこしばかり、かじってみる。
 表面は固いクチニン質で被われている。この舌ざわりは、ゴーストトレインにが木゛というイメージ          
語を、意識巣から思いおこした。
 同時に、レール。枕木という単語が、意識巣から、頭の中に、こぼれ落てくる。
 このイメージはすぐさま、ゴーストトレインの支配者である[天宮]へ送られた。

 天宮は″木″というイメージ語から、自分の体を構成するモノとの相似に愕然とした。
「″木″だと。誰なんだ。誰かが、私に何かの信号を送っているのかもしれん。私は長い間、眠りについていたのだ。私の覚醒におびえている者がいるかもしれん』

 天宮はコードにいるゴーストトレインに命令する。
『ゴーストトレインよ。その侵入者を食べるな。侵入者を積み込み、大球へ
戻ってこい』
 北の詩人は、ようやく、その場所へ辿りついていた。目の前でゴーストトレ
インが伺かを食べようとしていた。

 よく見るとゴーストトレインは、その何かを噛まずに、飲み込もうとして
いた。北の詩人にとって、

飲み込これたものの姿は、彼のイメージ脳をいたく刺激した。
 北の詩人の眼から、いつしか温いものが流れていた。
 「この液体は! ああ、そうだ、「涙」というんだったな」
 北の詩人は独りごち、手で涙をぬぐう。
『なぜ、涙が流れるのだろう。それにこの心の奥から湧いてくる切ない気持
はなんだろう』
 さわりたい。あのアー・ヘプンの体にふれてみたいと北の詩人は思う。
 なぜか、北の詩人は、その物体がアー・ヘプンという名を持つ生合体である事
を知っていた。
 北の詩人の手は、ゴーストトレインの半透明々体を貫き、すでに消化器に入って
いるアー・ヘブンの体をなでまわした。

 ゴーストトレインは、いつの間にか詩人が現われた事や、さらに自分の体
の中の生合体をさわって泣いている事に驚いていた。
 ゴーストトレインは、北の詩人を見た。一体どうしたのだという表情で。
『いったい、この侵入者は伺なのだろう。かつて、大球と小球をつなぐコードにある透視層を突
き破った生命体はいなかった。それになぜ北の詩人が泣いているのだ』
 ゴーストトレインは、不思議に思った。
「ねえ、北の詩人、君は、この生合体を知っているのか」
「いや」 北の詩人は首を振る。そして続けた。
 「知らない。が、とてもなつかしい気がするんだ。この侵入者に触れてみ
たかったんだ」
 「なつかしいだって? どんな気分々のか、俺にはわからないなあ。とに
かく、俺は「天宮」さまから命令を受けている。この生物を「大球」までつれて帰れとね」
 ゴーストトレインは、寂びしそう力顔をしている北の詩人に尋ねた。
 「俺と、一緒に来るかね」
 「いや、僕はユニコーンに乗せてもらうよ」
 「そうか、それじゃ、俺は先にいくぜ」
 
北の詩人は、後をふりかえってユニコーンを呼んだ。
 ユニコーンは、対のふたつに分かれた死体のそぱにいた。ユニコーンは無
心に死体にしゃべりかけていた。
「君は、どうして、僕と一緒に実体化しなかったのだろう。僕は待っていたん
だよ。いつの間にか君が僕達を追いこして、コードにはいっていたなんて……」
「ユニコーン、こっちに来てくれ」
 今度は、北の詩人の声が聞こえたらしくユニコーンは、北の詩人の側にやってきた。詩
北の詩人の様子に驚く。
 「どうしたんだい、泣いているのかい。何か、悲しいことでもあったのかい。そう泣かないでかくれよ。
僕も、彼女が死んでいるのを見て驚いているんだ」
 北の詩人が、心配そうに尋ねた。
「彼女だって、あのユニコーンか」

「そうなんだ。情報ユニット「ユニコーンの旅」とは、僕と彼女の小球への旅々なんだ」
「そうか。悪い事をしたんだね、僕は」
 北の詩人は、また泣き出した。
「しかたががいよ。もう彼女は生き返りはしない。早く、僕の背中に乗り左
よ。ゴーストトレインを追いかけるんだろう」
「頼むよ」
「でも、なせ、ゴーストトレインに乗せてもらわなかったんたい」

