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2005年12月16日
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カテゴリ:宮部みゆき作品
atom さん、こんばんは、やまももです。

 宮部みゆきのインタビュー記事が載っていると教えてくださいました『読んで悔いなし!平成時代小説』(辰巳出版)が手に入りましたので、同書掲載の彼女へのスペシャルインタビューをとても興味深く読むことができました。

 ところで、いまから5年以上前に私は拙HPに「『初ものがたり』に見る江戸時代の影の部分」という文章を書いています。

 私はこの拙文のなかで、『初ものがたり』には「江戸時代の光と影のその影の部分がきちっと描かれている」とし、作者の宮部みゆきがこの時代に存在した貧しさ、不安定さ、無権利状態、封建的身分制度、姑の嫁いびり、役人の賄賂等々の社会の影の部分をしっかりと描きこんでおり、「だからこそ、そこに生きる市井の人々の喜びや哀しみが読者の心を強く打つのである。闇があるから、そこに点る灯りがたとえ小さくてもとても輝いて見えるように」と書きました。

 私がこの拙文を書いたのは、あるインターネットの掲示板に、宮部みゆきが描く江戸の市井人情ドラマに深く感動した読者の一人が「自分も江戸時代に生まれたかった。現代と違い、この時代には心が豊かな生活があった」といった主旨のコメントを寄せているのを目にしたからでした。

 しかし、上記の拙文で私が指摘しましたように、宮部みゆきは江戸時代の影の部分をしっかりと描きこんでいるのです。ただ、彼女が「毎日新聞」2005年7月14日の東京夕刊のインタビュー記事で「偉い役人や金持ちの町人より、名もなく毎日懸命に働いてお足を稼ぐ庶民の方が、一番正しく、温かい」として描き出した江戸の市井に生きる人々の姿には、やはり読者の心をつかんで離さない魅力がありました。

 ところが、今年の6月に出版された宮部の新作『孤宿の人』においては、四国の丸海藩が作品の舞台となっているのですが、この丸海藩の存続を全てに優先させ、自藩存続のためには手段を選ばず、不祥事は徹底的に隠蔽し、そのために藩内に生きる様々な人々に理不尽な犠牲を強いていく、そんな組織の非情さ、酷薄さがリアルに描かれていました。

 こんな『孤宿の人』について、宮部みゆきが『読んで悔いなし! 平成時代小説』(辰巳出版、2005年11月)に載っている彼女へのスペシャルインタビューのなかで、つぎのような興味深い発言をしていました。

 江戸時代の藩単位の世界って小さいですから、あるポジションにいる人はだいたいどんなことも知っている。それをすべて明らかにするのはまずいから伏せてるだけ。でも、庶民はなんにも知らないからちらっと見えたことにものすごくおびえたり怒ったり、なんとかしようとして、なんともできずに途中で挫折したり殺されたり、逃場がなくなっていく。これは現代小説ではすごく書きにくいんですよね。現在ならインターネットを武器にすればたった1人の市民だって社会問題を把握することができると思うんです。ただ、そういう時代じゃなかったころの市民、庶民というのは、なにかあったときにはいちばん弱い存在だったはずです。
 いままで私は市井もので、庶民の強さとか善良さとかすばらしさを書いてきたんですけど、江戸を舞台に選んで書く以上、やっぱり封建社会における階級制度のなかの庶民のせつないほどの立場の弱さというものにちゃんと向きあって、庶民万歳じゃなかったんだということは書かなきやいけないという気持ちはありました。


 同上のインタビューによりますと、こんな『孤宿の人』を宮部みゆきは『日暮らし』と隔月で書いていたそうですが、『日暮らし』では楽しく書き、つぎに『孤宿の人』を書くと気が滅入り、「気が滅入って明るくなって、気が滅入って明るくなって(笑)、バランス感覚としてはちょうどよかった」と言っています。

 うーん、確かに両作品の雰囲気は対照的で、書き手の宮部みゆきが両作品を隔月で書くことによって精神的バランスを取っていたという発言の意味がよく分かるような気がします。








最終更新日  2005年12月17日 08時22分08秒
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