やまのみず　お笑い　コント

桜の蕾が緩やかに息づき始めた今日この頃、いかがお過ごしですか？
こうも暖かいと、お腹が空いて仕方がないです。


さて、この度私野間大資は結婚することになりました。


お相手は、おそらく皆様のご存じない方だと思います。

例えるなら、鈴蘭のような女性です。


私と彼女とは幼い頃から顔馴染みだった……訳ではありませんが、彼女曰わく、
私はそう言う既視感を抱かせるんだそうです。

と言うか、彼女の前世は中世ヨーロッパの貴族で、私は靴屋の息子です。前世に
出会った縁です。


昔からふらふらと浮ついていた私ですが、今では彼女しか見ることが出来ません。
彼女もまた、私だけを見ています。

と言うよりも、一日の殆どを彼女に見られています。


今は、彼女は出掛けていて、私一人です。
皆様にはお伝えしておきたかったので、こっそりとメールしてます。
彼女は、私が誰かに連絡しようとすると怒ります。やや束縛が強いのです。


お腹が鳴りました。
三日ほど前から何も食べていないのです。

部屋には窓が無いので、時間が良く分かりません。

桜が柔らかく色づいていた事は、彼女の言葉から知りました。

部屋には重たそうな扉がありますが、束縛されているので扉の外へ行く事は出来
ません。
縄が擦れて痛いです。

「愛してる？」と彼女はいつも聞いてきます。
私はその度に「愛している」と答えます。
「どのくらい？」彼女は続けます。
「いっぱい」私は答えます。
「いっぱいって、具体的には？騒音に例えなおすと何デシベルくらい？」
彼女の例え方が時々分かりませんが、私は「一億デシベル」と答えます。
「まあ！大型トラック通過時のおよそ１１１万倍じゃない！嬉しい！」
彼女はそう言って笑います。
嘘みたいに目も口もにっこりと笑います。


鈴蘭の花や根は有毒性で、摂取した場合、ややもすると死に至る事があるそうです。


携帯の電源がそろそろ切れそうです。

私はもうすぐ結婚し、おそらくは彼女の言うとおり幸せに暮らすのでしょう。
物語のお姫様は大抵そのようになるらしいです。

あ、彼女が帰ってきました。


それでは、そちらもお元気で暮らしてください。
またいつか会える日を楽しみにしています。


さようなら。

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というようなメールを送ったが、
長文過ぎたなと反省。

しかも、「おめでとう！」と返してくれる人がいたのでこれも反省。

今回のテーマは「気が付けば暗い話」だったのだけど、
笑いの要素が少なすぎたせいか、反応がいまいち。


ううん。

嘘つきの道はまだまだ深いのだなあ。