 北の詩人は答えす、首を左右にふった。
「わかったよ、泣かないてくれよ。僕もとても悲しいよ」

 アー・ヘブンは、ゴーストトレインの腹腔で、徐々に回復しつつあった。傷
ついた表皮は復原機能が働き、元に戻りつつあった。
 アー・ヘブンは自分の体が、振動しながら移動していることに気づく。体
が空中に浮かんでいる。
 空気が高密度に収斂し、動いている。空気の構成因子が膨張し、実体化さ
れ、ゴーストトレインという一つの生体機械を作り出しているのだ。    
 ゴーストトレインの車体部分はほとんど古代の動物そのものであり、しか
も半透明だった。
 アー・ヘブンは腹腔の中にとらえられたままでいようと思った。
そうすれば、天宮の元まで、おのずと連れて行ってくれるだろう。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第7回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2006.05.02 13:46:37
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2006.04.01
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回
■4-3

アー・ヘブンは意識をとり戻す。
奇妙な液体がアー・ヘブンの体をとりか
こんでいる。アー・ヘブンはすばやくこの液体の成分を分析する。
 塩分、鉄分、鉱物資源を多く含む液体層。それが透視層だった。
 この中で生物体はやすらかに眠り、その眠りの間に、生体や生体細胞、生
体情報が、すみからすみまで分析される。
 アー・ヘブンは,層内には数々の星の、種々の精一構造を持つ星人の意識が
浮遊しているのを読みとっていた。
それらの意識は、スパイダーネットによってつかまえられた星人の意識なのだろう。
 この透視層に浮かんでいる星人の意識は、色々な事を叫びつづけている。
幻想的なイメージでー杯なのだ。そのイメージは一種、心のトリップをかもわせ、
アー・ヘブンも興昧屎かった。
 私も、そんな意識因子になるのか。
アー・ヘブンは、快いまどろみの中でそう感じた。
それもいいかもしれない。ハーモナイザー末端部の個性群体に属していた時の気分に戻っていた。
 羊水の中にいるようだ。
 アー・ヘブンの心は、さまよっている。
 それはとてもいい気分であり、、長い宇宙飛行のあとの休息、、
それに、体もバラバラに解体され……
 すでに「アー・ヘプンの切り離された肉片」が解けて、同化しようとしていた。
 『何をしている、アー・ヘブン』
 心の奥で光るものがあり、それがまどろみをさえぎろうとする。
 『アー・ヘブン、お前の使命は何だ。それを思いだせ』
 その声は明らかに怒っていた。
 アー・ヘブンに言いきかせている何かが、アー・ヘブンの心のどこかにいた
 『その透視層の中から抜け出せ。溶液の中から逃げ出世』
 光の声は、そう叫んでいた。
 まどろみたい、この安らかな溶液の中で。
 意識が再び沈んでいきそうだった。
相反する二つの意志。アー・ヘプンの心はまっ二つに分裂する。
そんな気がする。どうすればいいのか。自問自答する。
 意識の中の光が、働いていた。
『はい、出すのだ」
 アー・ヘブンは、自分の球体に内包している全ての触手を、全開した。
 3番目の触手が、透視層の外壁を一気に突き破っていた。
 破れ口は拡がり、溶液は流れ出て、勢いにのって、アー・ヘブンも押し出
された。
 溶液に含まれている種々の星入の意識が、コードの内壁に拡がる。
それらはバチバチと音をたてて、コード内に張りめぐらされた「天宮」の神経糸を刺激した。
 アー・ヘブンは、しばらく倒れていたが、肉体としてなんとか立ちあがる。
アー・ヘブンはの視覚組織は、自分の目の前にいる生物体を読み取っていた。、
 その生物体はたしか、、、、。
 天宮に関する知識を、プレイバックする。
 「そぅだ、新機類か」
 アー・ヘブンは、思い出していた。
 このユニコーンは、ハーモナイザーが作り出したものだ。そう確か、ハーモ
ナイザーが天宮を監視するために、新機類と呼ばれるユニコーン型の観測機械を大球上に配置したはず
だ。
 が、何かが少し違っている。
 アー・ヘブンは、ユニコーンに意識を送り込み、意識を融合しよぅと努めた。
が、アー・ヘブンの意識は、はじきかえされた。やはり変だ。ユニコーンの意識に同化できない。
 ハーモナイザーの意識の一部であるならば、たやすく「アー・ヘブン」と内部
で意識融合できるはずガのだ。が、意識の融合現象は、おきなかった。
 あきらかに、そのユニコーンは何ものかに加工されたに違いなかった。
 アー・ヘブンはゆっくりと、ユニコーンヘ近づく。
 それより先に、ユニコーンの方がアー・ヘブンヘ接近してくる。
ユニコーンは勢いづいていた。ユニコーンの角がキラリと光っている。
眼には憎しみの感情があふれている。 感情だと! それも憎しみの!

