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飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

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ガーディアンルポ01「最終列車」

2020.10.19
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テーマ:小説(538)
ガーディアンルポ01「最終列車」斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n0387gf/1/

ガーディアンルポ01「最終列車」■第1回斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。



★ガーディアンルポ01「最終列車」■第1回



作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yama-kikaku.com/





■第1回 ■

1976年夏 昭和51年

サイトウはいつものローカル線に乗り込んだ。



まだはっきりとは目がさめていない。い

つものことだ。頭がはっきりするまで一時間くらいかかるだろう。



サイトウの住んでいる散田市から大阪市までは電車で約一時間半くらいの道のりだ。

残念な がら散田市まで私鉄は通じていない。国鉄(JRの前身)のローカル線福知山線に乗る他はない。



まさに、毎日山を通りトンネルを抜け、谷を渡りディゼール車はようやく大阪市にたどり

逆にありかたいこともある。ゆっくりと腰をかける事ができる。



私鉄のラッシュ時のよ うな事は全然ない。



その代り、列車の本数はとても少ないのだ。そのため、毎日乗り合わ

せる人達はかのずから決まってしまう。



その日も、ハンシン商事に勤めているイヌイと話をしながら列車へ乗る。イヌイのとなりにす

わった老婆もよく見る顔だ。サイトウは軽く会釈をする。



いつもなら、会社の事やら、SFの事やらとりとめのない話をし、時間をつぶすのだが、

今日は違った。限石事件がもっばら話題になっている。



「変な事を聞いたぞ」

イヌイが小声で言った。

「え、何だね」



「ニ人の人間が限石から出てきたという話だ」

 「まさか。ひ、ひょっとして円盤では」

 サイトウはおどけて言った。



 昼の日中に、散田市に隣接した笹山市山中に限石が落下したのだ。



 初夏の山中をディーゼル車は進んでいく。武田尾駅に近づいたようだ。

 「サイトウ、見てみろ」

 イヌイがひじでつついた。窓から外をながめている。サイトウも同じように身をのりだ

す。ブラットホームに人が鈴なりになっているのだ。



 いつもの武田尾駅なら、この時刻ではせいぜい十名がいいところなのだが。

 それなのに今日は何んて事だ。百人近い人間がひしめいているのだ。

「何だろう」

「おそらくどこかの温泉団体旅行だろうさ」



 しかし団体旅行にしては、彼らは手荷物を持ってはいない。小さな棒を手にしているだ

けだ。



 彼ら、そう文字通り彼らは何か一定の共通点があった。それにぎこちないところが感じ

られるのだ。現代に適応していない感じだ。



 彼らはー糸みだれぬ行動をしている。

 列車が止まるやいなや、その集団は分裂し、車輛へ乗り込んでくる。



 いつも乗っている人達はその数十人の集団に圧倒され、隅の方で小さくなっている。

 中へはいった彼らは前後左右の出入口の扉に一名ずつ立った。それから残りの人間は列

車内へと散らばる。彼らはすわろうともしない。



 車掌が通路を歩いてきた。不思議な行動の彼らに気がついたようだ。開いている席につ

くように頼んでいる。しかし彼らは押し黙っている。車掌も困り果てたようだ。



 この列車は二人ずつ向い合わせにすわる席だ。サイトウのとなりでは大学生が眠りこけ

ている。前の席のイヌイのとなりにはぱあさんがすわっている。



 イヌイはしきりに男達を観察している。

「おい、あまりそんなに見るなよ」



 車掌かいまだにすわるように男達に懇願している。意地になっているようだ。

