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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

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トリニテイ・イン・腐敗惑星

2008.01.24
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■腐敗惑星■第24回■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所

腐敗惑星■第24回■(第20章)
 機械城はでは、16面体の意識がフェイドアウトしていたが、

自己防御システムは可動している。

自己防御システムは、急速に接近して来る球体を熱感度センサ

ーで危険物と認知した。
球体機械内部には、生物体の存在が確認できる。
即時、この球体に対して、各部位ごとに、認知センサーがデー

タ分析を行い、総合判断する。
 攻撃。

 飛来する10個の球体は、迎撃するミサイルを感知し、迎撃す

る。
搭乗者のアドレナリンが球体に感応し、白熱化する。
この攻撃船が独立傭兵部隊・タイコンデロガ搭乗機の「ファイ

アーボール」である。

「歓迎の花火を挙げてくれるぜ」
 個々人の感覚は増幅されて、搭乗者に見える機械城は、まる

でチョコレートケーキに見える。
非常にくずれやすそうなケーキだった。音は光りになって感知

できた。
 とぎすまされたファイアーボールは、そのケーキを切り刻む

ナイフだ。
ナイフの刃は搭乗者の頭脳と体力だった。

「各自、攻撃」
「我々の目的はあくまでも、禁断の実だぞ、それを忘れるな」
「OK、ボス、各個撃破」
「ハリホー」
 ファイアーボールは、生体維持装置の限界までゲージが上が

っている。
能力限界オーバー。コンピュータの機械ボイスが叫ぶ。

 視覚装置がフェイドアウトした。
「ファイアーボール」機内モニターが砂の嵐となる。
機械城が機械砂を一斉に吹き上げる。
生命体である機械砂は、ファイアーボールの外装の、機械構造

の隙間をとうりぬける。

「ファイアーボール」 コックピット内に微粒子が侵入してく

る。

「いかん、全員ファイアーボールから脱出しろ」
隊長のトポール大佐が叫んでいた。
第1種装甲のまま、各兵士は、ファイアボールからプッシュア

ップした。
2人、脱出できなかった。機械砂に包まれたファイアーボール

は搭乗者ごと吹き飛ぶ。

「背面降下、キャノンボール」
 装甲服の背後から、キャノンボールと呼ばれるロケット噴射

機が作動し、
機械城の壁面に8人が着地する。

「ミラー伍長、奴らはどこにいると考える」
「恐らく最上階でしょう。が、トポール大佐、問題なのは、機

械城のそれぞれの空間は、常に移動しているのです」
「つまり、機械城という大きな海の中を航行している船が、各

空間だというのだな」

トポール大佐に率いられた傭兵たちは、地下羊宮チャクラの意

識層から、
トリニティが見聞きしている映像を、割り出していた。

 彼らのいる機械城の壁表面から、今度は、液体が吹き出す。
「いかん、機械油だ」
 装甲服に粘りつく。
 「こいつは」
 装甲服に火の手があがる。
機械城の表面が一瞬すべて燃えあがった。
熱が装甲服の中でも急激に上がってくる。

「チャクラの言っていた侵入口はどこだ」
「どうやら、ここです」
 ミラー伍長が3次元モニターで地図を示した。
「よし、電磁砲を使え」

が、機械城に侵入しても、通路には、防御ロボットが待ってい

た。

「なかなか、退屈をさせてくれんな、ミラー伍長」
「そのようですな、楽しませてくれますね、トポール大佐」
ミラーもにやりと笑う。

 機械城の最上階にたどり着き、独立装甲騎兵がなだれこんで

きた。
が、動くものはない。
「てこずったな。おやおや、戦いは終わっているのか」トポー

ル大佐が言う。

「ミラー、この中で、どれが、トリニティだ。トリニティなら

、禁断の実の事がわかるだろう」
 寂寥王は16面体との戦いで、相打ちとなり、トリニティの姿

に戻っていた。
トリニティはぼうぜんとしている。

ミラーはこの有り様には目もむけず、トリニティを発見する。
 「彼女だ」そばにはりんごが転がっている。

今度は誰。モウ、あたし、ふらふらだわ。
「お嬢さん、その禁断の実を渡してもらおうか」
装甲服のミラーが言った。
「いやだわ、なぜあなたに渡さねばならないの。これはあたし

の命なのよ」
「御不満かもしれないが、このモニターを見れば気もかわるだ

ろううさ」

 装甲服のミラーは3次元モニターをトリニティの前に見せた


「まさか、チャクラぢいさんを」
ミラーは、ヘルメットの下でほくそんでいた。

「そうだ。トリニティくん。我々の仲間が、君の親ともいえる

チャクラを占領している。
君が我々の提案にしたがわない場合は、チャクラを爆破する」
あたしの一番大切で安全な場所を返して。
「いやよ、なぜなぜそんなことをするの。それになぜ禁断の実

