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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

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地下道1949

2018.11.07
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カテゴリ:地下道1949
東京地下道1949■第1回

(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1603de/



地下道1949■第1回


1949年 日本トウキョウ。



 男達が争っていた。

いや一名の男が数名の男に追われている。

逃げる男はスラブ系の顔をしている。

アメリカ軍占領地区、トウキョウ市の町中で追跡が

行なわれている。

 追う一団は、トレンチ・コートで身をかた

め、一般市民の姿をしているが、訓練を受け

死者の持つ独特の体臭がする。

彼らは入がいない場所にぐると、コルト45を各々と取りだし、

前の逃げる男へ弾をあびせる。

 逃げている男も、オーバーコートからトカ

レフ挙銃を出し、振りむきざま、撃ちかえす。

男の射撃の腕は一段上手らしい。

たちまち後の2人の男が倒れた。前の男は大事そうに、カ

パンをかかえている。 



やがて、追撃している男に応援が来た。ライフルを持っている。

彼はスコープに逃亡者をとらえ、男の肩を阻撃した。

 男はうずくまり、死力を尽し、カパンを目の前の河へほおり投げた。

 河は雨の降った後で、水かさが増していた。一濁流で流れも急だ。



 このいちぶしじゆうを見ていた一入の浮浪児がいた。

すばやく河に棹さし、そのカバンをひっかけひろいあげた。

少年は隠れた。

 追撃して来た狩人達は、倒れている獲物のそぱに立つ。

男は歯に隠していた毒カプセルを飲んで死んでいた。



 男達はあたりを見わたす。 カバンを探しているようだった。

しかし、一時間後、彼らはあきちめたらしく、ひきあげていった。



 その隠れ場所で息をひそめていた少年は、カバンを手に出

てきた。

死体の手からトカレフ挙銃をひっべがし、河のそばへひきずり、死体を投げ落と

した。

それから、意気様々と「竜」のアジトヘ向かった。

(続く)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所






最終更新日  2018.11.07 01:11:59
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2008.05.18
カテゴリ:地下道1949


地下道1949■第16回最終回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/ 

兄公介、との別れを悲しみながら、竜は下の地下道へ降りていく。
恵は、やっと気がついたようだ。
「恵、驚くよ。、兄さんと合ったぞ」
「公介にいさんですった、なぜ起してくらなかったの」
「ロシア人が追って来ていた。早く逃げ出さないとまづかったんだ」
「兄さんは」
「元気だった、きっと、俺たちを探してくれると、約束した」
恵は回りにきづく。
「この道は、地下壕と遠うようね。」
「そうさ、みて驚くなよ」


地下道本道にたどりついた時、ソ連兵の小隊が、シュパーギン短機関銃
を構え待ていた。
 「ちくしょう」
「何でなの」
 竜が、銃を撃った。
機関銃弾のシャワーが、3人の体に降り注いだ。

ロシア人の軍曹が、子供であったものの死体を足で蹴った。
「子供だな。俺にも、故郷にこれくらいの子供が、、」
「セルゲイ、感傷は無用だ、早く片付けろ」
ロシア人の軍曹セルゲイの上役の政治将校が、言葉を投げつける。

 ムサシのアジトの二階で、乾公介は独りごちた。
「ゆるしてくれ、竜介、恵。お前たちの死はけっしてむだにはしない。日本のためなのだ。
お前達の事件であの「地下道」のことが、外部にもれては困るのだ。

 ソビエト軍が、この地下道を使用し我々アメリカ軍を攻撃することをアメリカ情報機関OSSはすでにつかんでいるのだ。アメリカ軍は彼らを、待ちぶせし、占領地区で圧倒的優位に立つのだ。このうらぎり的なソ建の進撃に対して世界の世論は米軍に有利に働く。
 
さらに米軍の力を借り、余勢をかってソ達軍を、日本から追放するのだ。日本を統一する
のだ。国が二つに分断されている事程不幸なことはないのだ。例え、日本が米軍に完全に
占領されていようと、アメリカ軍という、一ケ国の占領の方がよりましなのだ。
 あくでも米軍はこの地下トンネルの事を知らないことにしなければならない。地図も
我々の手には入らなかったのだ。

俺は、特攻隊として出撃し、死ねなかった男だ。仲間たち、戦友のために、少なくとも父母
の土地日本のために死んでいった戦友たちのために、日本を統一復興させなばならん。

例え、暴力に暴力をもちいても、このプランをなしとげなければならん。俺のこの命は日本のために、一度死んだのだ。
恵、竜介よ、俺も間違いなく、お前たちのそばに行く。待っておくれ。俺の命もおそらく1か月とは持たないだろう。その間に、ソビエト軍が、あの地下道を利用して、攻撃してくるのを
俺は期待する。いや、きっとくるはずだ]。