 一転して、男達は開いている席にすわりだした。車掌はホツとした。



 イヌイはその瞬間、首肯したようだ。

 同一の行動だった。一斉に男達はすわった。しかし扉の前の男はその唾ま立って、ドア

をふさいでいる。



 駅長の笛が吹かれ、列車が動き始めた。

 線路の下を流れている川の幅が段々広くなっていく。川の中に突き出している岩にくだ

ける水しぶきが涼しさを感じさせる。



 ぞくぞくと続くトンネルを列車は通りすぎる。この山中のトンネルを総てすぎると唐突

に、開けた大阪平野へと出るのだ。



 トンネルに入り際、サイトウは何かしら不安にかられた。

 一つ、二つ、トンネルをすぎていく。

 三つ目のトンネルがサイトウにはやけに長く感じられた。長すぎる。いつもなら、こん

なに長く時間はかかりっこない。



 人々が騒ぎ始める。

「どうなっているんだ。事故か」



 しかし、列車はトンネルの中で停車しているわけではない。確かに前方へと動いてはい

るのだ。こんなに長いトンネルはこの福知山線にはないはずだった。



 車内アナウンスが聞こえてきた。

「少々、訟待ち下さい。ただいま原因を調べてかります」



 あわてて、車掌が前の方へ走っていった。

 通勤電車で聞いていた携帯ラジオをイヤホーンで聞いていた男がつぶやいた。

「かかしい、急にラジオに雑音が・・・・:」



 車内灯が急に消え、サイトウはめまいを感じ、気を失なってしまった。





サイトウか気かつくと、列車は見知らぬ平原を疾駆していた。



   「大丈夫か」イヌイがサイトウに話しかけた。

   「どうなっているんだ」

   「わからん、俺は少しだけ早く目をさましただけさ」



   本来なら、もうO市の町並が見えるはずなのだが。窓の外に広がっているのは赤茶けた

  平原なのだ。



   「これは一体全体」

   サイトウは二の句が告げなかった。あまりに異常な出来事なのだ。これは夢ではないか。

  サイトウは自らのほかをつねってみた。痛い。これは夢ではない。現実なのだ。

   陽が高くあがっている。空気が少し違うようだ。サイトウは窓から首を出して、今まで

  通りすぎてきたであろう線路を見ようと思った。



   窓が開かない。



   ざわめきがかこっていた。

しかし先刻武田尾駅で乗り込んだ連中は少しも騒いでいない。

   車内アナウンスが響いてきた。



  『乗客諸君、我々はスペシャルコマンド部隊だ。我々はこの列車を支配下においた。我

  々の命令K従わない者は射殺する。くりかえす。射殺する。これ以後、我々の指示K従っ

てほしい。以上だ」



 騒ぎの中で、武田尾駅からの男達が立ち上った。彼らはふところから銃の部品をとり出し、

組み上げた。



「静かにしろ」

 彼らは冷たい声で言った。各車両でも同じ事がかこっていた。



「ここはどこたんだ」

「だまれ」

 山並みが遠くみえる。ところどころに小さな岡と、潅木が散在する。



 T駅の次の駅Sでは、連絡電話をかけていた。

「列車がまだつきません」



「しかし列車は定刻に発車しtしたが」

「事故の報告は受けていない」



 福知山線と川をはさんで国道が走っている。



 駅員が宝塚駅から生瀬駅まで線路を観ながら車で駆けてみた。しかし列車の姿はどこにも発

見できなかった。



ふと、彼は空を見上げた。空は円盤で満ち満ちていた。



(続く) ■ガーディアンルポ01「最終列車」■第1回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/






最終更新日  2020.10.19 15:55:43
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2020.09.06
テーマ:小説(538)



ガーディアンルポ01「最終列車」斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n0387gf/4/

ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回 地球をねらう異星人ROWが呼び寄せた戦国時代の天童軍団が異次元から飛ばされてきて、1978年の国鉄福知山線の列車を襲う。サイトウの通勤の友イヌイが応戦して退ける。

ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/


■ガーディアンルポ01「最終列車」■第4回■





1978年、国鉄福知山線でのいつものサイトウの通勤の折、列車が異空間にとばさせているのだ。



サイトウの質問に思わず、通勤の折の知り合い、イヌイはしまったという顔をして

「いや、時代小説を読んだり、歴史映画を見たりしてさ」



列車の天蓋の上を誰かが歩いていく音が聞こえた。

「上を歩いていったぞ」

 サイトウが叫んだ。



「何上をだと、いかん」

 イヌイは通路に入ってきている武士を切り崩しながら、ドアヘ向かった。



 外から矢が射かけられる。

イヌイは刀で矢を振り払い天蓋へと登っていく。



 一本の矢が、イヌイの背を貫いた。思わずイヌイはのけぞり、列車からころげ訟もそう

になる。が気を伺とかとり直し、機関車の方へ進む。矢を自らの力で抜き取る。



 天蓋の上はいわぱ攻撃目標とされる率が高い。次々と射手は矢を放つ。

 必死で駆け抜け、イヌイは先を行く武士に追い着いた。



「待て」

 呼びとめられた武士はイヌイの方を振り返った。

イヌイの顔をぐっとにらみ、刀をかまえる。



[ワシは維神天膳じゃ、おぬしは」名乗りをあげる。



「私はイヌイエイイチだ」

 二人は天蓋の上で切りむすび始めた。



 戦国時代の騎馬軍団、天童軍団の一人、中島活之は、

勇敢にもただ一騎、機関車を追い抜くと、前方へ廻り

こみ、槍を構えて、突進していく。



スペシャルコマンド隊員は誰ひとりとしてこの事に気かついていない。



 声を張りあげ、活之は動く鉄のかたまりの真正面へ突進する。い々なきが聞こえ、血

しぶきがあがる。



 福知山線の機関車が急停止した。



 その瞬間、運転席へ騎馬の槍がハ方から突きこまれた。



 急停止した時、列車の上にいたイヌイは振動で足をすべらした。刀を落とし、両手でへ

りにぶらさがった。

ゆっくりと刀を手にした維神が目をギラつかせ、近ずいてくる。



 「大東亜戦争のぱあさん」が遠くから石をなげた。

石は維神の顔に命中し、一瞬のスキがで

きた。その瞬間をにかさす列車の上にイヌイははい上がった。



スペゾ″ルリコマンドの一人がイヌイヘ刀を痙げた。



 列車が止まったので、武士の騎馬団は勝どきをあげていたが、天蓋の上の二人に気がつき、戦

闘をやめた。軍団一の使い手維神天膳と異形の者との戦い。全員の目が天蓋の上に集中し

た。



 しかし勝負は一瞬に決まった。



 額から血を流し、イヌイめがけ維神は切りこんだ。



イヌイは刀を受け取りざま、勢いをかって上段から振りかとした。



 維神は袈裟がけにされ、動きを一瞬止めた。やがて、つっと前のめりになり、肩口から

血を吹き上がらせながら、列車から落ちた。



 返り血をあびてイヌイは、一瞬フラついたが、刀をかざし、勝ち名のりをあげた。

「イヌイエイイチ、維神天膳を撃ち取った」



 列車の全員から歓声があがった。敵の軍団からも賞讃の声があがっている。



 天童が単騎で、列車のすぐ側まで駆けてきた。天蓋上のイヌイに話しかける。



「どうだ、私の家来にならんか。手だれの維神を倒すとはなかなかの剛の者よ」

 イヌイは天童に言った。



「殿、私には生涯、これと定めた主君が御座います」



「ほほ、残念な事じゃ、して、その幸運な御主君の御姓名は」



{ジェイ殿で御座います」



「滋英殿、はて、このあたりでは聞かぬ名じゃの」



 重ねて、イヌイは言った。

「殿、願いが御座います」

「伺じゃ、申してみい」



「どうぞ、軍勢をお引きあげ下さい。私達には殿と争う理由はまったくございません」

 天童は首をかしげた。



「うむ、そり言われてみれぱ」

 天童達にかけられたROWの思念が、この戦闘の興奮で消去されかかっていた。



イヌイの目が鋭く天童に注がれている。まるで魔術師の目のようだ。



 軍団の中にも不信の声があがっていた。



 そう言われてみれぱ、天童達はなぜ、こんなところにいて、彼ら異形の者達と戦ってい

るのかわからなかった。



 それにこのあたりは見かけない風景だった。



「イヌイ、ここは伺という場所じゃ。ついぞ見かけぬが」



「ルート○七という所でございます」



「聞かぬのか、そんな名は」

 天童は少し考えていた。やがて、決心したようだ。



「わかった。どりやらワシらは何かのまやかしにあったらしい。引き上げよう」



「ありがとうございます。この御恩、イヌイ生涯、忘れませぬ」

「うむ、さらばじゃ」



騎馬軍団は旗を翻し、去っていった。彼らは出現したのと同じ場所で消滅した。



 安堵の吐息が列車の方々でかこった。



サイトウは列車からとび出て、傷ついたイヌイの

偏に駆け寄った。賞賛の手を叩きながら、



(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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最終更新日  2020.09.06 08:49:37
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2020.08.27
テーマ:小説(538)
ガーディアンルポ01「最終列車」斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
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ガーディアンルポ01「最終列車」■第3回 通勤列車を占拠したコマンドは、自から人類の救世主Jを守るために、敵の円盤を目指してミサイルと化した。。