を」

「我々は《禁断の実》が過去宇宙のデータバンクであると聞い

ている。それを持って帰り、分析したいのだ」
トポール大佐が言った
「分析ですって、そんな事して何になるというの」

「この世界の始まりを知り、過去がなぜ滅びたかを知りたいの

だ」

「これが、禁断の実か」トポール大佐は、地面に投げ出された

リンゴに目を止めた。
トリニティの視線をおったのだ。
「やめて、それにさわらないで。危険よ」
そばで見ていたミラー伍長の頭で、何かが危険信号を出してい

る。

そうだ。昔聞いた巫女の言葉だ
「危ない、大佐、それに触るのは危険だ」

「ミラー伍長、君、私に宝を触らせないつもりか」
が、突然、その禁断の実が、トポール大佐の手のうえで、液体

化する。

「これは、何だ」
うわーつ
 その液体は、宇宙服を着たトポールの首筋の情報端子から、
トポールの脳のなかにゆったりと滑り込む。

「グワッ」
トポール大佐は未来の姿を見た。
世界の過去未来、
世界のすべての情報がトポールの脳に一瞬に流れ込む。
脳機能がオーバーヒートする。

眼球が飛び出し、頭が破裂する。
宇宙服ヘルメットの内部が血で真っ赤になる。
つづいて、トポール大佐の宇宙服が内圧のすごさのあまり爆発

する。
彼の爆発した肉片から、コロコロと再び凝固したリンゴが転が

りでた。

「あーあ、だから言ったでしょう。危険だって」
トリニティがつぶやいた。
「禁断の実は生きている」
装甲兵の一人が恐怖におののきながら、叫んだ。
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

山田企画事務所






最終更新日  2008.02.19 17:17:15
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2008.01.13

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第23回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

腐敗惑星第23回(第19章)

腐敗惑星の地下羊宮に 突如、側壁が切り開かれて、武装した

兵士が、
中へなだれ込んできた。
来るべきものが来た。
そうチャクラは思った。

モニターが自動的に立ち上がり、チャクラの映像が出た。
「お前たち、手荒い事はやめてくれ。わしはチャクといい、地

下羊全体の疑似映像ジャ。
そんな荒事には、なれてはおらんのじゃ」
 中にいた指揮官らしい男が、チャクラに対して言った。

「それじゃ教えてくれるか、禁断の実はどこにある」
「何じゃと、禁断の実じゃと。ふつ、
お前たちは禁断の実を宝だと思っているのじゃろうな」

「宝ではないというのか」
「あれは、ある人が持てば宝となるが、他の人間が持ったら毒
となるだけじゃ。それも恐ろしい毒となるぞ」
「武器だというのか、禁断の実が」

「そうではないのじゃ」

「いいか、チャクラ、答えてもらわねば、お前のメイン電源を

さがしだして切る」
チャクラはだまった。
「お前の電源は、この隣にある水羊宮である海だとわかってい

る。
それを破壊する。そのために我々は重装備で来ているからな」
返事がない
「我々のいう事を聞けないならば、よし、お前の頭脳から無理

やりにでも読みとってやる」
「チヤクラ、だまっていても、我々には解っている。世界子ト

リニティは機械城の中にいるのだな」後から来たミラー伍長が
言う。

「我々がその機械城を占領する。それでお前が育てたトリニテ
ィから禁断の実を取り上げる」
「が、お前たち、お前たちがその禁断の実をてにしたところで

どうにもなるまいよ。
それに、なかなかに機械城は難攻不落じゃよ」
ミラー伍長がフット笑った。
「では、すべてを理解するあなたに、機械城の弱点を教えてい
ただきましょうか、チャクラさん。いかがですか」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/






最終更新日  2008.01.30 01:42:07
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2008.01.12

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第22回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
腐敗惑星 第22 回(第18章)

「俺はお前の顔をしっている」
独立装甲兵団に占領された宇宙連邦軍・監視機構の船長は言った。
 腐敗惑星の監視衛星に行く途上で、船が彼らの艦タイコンデガに拉致されていた。

宇宙連邦軍第2348軍区派遣団の船指令室も独立装甲兵団で一杯だ。
「それは光栄だね。私も有名になったものだ」
「トポール大佐、君たちは、何をしょうというのか」
「いい質問です。あなたの代わりに腐敗惑星に行くつもりです」

「ばかなことをいうな。あそこ腐敗惑星は、観察によっては破壊も可能との指令がすでにでている」
「ホホッ、ありがたい情報ですね。参考にさせていただきます」

「ともかく、船長、腐敗惑星の「監視衛星フライトデッキに到着するためのデータ、コードナンバーを教えていただきたい」
 情報が聞き出せた後、トポール大佐は、ほほの傷あとをさわる。

「それでは残念ですが、皆さんとはここでお別れです」
「やれっ」
監視機構全員の生命維持装置に毒ガスが注入された。
「あとのことはご心配なく、我々がうまくやりますから」
死体に向かって、トポール大佐をつぶやく。

 独立装甲兵団とは傭兵のあつまりである。
彼らの戦歴は恐るべきもので、ある星系の政治形態の変化があるとすれば、彼らの存在がうわさされていた。

特に独立装甲兵団のトポール大佐は、通常の宇宙連邦軍の将軍よりも優れているとの評価もあった。
 トポールは過去の戦歴、経験から、自らの肩の両サイドに補助頭脳を埋め込んでいた。
この補助頭脳には各生物の全戦歴、戦史がインプットされていた。
 また、独立装甲兵団のヘッドギアにはそれぞれ、
補助頭脳が装着され、視覚、聴覚などの6感能力が機械の力をかりて研ぎ澄まされ、
増幅されていた。
トポールを始め独立装甲兵団の頚部には情報端子があり、この部分で頭脳と結ばれていた。



 ■
腐敗惑星の「監視衛星フライトデッキ」に船が到着していた。
着艦部分から船のコックピット部位がこのコントロール室まで転がってきた。
 ミラー伍長とラフラタ中尉は下の活動に夢中になっていた。
 コックピット部位から装甲服で身をかためた1人の男が出てきた。
 ラフラタ中尉に挙手する。ヘッドギアをはずして言った。

