2013/07/12(金)22:56
枠ズレのはなし
枠ズレ0点伝説というモノがあります。
今年の受験生でも不動産登記の記述式の試験で枠ズレを起こすと、それで0点と信じている人が多いですね。
で、この枠ズレ問題ですが、これには歴史がありまして、枠ズレ0点伝説の起源は、平成20年度の本試験にあると思われます。
この点を解説しますと、この年の解答は、おおむね、次のとおりです。
5/16申請分
第1欄 2番根抵当権登記名義人住所変更
第2欄 2番根抵当権元本確定
7/7申請分
第3欄 1番抵当権移転(合併)
第4欄 所有権移転(破産財団に属する不動産の任意売却)
この年の出題は、それまでの出題方法をそうとうに逸脱していて、かなりの実力者でも第1欄と第3欄を見落としがちだったのです(ただし、第2欄と第4欄は見おとすような問題のつくりじゃない)。
で、どうなったか。
この2つを見落として、枠ズレの解答をした受験生は0点なんです。
要するに、2番根抵当権元本確定と所有権移転(破産財団に属する不動産の任意売却)が書けていても、枠ズレだから0点。
すごいでしょう?
何を書こうが、枠ズレは白紙解答と同じ評価しか与えられなかったのです。
つまり、枠ズレに対して、部分点というのはこの年の場合は存在しなかったのですね。
さすがに国家権力、ばさっとやったわけです。
(はい。採点の仕方なんか相手にしないという最高裁判例もありますし。)
この年の採点基準は、申請件数をまちがってはいるが問いに対する勉強の成果がキチンと書かれた解答と、白紙解答をまったく同じに0点で評価するというものであったのです。
枠ずれをおこしながらも、必死に勉強の成果を書いても、これに対する評価はゼロと、白紙解答とまったく一緒と、これが、過去の司法書士試験において、現実に採用された採点方法です。
私なんか涙しましたよ。
だって、受験生の必死の努力を知っていますから。
で、これが、枠ズレ0点伝説の起源なんです。
まあ、いまになって言うのもなんですが、あのときの試験委員さまは何をかんがえていたんだろう。
必死に解答用紙に勉強の成果を、しかも、ただ枠ズレしただけでそれ自体はまちがってないことを書いた受験生の気持ちを考えたら、ゼロなんていえるわけないのになあ。
それに、受験生の勉強の程度を判定すべき、本来の国家試験のありかたからいっても、ちゃんと勉強した証拠の残ってる解答と、白紙解答を同視する判定基準なんて、ふつう、ありうるのかなあと、気のちっちゃいぼくなんかは思うわけです(そっか、おれはこんなだから出世しないんだ・・・)。
(つづく)