116631 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

超重神山さんDESTINY

超重神山さんDESTINY

第1話 ガンダム起動

第1話 ガンダム起動

数百年前、地球の温暖化はついに南極の氷を溶かすまでになりそのためによる海面の上昇で陸地の70%が海底へと沈みわずかに生き残った人々は海上に都市を造りそこで生活していた。海上都市で開発された海底での作業用機、モビルスーツ(以下MS)は人が潜れないところや潜水艇などでは不可能な作業を行う事に真価を発揮し海上都市の人々はMSで海底から資源などを採取し生活をおこなっていた。
しかし、それは一部の海上都市の間の緊張をさらにあおる結果となり戦闘用のMSも開発され始めいつ戦争になってもおかしくない状態へと各海上都市を追い込んでいった。


海上都市アトランティス、数ある海上都市の中でも勢力が大きい都市の一つである。その海底、深度数百メートルの所に一機の作業用MSの姿があった。

「あらよっと」

両腕がベンチ型のアームになっている作業用水陸両用MSディープワングWのコクピットで操縦している少年、マグナ・ルーヴィルはMSの腕を巧みに動かし海底の岩石を掴んでいく。

「え~っと・・・・これもハズレか」

ゴーグル型のモニターごしに岩石を調べハズレとわかりポイッと捨てる。ハズレとは目的の鉱物が含まれていなかったのだ。

「この辺のは採り尽くしたかぁ?どうすっかなぁ・・・・手ぶらで帰ると親父さんに何言われるか・・・」

マグナは腕組みをしてしばらく悩む。この辺りは2時間近く探している。鉱物がないとなると別の所にいったほうがいいかもしれないが、ディープワング単独で行ける距離などたかがしれているしこれ以上深く潜ると耐圧限度をこえてしまう。

「・・・しゃーない、親父さんに怒られてくるか・・・」

道は一つしかなかった。マグナは出来れば選びたくなかった道を選び頭上の海上都市にへと戻っていった。



各海上都市には自衛のための軍が存在する。この時代、どこの海洋都市にも臆さず海で暴れ回る・・・・いわゆる海賊もいるし、わずかに残った地上に住む人々の代表者達も具体的な動きは見せないが海上都市を支配下に置こうとしているとの情報がある。それらに対抗するためにほとんどの海上都市では自衛のための軍が存在しているのだ。
アトランティス工場区では自衛軍に配備される新型のMSの開発が急がれていた。

「どうだ?開発の状況は」

工場区には数人の自衛軍のパイロットが来ていた。その中の一人、アキラ・ラドレスが工場で働くメカニックに聞く。

「ああ、3機のうち2機はロールアウトできますよアキラ隊長のフォルセティガンダムと・・エーギルガンダムですね」

彼らの目の前には赤と白でカラーリングされたMSと全身水色でカラーリングされたMSが立っていた。どちらもディープワングなどのゴーグル型のアイカメラをしておらず人間のように二つの目を持ち顔もどこか人間を意識したようなデザインだ。