「連邦軍第2348軍区派遣団です。監視機構から依頼されてまいりました。
このディスクが証明書と指令書です。私は指揮官のトポール大佐です

 続いて13名の装甲兵がハッチからでてきた。

「私は、腐敗惑星の…、いや失礼しました。監視機構所属のデッキマン、ラフラタ中尉です。
こちらはウォッチマンのミラー伍長です」

 ラフラタは、本星から来たトポールに緊張しながら握手をした。
「現況はどうなっていますか、中尉」
精悍な顔つきのトポールは尋ねた。
「遺憾ながら、事件が発生しています。地下に残っていた羊宮から生物が発生したようです」
「生物が」
「それも古代のこの星の女性幼体の姿をしています」
「何か問題をおこしましたか」

「現在のところは、が、どうやら彼女は禁忌エリアに潜入したようなのです」
「何かをさがしているようなのです」
 このトポール大とミラー伍長が目くばせをしたように、見えたのは、私の気のせいだろうか。
ラクラタ大尉は思った。
「ラフラタ大尉、我々全員が地上へ降ります」
「何ですって、気でも違ったのですか。トポール大佐。ここは腐敗惑星なのですよ。
あなたの体が腐敗してしまう。そしてこの星の生態系に影響を与えかねない」

「そんな事はわかっていますよ、ラフラタ大尉、協力願いたいものです」
ミラー伍長が、背後からラフラタ大尉に銃をつきつけていた。
「きさま、ミラー伍長、何を考えている。トポール大佐、こやつを止めて下さい」
「残念ながら、ラフラタ大尉くん、彼ミラー伍長は我々の味方だ」
「何だと、すると君たちは」
「そう、残念ながら、星庁・監視機構から派遣された正規の宇宙連邦軍ではない。独立装甲兵団だ」

「では、本来の船は」
「存在しない」
「きさまら…、そうか、トポール大佐、君たちはこの星・腐敗惑星の銀河最大級と言われる資産を盗みに来たのだな」
「そうだ。ご明察のとうりだ。我々は禁断の実、別名黄金のリンゴをいただきにきた」

「しかし、この星に降下すれば、体が腐敗するぞ」
「おきずかいは無用、ご心配なく、それよりもあなたの身の方を気づかう方がいいですね」
「きさまら、宇宙連邦に対する反乱罪で、全員処刑だ」
「それはあなたの方だ、ラフラタ大尉、我々を妨害しょうとするならばね」
「後悔するぞ」
「それはどうかな」
「ともかく、ラフラタ大尉。俺は、あなたの訳知り顔を今日からみなくてもすむ。観察には飽き飽きした」
ミラー伍長が言う。
「よし、用意ができたら、見張りを残して全員降下だ。
ラム中尉、君はここに残ってバックアップをたのむ。ミラー伍長、現況を手短に報告してくれ」
「わかりました」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.30 01:40:23
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2008.01.11

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第21回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

トリニテイ・イン・腐敗惑星■第21回

肉片の端々に機械が混ってキラキラと輝く。
ユニはサイボーグだったのだ。
ゆっくりと臭気の中をユニコーンの肉片が舞い降りていく。

「よくも、ユニを…」
トリニティの眼がまっ赤に燃え上っていた。
 禁断の実を口にほおり込む。もう、やけくそよ

 禁断の実は甘かった。
変な味。気持ちが悪い。

「禁断の実」は、トリニテイの喉の粘膜から、
流動化する。粒子になった流動化記憶データとして、
トリニテイの脳まで流れ込んだ。
 
 トリニテイの脳部位に、空白部分があった。
トリニテイの脳は、まだ完全ではなく、空きがあったのだ。
その場所をそれは占めた。
「あたしは誰なの」食べなきゃ良かった。

トリニティの意識が白濁する。
頭の中が、爆発したようだった。

 『娘よ』頭の中で声がする。
『私はお前の父だ』

 ええっ、どうしたの、私。知らないわよ、そんな事。聞いていない。

『それに、おまえは、配偶者でもあるのだ、私の体は、お前の体のおかげで復活できる』

わかんない。どういうこと。

『お前は運命の道を進んできた。お前はこの生命球を作り尚ねばならぬ。
この腐敗した世界を作り直さねばならぬ』

急にトリニティの自己意識がトリニティの脳から、消える。


 別の生物が心の奥底からうかびあがってきた。
トリニティのからだの細胞が分裂する。
別のDNA情戦闘報が浮かびあがってくる。
トリニティの体が急激に膨張し、姿形が急変する。

「ふふ、ようやく本当の姿をあらわしたな、寂寥王よ」

戦闘16面体は新しいトリニティの姿に対して言った。

 寂寥王が出現していた。

「私に復讐しょうというのか、戦闘16面体。まだそんな過去の事を覚えているのか」
「過去だと、お前のおかげで、我々がこんな姿に変化させられたのを、忘れたとはいわせない」

「そうだ、私が、お前たちの生体構造を書きかえた。その姿の方が動きやすいと思ってな」
「お前のおかげで、我々はこの肉体の牢獄から出ることができないのだ。
我々を元の姿に分解しろ、寂寥王よ」

「分解したければそうしてやる」
寂寥王は手をなぎはらった。
「ぐわっ」戦闘16面体は16個の三角錘にわかれて散らばった。
「さあ、それで、私に対して闘えるというのかね」
「卑怯だぞ。寂寥王、、」

「しかし、寂寥王よ忘れているな。ここは機械城、我々が作ったエリアだ」
16面体の一人が言った。16の生命体の1つだ。
「我々には長い時間があつたのだ。
寂寥王よ、我々のもてる力、もてる時間をもって、この城に仕掛けを作った。
それを充分に味わってもらおうか」