ガーディアンルポ01「最終列車」■第3回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/





■第3回■

1979年、日本の国鉄福知山線のコマンドに突然占拠された通勤電車の車内である。



通勤客の友人2人が状況をみて話す。

「何だって」

「見ろ」

サイトウはイヌイの指さす方を見た。



円盤だった。

まっ青空にアダムスキー型の円盤が一機出現していたのだ。

列車の右側を並んで飛行していたが、やがて消え去った。



「いよいよ、真打ち登場か」

サイトウはふてくされて、どうにでもたれという感じだった。



円盤は再びディーゼル機関車の前方に出現した。

ディーゼル機関車に乗っていたコマンド隊員はハンドミサイルを発射した。



円盤はハンドリミサイルを見てとり、列車から、かなりの距離を置いた。その一瞬、隊

員は自らの体を円盤に向けて発進させた。



「隊長、基地へ連絡させて下さい」

「いかん。今基地のポジションを知られるのはまずい」

 クルス隊長は部下の要求を受けいれなかった。



 発射時間まであまり時間はない。そしていまだ基地の位置は知られたくはなかった。自ら

の力で道を切り開くしかない。



 また轟音が響いてきた。今度は前方からだった。

 円盤の残骸は粉々になりながら、列車左手の平原に落下してきた。地響きがして、大き

な火柱があがった。



「もういやだ、いやだ。元の世界へ返して来れ」

 誰かが立ちあがり、側に立っているスペシャルコマンドにだきついた。



 スペシャルコマンドは、今、円盤に体当たりした仲間の冥福を祈っていた。彼らは人

間ミサイルでもあったのだ。



Jと呼ばれた女の子の意識はまだもどってきてはいない。



Jは彼らスペシャルコマンドにとっては、人類の全生命と同義語だった。

Jの存在は地球の存在と同一だった。



Jを守るためにスペシャルコマンドの一員が先程、侵略者ROWの円盤に体当たりし、

死んだのだった。



「まだJの意識はもどらないのか」

「はい」

看護をしている隊員がいった。

「一体、奴らはJにどんな処置を施したのだ」



Jは他惑星連合と地球の連合をにぎる重要人物なのだ。

Jがいなければ、他惑星との連携

もなくなると考えなければならない。



22世紀、地球連邦はその勢力をあまねく銀河に拡めつつあった。

人類が最初にROWと遭遇したのはレム皇威であった。



ROWは強大な星間帝国で、銀河にかける地球連邦の勢力を漸次駆逐していった。

ついに二ー九六年、地球をめぐる大決戦となった。



地球は他惑星の援助を期待していた。そして、

 外惑星威で戦闘中の歴戦の勇士「ダーム将軍」の帰還を待ち望んでいた。



しかし、ROWの勢力は目前に追っていた。

地球連邦総督府の絶対防衛圏のバリヤーを破って突入してきたROWの円盤機軍団に連邦空

間戦闘機団はひとたまりもなかった。



 思いあまった連邦総督府は、地球の精神的主導者Jを説出させることにした。秘密裡に

他惑星に一時遊離させ、亡命政府を作り、残存勢力でゲリラ戦を開始しようとしたのだ。



 百歳を越えるJの肉体は宇宙旅行に持ちこたえようがなく、九歳の女の子の体にJの人

格が移植された。



 安全を計るため、他時空間を設定し、多数の脱出用ロケット発射基地が短期間に準備さ

れた。



 しかし、その甲斐もなくJがROWの突撃隊により誘拐されてしまったのだ。



 Jを乗せたROWの円盤機は連邦軍の追撃を受け、一九七九年、日本の兵庫県散田市へ不時着し

た。