 地下道にまよいこんだ戦争孤児.3名が銃殺されたーケ月後。

東都新報1九五〇年十二月十四日夕刊
「本日未明、占領ソ連軍はトウキョウ市後方にある米軍
貯蔵兵端地への奇襲を行った。宣戦布告はなく、
べ突如強襲を行な?だ。どの攻撃はあらかじめ入念に計画されていた。
分断線の地下をくぐり、巨大な地下侵攻トンネルが秘密裏に建設されていた。

わが勇敢なる米軍は、すぐさま反撃に転じ、逆にトウキョウ市分断線を越えで
ソビエト占領占領地区へ進撃中である」

1949年当時のアメリカ戦死者名簿に、一人の日本人の名前かある。
「乾公介ー通訳1949年11月14日。
ソ連軍進撃の際、前線にて機銃弾を受け即死。
24才。係累及び家族なし」

(完)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.05.28 07:20:15
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2008.05.17
カテゴリ:地下道1949

地下道1949■第15回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

ビルの前に乗り捨ててあった、ベンツを目ざとく見つけた男達がいた。
ソビエト、MGBのエージエントだ。彼らは銃を構え、ビルヘはいっていく。
ムサシの大きな背が、彼らの目にはいった。

ムサシは,鉄の首を、残った右手でしめあげようとしていた。
MGBのエージエントの男達の消音読が火を吹いた。ムサシは鉄の体の上に倒れる。
そのショックで、鉄の意識がもどってきた。
鉄の上に、ムサシの血まみれの体が、のしかかっていた。
三人の男が、物色している。ロシア人だ。
ナイフに手をのばし、一人の男に投げた。
一人の男のノドに当る。男は窓ガラスをつきやぶり下へ降ちる。残り二人
 は消音拳銃を発射するが、弾はムサシの死体にのめり込むだけだ。
  倒れていた竜が、おきあがりざま、二人の男へ向け撃った。
一人は即死。残り一入は手にあたっただけだ。
挙銃をおとし、逃がれようとした。             

乾公介は,MGBのエージェントの監視を続けていた、
その部下からの、至急の報告を受けた。
ムサシのアジトの前に車を止め、音の聞こえた二階へあがろうとした。
 ロシア人は階段の踊り場で一人、日本人が立っているのに気がつく。
日本人は、落ちつきはらった様子で銃をむけた。
それから、消音器で、その男の額をぶち抜き、ゆっくりと二階へあがってきた。

「待て、打つな、俺は君達の味方だ」
「何、味方だと、変な所にころがりこんできて、何者だ。おっさん」

 鉄が、ムサシの体をようやく押しのけ、立ちあがっていた。
 竜は、頭をふらふらさせながら、かろうじて、銃をこちらに向けていた。

竜に一瞬の変化が起った。
しばらく、乾の顛をながめていたが、驚いた様子で言った。
「兄さん、兄さんじゃないか 。俺だよ。弟の竜介だよ」
「ああ、竜介!」
 乾の口に、にがいものが走る。汗がでる。だきしめている。
「死んだものと思っていた」
くそっ、何んてことだ。よりにもよって弟が。
しかし、あのプランは完遂しなければならない。と乾公介は,思った。

だきしめていた竜介をはなし、言った。
「いそげ、ここはまかせろ。新手がやってくるぞ」
 窓から、五台の車が停車するのが見える。
「恵、妹の恵は、どこだ」
 竜がさけぶ。
一部始終を見ていたらしく。恵はしぱられ、気を失なっている。
 鉄は、恵をかつぎあげる。竜もあとに続く。
兄の公介も続いている。抜け穴の入り口にはいったところで、公介はいう。
 「それじゃここでか別れだ。私はこの穴を塞ぐ」
「何だって、兄さんはどうするんだ。」
「まかせて分け、俺は荒事にはなれているんだ」
「またあえるね」
竜が、兄の顔を見上げて、心を込めていう。
しかし、公介の心は乾いている。
「もちろんだ。必ずお前達を捜し出すぞ。さあ早くいくんだ」

三人が抜け穴に消えたあと、公介はダイナマイトをしかけ、抜け穴の入り口を、吹きとぱした。
 公介の後には、音も立てずに五人の男が近よっていた。
公介は、銃口をゆっくりと、下ろした。
「乾チーフ、これでよかったんですか」
間があった。公介は、やがておも重しげに、
「そうだ、作戦終了だ。あとはソ建軍が動き
出すのを待つだけだ。すまんが一入にしてかいてくれないか」         
公介一人を置いて、五人の米軍OSSのエージエントは下へ降りていった。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.05.27 22:27:09
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カテゴリ:地下道1949