 機械城のあらゆる方向から、ヤリが飛んで来た。
機械ででき、自分で考えるヤリだ。
それは、自分の意志をもち寂寥王のねらうべき一点をついてくる。

すなわち寂寥王の頭である。
16面体の一人一人が自らの脳波を使い、数本のヤリを操る。
一度に脳をハリネズミの様にしようというわけだ。
16人の考えが一致しなければできない芸当だった。
寂寥王は攻撃の的確さに恐れを抱く。
「貴様ら」寂寥王の怒りの精神波が、それぞれの三角錐を襲う。
巨大な渦の様に、ねめあげる痛みが16面体の全員の意識をフェイドアウトさせた。

同時に、 16のヤリがみごとに、寂寥王の頭を突き破っていた。
寂寥王は一瞬、ゆらゆらと体を動かし、唐突に、フロアに激突する。
寂寥王の体は緩やかに収斂し、口から「黄金のリンゴ」がころがり出てくる。

トリニティの意識が呼び戻されようとしていた。
トリニティの脳部位にい流れ込んでいた機械脳が、
危険を感じ、黄金のリンゴに収斂していた。

 今、このエリアで動くものはない。静寂が総てを覆っている。
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.30 01:36:36
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2008.01.10

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第20回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

トリニテイ・イン・腐敗惑星■第20回
「わかったぞ、君は戦闘16面体がつくったコピーだな」一角獣ユニが叫んだ。
「おや、頭のよい一角獣だこと。トリニティ、ついでにあなたのさがしているものも見せてあげるわ」
アリスは片手から黄金のリンゴを取り出した。
「それは一体」
「これが、あなたたちが探している禁断の実よ。わからない」
「それが禁断の実」トリニティは気おちした。
 あんなリンゴに何の価値があるというの。
ばかばかしい。そのトリニティの表情を見て楽園のアリスが言う。

「おやおや、あなたこの意味を知らないようね。これは総ての人がほしがる宇宙最高の宝なのよ」
このなまいきな女。しったからぶりな、いやな奴。
「何ですって」

「これは古代世界のデータバンク。この最後の楽園も,
この黄金のリングのデータからとりだし再生したものよ。
これは1種の機械能なのよ。おまけに、もう一ついいことをおしえてあげる」
アリスはトリニティの反応をさぐる。

「いい、よくおきき、このリンゴは、、あなたの父親なんだよ」
「何それ。どういう意味、理解できないわ。禁断の実ってチャクラの一部でしょう」
「おやおや、チャクラは何も教えていないようね。これをあなたが…」

「もう、いい、やめておけ」急に声がした。

「あっ、父さん」トリニティはアリスの視線方向を見た。
戦闘16面体が出現していた。
「よく、辿りいたな。トリニティ。だが、ここは我々の領地だ。
それゆえ、君をおもうぞんぶん料理できる」
トリニティはおぞけをふるう。力は先刻、蛇に何かを食べさせられてから、どんどん抜けていく。

 ユニが走り出して、戦闘16面体にぶつかっていく。
「やめろ、戦闘16面体め」
「いつから、我々にそんな口がきけるようになった、
一角獣。お前が、この機械城を自由に動いていたのは、お前が我々に害をおよばさなかったからだ。
いわば、お情けで生かしておいたのだ。侵入してきた生き物を、
お前が殺していたからな。それなりの利用価値を認めていたのだ」
「お前に、僕の生きていく意味なんか決められてたまるか」

「さあ、トリニティ、私のいう事をおきき」アリスはトリニティをつかんだ。
力が抜けているトリニティは易々と捕まえられる。

「あなたを滅ぼせば、あなたの代りに私が世界子になれる」
次から次から新しい言葉をいう女だわ、この子って。
「世界子って一体」
「この世界を支配する王の子供よ。それになるためにはあなたの存在がじゃまなの」
 ちょっと、そんなに強くつかまないでよ。

 2人の目の前に、中央のドームへのガラスの階段が出現していた。
まるで、青空につながっているように見える。
「あたしと一緒にこの階段をあがってもらうわ」
虹の階段だ。
 恐ろしい程の力でアリスはトリニティをつかんでいた。

「この上にあたしの部屋がある。そこであなたをバラバラにするつもり」
 アリスはニヤッと笑う。
きゃっ、気持ちが悪い奴。

 二人でそのガラスの階段をのぼり始める。
 何をするのよ、この子は、一体なんで、トリニティはその時、階段のガラスを見た。
二人の体が写っているが、この世界は違ってみえた。

 アリスは機械のかたまりだ。
それにあたしの体は、恐ろしい事に3人の体がだぶって見える。

何、これ、このガラスの階段は。恐怖でトリニティに急に力が沸いて来る。
「キャッ何」思わず叫んだ。力一杯アリスの体を突いていた。

「何をするの」アリスの体は真っさかさまに地上に落下していく。
 楽園のアリスの体がバラバラにくだけちった。

彼女の体は本当に機械から成り立っていたのだ。
アリスが死んだ時間、最後の楽園の色彩が一変した。
赤や緑や青の色が急にモノクロの世界に変わる。
また楽園も急変する。木々がバラバラと分離し始める。
木々や生物に見えたものはすべて機械部品の集まりだったのだ。

戦闘16面体はチャクラの元で、トリニティの情報をつかんで、自ら脱出した。
その時に決意していた。我々が、世界子であるトリニティを作ろうと。
「アリス」はトリニティのコピーなのだ。

 トリニティは急いで階段の下まで走り降りる。
が、かけ降りる端から、ガラスの階段が崩れ落ちていく。
 トリニティは、アリスの機械人体のそばに、散ばっている残骸から
“黄金のリンゴ”をみつけ出し、つかみとった。
これがそうなの。

