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山本浩司の雑談室2

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2010.10.13
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司法書士試験の試験委員の内藤卓先生が、登記情報587(2010年10月号)の登記実務からの考察というコーナーで、「取締役権利義務者をめぐる諸問題」という論文を掲載されています。

その問題点の一つに、会社法346条の規定により、取締役の権利義務を有する者が、破産手続開始の決定を受けたときに、その地位(取締役の権利義務を有する者としての地位)を失うのかという論点があります。

たとえば、取締役が任期満了後に、取締役の権利義務を有していたとき、破産手続開始の決定によって、その地位を失えば、取締役の任期満了退任の登記をすることができます。
しかし、その地位を失わなければ、任期満了による退任の登記をすることができません。

この問題は、取締役の権利義務を有する者と株式会社の関係をどのように解釈するのかという問題とリンクします。

1、会社との委任契約が存続しているという考え方

この考え方によると、取締役の権利義務を有する者が、破産手続開始の決定を受けると、その取締役は、その地位を失います。
なぜなら、受任者の破産手続開始の決定は、委任の終了事由だからです(民法653条2号)。

2、会社との委任契約は承継されないが、契約上の個別の請求権が承継されているという考え方

この考え方によると、取締役の権利義務を有する者が、破産手続開始の決定を受けても、その取締役はその地位を失いません。
なぜなら、会社と取締役の委任契約は、取締役が破産手続の開始決定を受ける前にすでに終了しており、すでに退任した取締役に、重ねて退任事由が生じることはないからです。

さて、内藤先生の結論は、2説です。
その論拠として、内藤先生は、今年の司法書士試験の午前の部34問ウで出題された、次の判例を挙げています。

株主は、退任後もなお、役員としての地位を有する者の職務に関して、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときでも、当該役員の権利義務を有する者について解任の訴えを提起することができない(最判平20.2.26)。

上記の判例は、会社と役員の契約関係はすでに終了しており、だからこそ、その後に元役員を解任(委任契約の解除に当たる)することができないという意味ですから、上記の2説の根拠になるわけです。

なお、次の登記情報、588号(2010年11月号)では、同コーナーでは、今年の記述式試験に関連して、新設分割について、ぼくの寄稿した記事が掲載される予定です。





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最終更新日  2010.10.13 08:55:07



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