地下道1949■第14回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

大名庭園の池のそばに、目ざす石どうろうの基部は残っていた。
石どうろうを力いっぱい動かそうとする。やっと動き始める。

池であったらしい底が真っ二つに裂け、巨大な穴が開く。
階段が、暗闇の中へといざなっている。

鉄は壊中電灯を持ち、階段を降りて行く。
地図通り、トウキョウ城の抜け穴だ。戦国時代、トウキョウ城構築の折、造られ、
後世に整備されていった地下隧道なのだ。

太平洋戦時中の地下壕の比ではない。大きな地下空洞だ。
城へ行くこともできるが、鉄はムサシのアジトのピルがちょうど別の抜け穴
の出口にあたることに気がついていたのだ。
 本道にはいる。
地下本道は拡い、
ここは何という広さだ。と鉄は思った。
ゆうに車2台が並んで走れるくらいだ。
鉄は壊中電灯を消す。灯火が所々にともされているのだ。

近代的な電線や配線が天井部に、はりめぐってらされている。ごく最近人の手が加え
られている。
遠くトウキョウ城の方だろうか、工事の音らしいものが聞えてくる。危険を感じた。
誰かに出くわすかもしれない。すばやく行勤し、ムサシのアジトヘいそがねば。と鉄は思った。

 足音が近づいてきた。
鉄はあわてて、地下道の天井の配電線によじのぼる。逆さまにしがみついた。
 ロシア語の話し声が聞えてきた。
三人のソ連兵が通りすぎていった。鉄には気がつかない。

 すでに、ソ連軍はトウキョウ城の地下道を発見し、開削し、拡張し、
アメリカ軍に気ずかれないようにトウキョウ市アメリカ占領地区の地下まで
、侵攻用の拡大な軍用道路を建設していたのだ。

 彼らがとうすぎた後、鉄はあわてて、ムサシのアジトの方へ向った。
後に現在の地図を落としたのに気がついていなかった。


 竜の意識.がもどってくる。
くそ鉄め。鉄はいない。
鉄の行動はどうもおかしい。さらにムサシが恵をさらった理由がつかめない。
鉄が今日の襲撃の一件に関係していたのだろうか。
そういえば地下壕であった時、鉄はかなり憔悴していた。
地図のことも気かかりだ。
伸藤の言ったことも気になる。とにかくムサシのアジトヘ急がなければならない。
 車を動かそうとした。キーがない。鉄がぬいていったのだ。
車の配線をつないで、エンジンをかけるのに時間がかかった。
しかし車の座席に「トカレフ拳銃」が一丁隠されているのを発見できた。

 ムサシのアジトは、旧トウキョウ区役所の壊われかかったピルだ。
あたジを見わたし、はいっていく。争う音が聞こえてきた。

 鉄は、後から、急にムサシにとびつく。
上背でも力でもかなりの差がある。急襲しかない。
鉄は途中、地下道で、他のソ連兵に出ぐわさず、旧区役所の建物の抜穴へたどりつくことができた。

 ムサシの膂力は、予想以上だった。
彼の体は、筋肉の固まりだ。
首すじにかかっている、ムサシのナイフを手でつかみ、
おしもどした。
さらに、足払いをかけ投げとばす。
左手は血だらけになり、つかいものにならない。                   

 ムサシは、手近かの鉄棒を右手に持ち、ふりまわした。
鉄に肉迫してくる。
 鉄は、棒をかわし、ムサシのふところへとびこ屯うとする。
ムサシは、すばやく鉄のつきだしたナイフをかわし、鉄の右肩から
首にかけて、鉄棒を方の限り降り下ろす、打撃を加えた。
鉄は床にあおむけに、勢いよく倒れた。
ムサシは、鉄に近づいていく。    

 その時、後から声がする。        
「そこまでだ。ムサシ、棒をすてろ、おっと後をむくなょ」            
「その声は、竜だな。生きていたのか」 
「そうさ、生きていたさ」        

 ムサシは、振りあげていた鉄棒を、肩の上方から落とした。
それを見て電が安心したー瞬、ムサシは、床に落下寸前の鉄棒を、
右足を大きぐズイングしてけった。
同時にムサシは必かむけに倒れた。
竜のはなった一弾は、壁にあたっただけだ。
鉄棒はねらいたがわず、竜の顔面に激突した。

(続く)
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最終更新日  2008.05.27 22:26:10
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地下道1949■第13回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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ムサシは誰も信じない男だ。
彼の入に対する信頼感は、戦争時の体験によって完全に破壊されていた。
彼の学校の教師は、厳しく、愛国主義を教え軍事教育を旋してきた。
また、さらに、人格者であるという評判もあった。

