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やまのみず お笑い コント

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2009年06月12日
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昨日小生は呼び出された。

だから浦和宿の駅舎へと自転車を転がした。

浦和駅舎の東口に聳え立つ「PARCO」が目的地だ。


八時を五分過ぎたところで着いてみると、瀟洒に舗装された駅前広場の腰掛けに二人の姿を確認した。


長躯長髪で、如何にもフーテンと云った出で立ちの男。
その隣には、和装に身を包んだ肌の白い小柄な女性が小さく座っている。

一見すれば誘拐事件発生中である。が、そうではない。


そこへ、木彫りと謳われた土気色をした小生は近づいた。

一層誘拐色を濃くしたわけだが、

期せずして、部長副部長、並びに二代後の部長が顔を揃えた訳である。



今日は部活の同窓会である。



小生は高校時代、演劇部に所属していた。

そこで出会った数名とは今でも――細くではあるが――親交が続いている。

小生から率先して声を掛けることはないが、時折このような会を企画しては呼び出してくれる、
ありがたい存在である。


やがて元部員達が三々五々、集まってくる。

針金のように窶れた男、
岩のような出で立ちだが幼稚園で給食を作る男、
乳が無いとフーテン副部長に悪態をつかれ、怒りを露わにする女、

我々の先輩で、胎内に子を宿しているややギャンブル依存気味の女性。


本当はもっと多くの部員が存在しているのだが、
悲しいかな彼ら彼女らとは親交が途絶えている。

斯くして、同窓生五人、先輩一人、二個下の後輩一人の七人が一同に会したのである。


七人の侍――などと銘を打ちたい所だが、如何せん打つ銘など無いくらい刀が刃こぼれしている連中だ。
七福神にしては、男性陣に幸が薄すぎる。
それでも敢えて名乗るならば、

大酷天
阿鼻須
便座居天
無茶門天
未定
耄碌寿
御老人

と言った所か。
小生はおそらく耄碌寿か御老人だろう。


そんな七人はPARCOで食事会を催す事にした。
小生はPARCOの映画館を良く利用していたので、こう言った。


「PARCOに関しては小生が明るい。PARCOの事なら何でも聞き給え。何なら小生を『パルコ』と呼んでもいい」


すると彼らは躊躇い無く私を「パルコ」と呼んだ。

「おいパルコ、どこが美味しいんだ」
「レストラン街は何階だパルコ」
「アホー、アホー」

私が「PARCOに入ったら小生をそう呼んではいけないよ」と諭したにも拘らず、
彼らは阿呆の塊だから、PARCO内でも私をパルコと呼ぶのだった。


中華料理屋でやいのやいのと談笑する。
昔話に花が咲く。もちろんそれは徒花である。

話した内容は内輪受けしかしないので、ここには記載しない。
フーテン男が会の名前を欲しがっていたので、小生はこの会を「鴨の會」と名付けた。

皆気に入ってくれただろうか。
なし崩し的に、鴨の會に決まった感も否めないし、決まっていない気もする。


彼らが小生の事をどう思っているかしらないが、小生は彼らと過ごす「何となく」感がとても好きだったりする。

何となく集まり、何となく話し、何となく別れる。
次会う約束などしない。
誰かが企画するだろうと誰もが何となく思っている。

勿論、これは小生に限った話しなのかもしれないが。


ともあれ、その会も何となく終わり、それぞれ別々の人生へ岐路に着いた。


さらば、君たち。
次会う時もくうだらない人たちで居ておくれ。


小生はそれに勝るくだらなさで君たちを迎えよう。





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最終更新日  2009年06月12日 23時22分14秒
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