「サリアのヴァハガンダムとあわせて3機がこれで実戦配備完了か」

アキラは満足げに頷く。

「格好いいっすよね~、この新型、俺も乗りてぇ~」

アキラの横で2機のMSを見上げながら目を輝かせているのはゲイル・ライバート、自衛軍のMSパイロットの少年である。

「隊長、エーギルってパイロット決まってませんよね?俺が乗っていいですか?」

「お前は水中戦苦手だろ、エーギルは水中用の機体だぞ?」

ゲイルの言葉を笑いながらゲイルが言い返す。

「ま、俺が死んだらフォルセティをお前にやるよ」

「隊長、冗談でもそう言う事は言わないでください」

ゲイルの横に立っていた同じく自衛軍のパイロットである少女、サリア・ファーレ
スが言う。

「だいたい、パンゲアが最近アトランティスの領海近くで不穏な動きを見せてる現
状で隊長が死んだら士気に関わりますよ?後任だっていないんですし」

「俺が死んだら指揮官はお前がやればどうだ?」

サリアにむかって苦笑混じりに言う。

「なっ・・・だから、冗談でもそう言う事言うのは止めてくださいよ、だいたいな
んで私が指揮官なんか・・」

「俺はお前らを高く買ってるんだぞ、これでもな」

アキラは真剣な声で二人に言う。

「まぁ職業柄、死んだ後の事を考えておかんとな・・軍人はいつ死ぬかわからんからな」

「はぁ・・・」

「さて、暗くて真面目な話はここまでだ・・昼飯行くぞぉ」

いきなりテンションを変えるアキラにガクッとこけつつも二人は一緒に昼食をとるために食堂に向かった。



アトランティス領海近くを一隻の潜水艦が潜航していた。

「むこうはこちらに気がついてないようだな・・・」

「そのようですね、もっともこれ以上浮上したり近づくと気づかれますが・・・」

潜水艦のブリッジでは艦長らしき男とパイロットスーツを着た男がモニターに写っている海上都市、アトランティスを観ながら会話している。

「オルト隊長、今から仕掛けるのですか?」

オルトと呼ばれたパイロットスーツの男に艦長が聞く。

「命令だからな・・・気は進まんが仕方ない、フェル達を先に出せ私もすぐに出る」

「ハッ!!総員第一戦闘配備、艦を浮上させぃ!!」



アトランティス全体に警報が鳴り響いたのは突然の事だった。

「何だ!?」

食堂にいたアキラ、サリア、ゲイルの3人のところに同じ自衛軍のパイロットが駆け込んでくる。

「どうした、何があった!?」

「パンゲアのMS部隊が領海を侵して・・こちらに攻めてきています!!」

「何だと!!」



アトランティスの外ではすでに出撃していた空戦用MS、ガルーダがパンゲアの空戦用MSイカロスの部隊と戦闘を開始していた。
その中の一機、通常使用の白ではなく黒くカラーリングされたイカロスは二丁のマシンガンを構え近づいてくるガルーダを次々と蜂の巣へ変えていく。マシンガンから飛び出していく薬莢の数は他の機体より多い。

「雑魚ばっかりね、私が出る意味あるのかしら」

パイロットのフェル・マーサカスはマシンガンの弾切れをおこしたマガジンを新しい物に取り替える。その隙を狙って2機のガルーダがマシンガンの狙いを定めるがバックパックから2発のミサイルが放たれガルーダの腹部に直撃し吹き飛ばす。

「あ~あ・・・無駄弾撃っちゃった・・・」

フェルはマシンガンのマガジンを取り替えるとそのままアトランティスに部下を3人ほど引き連れてむかう。

「オルト隊長が来る前にさっさと終わらせるわよ・・・・ん?」

アトランティスへと突入しようとするフェル機を遮るように4機のガルーダが立ちはだかる。そのうちの一機は他とは違い青くカラーリングされている。恐らく隊長機だろう。

「あの青いのが指揮官機かしら、どっちにせよ・・邪魔するなら・・・落と
す!!」

イカロスのマシンガンをむけ連射する。4機のガルーダはそれを避けマシンガンで反撃する。

「全機散開!!」

4機のイカロスも散開し戦闘を開始する。



アトランティス自衛軍のMS格納庫では次々とMSの発進準備が進んでいた。

「隊長はもう出たんですか!?」

「早いとこ、イカロスとディープワングSの出撃させろぉ!!後がつっかえてるんだよ!!」

格納庫の中をサリアとゲイルは自分の機体にむかっていた。

「整備終わってますよね?ヴァハガンダム出します!!」

「とっくに終わってるよ!!さっさと出てくれ、押されてるんだ!!」

サリアは自分の機体。ヴァハガンダムへと乗り込む。他のガルーダやディープワングとは違い人間を意識したような頭部の白い機体だ。

「サリア・ファーレス、ヴァハガンダム出ます!!」

二つのアイカメラが光り起動する。格納庫の壁にかけられたビームライフルを手に取りガルーダ用のハッチから空へと出る。

「ゲイル・ライバート、ガルーダ出します、どいてくれよ!」

ゲイルもガルーダに乗り込みそのまま出撃していった。



戦闘は空中だけではなく水中でも行われていた。
パンゲアの水陸両用MS,ネプチューンが数機、アトランティス目がけてむかってくる。それを戦闘用に換装されたディープワングSが迎え撃つ。

「おいおい、何がどうなってるんだよ!?」

アトランティスへと戻る最中にマグナのディープワングWは戦闘に巻き込まれていた。
戦闘となると武装を一切持たないタイプWのディープワングではかなりマズイ。早く戻ってシェルターに避難するべきだとわかっているが。

「なんで、俺を追ってくるんだよ!!」

マグナのディープワングWは2機のネプチューンに追われていた。作業用だろうとお構いなしなのか気がついていないのか・・。

「ええい!!クソッ!!」

かれこれ数分逃げ回っているがしつこくネプチューンは追ってくる。マグナは覚悟を決め引き返した。

「なるようになれだ!!」

そのままネプチューンへと突撃していく。ネプチューンの両肩から魚雷が数発放たれる。それを回避しつつ一機のネプチューンに両腕のクレーンアームでつかみかかる。

「いっとくけど、これは正当防衛だからなぁ!!」

そのままクレーンアームでネプチューンの両腕を握りつぶし頭部を殴り飛ばす。

「単純なパワーだけなら作業用の方が上ってね。ってどわっ!!」

後ろからもう一機のネプチューンが体当たりを仕掛けてきた。それで体勢を崩される。
そしてネプチューンはトライデントを構えディープワングの頭部を貫き破壊する。

「うわっ!!ヤバイッ!!」

苦し紛れにクレーンアームを回転させそのままネプチューンの腹部に突き出す。ネプチューンは腹部をえぐられ水圧に耐えきれなくなり圧壊する。

「なんとかなったけど・・・・コイツもダメか!!」

マグナは自分のディープワングWのメインモニターが死に、さっきの体当たりで背中の移動用スクリューが潰れ沈んでいくのを冷静に確認すると手元のレバーを引きコクピット内の圧力を外と同じにしてからハッチを開き外へ出る。パイロットスーツ(ダイバースーツの役割も果たす)を着込んでいるためすぐに溺れる事はないが一般用のは2時間程度しか酸素が持たない。マグナは一番近い緊急用の水中ハッチの位置を確認しそこへとむかって泳ぎだした。