ロシア軍の戦車T34を前にして、彼は生徒達をほおりだし、自分だけ助かろうと逃げたのだ。
ムサシの学友は皆殺しにされた。
ムサシは執念深く、その教師の男を、ソ連侵攻軍前線からの逃亡者の群れから捜し求め、みつけ、
殺した。ムサシに、跪き謝ったが、許さなかった。

 ムサシのアジトの二階に恵がしばられ、ころがされていた。
ムサシのアジトはトウキョウの旧区役所でピルの廃墟である。
「心配するな、恵、お前には手を出さない。鉄を殺ったら、すぐ帰してやる」
「鉄が,あんたなんかに、殺されるもんですか」
ムサシは、ふっと笑う。
「ふ、恵、それはどうかな。とにかく奴を殺らなきやならないからな。掟があるんだ」
「掟ですって?」
「いいか、恵。奴のおかげて、何人もいた俺の仲間が全滅したんだぞ。奴が食糧トラック襲撃の一件をぱ
らしたんだからな」
「しかたがないわ。保安部につかまったんですもの」
「ほう、やはりな」
恵は、ムサシの誘導質問にひっかかった。
鉄が、襲撃の件をばらしたことに間違いはないようだな。
仲間をうらぎらないというのが俺たちの掟だ。しかしなぜ、お前がそれを知っているんだ」
「私が、鉄を助けたのよ。」
「何、お前が。ふーん。気の強い女っ子だな」
「お願い。鉄を殺さないで」
「今度は、、お願いか。、、だめだな。掟だからな。鉄も、充分それを承知しているはずだ」
「でも」
「うるさい。鉄のおげで、皆、仲間が死んじまったんだ。お前の兄貴もだ」
「えっ、お兄さんも」
 恵の顔色が変る。
「そうだ、それでも、、まだ、、鉄をかぱうのか」
 答えはなかった。恵は青い顔になる。
 
鉄は、ムサシのアジトの、かなり手前で車を留める。
「どうした、鉄」
「悪いが、竜。ここで待ってくれ」
「どいいう事だ、鉄」
「これは、ムサシと俺の問題だ。お前は関係ない」
「関係ないだと、恵ぱ俺の妹なんだぞ。どういう口を聞く。鉄、いいかげんにしろ」
 竜は、鉄をつかもうとした。

一瞬、早く鉄は体をかわし、竜に足けりをいれた。
みぞおちにきまる。竜は気を失った。        
「竜、すまない。すべては俺が、保安部に食糧車襲撃の一件をばらしちまったことから、  
おこった。恵は、、必らず俺がとりもどす。ゆるしてくれ‥」                
 竜を車にのこし、鉄はくずれかけた屋敷の前で立ちどまる。
鉄は、はるかにかすむトウキョウ城をながめた。

トウキョウ城は、戦災を受けずトウキョウ市の真中にそびえたっている。
しかし、日本の象徴であったトウキョウ城は、ソ連軍筆の占領地区にあるのだ。

トウキョウ城をみながら、目測し、磁石をとりだし、方向を確かめる。
例の地図と現在のトウキョウ市の地図を見ぐらべる。      
「どうやら、ここらしいな」        

 竜は独りごち、江戸時代の旧大名屋敷の庭へ忍びこむ。
トウキョウ市攻防戦の際、かなりの被害を受けたらしく、荒れはてて人影はない。
庭園の池をさがす。池も見るかげもなく、干上がり、形が辛うじてわかるくらいだ。    

(続く)
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最終更新日  2008.05.27 22:25:00
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地下道1949■第12回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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 一人の男が竜のアジトから少し離れた所から見張っていた。
竜と鉄が中へはいっていったあと、男は、写真をとりだし、
一人うなずいた。
停めていた車にもどり、中にしまいこんでいた、タンクと噴霧器をセットし始める。

 鉄は竜を押し倒し、首をしめていた。
「くそ、話せ、鉄、話すんだ。白状しろ」

その時、急に熱気が2人を襲う。火災が建物をなめる。
バラックだから火のまわりは早い。

「くそっ、火災放射器をつかいやがったな。アメ公か、ロシア野郎か」
「よし、早く、地面に隠れるんだ。」
 このような状態を想定し、アジトには、秘密裡に、水がめを地面に埋めてあった。