 ROWのパイロットは散田市から大阪市へJを移動させようとした。大阪市内にはROWの出先

機関がある。そこでゆっくりと、Jから地球連邦の残存勢力について探り出そうとしてい

たのだ。



 一方、ROWの円盤の失踪時点をキャッチした連邦軍はクルスを隊長とし、六十名の訓

練されたスペシャルコマンドを1979年へ送り込んだ。



「ウエ、サイトウさん、御覧なさい」

「え、どうせ、また余りよくない話でしょう」



「恐らく、悪い話でしょうな」



 馬のいななき、駆ける音かすぐそこまで聞こえてくる。

車窓の横を、甲冑に身を固めた天童の騎馬武者が駆け抜ける。



今度は日本の戦国時代にタイムジャンプさせたらしい。



 彼らは血のりのついた胴太刀をかぎしている。



 上空に再び、円盤機が出現した。

天童たちの軍勢に加勢するつもりらしい。



 スペシャルコマンドの一人がドアを開け自ら、ミサイルとなって円盤機に向かってい

く。先刻のように円盤機の不意をつけない。すぐに人間ミサイルをすり抜け、光線を放っ

た。彼は爆発した。



 さらに円盤機は列車の上空に飛来し、一条の光線を放ち、直ちに離脱した。

 光線は列車の洗面所にしかけられたバリヤー発生機を破壊してしまった。



 雄叫びをあげて、騎馬団がつっこんできた。



 バリヤーが消えた今、矢は車体の木製部や車両の連結幌の部分に突きささる。

 窓ガラスが、突き破られ、抜き身の刀身がサイトウの目の前に突き出された。



「うわっ」サイトウは叫び、飛びのいた。サイトウは残念ながら勇敢な男ではない。

 が、イヌイはスペシャルコマンドから手渡された鉄棒で、その刀を撃した。電気が

その棒から放電された。刀を持っていた男は感電死した。

 スペシャルコマンドと乗客は善戦していた。



 レイ・ガンを恐れもせず、突撃してくる騎馬はスペシャル=コマンドにとって驚異であ

った。



 馬から列車にとびつき、一人の武士が列車の天蓋へあがっていく。ディーゼル機関車の

方へ向かっていく。



 機関車の運転席がバリヤーがなくなった今、無防備のため一番危険な部署となった。

スペシャルコマンドの隊員が防備にあたっているが軍団から統々とくりだされる矢には手

がつけられない状態であった。



サイトウは列車の座席で縮まっていたが、イヌイは先刻、うばいとった剣を右手にして、

襲いかかってくる騎馬団と戦っていた。



サイトウは激戦中、イヌイに声をかける。

「慣れたものだね」

イヌイは、ドフから入ってくる者、窓から入ってくる奴を投げとばし、突き倒し、切り

つけ、切りかかり、大活躍たった。



「イヌイ、あんた、そんな剣術どこで習った」サイトウは疑問に思い尋ねた。

「江戸の千葉道場」

「何‥、あんたは一体、何者なんだ」



(続く)

ガーディアンルポ01「最終列車」■第3回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/






最終更新日  2020.08.27 11:52:40
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2020.08.26
テーマ:小説(538)
ガーディアンルポ01「最終列車」(現在編集中)斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
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ガーディアンルポ01「最終列車」■第2回コマンドは国鉄福知山線列車の客を調べ始まる。何人かの乗客がROW星人だった。

