第6話 4機のガンダム第6話 4機のガンダムエーギルのツイントライデントが横になぎ払われる。 ティターンは機体を後ろにひいてそれをかわす。 「遅いんだよ!!」 ジューディスが吐き捨てるように言う。ティターンの両腕に内蔵されているマシンガンがエーギルに着弾する。 「くそっ!!」 エーギルの分厚い装甲のお陰でそれほどダメージはないがティターンの機動力に完全に翻弄されていた。 「地上じゃこんなに遅いのかよ、この機体は!!」 地上でのエーギルの機動性の低さにマグナは悪態をつきながらも胸部のフォトンメーサー砲を放つ。水中ほどの威力は出ないが魚雷が使用出来ない地上戦ではエーギルに装備された唯一の遠距離装備である。 「あたらねぇよ!!ノロマが!!」 あっさりとフォトンメーサーを回避したティターンがエーギルの頭部へと拳を撃ち込む。 加速のついた攻撃だったため襲いかかる衝撃は凄まじい。 「ぐうっ!!」 「マグナ!!このっ!!」 サリアのヴァハとゲイルのガルーダがビームライフルとマシンガンでエィターンを攻撃す る。ティターンは足裏のローラーと背中のスラスターによる高速移動によりそれを回避しビームライフルで反撃する。 「おわっ!!畜生が!!」 ビームサーベルを抜き、ガルーダがティターンに急降下しながら斬りかかる。 ティターンも腰に収納していたビームナイフを抜きそれを受け止める。 「チッ!」 ビームサーベルとビームナイフが火花を散らしながらせめぎ合う。 ゲイルがビームサーベルの出力を最大にまであげ力任せに押し切ろうとブースターを前回にする。 「斬れろぉっ!!」 「な・・・なにぃっ!!」 ビームナイフの出力を上回ったビームサーベルと全開になったガルーダのブースターに押し切られ、ティターンの頭部にガルーダのビームサーベルが食い込み、そのまま両断した。 真っ二つになったティターンから離脱するガルーダ。ティターンは爆発を起こしただの残骸と化した。 「まず一機!!」 「チッ、バカが!」 爆発したティターンを見ながらジューディスが吐き捨てる。 両腕のマシンガンをゲイルのガルーダに向け連射する。 「ヤベッ!!」 スラスターをふかしマシンガンから放たれた弾丸を避ける。 反撃でマシンガンを構えティターンを狙い撃つ。 連射される弾丸の中を高速でティターンが駆け抜けながらビームライフルとマシンガンを交互に連射する。 機体を後ろに下がらせながらマシンガンを連射する。 「これ以上はやらせんぞ!!」 格納庫のハッチから出撃したフォルセティが戦闘機形態からMSへと変形しながらデッキエリアへと飛び出し両足に収納していたマシンガンを構えジューディスのティターンを狙う。 「落ちて貰う!!」 「まだいやがった!!」 ローラーでの高速移動で回避しながらビームナイフを抜きフォルセティに突撃する。 「このままコクピットを潰してやらぁ!!」 「ぬぅっ!!」 上空へと逃れそれを回避しながらマシンガンで牽制する。 「隊長!」 ヴァハのミサイルで弾幕を張りティターンの視界をふさぐ。その隙にフォルセティはティターンの射程外へと逃れる。 「数は少ないが手練れ揃いだな・・・・」 「ゲイルが一機落としましたけど・・これじゃあ・・」 弱気な声でサリアが言う。 「心配するな、もうすぐ応援が来る」 アキラがそう言った直後、デッキエリアの一部が開き何かがゆっくりと上がってくる。 緑色の装甲を纏った重厚感のあるMS。エーギル等と同じく二つめのアイカメラを持つ人間を意識したような頭部だ。 「なんだ?・・・新型か!?」 その機体を見たゲイルが言う。 「ティルテュガンダム!?誰が乗ってるんだ!?」 ティルテュのコクピット。シャイルは計器類を操作しながら呟く。 冷静に状況を見ながらの現状確認。 「敵は2機・・・・どっちも高機動型か・・・・」 操縦桿を握り深呼吸。 「フゥ・・・・さて、いかせてもらうわ」 ティルテュのパックバックに折りたたまれている2門のリニアレールガンを展開しティターンを狙い放つ。放たれた弾丸を2機のティターンは回避しマシンガンで反撃する。 「チッ」 シャイルはティルテュの脚部に装備されたスラスターを起動させホバリング走行で敵機の攻撃を避ける。 「ホバリングだとぉ!?なめるな!!」 ティターンのパイロットがローラーを使いティルテュを追いかける。 シャイルはフッと笑うとホバリングしたまま後ろを向きパックバックにマウントされている二門のビームガンランチャーを脇に挟むような形で構える。 「なにっ!?」 「じゃあね」 ためらわずにトリガーを引く、放たれたビームはそのままティターンの体を飲み込み爆砕させる。 