いよいよ建物がくずれおちかけた時、水がめに身をひそめ、上にトタン板をかぶせる。

 男は、火災放射器から火を噴出しながら、
竜と鉄が逃げだしてくるのをゆっくりと待っていた。

飛び出して来た瞬間に、噴出ノズルを、彼らに向けるのだ。
彼らは生しておいてはならぬ。
そうMGBのエージェントの彼は、命令を受けていた。

彼はじっと待つ。
小屋はついに焼けおかちている。
波らは姿をあらわさなかった。
彼は、火災放射器ノズルをかまえ、くすぶる焼けあとへゆっくりと近づいていく。

 足もとから手がのび、彼はひっぱられた。
地面から少年達が急に出現する。
ノズルを向けようとするが、片足を水がけにつっこんでいて身動きが遅れる。
ノズルのスイッチを押したのと、鉄のナイフが、ノズルとタンタ間のパイプを
貫ぬくのとが同時だった。
タンタからガソリンが流れ出し、焼けあとの残り火に引火した。
爆発がおこった。
男は肉片となり吹き飛ぶ。

「また、助けられたな、鉄。とりあえず休戦だ」
「ここにいてはあぷない。恵を助けるのをいそごう」

 男の車が、乗りすててあった。ペンツだ。鉄が運転した。竜が尋ねた。
「どこへ行くつもりだ。鉄、ムサシのアジトは反対方向だぞ」
「俺にまがせてかけよ。竜。仲藤の店へ行くーんだ。」
「なぜだ」
「考えてもみろょ。仲藤は俺が殺した。いまは誰もいない。武器だよ。
武器があるはずだ。仲藤の店にはな」
 火の手があがっていた。
仲藤の店が燃えている。MGBのしわざに違いない。
「車をまわせ、早く」
 竜が叫ぶ。
「この車に気づかれたら、おしまいだぞ。」
 店から少し離れたところで、鉄は車をとめた。
 「様子をみてくる」
 「気をつけろ」
 鉄はすばやく、伸藤の店へ近ずく。一昨日、ライリーに追われた折、すばやく隠した
地図をひきずりだす。
じっくり見渡す。仲藤の説明通りだ。現在の地図が、車のダヅシュポードにはいってい
たので見比べる。赤丸をすばやぐつけ、その地点の箇条書きを詳しく読む。
そう、ぐずぐずしてはいられない。

ペンツにあの男の仲間が気がついたら、おしまいだ。車に駆け戻った。
「どうだった」
「だめだ、中にははいれない」
「じゃ、次はムサシのアジトヘいくか」

(続く)
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最終更新日  2008.05.27 22:22:59
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カテゴリ:地下道1949


地下道1949■第11回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
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故買屋、伸藤は、写真の現像をかわり、ほくそえんでいた。
この写真、いくらになるだろう。鉄から取り上げた地図だ。
もちろん、今日会うソ連側の、MGBのエージエントだけに売るつけるつもりはない。
アメリカの情報部OSSも,もちろん高く買うだろう。

「それじゃ、金をたしかめろ。このカバンの中だ」.
 MGBのエージェントは言った。
「いや、これはどうも、、、」
 仲藤は地図の写真のはいった袋を置き、カバンを開けた。
瞬間、毒ガスがかばんから、仲藤の顔面に吹きつけられた。仲藤は意識を失なった。
男達は仲藤を車に乗せ、アルコールをむりやりに仲藤の口に流し込み、加えて服にもかけた。
途中の橋の上で単をとめ、まわりに人がいないのをみはからって、神田川へ投げこんだ。

 「おい、あれは仲藤だぜ。」
 「なに、伸藤だって。」

 竜と鉄はアジトヘ帰る道で、遠くの橋の上のでき事に気がついた。
  鉄ぱ、昨日の伸藤のあわて方から見て、あの地図が、かなり貴重なものだと感じていた。
 それを知る手がかりは、今の所、伸藤しかない。

鉄を保安部に売ったのが、仲藤だとしても助けざるを得ない。
鉄は竜に手助けをたのんだ。
 河へ人り、伸藤の沈んでいる所へ泳いでく。
二人でひきずって、河岸へ寝かせた。
幸い、死んではいない。
水をはかせ、寝かしていると、目ざめた。ぼんやりと鉄と竜を認めた。
「鉄か、お前に助けられるとは皮肉だな」
 1人毒づいた。
「ぐそっ、MGBの奴らめ」
「あいつらは」
「そうだ、アメリカ占領地区で暗躍するMGBのエージェントだ」
「伸藤、教えてぐれ。あの地図は1体何なんだ。」
 仲藤は少し考え込んだ。
 