アー・ヘブンには理解しがたかった。憎しみの感情がまだ残っているのか
 このような感情は、ハーモナイザーの世界には存在しないはずだ。憎しみの
感情が、こんきに原始的な形で存在しているなんて!
 アー・ヘブンは、未知の異なる存在に対する反応をおこしていた。
 ユニコーンは、あきらかに、私アー・ヘブンを抹殺しようとしている。
 「抹殺!」
 何んという、
原始的な感情なのだろう。
 が、アー・ヘブンも古い本能を思い出していた。
それは、先刻、透視層をつきやぶった時から、徐々に、アー・ヘブンの心を
浸しつつあり、自分でも統禦できないものだった。
 「身を守る」という概念が、古い意識の下から蘇ってきていた。
 ユニコーンの角は、アー・ヘブンの第一表皮に接触した。
 瞬時、アー・ヘブンは自らの体内エネルギーを解き放っていた。
ユニコーンは動きを止め、胴体の真中からばっくりと二つに割れた。
腹腔から、ずるっと内臓があふ出た。
湯気をあげているそれは、機械内臓ではなく、有機体のそれだった。

アー・ヘブンは第一触手を、ユニコーンの体内に這わせ、神経記憶を
読みとろうとした。
『彼女が目ざめた時、すでに連れはいなかった。彼女は彼と旅をするはず
だった。どうやら「北の詩人」という存在とすでに旅立ったらしい。
彼女、ユニコーンは、彼「北の詩人」を求めて、大球をさまよった。
が、大球では見つけることができなかった。

しかたなく、彼女は、コード内に侵入し、異物とそうぐうしたのだ:・・
「この記憶は……」
アー・ヘブンがユニコーンの記憶に驚いた一瞬、危険という概念が、電
撃の様に体を貫いていた。
巨大な物体に、アー・ヘブンははじき飛ばされていた。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第6回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2006.05.02 13:44:47
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2006.03.22
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回
■4-2

ユニコーンと北の詩人が歩みはじめた、その地下、つまり「大球」の奥深く
存在する純粋思考体、新しく目覚めたばかりの「天宮」は異物の飛来を気にやんでいた。
そしてまた、「大球」の鉄表面でも、大いなる生態系の変化が、起こっている。
つまりは、すでに大球の表面に生棲していたハーモナイザーからの監視者=ユニコーン達、
新機類、はゴーストトレインが喰いつくしている。

覚醒したる「天宮」は、情報ユニット「ゴーストトレイン」を実体化させると
同時に、その「ゴーストトレイン」の感覚を共有している。
つまり、「天宮」イコール「ゴーストトレイン」。そして、不思議なことに
同じく実体化させた情報ユニットである「ユニコーン」と「北の詩人」の
心情、感覚も理解して、共有しているのだ。

覚醒したる「天宮」は、「大球」の鉄の表面には、存在しえない生物体を
実体化させ、「大球」「小球」の生命生態系を、大いに改革しょうとしている。
まるで、別の星になるように、、

何匹めかのユニコーンを倒した時、「大球」につながる「小球」に存在るう
大いなるハモナイザーの監視機構「生命球」から、危険信号が天空にむかい放たれたのを、
機械群の共生体「天宮」は感じていた。
さらに、むずがゆさとでも呼べばいいのだろうか、ある種の奇妙な感
覚を天宮の予知能が感じていた。
目覚めたる機械群の共生体「天宮」にとっての「敵の存在」である。
「生命球」以上の存在。
ハーモナイザー?、しかし、今感じる脅威は、それではなかった。