■ガーディアンルポ01「最終列車」■第2回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/





■第2回 ■

トレインジャックを果したスペシャルコマンド部隊の隊長は、クルスという名前だ。クルスは、各コマンドに命令を下していた。彼は三十才台の頑強な男だ。

「車掌は車掌室に閉じ込めました」



「よし」

「運転手は我々の命令を忠実に実行しています」

「よし、基地までこの速さで二時間の距離だ々。時間はあまりない」



「クルス隊長、連絡を基地にとってよろしいでしょうか」

「いかん。まだ速絡はとる痙。ROWの円盤機に発見されたらおしまいだ」

「了解」

「捜索の方は進んでいるか」



「はい、現在、第て第二車両の調査を終えた段階であります。まだJとROWは発見されていません」



「よし、ひきつづき行なえ」



 サイトウの通路をはさんだ向い側の男が落ちつかない様子だ。いらいらしている。

四十才くらいだろうか。



男は隣りに小さな女の子を坐らせていた。かわいい。子供は眠りについている。



 サイトウ達が乗っている第四車両ヘスペシャルコマンドがやってきた。

 先刻の落ちつきのたい男が立ち上がり、後部へ走ろうとした。幼ない女の子の手をにぎりしめている。スペシャルコマンドが男をつかまえようとした。



 男は女の子をスペシャルコマンドヘ投げつけ、通路を駆けだす。

乗客はただあっけにとられて見ている。



 コマンドがレイ=ガンを構えた。背中に命中した。

が男はひるまず、後部の扉にたどりついた。扉の所にいたスペシャルコマンドが、彼を押しとどめようとした。

 放電音がした。



 彼がはがいじめにしたスペシャルコマンドが黒こげになり、車両の連結板の上に倒れた。男が電気ショヅクをコマンドに与えたのだ。



 男は列車の窓を開け、片手を上空へとさしあげた。スペシャルコマンドが、列車全体にはりめぐらしていた「バリヤー」が一時的にやぶられた。



 男の手の先から光線が発せられた。

同時に車両からコマンドから数丁のレイガンが発射される。



男の体の三分の一が真黒になり、やがて消え去った。

 残りの体の部分はくずれてきて、ぐにゃとした偽足風の手足に変ぼうしつつある。



 叫び声をあげ、気を失う女性も出てくる。

 男が投げ出した女の子を、スペシヤル=コマンドが介抱している。



「J、J、しっかりして下さい」

「J、あなたがいなければ、我々はどうなるというんです」

 サイトウはイヌイにささやいた。



「どういうことだろう。これは」

 イヌイはもの知り顔で言った。

「こりゃ、あんた。我々はスペースオペラの世界にはいりこんだようですぞ」

「スペオペですって、なら私はキャプテンフユーチャー―がいい」



「冗談をいっている場合ではないのですぞ、サイトウさん」

 二人の目の前を死体が運ぱれていく。肉片の端がペタとサイトウの顔にふれた。

「うわっ」



 サイトウは、その死体のに訟いと、触感でとびあがり、えづき始めた。

前の席の80歳くらいのばあさんはいやな顔をして、文句を言った。



「今の若い衆はいくじが々いのか。死体くらいでどうした。

大東亜戦争の時の大爆撃に比べたら何の事はありやせん」



 サイトウはまだえずいている。

スペシヤル=コマンド達は乗客の調査を再開する。

ガイガーカウンターのような機械を一人一人に直接押しあてている。



 時折、かん高い反応音があがる。

その人をスペシヤル=コマンドは最後尾の車両へと連行していく。



 サイトウの番たった。おどおどしている。

 恐怖の瞬間がすぎる。大丈夫だった。しかしイヌイは抗っていた。

「伺、何をするんだ、君達は。人権無視もはなはだしいぞ。その機械は何だ」



「敵と味方を区別するためさ。お前も見たろう、さっきの男の姿を」

「さっきの男は、一体何者だ」



「ROW星人さ」

「ROW星人だって」

 その時、機械が音をあげた。サイトウの隣にすわっていた大学生風の男の体が反応したのだ。



「こいつらのことさ」

 急にスペシヤル=コマンドが大学生風の男にレイ=ガンをぶちこんだ。



 激しいショックで大学生の体が一瞬の内に変化していた。

きっきの男と同じような体になった。



 サイトウは腰を抜かさんぱかりだった。

 イヌイも歯をがちがち々らし始めた。



 ばあさんだけは落ちついている。口の中で念仏のようにつぶやいている。

「大東亜戦争、大東亜戦争……」



 サイトウはなりふりかまわず、便所へ走った。口をゆすいだ折りに、いつももっている禁煙ガムの包みを落としてしまった。



何とはなしに目を洗面所の隅にうつすと、変な機械が置かれていた。





 隊長クルスは、隊員から、Jが無事保護されたことを聞き、喜んでいた。

 しかし彼は男が死に際に列車の外へ光線を放ったことを聞き、愕然とした。



 (しまった。仲間に連絡されたぞ。この不安定な時空間にかける敵の勢力はほとんどない。しかし加勢を呼んだとすれば、事態は急を要する)



