4616849 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

山本浩司の雑談室2

山本浩司の雑談室2

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

カレンダー

サイド自由欄































2020.10.23
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
では、昨日の問題の解答を書きましょう。

それぞれの肢の出題物(出題の対象となった条文)は、なにか?
どの条文も司法書士の受験生なら見たことがあるはずです。

初級 
問 成年被後見人であるAがその所有する甲土地をBに売却してその旨の登記がされ、Bが、Aが成年被後見人であることを知らないCに甲土地を売却してその旨の登記がされた後、AがBとの間の売買契約を取り消したときは、Aは、Cに対し、甲土地の所有権のAへの復帰を対抗することができない(午前 7-イ)。

答 ×
出題物は、民法121条です。

民法121条(取消しの効果)
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。

解説
取消しによりAB間の売買は初めから無効であったものとみなされます。
「無」はどこまで行っても「無」ですから、Cは無権利者でありその登記も無効です。

なお、「制限行為能力による取消しに第三者保護規定がないこと(民法96条3項や、95条4項が詐欺・錯誤についてのみ規定すること)」は上記の傍証にすぎず、直接の出題物とはいえません。

中級
問 AのBに対する150万円の貸金返還請求訴訟において、BがAに対する200万円の売買代金債権をもって相殺する旨の抗弁を主張したところ、当該売買代金債権の存在が認められず、Aの請求を認容する判決が確定した場合には、当該確定判決は、当該200万円の売買代金債権の不存在について既判力を有する(午後 5-ア)。
答 ×
出題物は、民事訴訟法114条2項です。

民事訴訟法114条(既判力の範囲)
2項 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

解説
Bが主張した200万円の請求の不成立の判断は、相殺をもって対抗した150万円について既判力を有します。
既判力とは、もともと、判決主文中の判断の対象である訴訟物(設問では、Aの150万円の貸金債権)への審判に生じる力です(民事訴訟法114条1項)。したがって、その額を超えて既判力が生じることはありません。

上級
問 Aが、Bの所有する甲建物を自己の所有と偽って、事情を知らないCに賃貸している場合において、占有者Cがその責めに帰すべき事由によって甲建物を損傷させたときは、Cは、Bに対し、その損賠の全部の賠償をしなければならない(午前 8-オ)。

答 〇
出題物は、民法191条ただし書です。

解説
他人物賃貸借という、過去、あまり出題例のない作問でしたが、その賃借人Cの占有が善意占有であり、他主占有であるという読み替えができ、さらに本問が不法行為による損害賠償の問題(BC間に契約関係がない)だということを見抜くことができれば、次の規定が思い浮かぶはずです。

民法191条(占有者による損害賠償)
占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。

こうした事例式の出題において、解答に必要な規定を必要に応じて想起できることが、基礎の完成の意味するところです。

事例式以外の問題でも、解答に必要な規定を必要に応じて想起できることはきわめて重要です。
そうした力が、合格、とくに短期合格にはどうしても必要だと言えます。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.10.23 10:29:38



© Rakuten Group, Inc.