「天宮」、その気持は、断機類を喰いつぶした時のゴーストトレインの様な荒々
しい気持とは異なっている。
何か細やかな手ざわりを持つもの。
そう、なつかしい人?の手?のイメージが、天宮の全感覚の中にひろがっていく。
人? 手? それは、何だ。「天宮」には記憶にない。あるのかの知れないが
思い出せない。

やわらかき手。そして人間のイメージが、、。

しかし、天宮は、そのやわらかい手によってにぎりつぶされるイメーージを描いた。
「自分は滅びるかもしれない」、
  そんな予感を、覚醒したばかりの「天宮」は感じているのだ。


ハーモナイザーの使徒、「アー・ヘブン」の空間飛翔体、
つまり「胞子」は、急に襲ってきた「粘性の網」に包まれている。

胞子の持つ推進力が、この粘着力のある網に対してはまったく作用しないのだ。

あらゆる方向に動くことは動くのだが、一定の距離に達すると、反作用でま
た元の場所へ戻ってしまう。
つまりは、アー・ヘブンはみごとに敵の手中に陥ったようだ。

ここは「敵」の勢力圏の中である。
「敵」イコール、ハーモナイザーせざるモノたちである。

恒星「タンホイザー=ゲイト」の中心部、緑色の液体で充たされた空間。
その場所に浮遊する巨大な″木″。″木″は意思の集合体であり、「ハーモナイザー」
と呼ばれる。

この粘性のネットは、俗に「スパイダー・ネット」と呼ばれている。
「天宮」は、小球をチューナー部分として使い、自分の膨大な情報ユニットが持つ、
色々なイメーージを宇宙にまき散らし、そのイメージ像に、興味を持った宇宙船を呼び寄せていた。

 そして、その宇宙船を、大球と小球を結ぶコードから発射される「スパイダ
ーネット」でからめとっていた。

 「天宮」は、その船のメインデータバンクや乗員から全宇宙の知識を盗み出していた。
「天宮」は、自分の存在を検証しているのだ。自分とは何か。そして
何のために存在するのか。そして大なる覚醒の意味合いは、何なのか?


 アー・ヘブンの乗った胞子は、ゆっくりとコードヘ引き寄せられていた。
 ハーモナイザーの使徒、アー・ヘブンは、自分の分かれている位置をじっくり観察する事にする。
 まっ黒な表面で包まれている「大球」のまわりをゆっくり「小球」がまわっている
。小球は大球の何分のIかの大きさで衛星のようだった。
 睡眠学習によれば、「大球」は、遠い昔、ハーモナイザーと争い、敗れたとの
事。その時、「大球」はみずからの意志で、大球表面上の生き物をねこそぎ滅ぼした。

 大球が黒い表面、鋼鉄で被われているのは、ハーモナイザーによって封印
されたからだ。宇宙の邪悪な星として。

 睡眠学習を再生中のアー・ヘープンの体にいきなり激しい衝撃が伝わる。
 アー・ヘブンの意識は停止した。
 ついに胞子は、スパイダーネット」によってコードまでたぐり寄せられ、凄
まじい圧力を加えられた。

「胞子」は圧力で消滅しアー・ヘブンは裸のま
まとり残される。
アー・ヘブンのまわりを包み込んでいた胞子の構成要素は瞬時に消え去っていて、
 破片を分析しようとしてコードからはりだした、「天宮」の「感覚枝」は、むなしく空
をがでた。
「感覚枝」は天宮の、実在化する神経細胞であり、手の役割をする。

感覚枝は、代りに、とり残されたアー・ヘブンの体をとらえた。
コードの一部に穴が開き、感覚枝はアー・ヘブンをその穴の中へ引きずり込む。

感覚枝は、アー・ヘプンを、巨大&プールヘと送り込む。
このプールは、コードにある透視層で、生命体が解析される場所だった。

(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第5回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2006.05.02 17:12:08
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2006.03.21
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回
■4-1
北の詩人は、目ざめた。
あるいは 意識が戻ったという方がいいのだろうか。
とにかく、その時、彼はユニコーンの背中にのっていた。
 突然、どこかの世界から、この世界へ転移されたような気分だった。
 ユニコーンの背中の乗りごこちは気持よく、首すじの毛をそっとさわっ
てみる。
ぞくっとする。
何とやわらかな手ざわり々のだろう。北の詩人は、ユニコーンに言った。
「さあ、ユニコーン、行っておくれ、君の望む方向に」
なぜ、この生物がユニコーンという名前なのか、とにかく、詩人の口を
通じて出た最初の言葉だった。
目のの前に、別のユニコーンがこちらを見ていた。そのユニコーンは、
詩人が乗っているユニコーンとは異なっていて、
悪意というものが感じられた。
北の詩人の詩人には、その前のユニコーンのコードネームが
、新機類「ルウ502」であり、ハーモナイザーの観察機械、というイメージが
浮かび上がってくる。しかし、意味事態は、北の詩人には、コードしてしかわからない。その
言葉の意味は理解できなかった。