「最後尾の車両に、ROWの手先を集めました」

 部下の隊員が報告した。



「よし、最後尾の車両を切り離し、消滅させろ」

 後部の方から爆発音が聞こえ、振動が響いてきた。



「伺だ、伺だ、今度は何だ」

 いささか、やけくそ気味にサイトウは言った。



「今度は爆弾らしいぞ。後の車両が爆発したようだぞ」イヌイが言った。

 それを聞いて、ぱあさんは再び念仏を唱える。

「大東亜戦争、大東亜戦争……」



「ちっ今度はスペオペから戦争ものか」

「いや、どうやら、また、スペオペにもどったみたいだぞ」

車窓から外を痙がめていたイヌイが大声で叫んだ。



(続く)

(1979年作品)

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最終更新日  2020.08.26 19:12:09
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2020.08.22
テーマ:小説(538)



ガーディアンルポ01「最終列車」(現在編集中)斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n0387gf/1/

ガーディアンルポ01「最終列車」■第1回斉藤はいつものローカル通勤列車に乗り込むが、そこは、人類存亡をかけた戦いの場所だった。




●1976年の作品です
★ガーディアンルポ01「最終列車」■第1回



作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第1回 ■

1976年夏 昭和51年

サイトウはいつものローカル線に乗り込んだ。



まだはっきりとは目がさめていない。い

つものことだ。頭がはっきりするまで一時間くらいかかるだろう。



サイトウの住んでいる散田市から大阪市までは電車で約一時間半くらいの道のりだ。

残念な がら散田市まで私鉄は通じていない。国鉄(JRの前身)のローカル線福知山線に乗る他はない。



まさに、毎日山を通りトンネルを抜け、谷を渡りディゼール車はようやく大阪市にたどり

逆にありかたいこともある。ゆっくりと腰をかける事ができる。



私鉄のラッシュ時のよ うな事は全然ない。



その代り、列車の本数はとても少ないのだ。そのため、毎日乗り合わ

せる人達はかのずから決まってしまう。



その日も、ハンシン商事に勤めているイヌイと話をしながら列車へ乗る。イヌイのとなりにす

わった老婆もよく見る顔だ。サイトウは軽く会釈をする。



いつもなら、会社の事やら、SFの事やらとりとめのない話をし、時間をつぶすのだが、

今日は違った。限石事件がもっばら話題になっている。



「変な事を聞いたぞ」

イヌイが小声で言った。

「え、何だね」



「ニ人の人間が限石から出てきたという話だ」

 「まさか。ひ、ひょっとして円盤では」

 サイトウはおどけて言った。



 昼の日中に、散田市に隣接した笹山市山中に限石が落下したのだ。



 初夏の山中をディーゼル車は進んでいく。武田尾駅に近づいたようだ。

 「サイトウ、見てみろ」

 イヌイがひじでつついた。窓から外をながめている。サイトウも同じように身をのりだ

す。ブラットホームに人が鈴なりになっているのだ。



 いつもの武田尾駅なら、この時刻ではせいぜい十名がいいところなのだが。

 それなのに今日は何んて事だ。百人近い人間がひしめいているのだ。

「何だろう」

「おそらくどこかの温泉団体旅行だろうさ」



 しかし団体旅行にしては、彼らは手荷物を持ってはいない。小さな棒を手にしているだ

けだ。



 彼ら、そう文字通り彼らは何か一定の共通点があった。それにぎこちないところが感じ

られるのだ。現代に適応していない感じだ。



 彼らはー糸みだれぬ行動をしている。

 列車が止まるやいなや、その集団は分裂し、車輛へ乗り込んでくる。



 いつも乗っている人達はその数十人の集団に圧倒され、隅の方で小さくなっている。

 中へはいった彼らは前後左右の出入口の扉に一名ずつ立った。それから残りの人間は列

車内へと散らばる。彼らはすわろうともしない。



 車掌が通路を歩いてきた。不思議な行動の彼らに気がついたようだ。開いている席につ