ティルテュはホバリングを止めその場で制止、残りの一機。ジューディスの乗ったティターンにビームガンランチャーを向ける。 「こ・・・コイツ・・・」 ジューディスのティターンの周りをエーギル、ヴァハ、ガルーダ、フォルセティが取り囲み武器を構える。 「観念してもらおう」 外部スピーカーでアキラが呼びかける。ジューディスにはすでに打つ手が無かった。 しかし、降伏などという行為は彼には耐え難い物だ。 「ざけるなぁ!!!」 ヤケになりビームナイフを構えてティルテュにむかって突撃する。 重武装砲戦タイプの機体ならば接近戦に弱いだろうとヤケクソになりながらも彼の思考がそう判断したのだ。 「があああああああっ!!!」 「むやみに突っ込むのは・・・・ただのバカよ」 ティルテュの腰部のサイドアーマーが開く。そこからティルテュは二本のトマホークを取り出し構えた。大きく振り上げ力の限りティターンに振り下ろす。 ティターンの体は二本のトマホークにより両腕を切り落とされる。 「ぐうあっ!!しまっ・・・」 ティルテュの拳がティターンの頭部に突き刺さる。ティターンはそのまま殴り飛ばされ仰向けに倒れる。ティターンはなんとか起きあがろうとするがフォルセティが足の駆動系を撃ち抜き身動きを封じる。 「大人しくしてもらおう」 「クッソッ・・・・・」 コクピットの中でジューディスは力なくうなだれた。 戦闘後、デッキエリアの上でコクピットから降りたマグナ達の前にティルテュのコクピットからからシャイルが降りてくる。 「あんたが乗ってたのか・・・」 驚いた様子でマグナが言う。 「ええ、まぁ・・・・仮にも助けてくれたわけだし恩返しよ」 マグナとシャイルが会話しているのを横目で見ながらサリアがアキラに言う。 「いいんですか隊長・・・・ティルテュに彼女を乗せても?」 「責任はちゃんと取るよ。 話は変わるがサリア・・・・グレン代表とちゃんと話をした 方がいいんじゃないか?」 アキラが心配そうに言うとサリアの表情が一気に険しくなる。 「あんな男と・・・話す事なんてありませんよ」 怒気を含んだ声で言う。サリアの握り拳が震えている。 「・・・・そうか」 これ以上、無理に言うのも悪いと思いアキラはそれ以上言うのを止めた。 そこに自衛軍の軍人が二人、ティターンのコクピットから引きずりだしたジューディスを連れてきた。 「隊長、敵MSのパイロットの身柄を確保、拘束しました」 「ご苦労、独房に入れておけ」 「ハッ」 アキラに敬礼し軍人はジューディスを連れて去っていく。 それを見ていたシャイルは思わず呟く。 「あら・・・・あの男・・・アイツが乗ってたのね・・」 「知ってるのか?」 マグナが聞く。 「ええ、ほら・・・ここに流れ着く前に仕事でへまして捕まって拷問されたっていったでしょ?その時に私を拷問してたのがさっきの男よ。まぁ・・・逃げ出すときにお返しで右目を見えなくしてあげたけど」 「あ・・・・・そですか・・・・」 それを聞いたマグナは「コイツを怒らせたら多分・・・・殺されるな」と本能で悟った。それほど、マグナには彼女の先ほどの言葉が怖く思えたのだ。 「二人とも、機体を格納庫に戻すぞ。ぼさっとするな」 「う~っす」 マグナとシャイルはそれぞれMSに乗り込み機体を格納庫へと戻しに行った。 それを上空から見ているカメラを持った円盤形のメカ・・パンゲアの無人偵察機の存在には誰も気がつかなかった。 無人偵察機から送られてきた映像をブリッジで見ていたオルトが呟く。 「新型がまだいたとはな・・・・・これで4機・・・まだいるのか・・もういないのか・・」 「隊長、これからどうするのです?」 レオスがオルトに聞く。 「今の戦力では、どのみちアトランティスは落とせん。本国に帰投するぞ・・・・土産話もあることだしな」 「了解しました。機関始動、帰投するぞ」 レオスが他のクルーに号令を出しビックホエールのエンジンを機動させる。 3機のビックホエールは本国へ帰投する道をとった。 「船長、ジューディスが・・・」 「わかっている」 黒い潜水艦のブリッジで船長と呼ばれている男と女が会話を交わしている。 「どうするのですか?アレはまだ、あの娘の手の中に・・・」 女の言葉を聞いた船長は手元のグラスについでいたワインを一気に飲み干し、目を閉じる。彼流の瞑想である。 しばらくしてから目を開き、呟く。 「・・・・夜襲をかけるしかないだろうな・・・誰か人を送れ、アトランティスの構造を調べる必要がある」 「わかりました」 言葉を受けた女はブリッジを後にする。船長はグラスにワインを再びつぐとそれを一気に飲み干す。 「・・・不味い・・・な」 続く |