その、悪意を持つ「ユニコーン」は、背後から急速に接近してきたゴーストトレインには
じきとばされた。
ゴーストトレインは、倒れたユニコーンの側へもどってきて、死体を
確かめ、ユニコーンをうまそうに食べ始めた。
その姿に、北の詩人は思わず顔をそむけた。

どれくらい、時がたったのだろう。
北の詩人は、暗い鉄表で被われた大球の上をユニコーンと一緒に移動し、やがて、一つの穴の前にたった。その穴は、空間にのびていて、どうやら小球という大球の衛星へと続く道の様々のだ。コードだった。
 北の詩人とユニコーンは、その穴へと人っていった。
なぜ自分がここを歩いているのか自分自身でも理解していなかった。
 記憶なのだろうか、北の詩人の心を激しくとらえたのは、ユニコーンが、ゴース
トトレインの餌食となったのをながめた瞬間の、胸をしめつける感覚なのだ。

 その視覚イメージに触発されて、詩人の頭の内で何かが爆発し、言葉とい
う古い記号が、自分自身のイメージ脳の泉から湧きあがってくるのを感じていた。

 さらに奇妙なのは、詩人の情感が何かわけのわからない巨大々存在に扱い
取られているような気がすることであった。
 北の詩人はイメージする。

 私は何かの感覚の末端であり、情報を、視覚と、それから誘発される言語
記号で巨大なものに伝えているだけの存在ではないだろうか。

 空気というものが、濃密にたまり、流れ、それが風という記号で呼ば
れている事を、詩人は思い出していた。
 風は、詩人が行くべき方向を示しているようでもあった。
 地下道は、血脈のようなもので被われていて、天井には、その血脈から派生し
た網もはりめぐらされている。
 詩人はユニコーンに言った。
「さあ、風の吹いてくる方向に向かっておくれ」

 ユニコーンと北の詩人は、「大球」と結ばれている「小球」への道を歩み始めていた。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第4回●(1987年作品) 
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2006.05.02 17:12:48
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2006.03.20
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回

一つの恒星がある。名前を「タンホイザー=ゲイト」という。
星の中心部に緑色の液体で充たされた空間があった。
 そこに巨大な″木″が浮遊していた。
″木″は意思の集合体であり、自らをハーモナイザーと呼んでいた。
虚空からの信号をハーモナイザーは受けた。
彼はその信号を分析し、推理した。その信号は小球にある「生命球」
の消滅を意味していた。
同時に一つの決意が、彼の意識の中で生まれた。
ハーモナイザーの末端部へ、中央神経叢を通じ、一つの刺激が送られた。
ハーモナイザーの末端部には、数多くの個性群体が付着していた。それそれは
小さな球体であり、それがまるで根に付着しているように群体を構成していた。
個性群体のひとつである「アー・ヘブン」は夢みていた。
たゆとう羊水の中で夢みる事を楽しんでいた。
アー・ヘブンの個性がいつ、どこの星で生まれ、また、いつハーモナ
イザーに同化されたのか、その記憶は消え去っている。
『アー・ヘブン、目ざめよ』
突然、声がアー・ヘブンの体の中に響いていた。
誰だ。
この快いまどろみの中で私をめざめさせるものは。

アー・ヘブンは怒りを感じた。
『アー・ヘブン。使命を与える。すぐに旅立つのだ』

使命を与えるだと、
誰が、いったい、何の権利があって、
私を目ざめさせるのだ。
おまけに旅に出ろだと、何を言っているのだ。

『アー・ヘブン、それが、お前の運命なのだ』
運命だと、そんなものなど、とっくの昔に忘れてしまった。
私に何をさせようというのだ。
『アー・ヘブン。お前は一つの世界を作るのだ、私の代理人として』
世界だと、
世界とは何だ。
それにそんなに価値を持つものなのか、世界を作ることが。