「しかたがない。俺の命を助けてくれたお前の事だ。お礼に教えてやろう。あの地図は、戦国時
代にトウキョウ城が造られた時の抜け穴の地図だ。
抜け穴といっても、地下トンネルという意味だ。
現在でもそれが在るとのことだ。
江戸時代、シーポルトに、この地図を、ある日本人が手渡したらしい。
ソ建軍によって、オランダのシーボルト博物館が接収された時に発見されたのだ。
現在、アメリカとソ連は微妙な状態にある。
その地下トンネルが存在するならば、ソ建軍は地下トンネルを利用
し、アメリカ軍の武器集積地点に大量の戦車を、気づかれずに送りこむことができるのだ。
.トウキョウ城は波らの手中にあり、出口は壁の下を通ってアメリガ軍占領填区にたっして
いるはずなのだ。1勢にソ建軍戦車が出現し、重要なポイントを押さえれば、現在の軍事バラyス
はぐずれ、アメリカ軍は守勢にたたざるをえなくなる」

「そうか、地図の事は、よくわかったよ。ありがとうよ。」
 鉄は、すばやく、ナイフをとりだし、伸藤のノドをかき切った。
「何でだ、、」
伸藤の目は、驚きの表情で、目から希望の光を失い、倒れた。
「1度でも、俺をうらぎった奴は生きていちゃ困るんだ」
 「鉄、あの地図は大変なもののようだな。返せ。俺たちのグループのものだ。あれは」
 「ない、今は手もとにない。」
「一体どうしたんだ。」
「それか、地下壕の中で落したらしい。身体検査をしてもいいぜ。それより早く、アジト
ペもどろうぜ」

 アジトに近づき、竜は恵の名前を呼ぶ。返事はない。
人の気配はない。やはり、あの襲撃で竜以外は皆、殺されてしまったようだ。

 アジトの堀っ立て小屋に入り、竜は立ちすくんだ。
壁に紙切れが一枚。
 
「鉄、恵は俺があずかった。話がある。何の話かわかっているだろう。俺のアジトまで来い。ムサシ」

 竜はしばらく考え込み、おもむろに鉄になぐりかかった。
 「何をするんだ。」
「はっきりしろ。お前何か隠しているな、恵とお前は俺たちが外へ出かけている間、一緒
にいたことがある。何があったんだ。ムサシとか前の間に」
 「いや、何もない。昔の、話だろう」
「うそをつけ。それなら、恵をさらうばずがない」

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.05.27 22:20:40
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2008.05.16
カテゴリ:地下道1949

地下道1949■第10回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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「鉄。どこにいるの、鉄、、」
恵は思わず叫んでしまった。
この長い通路の中で鉄とはぐれてしまったのだ。
地下壕はトウキョウ市のすみずみに、はりめぐらされている。
一つまちがえば、迷路のような地下道を堂堂巡りしかねない。
恵は鉄とはぐれてだいぷの時間がたっていた。ろうそくも短くなっていた。
恵はしかたなく自分達のアジトに帰ることにした。


アジトには、兄達はまだ帰っていないようだ。
寂しく恵は竜たちの帰りを待つ。遅い。いつもはこんなでない。不安がよぎる。
 足音がした。恵はドアを急いで開け、叫んだ。
「兄さん」

目の前には180mを越すムサシの姿がそびえたっていた。
その眼はにくしみと悲しみをたたえて、静かに恵をながめていた。


 竜もかろうじて、攻撃からのがれていた。
爆弾のショックで地面が割れ、地下壕に半死半生でふきとばされていた。
竜は、トウキョウ市じゆうに攻防戦用に地下壕が存在していることを、恵から聞いていた。
 恵は地下壕を知悉していた。
ひまがあれば地下壕を歩きまわっていたようだ。
今、ここに恵がいれば、竜は弱音をはいた。

他の奴は助かったろうか。いや恐らく。あんなに激しい攻撃を受けのだ。
助かっているはずがない。
自分が助かったのも不思議だ。

竜は、はるか、昔のこる、そう、もうはるか昔、御伽噺のような昔だ。
その時期をを暗やみの中で思い知こしていた。

彼は幼い恵を背中に負い、怒濤の様なソ建軍の攻撃をのがれたのだ。
何回も兄、恵介からさずかった守り袋をにぎりしめ、つぷやいていた。
「兄さん、助けてくれ。』と。
兄は特攻隊で音信不通の状態だった。
父や母と会うこともないだろうと竜は考えた。その代り、この恵を守り通さねばならぬ。
唯一の肉親だから。そう竜はおもっていた。

 トウキョウ市は戦後、アメリカとソ建により分断された。
両軍共、トウキョウ市周辺に強大な部隊を集結している。
東西陣営の対立が、この日本のトウキョウ市で顕在しているめだ。触発の状態にある。
定期会談がいく度となく聞かれているが、雲行きがあやしい。
そんな中で、竜は恵を守り、生きていかねばならなかった。力が総てだった。