くように頼んでいる。しかし彼らは押し黙っている。車掌も困り果てたようだ。



 この列車は二人ずつ向い合わせにすわる席だ。サイトウのとなりでは大学生が眠りこけ

ている。前の席のイヌイのとなりにはぱあさんがすわっている。



 イヌイはしきりに男達を観察している。

「おい、あまりそんなに見るなよ」



 車掌かいまだにすわるように男達に懇願している。意地になっているようだ。

 一転して、男達は開いている席にすわりだした。車掌はホツとした。



 イヌイはその瞬間、首肯したようだ。

 同一の行動だった。一斉に男達はすわった。しかし扉の前の男はその唾ま立って、ドア

をふさいでいる。



 駅長の笛が吹かれ、列車が動き始めた。

 線路の下を流れている川の幅が段々広くなっていく。川の中に突き出している岩にくだ

ける水しぶきが涼しさを感じさせる。



 ぞくぞくと続くトンネルを列車は通りすぎる。この山中のトンネルを総てすぎると唐突

に、開けた大阪平野へと出るのだ。



 トンネルに入り際、サイトウは何かしら不安にかられた。

 一つ、二つ、トンネルをすぎていく。

 三つ目のトンネルがサイトウにはやけに長く感じられた。長すぎる。いつもなら、こん

なに長く時間はかかりっこない。



 人々が騒ぎ始める。

「どうなっているんだ。事故か」



 しかし、列車はトンネルの中で停車しているわけではない。確かに前方へと動いてはい

るのだ。こんなに長いトンネルはこの福知山線にはないはずだった。



 車内アナウンスが聞こえてきた。

「少々、訟待ち下さい。ただいま原因を調べてかります」



 あわてて、車掌が前の方へ走っていった。

 通勤電車で聞いていた携帯ラジオをイヤホーンで聞いていた男がつぶやいた。

「かかしい、急にラジオに雑音が・・・・:」



 車内灯が急に消え、サイトウはめまいを感じ、気を失なってしまった。





サイトウか気かつくと、列車は見知らぬ平原を疾駆していた。



   「大丈夫か」イヌイがサイトウに話しかけた。

   「どうなっているんだ」

   「わからん、俺は少しだけ早く目をさましただけさ」



   本来なら、もうO市の町並が見えるはずなのだが。窓の外に広がっているのは赤茶けた

  平原なのだ。



   「これは一体全体」

   サイトウは二の句が告げなかった。あまりに異常な出来事なのだ。これは夢ではないか。

  サイトウは自らのほかをつねってみた。痛い。これは夢ではない。現実なのだ。

   陽が高くあがっている。空気が少し違うようだ。サイトウは窓から首を出して、今まで

  通りすぎてきたであろう線路を見ようと思った。



   窓が開かない。



   ざわめきがかこっていた。

しかし先刻武田尾駅で乗り込んだ連中は少しも騒いでいない。

   車内アナウンスが響いてきた。



  『乗客諸君、我々はスペシャルコマンド部隊だ。我々はこの列車を支配下においた。我

  々の命令K従わない者は射殺する。くりかえす。射殺する。これ以後、我々の指示K従っ

てほしい。以上だ」



 騒ぎの中で、武田尾駅からの男達が立ち上った。彼らはふところから銃の部品をとり出し、

組み上げた。



「静かにしろ」

 彼らは冷たい声で言った。各車両でも同じ事がかこっていた。



「ここはどこたんだ」

「だまれ」

 山並みが遠くみえる。ところどころに小さな岡と、潅木が散在する。



 T駅の次の駅Sでは、連絡電話をかけていた。

「列車がまだつきません」



「しかし列車は定刻に発車しtしたが」

「事故の報告は受けていない」



 福知山線と川をはさんで国道が走っている。



 駅員が宝塚駅から生瀬駅まで線路を観ながら車で駆けてみた。しかし列車の姿はどこにも発

見できなかった。



ふと、彼は空を見上げた。空は円盤で満ち満ちていた。



(続く) ■ガーディアンルポ01「最終列車」■第1回

(1979年作品)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所http://www.yamada-kikaku.com/






最終更新日  2020.08.22 17:42:22
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