 その時、一角獣と争っていた戦闘16面体が、その様子に気づく。
「何という事を、我が子よ」戦闘16面体がトリニティの所へ飛来してくる。
「よくも我が子を殺したな。トリニティ。
それに黄金のリンゴをかえしてもらおう。それをお前に渡すわけにはいかん」

 戦闘16面体からトリニティを守ろうとしてユニが突き込んできた。
「ええい、じゃまな奴め」
戦闘16面体の突起がユニの内腹をつき破っていた。

「ユニー」トリニティは声を限りにはりさけんでいた。
「早く、早く、その禁断の実を飲み込め」
苦しい息の下でユニがつぶやく。こんなの、本当に食べれるの。
「ええい。消えろ、このうすぎたない一角獣め」

 つきささったままの突起が白熱した。轟音と共にユニの体がふき飛ぶ。
 やめて、やめてよ。こんなの見たくない。
戦闘16面体って、情け容赦もない奴。

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.30 01:24:38
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2008.01.09

■腐敗惑星■第19回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第19回(第16章)
「機械城の内部ならよく知っているよ」ユニコーンは言った。
「どうしてなのユニ」とトリニティ。
(よかった、話題をこのまま続けようっと)
「どうしてっていわれても。記憶があるんだ」
「それじゃひょっとして、昔、あなたはここで造られたの」
「トリニティ、やめてくれよ、僕は一角獣だぜ」
「でも、ユニ、おかしいとはおもわない。あなたがさっき言ったように、
生物はこの星にはいないんでしょ。生物はみな腐敗するのでしょ。じゃおかしいじゃない」

と言ってトリニティは頭をかしげた。
「あなたって、やはり、もしかして機械じゃないの」
「やめてくれよ、トリニティ。僕の体っでは血液はどくどくと流れている。さわってごらん」
トリニティは一角獣の体をさわる。確かに血液が流れているようだ。
「ほんとだ」
「腐敗するかどうかは、風族がきめることだ。僕の、意識があるときからずっと腐敗しないでいた」

「機械城ってどうして作られたの」
「今、ここ腐敗惑星を支配しているのは戦闘16面体なのだ。戦闘16面体は、落ちて来た宇宙船や、機械類を集め利用して、自分の棲息域を作り上げた。機械城には幾つものフロアがある。この戦闘16面体の動きは風は許しているようだ」
「風って意識があるの」

「君って何もしらない子だなあ」
「いいわよ、じゃあ、物知りさん、どこに「禁断の実」があるの」

「たぶん、最上階じゃないかな。でも、ここ機械城の防御システムは生き物を寄せ付けないシステムになっているはずだ」
「それじゃあ、なぜ、あたし達ははいれたの」
「僕はよく出入りする」
「あたし達は生命体ではないのかしら」

 急に風向きが変わる。
「ねえ、この匂いはなに」
「残念ながら、わからない」
匂いのする方向に機械城地下基盤通路を進む。コーナーを回り切るとそこは……
「ここは、いったい何よ、本当に機械城なの」トリニティは驚いた。


 地平線まで草原が続いている。バーチャル空間のようでもある。
真ん中にドームがある。そのドームからガラスの階段が地面から上がっていた。
 
しかし、ここは機械城の中なのに、木や草や普通の土がある。
青空もみえる。昆虫や動物もいる。木々が茂り、この匂いが漂ってきたのだろう。
すべて、トリニティが古代世界のコトとしてチャクラから学んだことばかりだった。
それが実在している。

「なぜ、なぜなの」トリニティは叫んでいた。
ユニは答えようがない。彼も始めて、ここまで進んだのだ。
「あっ、花よ、花。ユニ、悪いけど、あの花をとってよ」
「まったく、君は人つかいの荒い子だね。僕は君の奴隷じゃあないぜ」
「あなたはレディにたいする態度ができていないわよ。それに、あたしがあの花を髪につけると似合うと思うの」
 ユニはいやいや、花を取ってトリニティに渡す。
「どう、ユニ、きれい」
「どっちがさ。花か君か」
「あたしに決まっているでしょう、ユニったら何を考えているのよ」

「おいおい、仲のよいご両人」急に木のところから声がする。ユニは身構える。
「誰だ」
「俺かい。俺は蛇だよ」
 木の幹のところから全長1mくらいの蛇が姿を現す。
「ああ、あなたが蛇なの」
「トリニティ、君は知っているのか」
「ええ、機械教師にならったわ。あたしたちに何か」
「いいことを教えてやろう」
「何」教えるですってもううんざりなのに。

「このリンゴの実を食べてごらん」蛇は、この木に実っている果実を示した。
「それを食べたら、どうなるの」
「賢くなるさ」もう賢くなるなんていいわよ
「いいわよ、あたしはこれで充分」
「僕もさ」
「食べてもらわないとこまるんだ。俺がね」
 蛇が急に、トリニティの口を目がけて何かを投げる。トリニティの口に入る。
「何よ、これ」
「何をする」
「うるさい奴だ」蛇は飛び掛かり、一角獣ユニの首を自らの体で締め上げる。
「何よ」トリニティはその蛇をユニから取り外そうとする。がトリニティの体から急に力が抜けていく。
「何が入っているの」蛇のからだを一角獣はかみ砕く。

「この蛇は機械だ」蛇はバラバラになり地面に転がる。
 突然、上の方から声がする。

「機械城の最後の楽園へ、ようこそ」

草原中央部にあるドームから、1人の女の子が出てきて、2人に向かって言っていた。
「一体あなたは」
彼女を見て、トリニティは冷汗をかいている。ユニもびっくりして声がでない。

 その女の子はトリニティと生きうつしだった。こんなことってあるの。
「あたし、あたしの名は楽園のアリスよ。びっくりしているでしょう、トリニティ」
「なぜ、あたしの名前を」
「あたしは何でも知っているわ、チャクラのこともね」
「一体君は…」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.30 01:23:28
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2008.01.08