 ポケットをさぐると、ジッポー・ライターがあった。
火をともし、出口を捜し始めた。どこまで続くか、わからない。
永久に外にでられないかもしれない。武器も手にしていない。
 前に光がみえたような気がする。急いでライターを消す。
 光がゆっくりとこちらの方へ近づいてくる。
竜は身をふせた。
 
ろうそくを前に、鉄がかずむずと歩いてきた。
かなり疲れている。鉄は人の気配に気づき、
ろうそくを捨て、ナイフを身構えた。
 「誰だ。そこにいるのは。」
 「さすがだな、鉄。俺たよ、竜だ」
 「お前こんなところに、なぜ。」
 「アメ公にやられたんだよ。米軍トラック襲撃に失敗し、このざまさ」
「かれも似たようなものさ。お前も出口を披し困っているようだな」
「そのようだ」
「しかたがない。ここは共同戦線といくか」

2-3時間ほど歩き回った後、ようやく、ろうそくの炎が風でゆらいだのだ。
風の吹く方向へ進み巧妙に隠された出口へと導かれた。

竜は恵のことが心配だったのでアジトヘ帰ることにした。
鉄はしぶっていたが、やがて、それに同意した。鉄も恵の事が気になっている。
しかし、‥保安部につかまっていたことが、竜にばれてしまう。
その危惧が、鉄を不安にする。


(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/






最終更新日  2008.05.25 23:51:18
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カテゴリ:地下道1949

地下道1949■第10回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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「鉄。どこにいるの、鉄、、」
恵は思わず叫んでしまった。
この長い通路の中で鉄とはぐれてしまったのだ。
地下壕はトウキョウ市のすみずみに、はりめぐらされている。
一つまちがえば、迷路のような地下道を堂堂巡りしかねない。
恵は鉄とはぐれてだいぷの時間がたっていた。ろうそくも短くなっていた。
恵はしかたなく自分達のアジトに帰ることにした。


アジトには、兄達はまだ帰っていないようだ。
寂しく恵は竜たちの帰りを待つ。遅い。いつもはこんなでない。不安がよぎる。
 足音がした。恵はドアを急いで開け、叫んだ。
「兄さん」

目の前には180mを越すムサシの姿がそびえたっていた。
その眼はにくしみと悲しみをたたえて、静かに恵をながめていた。


 竜もかろうじて、攻撃からのがれていた。
爆弾のショックで地面が割れ、地下壕に半死半生でふきとばされていた。
竜は、トウキョウ市じゆうに攻防戦用に地下壕が存在していることを、恵から聞いていた。
 恵は地下壕を知悉していた。
ひまがあれば地下壕を歩きまわっていたようだ。
今、ここに恵がいれば、竜は弱音をはいた。

他の奴は助かったろうか。いや恐らく。あんなに激しい攻撃を受けのだ。
助かっているはずがない。
自分が助かったのも不思議だ。

竜は、はるか、昔のこる、そう、もうはるか昔、御伽噺のような昔だ。
その時期をを暗やみの中で思い知こしていた。

彼は幼い恵を背中に負い、怒濤の様なソ建軍の攻撃をのがれたのだ。
何回も兄、恵介からさずかった守り袋をにぎりしめ、つぷやいていた。
「兄さん、助けてくれ。』と。
兄は特攻隊で音信不通の状態だった。
父や母と会うこともないだろうと竜は考えた。その代り、この恵を守り通さねばならぬ。
唯一の肉親だから。そう竜はおもっていた。

 トウキョウ市は戦後、アメリカとソ建により分断された。
両軍共、トウキョウ市周辺に強大な部隊を集結している。
東西陣営の対立が、この日本のトウキョウ市で顕在しているめだ。触発の状態にある。
定期会談がいく度となく聞かれているが、雲行きがあやしい。
そんな中で、竜は恵を守り、生きていかねばならなかった。力が総てだった。

 ポケットをさぐると、ジッポー・ライターがあった。
火をともし、出口を捜し始めた。どこまで続くか、わからない。
永久に外にでられないかもしれない。武器も手にしていない。
 前に光がみえたような気がする。急いでライターを消す。
 光がゆっくりとこちらの方へ近づいてくる。
竜は身をふせた。
 
ろうそくを前に、鉄がかずむずと歩いてきた。
かなり疲れている。鉄は人の気配に気づき、
ろうそくを捨て、ナイフを身構えた。
 「誰だ。そこにいるのは。」
 「さすがだな、鉄。俺たよ、竜だ」
 「お前こんなところに、なぜ。」
 「アメ公にやられたんだよ。米軍トラック襲撃に失敗し、このざまさ」
「かれも似たようなものさ。お前も出口を披し困っているようだな」
「そのようだ」
「しかたがない。ここは共同戦線といくか」