「落ちろぉっ!!」

ゲイルのガルーダがマシンガンを連射しイカロスを蜂の巣へと変え撃破していく。
戦闘は激化していた。近くに艦隊でもいるのか、パンゲア軍のMSはどんどん増えていく。

「キリがねぇ・・・畜生が!!」

ビームサーベルを抜き後ろから迫ってきたイカロスの胸部を貫き破壊する。
ゲイルのガルーダが戦っているほぼ真下、海面スレスレの位置でヴァハガンダムはパックバックのミサイルポットを開きミサイルを連射し数機のイカロスを撃破する。

「なんて数・・・・隊長達は無事なの?」

自分たちより先に出撃したアキラ達の事が気になるがそればかりに気をとられるわけにはいかない。腰にマウントしたビームライフルを構え上空から迫ってきたイカロスを撃破する。そのまま上空へと上昇しようとした矢先、海面からネプチューンが飛び出しヴァハガンダムの両足を掴んだ。

「なっ、しまっ・・・っ!!」

そのまま海中へと引きずり込まれる。ヴァハは汎用性の高い機体だが今の装備は水中に対応出来る装備では無い。

「この装備じゃ・・・水中戦はっ・・ぐうっ!」

背後からの魚雷の一撃に機体が揺れる。



マグナはなんとか近くのハッチにたどり着いていた。

「やっと、ついたぁ・・・」

水中からあがりヘルメットを取る。そして、周りを見渡すと工場区の中らしく様々な機材が並んでいた。

「軍の工場区か?民間人は立ち入り禁止だけど・・・この場合しゃーねぇよな」

マグナはそのまま上部へと続くハシゴを上がっいく。シェルターにいくには一度、この工場からでて別のルートから行かなければならない。
ハシゴを登り終え狭い薄暗い通路を走っていく。しばらくすると狭い通路から開けた空間へとでた。

「こっからシェルターまで行くルートはあるかなっと・・」

マグナは壁にかけられているマップを確認しシェルターへのルートを調べる。

「うし、ここからいけるな。さてと、さっさと避難して・・・・」

そこまで言ってから視界の片隅にある何かの存在に気がついた。その何かの方を向く。そこには、青い装甲に身を包みディープワングとはまったく違うタイプのMSがメンテナンスベットに固定されていた。全体的に丸みを帯びている事と背中のパックバックの形状から水中用だとわかるそれは紛れもなくMSだった。

「新型の・・・MSか?」

思わず近くに行き見上げてしまう。

「こんなのがあるなんてな・・・・」

「おい、アンタそこでなにしてる!?」

不意に後ろから聞こえた声にビクッとなり振り返る。そこには数人の男がいた。作業着を着ている事からここの作業員だと推測出来た。

「あ・・ああ、すいません。シェルターに行く途中に偶然立ち寄っただけで・・」

「その格好・・・あんた、MSパイロットか?」

男の一人が聞いてくる。どうやら話を聞いていないようだ。

「え・・まぁ、パイロットっていえばそうですけど・・・・」

「なら、丁度いい今、こっちは苦戦してるんだ、エーギルガンダムで出てくれ」

「・・・・・・・・はい?」

マグナは何を言われたのか理解出来なかった。男達はマグナを後ろの青いMSのコクピットへと少しばかり強引に座らせた。

「オ・・オイ、俺はパイロットはパイロットでも作業用の!!」

「操縦方法はディープワングより複雑になっているが基本的には変わらない、出撃
には貨物搬入用のハッチを使ってくれ」

「って、人を話を聞けよ!!」

マグナの叫びもむなしくコクピットのハッチは閉じられ機体はメンテナンスベットごと移動する。床の一部が開き水中への入り口が開く。

「また、水中に逆戻りかよっ!!ええいもう!!民間人をこんなのに乗せていいのか!?あのおっさん共・・後で覚えてろよぉ・・・・」

コクピット内でマグナが文句を言っている間に全ての準備は終わっていたメンテナンスベットが水平に倒れ水中への降下コースを取る。もう、あきらめて腹をくくるほか無い。
深呼吸をしコンソールを操作し機体の確認をする。

「へぇ・・完全に戦闘用な分けね・・・名前は、エーギルガンダムか・・・」

正面のモニターに視線を移す。

「なるようになれだ・・・行くぜ!!」

メンテナンスベットから固定器具が外れエーギルガンダムは水中へと飛び込む。



これが一人の少年の戦いの幕開けだった。

続く



© Rakuten Group, Inc.