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第18回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第18回(第13章)
「ここは……」
トリニティの意識が戻ってきた。周りは、機械で一杯で、洞窟のように見
える。誰かがいる気配がある。その誰か、がここに連れてきたようだ。ともかく死ぬことは免れた。

「機械城の地下基盤の央さ」どこかから声がした。
「機械城って何、それにあなたは誰なの」トリニティは立ちあがろうとする。
「待ちな。もし少し横になっていた方がいい」その声は言った。

なたはいったい」トリニティは頭だけを持ちあげ、声のした方を見た。声の主は人間
の形をとってはいない。

 一角獣だった。
「驚いたかもしれないね。僕の体がこんなだからね」一角獣は、その姿に似合わぬやさし
い声で言った。
〈どうやら敵ではないわね〉
 トリニティはチャクラでの学習で、一角獣という概念は持っている。が実物を見るのは
始めてだった。

「一角獣がなぜしゃべれるの」トリニティの口から出た言葉はまるで愚問だ。
「そんな事、僕がわかるものか」
「あなたは、ここ機械城に住んでいるの」

「質問責めか、ねぇ、それより君、君こそどこの誰なのだ」
「あたしはトリニティ」
「僕は、びっくりした。機械砂の下に人が埋まっているんだもの。腐敗惑星では、生物が
生息圏にはいるやいなや腐敗するからね。だから生きているのが不思議だ」
「皆同じことを言うわ」
「皆って」

「戦闘16面体でしょ、ゴーストトレイン」
「奴らにあったのか」
「そうよ」

 一角獣は不思議な気がした。彼の役割はこの星へ落ちてきた生物を殺すことだ。その彼
がこの少女を思わず助けてしまった。機械砂に埋もれ、死にかかっていたこの子を掘りお
こし、この機械城の中まで連れてきてしまったのだ。
 何か親しいものを、この少女に感じたのは確かなのだ。この少女は一体、何者だ。

「君は何のために、ここにいるんだ」
「あーあ、皆、質問ばっかり、女の子を見たことがないんじゃない」
「そうだ、この百年間、女の子なんて見たことはない」
「かわいそうな人達だわ。でもあたしが、こんな死にそうな目にあったのはチャクラのせ
いよ」
「チャクラだって」

「そうよ、地下羊宮チャクラのことよ。あの人が、成人式だとか言って、こんな重装備を
つけさせて外にほおり出すんだもの。あれっあたしの装備は」
「はずしたさ、ここの城内では不用さ」
 端の方に装備がころがっている。
(よかった。この一角獣はとりあえず若いみたいだから、あたしの魅力で味方にしなきゃ
あ)

「それで、レディにばっかり質問するなんて失礼よ。あなたこそ何よ」
「一角獣だ。見ての通り」
「ユニコーン。じゃユニって呼ぶことにするわ。あたしを助けさせてあげる」
「おいおい、君。僕がなぜ君を助けなきゃいけない」
「だって、あそこであたしを助けたのだから、ずっと責任というものがおこったわ。私を
ずっと助けるべきよ。もといた場所には帰れるようにしてちょうだい」
(当然でしょ。あたしにはナイトが必要なんだから)

「君のような子は見たことがない」
「そりゃ、そうでしょうよ、100年もね。それであなたは、ここで何をしているの」
「君は、僕の最初の質問に答えていない。君こそ、ここで何をしている」
「あーあー、質問のくりかえし。チャクラの機械教師みたいだわ、いやになるわ」
「トリニティ、一体君は……」

「うるさいわねえ、あたしにだって耳はあるわよ。わかった。あたしの目的をしゃべってあげる、そのかわり、あなたもいうのよ」
「わかった、わかった」
「あたしの目的は、ここ腐敗惑星で生きることよ」
「トリニティ、バカにするな」
 一角獣の角が急に光った。怒りの印だ。
「わ、わかったわよ。冗談よ、冗談。冗談が通じない人はレディにもてないわよ。本当の
目的を言うわ。禁断の実を見つけることよ」「禁断の実だと、なぜその事を知っている」「怒
らないでよ。あたしは知らない。ただチャクラがそれを見つけろっていうんですもの」「そ
いつは、かなりの大事だな」
「ところで、ユニ、あなたの役目は」

「驚くなよ。この星に落ちてくる生物を殺すことだよ」
(ええっ、殺人者なの、こいつは)
 トリニティの顔色は青ざめていた。
(お願いだからあたしを殺さないでね。そう、話題を変えよう)
「あなた、この機械城に詳しいの」
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.30 01:22:19
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2008.01.07

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第17回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第17回(第13章)

「さあ、ここよ」ゴーストトレインは再び地表に出現していた。
「ああーっやっと到着か。ここって」
 まわりは腐肉は見えず、旧い宇宙船の残骸がえんえんと続いていた。
「こんなところも、この星にあったの」
「ここが、機械城エリア。残念ながら、私の体はこのエリアに、はいれないのよ」
「どうして」
「ここは機械城よ。数kmに渡って機械だけで作りあげられた円形のドームなの」
「うわーっ、やめて、こんな所で一人にしないでよ」

「トリニティ、わかるでしょう、地中の中心まで機械だらけなのよ。そして私の体は半生
物。だから、この機械の中をつっきるわけにはいかないの。ごめんね、」
「禁断の実はここにあるの」
「そうよ、そう聞いているわ」
「聞いているって。あなたも詳しくはしらないの。それをどうしてあたしが探せるのよ。
どこにあるの」
「それは知らない、でもあなたが、選ばれた者なら、それはおのずとわかるはずよ」
「別に選ばれてほしくないよ-」