2-3時間ほど歩き回った後、ようやく、ろうそくの炎が風でゆらいだのだ。
風の吹く方向へ進み巧妙に隠された出口へと導かれた。

竜は恵のことが心配だったのでアジトヘ帰ることにした。
鉄はしぶっていたが、やがて、それに同意した。鉄も恵の事が気になっている。
しかし、‥保安部につかまっていたことが、竜にばれてしまう。
その危惧が、鉄を不安にする。


(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.05.25 23:44:20
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地下道1949■第9回
(飛鳥京香・山田企画事務所・1978年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第9回
上空から飛来した戦闘機ムスタングは、両翼の爆弾を雨を浴びせる。
ナパーム弾が地上を燃え上げる。
投下しおわり、爆弾のなくなった戦闘機は、機銃弾を空からあびせはじめた。

風防からは、この殺戮を楽しむバイロ″トの顔がみえる。
低空飛行でつっこんでくるのだ。
ベビーギャングたちの勝利の戦場となるべき場所は、修羅場となり、墓場となった。
機銃弾が、無機質な音で土ぼこりをあげ、地面をほりさげる度に、大地に鮮血が流れ、
しみこんでいった。

 二つの双眼鏡が、ま下の光灘をながめている。

小高い丘がらは、この虐殺がー望のもとにみわたせる。
 ロパートは思わず、叫んでいた。
「死ね。みんな死ね。お前ら、ジャップ。くず野郎はみんな死んじまえ。お前ら、ガキが
皆くたばったら、日本はアメリカの完全な領土になるんだ。なにしろ日本人がいなくなる
んだからな」
 ほおにガーゼをあてたライリーは、双眼鏡をおろし、傍らのロバートに言った。
「ようし ロバート。もう少し前進だ。それからスコープ付きライフルを出せ、俺たちの
楽しみはこれからだ」
 彼らは、なんとか、戦闘機から逃れた少年達を今、望遠スコープの照準にとらえ、ねらい撃ち
にするつもりなのだ。



「鉄、鉄おきて」
 声がした。夢の中から聞えてくるようだ。

どうやら、俺はまた死んではいないようだな。
鉄はそう怒った。
うすぼんやりした光が鉄の目をさす。
まだまだ、くらくらする。

声は床の下からかすかに聞えてくる。
それは恵の声だった。
「どうしたんだ。恵か」
「しっー、あまり大きな声を出さないで」
「だそうにも声はでないさ。あのロパートにえーらい目にあわされた。
それよりお前、なぜこんなところにいる」

「あなたのことが気になっていたの。あなたが、あの地図を奪ったから、どうせ仲藤の店にいくと
おもったわ。米軍のジープがあなたを追いかけていくのを見たわ。車のナンバープレートが保安部のものだったから、つかまると息ったわ。
きよう、それで保安部の独房の下へ忍びこんできたわけよ」
「よく、ここまでこれたな。昔なじみにあえるのはうれしいぜ」
「何いってるの。ふざけないで」
ほんとに怒っている。
「わかった。よし、はやくここから出してくれ。ロバートかライリーがまた来た日にや、、俺はぶっ殺れ
かねない」
「いい。言うことをよく聞いて。右壁から約一mのところをさぐってみて。何か印がある
でしょう。印のある床の上を思い切り踏みつけてごらんなさい」
「少し、へこんだぞ」
「そう、そこを何とか動かしてみて」
 床は、鉄がひっぱると、穴が開いた。すばやく穴中にはいる。もと通りににする。暗闇の中
に薄い光がもれている。声があった。
「どうやら、また、あえたようね」
「恵、一体この穴は」
「しつ、この上はずっと保安部よ。気がつかたら、それっきるよ」
 小さなろうそくを恵は持っていた。
小さな声で、
「この通路は、日本軍がトウキョウ市攻防戦の際作った地下壕の一部らしいの。
これを伝っていけぱ何とか外に出られるわ。ついてきて。鉄」
 恵は先に立ち、ずんずん歩んでいく。
鉄はいためつられた体をひきずるように、光についていく。
あたりは、ゆっくりと闇がもどていく。


 泥滓の中で、ベビーギャングの頭、ムサシの意識がもどってきた。
同時に体がほてるように暑い。
場所の感覚がもどってきた。
顔をすこしもちあげる。
まだ少し雪まじりの雨が降っていた。
異臭がする。あたり1帯が燃えあがり、人間の形をした何かが焼け焦げていた。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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最終更新日  2008.05.25 23:43:08
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