『アー・ヘブン。動け。分前が自ら動こうとしないのなら、私が動かす』

あー、やめてくれ、私はこの羊水から離れたくがいのだ。
しかし、無情にもアー・ヘブンの球体は末端部から切り放され、ハーモナイ
ザーの導管に吸い込まれた。上へ上へと扱いあげられる。

 アー・ヘブンの球体の上から何かが、かぶせられたのを、アー・ヘブンの意識
は感じた。
 何かをかぶせられたまま、導管の内にあるアー・ヘブンの体は急激に加速
度を増し、羊水の外、さらにはタンホイザー・ゲイトの外へとはじきとばされた。

 アー・ヘブンの体を包んでいるのは「胞子」と呼ばれる飛翔体だった。
アー・ヘブンの体は、タンホイザー・ゲイトから離れてゆく。

アー・ヘブンは、自分の故郷、タンホイザー=ゲイトを観察する。真中に緑色の輝きが見
えた。羊水湖の輝きだった。
私はあの中で眠っていたのだ。できれば戻りたい。そうアー・ヘブンは思った。

しかし、「胞子」は回転しながら、太陽光流に乗り、銀河を横切って行く。
 長い旅路になるだろう。
そうアー・ヘブンは感じていた。そして、自らの体を冬眠状態においた。
 アー・ヘブンも、また一つの運命を荷っていた。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第3回●(1987年作品) 
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最終更新日  2006.05.02 17:13:29
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2006.03.19

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第2回●
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第2回

■2
新機類、ユニコーン、ルウ502はどこまでも拡がる鉄表の上を四つの足で駆っている。
眼の前に拡がるのは鋼鉄の荒野。
いや荒野と呼ぶのさえ、不適当だろう。つるりとした冷たい鉄で被われていた。
 ルウ502の生体機能は充分に活性化していた。活発に働いている内臓機構
や機械筋肉がルウ502に快い気分を与えていた。
荒野から絆が生え出ていて、それは上空に消えている。
大球と小球を結ぶコード。がそれだ。衛星、小球に存在する生命球が、ルウ502
たち、新機類に命令を授けているのだ。まさに、天の糸である。

大球、つまり鉄の表面を疾駆するルウ502は、
『ああ、俺は生きている。駆けている』
 そんな充実感があった。

 が、ルウ502の顔にあたる空気流が急に温かくきり、かまけに生体液のすえた臭いがした。
 『うっ、この臭いは』
 その時、生命球から『ゴーストトレインが出現した』という情報が入力さ
れた。
ああ、なんという連絡なんだ。そんな連絡などなけれぱ、ルウ502はず
っと快適に走れていたのに。
 急に走るのがかっくうになる。
 ゴーストトレイン。
 この「生物的な動きをする機関車」は、あるいは幻想かもしれなかった。とい
うのは、ゴーストトレインが実際に走っている姿を見たルウ502の仲間はいない。
 とにかくそいつはレールもないこの鉄表面を自在に走り廻り、ルウ502たちの
仲間をひき殺しているという。
 前方に仲間の新機類たちが集まっているのが見えた。
ルウ502はどうやら目的地についたようだ。

 犠牲者はルウ300たった。首がへん左角度に折れ曲がり、角は抜きとられていた。腹腔が無惨に破られ、内臓機械がはみてていた。
 ゴーストトレインはルウたち斯様類をくいちぎり、内臓をくらうという。
それも情報回路が集積されている心臓部分を。
 ルウ502は身震いをした。不快感から全身の汗腺穴が収縮した。が、冷
静に観察しなければならない。
 ルウ300の赤外線アイが色相変化している。かわり果てた姿としかいい
ようがない体。
 角からコードがはみでているのも、物悲しい。
 一番大切な角。
 この角で、ルウ502達は衛星、小球にある「生命球」へ連絡をとっているのだ。
 収集した現場データをルウ502は生命球へと送った。


 しばらくして、ルウ502達全員に、生命球から命令が下った。
 『ゴーストトレインの存在を確かめよ』

 新機類たちは四方八方へ飛び出した。
ルウ502も無限に拡がる鉄表の上を、つめが生えた節足で駆ける。          ,
 二、三タロノタイム走っただろうか。平原にはまるで変化はない。