 トリニティの体は、ゴーストトレインの横腹から触手により出されていた。
「ああっ、いやだ。まだ、この安全なところから出たくない」
(でも、ゴーストトレインとはまた会うかもしれないから、ゴマスリしとこっと。味方は
多いほど良いからね)自分に言い聞かせるトリニティであった。
「これでおわかれなのね。ありがとう」トリニティはゴーストトレインの大きな体にふれ
て、顔に向けてキスをした。涙ぐんでいた。「ねえ、なぜ、ゴーストトレインというの」「昔、
私はね、ゴースト、つまり霊体を乗せてこの星を走り回っていたのよ」

「霊体って」
「意識体のことよ。あなたみたいにね」
「ええっ、どういう意味」
「いずれ、分かるわ。それより、トリニティ、戦闘16面体には気をつけてね。奴はあなたを殺
そうとするからね」
「ゲッ、脅かさないでよい。それなら、一緒にいて」
「無理よ。ともかくあなたが早く、禁断の実を見つけることが先決よ。皆期待しているわ」
「ええっ、皆って、誰」
「それもいずれわかるわ」

「わかりっこないよ。あたしはこの星で一番若い、経験のない子供なんだから。皆、もっ
とあたしを丁寧に扱ってよ、本当に。あたしだけで、謎の全部がわかるわけはないわ」
トリニティは一人ごちた。
 風化した機械のかけらが小石の様に吹きとばされてきた。ゴーストトレインの体にグサ
グサささる。
「だめだわ、私の体がさびついてしまう。ここで消えるわね、トリニティ」ゴーストトレ
インは腐敗肉の地表へすばやく潜り込む。
「さようなら」
 ああっ、いってしまった。さあ、どうしょうか。

 トリニティは、腐肉と機械城の境界をくぎっている機械の土手をこえた。
 瞬間、トリニティの体が振動する。
 「何なの。あたしの体はどうしたの」
 トリニティは機械表面の上に倒れた。
 続いて、機械砂の嵐がおそってきた。あらゆる機械をさびつかせるこまかい機械の砕片
砂の嵐だった。それが、ふるえ倒れているトリニティの体の上におおおいかぶさってくる。 
眼、鼻、口がふさがれ、吸収ができないのだ。
 あたしはここで、死んでしまうのかしら。トリニティの意識がとぎれた。
(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.29 01:28:53
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2008.01.06

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第16回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第16回(第12章)
「女よ、お前は寂寥王(せきりょうおう)の分身なのか」
その突然出現した異物は言った。メタリックな戦闘16面体だつた。
 さわるとスパッと切れそうと、トリニティは思った。こいつが戦闘16面体なの。

「寂寥王ならば、かわいそうだが、お前を殺さねばならぬ。我々は寂寥王が現れる事を認めるわけにはいかん」
16面体の声はエコーがかかっている。何人かがしゃべっている感じだ。
(チャクラと違って扱いにくそうな奴)
「我々がいま、この腐敗惑星を支配している。お前のような生命体を認めるわけにいかん。かわいそうだが、死んでもらおう」

「せきりょうおうなんてしらないわよ。おまけに、ここを支配ですって。なぜ、あたしがあなたにころされなきゃいけないの。相手をみて
言ってよ。チャクラから聞いていたけど、あなた、絶対変よ」

 が、抗議も聞かず、恐ろしいスピードで、戦闘16面体はトリニティの側にちかづいてきた。

その時、腐肉の地中から生物はずぶずぶと出現した。腐肉の地中から全身をあらわしていた。
全長10mはある“イモムシ”の様だった。関節が所々にある。側面に窓があり、模様のようにキラキ
ラ輝いていた。
「どうして、次々と知らない人があらわれるよ、あたしは禁断の実をさがしているだけな
んだから。チャクラ、助けて」トリニティは泣きながら叫んでいた。

「何!禁断の実だと」2つの生物が同時に叫んだ。
戦闘16面体は、現れた生物に叫ぶ。
「お前は何だ、ゴーストトレイン、死んだのではなかったか」

メタリックな戦闘16面体が、地中から出現した生物に言った。
「あなた、ひさしぶりね。戦闘16面体。あなたこそ、まだ生きていたの」
そう言いながら、

「この子は我々にまかせろ。寂寥王かもしれないからな」
戦闘16面体がゴーストトレインの方を向いて言った。
「あなたこそ、この子から手をひきなさい」


「ヘイヘイ、二人ともなによ。あたしを無視して、あたしを巡ってけんかしないでよ」
「トリニティ、いい、私の命令に従いなさい」ゴーストトレインは言った。
「そんな事言ったって」
(いやな奴だわ。強引よ、今あったばかりなのに)

「考えているひまはないでしょう。この戦闘16面体はあなたを殺そうとしているのよ」
 ゴーストトレインの胴体の一部が開き、触手がトリニティの体をつかんでいた。
「きゃっ、何をするの。無理やりに連れていかないで」
「いい、私のいう事をききなさい、あなたを助けてあげようというのよ。それに禁断の実
のある場所につれていってあげる」
「何ですって、あなた、禁断の実のありかを知っているの」
腹の中でトリニティは叫んでいた。
「どうやら、この中は安全みたいね」
「そうよ」体の中から声がしてトリニティに聞こえた。

 戦闘16面体が、ゴーストトレインを阻止しょうとする。

ゴーストトレインの内壁には窓の様なところがあり、今の様子はそこから一部始終が見えた。
「まて、そやつは寂寥王かもしれんのだぞ、この星を滅ぼし、またこの世界を滅ぼそうと
している」
「どうしても、つれてゆくというなら、お前を先に倒す」
 戦闘16面体の側面から、攻撃用の突起物が出現していた。
「すごい、どっちが強いの。ともかく、期待して、見物しょうっと」
トリニティは暢気なことをいった。

