はじめに言っておかねばならない。
私は嫉妬をしない。故に、これは嫉妬ではない。
方程式で言うならば「私≠嫉妬」であるし、
英語圏の方に通ずるように言えば「I'm not shit」と言った所か。
多少違う気もするが、まあ、それは大した問題ではない。
さて。
昨日の山田の日記を見て、山田を抜いたやまのみずの面々は如何感じたであろうか。
おそらく、山田と一番仲の良い水島などは、嫉妬の洪水に溺れて気息奄々たる有様だろう。
山田とは犬猿の仲である熊脇は、あまりの気持ち悪さに全身が総毛だっておる事だろう。
別にどっちつかずな私は、別段どうと言う事はない。
がしかし、山田のウカレっぷりはどうだろう。
「恋した」とまで言っている。
恋!
皆さん、お聞きになられただろうか? 恋だと!
やまのみずという古巣を離れ、まるで新大陸を発見したコロンブスが如き浮かれようである。
「新天地! ここには夢と希望がある! ビバ・コロンビア!」
コロンブスがそう言ったかどうかは定かではないが、喜び飛び跳ね、頭上で両手のひらを、胴下では足と足の裏を同時に合わせ、パチンと鳴らすくらいの事はやっただろう。
大航海時代に生きたコロンブスがそうなのだから、人生大後悔真っ盛りの山田においては、言うまでも無い。
それはもう、両手両足をばたつかせ、畳水練もかくやと言わんばかりに蠢いている事だろう。
まあしかし、私は止めはしない。
行きたいのなら、好きなところに行けばよいのだ。
ただ、返ってきた時に、やまのみずの「やま」の席に座っているのは、山田妹であるかもしれない。
私達にしてみれば、むしろ華があって宜しい限りなのである。ん? 本当にこれは名案かもしれないぞ。
因みに、コロンブスは発見した大陸を「東アジア」だと思っていた。
しかし、ご存知の通り事実は違う。アジアとはかけ離れた大陸である。
故に、新大陸全土を表す言葉として、コロンビアではなく、「それは新大陸なのだ」と主張したアメリゴ・ヴェスプッチの名にあやかった「アメリカ」と呼ばれることになったのだ。
さて。
私が一体何を言いたいかと言うと、そんな出会いがあって実に羨ましいナァ、という、事である。
私といえば、今日も今日とて机上の空論を書きなぐっては、ウフフと笑っておるばかりなのだ。
芝居が終わり、帰って来れば、どうせ山田は「君達には愛を感じているのだよ。分かるかい? 恋でなくて、愛」なんて言うに決まっている。
嗚呼、決まっているのに、私達はその言葉に逆らえず、結局のところは許してしまうのだなァ。
何はともあれ、四谷怪談。
芝居とはかけ離れた場所においても、このように愛憎渦巻く壮大な話になっておるのです。
お時間が無い方は、お時間を作ってでも、見に行くのも一興かと存じます。
責任の一切を、ワタクシは取りませんので悪しからず。
エッ? 書くネタがないからまた宣伝でお茶を濁しているのでは、だって?
まさかそんなこと、あろう筈もない。
記:野間(はずもない)大資