 ルウ502は急に停止する。
角が感応する。何かが存在する。
が、この鉄表上には何者も存在するはずがない事を、ルウ502は理解していた。

 何しろ、この「大球」、つまり鉄表上では、ルウ502たち新機類しか生存して
いないのだから。

 が、何かが反応していた。そいつは今、動いてはいない。
 ルウ502の数m前の鉄表が白熱していた。
 白熱部分にルウ502はゆっくりと焉ついていく。そいつは白熱部分の中から姿を見せていた。
 自分の赤外線アイがこわれたのてはないか。ルウ502はそう思った。なぜなら、そいつはルウ502とうり二つなのだ。
 が、体の中に機械が存在しない。かまけに、そいつの上には別種の醜い生物が乗っていた。
 ルウ502達断機類とはまったく異なる存在だった。こんな生命体がいる
とは信じがたい。

 醜い生合体が、ルウ502にそっくりな生命体に音を使って意志を告げていた。ルウ502はその空気振動を解析した。音はこういう意味らしい。

 『さあ、ユニコーーン、私、北の詩人と行こう。旅行しょうじゃないか。この大球をね』
どうやら、そいつは、微笑んでいるようだ。つまりルウ502に対して、友好的な態度を見せているのだ。
 驚きの連続でルウ502は一所に静止していた。

 それゆえ、急激に接近してくる別の物体に全く気づかなかった。
 一瞬、ルウ502の体は、巨大な物体にふき飛ばされていた。
 ルウ502の赤外線アイは二本の光帯を一瞬見た。
 ゴーストトレインだった。
 ルウ502の生命光が消えるのと同時に、20メートルもの体長のゴーストトレインはかま首をもたげ、愕を開け、ルウ502の腹腔を喰い破り、心臓をむしゃぶり始めた。
 ゴーストトレインの顔は、うれしそうに笑っている。
おいしいのだ。ルウ502の体が。
ゴーストトレインの先頭部に口となっていて、ぼろぼろと、ルウ502の内臓のあたる、
機械部品が転がり出てくる。

「大球」から遠く離れて存在する「小球」。その中心部に機械パネルで被われた生命
球が存在していた。
生命球はハーモナイザーの分身であり、また監視機類の元締であった。生命球は大昔、ハーモナイザによって、小球に組み込まれ、新機類を生みはぐくんできた。


生命球は、ルウ502の最後に送ってきた映像を分析していた。
なぜ、新機知しか存在しないはずの鉄表に、生命体がいたのか。
それにあの白熱は何を意味するのだろうか。
『まさか、天宮がめざめたのては』

何かが大球の中でかこっている。ハーモナイザーによって、大昔、「封印された大球」の中で。
その頃、大球と小球をつなぐ絆に,変化がおこっていた。
蘇った機械共生体「天宮」が神経糸を張りめぐらそうとしていたのだ。
生命球は、大球上の、すべての新機類を呼びだしてみた。ゴーストトレインを捜索中のはずだ。
が、どこ個体からも、応答がまったくない。
こんな事は今までになかった。生命球が始めて感じたパニックだった。
生命球は自らの体を移動し、バリヤーヘ逃げ込もうとした。
が、パリヤーは生命球を包み込むと、収斂した。
『これは、どういう事だ』
バリヤーは生命球の意図に反して作動している。すでに、天宮の「神経
糸」が小球へ侵入していた。
生命球はバリヤーにからみとられ、動けない。表面パネルが音をたて
て吹き飛び、各部位がめり込んだ。

数秒後、「生命球」は圧力に抗しきれずづフパラにはじき飛んだ。
生命球は消滅する時、信号を発する事が自分自身の存在理由であったことを
理解していた。

やがて、生命球の破片を天宮の神経糸がつかまえた。
いまや大球と小球は完全に、機械共生体の支配下にはいっていた。
それは天宮(てんきゅう)が一つの運命の道を歩み始めたことを意味した。


大球上では、醜い生合体がゴーストトレインに言った。
「おいおい、僕の乗り物を奪うんじゃないって」
「北の詩人よ。では、新しいユニコーンを再生してやろうか」


ユニットコードナンバー 16589
ユニットタイトル 北の詩人

ユニットコードナンバー 836250
ユニットタイトル 幽霊列車(ゴーストトレイン)