「私をあなたが倒せるかしらねぇ、戦闘16面体」
 ゴーストトレインの尾部が急にはねあがり、
戦闘16面体の体がひとなぎした。先制攻撃のパンチだ。今までいた空間から戦闘16面体はふきと
ばされる。
「うわっ、やるじゃない。見直したわ」
「きさま」戦闘16面体は発光した。突起物の1本が急激にのび、ゴーストトレインの横壁にさ
さる。パシッと大きな音がして、その部分が黒コゲとなる。
「いやだっ、がんばってよ、あたしがついてるから」
 ゴーストトレインの体全体が身震いした。
「いいか、今のは警告だ。その女を我々に渡せ」
「いやだ。あたしを渡さないでお願いだから」
 叫ぶ、トリニティだった。
「いやだわ、私を傷つけた以上、しかえしをさせてもらおうわ」
 ゴーストトレインの数箇所の関節部分から、白い粘液が戦闘16面体に吹きかけられる。
「くそっ、きさま、何をする。動けない」
 16面体は、白い繭になって地表に落ちる。
「ああっ、いいきみよ」
「さあ、今のうちよ」ゴーストトレインは地中に潜ろうとする。
「ええっ、この腐肉の中を進むの、考えただけで気持ちが悪いわ。まって、どこにあたし
をつれていくつもり」
トリニティは叫んだ。
「決まっているでしょう、禁断の実のある場所
じゃないの」
「それなら、いい、ここなら安全、らくちんだから。ああ、よかった」

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.29 01:27:54
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2008.01.05

■トリニテイ・イン・腐敗惑星■第15回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
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第15回(第12章)

腐敗惑星である腐肉の地表上を、トリニティは歩んでいた。
「何よ。これ、ここが地表なの。ここを歩けというの」
「しかたがないじゃろう」地下羊宮の擬似映像チャクラの声が、服の中にあるモニターから流れてきた。
「お願いだから、羊宮に戻してよ」
「だめなのものはだめじゃ」

 腐肉の大地を歩くのに最初は苦労した。今では何とか、チャクラがトリニティのために
造ってくれた特殊な靴のおかげで、沈まずに歩いていける。
 これまでのあいだ知識生命体にはあわずにいる。存在するのは腐肉を喰べていきている
小動物だけだ。あとはかってロケットや何かのわからぬ機械の残滓の山々。また延々と続
く腐肉の大地。所々にある体液や腐敗液の池だった。あまり遠くを見通すことはできない。 
「あ-あっ、地獄めぐりだわ、もう、いや」
 トリニティはマスクを顔の前につけている。
この大地の臭気を、直接肺の中にすいこんだらむせかえってしまうだろう。あの居心地の
いい地下羊宮チャクラのエアーコンディショニングの中で生長したのだから、ここは確か
に地獄だろう。

「なぜ、こんな所を歩かきゃならないの」彼女は不満を述べている。
 トリニティは何かの大きな骨格をは発見し、その上にすわって考えて始めた。
(一体《禁断の実》なんてどこにあるのかしら。実ってことは木があるわけよね。でも森
林、いえ木なんて見たことがないわ。
 ひょっとして、羊宮チャクラみたいに、地下に生存エリアにあるのかもしれない。でも
どうしたら見つけられるの。
 なぜ、ちゃんと教えてくれないのよ。早く見つけてチャクラのところへ帰りたい。こん
な所もう、うんざり。
 チャクラはそれについて何も教えてくれなかった。それとも《禁断の実》なんて、どこ
にもないのじゃないかしら。それに《禁断の実》を発見してどうしたらいいの。わからな
い事ばっかし。あたしには荷が重いわ)

 何かがトリニティを観察していた。そいつは地下で数百年の眠りからさめたところだっ
た。トリニテイの歩く感触で、そいつは敏感に目覚めたのだ。大きな音をあげてそいつは
地表にたどりつく。
 腐肉の中からようやく出現したそいつは、トリニティの前に顔を向ける。
「あなたは誰」

そいつは、トリニティに叫ぶ。トリニティはこれが地下羊宮チャクラがつくり、逆らった「戦闘16面体」かしらと
驚いている。
(いやよ。まだ心の準備ができていないわ) 地下羊宮チャクラの中枢頭脳は、彼女の視
線と同一化していた。彼女のみたもの、感じたものがすべて脳波となって、チャクラのと
ころへ送りつけられていた。
「しまった。あやつ、まだ生きておったのか」チャクラは独りごちた。
「あなたこそ一体誰なの」トリニティはその生物に尋ねる。


「あなたが先に名乗りなさい。この星では生きている人間など見るのはひさしぶりよ。あ
なたが生きていられる事が、不思議だわ」
「そんな事を言われてもこまる。あたしはトリニティ。チャクラに育てられたのよ」
「チャクラですって」その生物はニヤリと笑ったようだった。
「チャクラならやりかねないわね」
「どういう事なの、それ。それにあなたこそ生物でしょう。なぜこの星で生きていけるの
よ」
「ほっほっほっ、おもしろい事をいう女の子ね。なぜ私が生きているかですって、チャク
ラから聞いていないの」
「どうやら、その顔は聞いていないようねえ。それなら……」

 その生物がしゃべりかけた時、上空から突然、銀色にきらめく物体が降下してきた。
 そいつは自ら浮力を持ち、空間を自在に移動できるようだ。

(続く)
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.01.29 01:26:51
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