116560 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

超重神山さんDESTINY

超重神山さんDESTINY

第17話 混戦2―紅の翼―

『領海内にパンゲア軍潜水艦3隻、MSの出撃を確認。総員第一戦闘配備。繰り返す・・・』

アトランティス中に警報が鳴り響く。
司令室の指揮官の椅子へ座り込んでいたセルギルはさっきまで見ていたパイロットのこれまでの戦績表から前方のモニターへ視線をうつす。

「敵の数は?」

「潜水艦3隻、MSが・・・22機です!!」

「うち4機は未確認・・・新型のようです!!」

レーダー観測手の報告を聞き「ふむ」と頷く。
潜水艦3隻にMS22機・・・・・・なかなかの部隊構成だと思いながらゆっくりと指示をくだす。

「こちらもMSを出撃させろ。迎え撃つぞ」

「「はっ!!」」

仮とはいえセルギルは今の隊長。隊員達は彼の指示に従い次々と作業をこなしていく。
指揮官としてのセルギルの初陣が始まろうとしていた。



更衣室でパイロットスーツへと着替え終わったサリアが更衣室を出ようとしたとき、丁度シャイルが更衣室へ入ってきた。

「あ・・」

サリアが声をかけようとするがシャイルはそれを無視して自分のロッカーからパイロットスーツを引っ張り出し着替える。
明らかに苛立っているのは見ただけでもわかるが・・・・・・いい加減、感じが悪すぎる。

「ねぇ、最近のシャイルってちょっと変よ?」

「・・・・・・」

「何に怒ってるのか知らないけど・・・私たちまで無視する事ないんじゃない?」

「・・・別に、サリアには関係ないでしょ」

そう言ってロッカーのドアを閉め更衣室を後にしようとするシャイル。
さすがにその態度が頭にきたサリアはシャイルの腕を掴んで声を荒げる。

「ちょっと!!そんな言い方ないんじゃっ・・きゃっ!」

腕を掴んだ瞬間、シャイルはサリアの腕を逆に掴んで壁に押しつける。

「痛っ!ちょっ・・・・」

「関係ないって・・・言ってるでしょ・・・」

静かに、威圧的な口調でそう呟いてからサリアを離し更衣室を後にし格納庫へと向かう。
未だに痺れる腕を押さえながらサリアはシャイルの出ていったドアをじっと睨みつけるように見ていた。



アトランティス上空。
先発して出撃していたガルーダがマシンガンを敵に向けて発砲する。
しかし、その敵機はマシンガンの弾丸をあっさりと回避。圧倒的な機動性でガルーダを翻弄する。

「な・・・なんだよ、あの新型は!?」

ガルーダのパイロットが悲鳴に近い声で叫ぶ。
狙っている敵の新型――黒い戦闘機――はこちらの機動性を圧倒的といって良いほどに上回っている。

「堕ちろ、堕ちろ、堕ちろっ!!」

半ばヤケクソ気味にマシンガンを連射する。
しかし、弾丸はかすりもしないまま空中へと消えていく。黒い戦闘機はガルーダへと向き直ると一気に加速。
ウィングに装備されたビームブレードを展開しガルーダへと迫る。

「うわああああっ!!」

その加速に避ける暇も無く、ガルーダはウィングのビームブレードにコクピットから真っ二つに両断され撃破される。
戦闘機はそのまま上昇しながら形状を変形――機種を折り畳み、エンジン部分をスライドさせ、折り畳んでいた脚部と腕部を引き延ばし、収納されていた頭部を引き出す――させ一機のMS、ハスターへと姿を変える。
ハスターのコクピットでフェルは改めてこの機体の性能に驚愕していた。

「凄いわね・・・・これならっ!!」

フェルは次の獲物――海面ギリギリを飛行しているガルーダ――を視界に捕らえると再びハスターを戦闘機形態へ変形させ一気に降下した。



格納庫ではディープワングとガルーダが次々と発進準備を整えカタパルトから出撃していた。
パイロットスーツの首元のフックを片手で止めながらマグナもエーギルの元へと小走りに向かう。

「やれやれ・・・暫く平和だと思ったらいきなりかよ」

コクピットへ潜り込みヘルメットを被る。
手早く機体を機動させハッチを閉じ機体を歩かせようとした時、整備員から通信がはいる。

『マグナ、これを持っていけ』

「へ?」

整備員が手元のパネルを操作しエーギルのすぐ近くにロケットバズーカを用意する。

『エーギル用に造ったロケットバズーカだ。弾速遅いし弾数も多くはないが威力はお墨付きだ』

「サンキュ」

ロケットバズーカをエーギルの左手で掴み構えてからハッチへと向かう。

「マグナ・ルーヴィル、エーギルガンダム出すぞ!!」

水中へと続くハッチからエーギルが戦場へと躍り出る。
一方、マグナと共に格納庫へと来たゲイルは少々困ったことになっていた。

「やっべぇ・・・・そういや、俺の機体ねぇじゃん・・・・」

ゲイルが今まで乗っていたガルーダは破損が激しいためにそのまま使えるパーツのみを残し廃棄処分されたのだ。
余っているガルーダは今は無い。つまり彼には乗る機体がないのだ。

「あっちゃぁ・・・・どないしましょ・・・・」

「おーい、ゲイル!!」

格納庫の一階から中年の整備員が声をかける。

「お前さんの機体の用意出来てるぞ!!」

「はぁ!?余ってるガルーダは無いはずだろ、追加分が工場から届いたのか!?」

「ちげぇよ!!セルギル隊長候補からの指示でな、お前さんにフォルセティガンダム任せるってよ!!」

それを聴いたゲイルは我が耳を疑った。
俺みたいな奴にアキラ隊長の機体だったフォルセティガンダムを任せる? 

「なんで俺がフォルセティなんだよ!?正直嬉しいけど・・なんかパッとしないんですが!?」

「知るか!!文句なら隊長候補に言えっての!!」

それだけ言って整備員はさっさと自分の仕事へと戻っていった。
ゲイルは自分の新しい機体がフォルセティである事に疑問を持ちつつ――嬉しくないといえば嘘だが――フォルセティが固定されているメンテナンスベットへと向かった。
コクピットに潜り込み機体を機動させる。

「すでにお前にあわせて調整はすませてるからな、落とすなよ」

「へいへいっと」

ハッチを閉じて機体を空戦用MSの出撃ハッチへと移動させる。

「ゲイル・ライバート、フォルセティガンダム出るぞ!!」

フォルセティの二つのアイカメラが光りを放ち、ハッチから飛び出す。
新たなる主を得た紅の翼が戦場という空に再び舞い上がる。


続く






© Rakuten Group, Inc.