ユニットコードナンバー 386574
ユニットタイドル ユニコーンの旅

彼らは、機械群の共生体「天球(てんきゅう)」のイメージコーダーが作り出した創造物であった。
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第2回●(1987年作品) 
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最終更新日  2006.05.02 17:14:28
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2006.03.18
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第1回●
(一部文章入れ替えてます)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第1回
       1
それは、小さな石だった。
石は隕石となり、「大球」と呼ばれる星に落下した。
大球は、「小球」と呼ばれる衛星と絆で結びついている。

大球には、「新機類」と呼ばれる生物が生息していた。

「ルウ502」は、天空を走る光の矢を見ていた。
ユニーコーンつまり、一角獣の外形をした新機類ルウ502にとって
、隕石は見慣れた現象であり、注意をあまり払っていない。
 警戒すべきは、ルウ502の足元、つまり鉄表下であると、教えられていた。
その教示は[小球]にある「生命球」から与えられていた。
 念のためだ。
そう思ってルウ502は、隕石の堕ちた場所を求め、走った。
やがてその場所に辿りつく。落下地点の鉄表には、何の損傷も見られなかった。
 
大いなる昔、ルウ502達が誕生する前から、この星、大球に張りめぐら
された鉄表は、時の流れをあざわらうかのごとく、傷ひとつ付いてはいない。

「ハーモナイザー」と呼ばれる大球の創造者に対して畏敬の念がルウ502の心に浮かんだ。
ハーモナイザーは、ルウ502にとっても想像を絶する存在で必った。
ともかくも、鉄表には何の変化もない。
よかった。彼は安堵し走りさった。

もし、ルウ502が辛抱強い観察者であったなら、微妙な地下の変化をとらえていたかもしれない。

その変化を感じて、小球の生命球に通報していたならぱ、あるいは、この星
の歴史が変わったかもしれない。
事実、隕石は鉄表下に存在するあるもののつぼを直撃していた。隕石が鉄表に激突した時の微振動は、ある種の反応を、地下に呼びおこししていたのだ。。
 鉄表の下、奥深い所に、闇に包まれた空洞がある。はるかなる昔からここに閉じ込められた者のうらみがこもっている。

 隕石の与えた微振動に、「機械共生体」が反応し、生きかえりつつあった。
 突然、一点に光がともる。
 その光が、またたく間に、空洞内にある機械類を巡り、すべての機械群の息を吹きかえらせた。最初の機械意識が蘇った。
『誰だ、俺は』
 闇の奥から疑問の声があがる。
機械は自らの存在の意味をさぐろうとする。

やがて、機械意識は自らの名前を思い出した。
『そうだ。思い出したぞ。俺はイメージコーダーだ」
イメージコーダーは次の作用として、体を勣かすことにした。腕=マニュピュレーターだった。マニュピュレーターを振り廻している内に、自分の前に集積された物体にづく。
 「何だ、これは」
次の疑問だ。
目の前にある「植物繊維群」の呼称を記憶の中から呼びかこしていた。
「情報ユニットだったな、たしか」
 これは何をするものなのだ。
 マニュピュレーターで、それをつかみ、観察する。
「ああ、そうだ。こいつはこう使うんだ」
やがて、イメージコーダーはそれを自分の体一部位に組み人れた。 
マニュピュレーターが、偶然に選びとった三ユニットは次の通りである。

ユニットコードナンバー 16589
ユニットタイトル 北の詩人

ユニットコードナンバー 836250
ユニットタイトル 幽霊列車(ゴーストトレイン)

ユニットコードナンバー 386574
ユニットタイドル ユニコーンの旅

イメージコーダーの温度が上がり、彼は自分の役割を果たし始める。
 役割すなわち、情報ユニットのイメージを実体化させる事。
イメージコーダーの空間に、情報ユニット内に内包された情報の三次元数
字が打ちだされる。それが線を形づくり、フレーム=モデルが作りあげられる。
色彩が決定され、ゆっくりモデル表面がペイントされながら作成される。
 やがて、生き物が実体化していた。
徐々に、機械群の共生体「天球(てんきゅう)」に意識が蘇りつつあった。
(続く)

●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第1回●(1987年作品)
ハーモナイザーシリーズ01「山陵王」は今編集中です。 
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最終更新日  2006.05.02 17:15:28
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