2009/11/02(月)12:04
漢方薬でインフルエンザ対策。(邪気の有る場所を特定する方法)
中医学では、風邪、インフルエンザ、オタフク、ハシカなど
軽い感染症の治療は空気中に潜む見えない5つの邪気(じゃき)
によって引き起こされると考えられています。
前回は邪気の性質について説明し、体を襲う邪気の正体を見破る方法が解った
と思います。
今回は邪気の性質、種類以外に、邪気の居場所を特定する方法を書きます。
邪気の正体を見破った後は、敵(邪気)のいる場所で働く処方を選ぶ必要があるからです。
●邪気の性質の見分け方はココとココにまとめました。クリックして見て下さい。
●タミフルの危険性についてはココに
●タミフルと異常行動の因果関係に対する 厚労省廣田班のデタラメ調査についてはココに
●インフルエンザワクチンの無効性と有害性についてはココに
●新型インフルエンザワクチンも製法は季節性インフルエンザワクチンと同じで有害で無効であることはココに
●「インフルエンザ脳症」と言う病名は日本だけ。原因は解熱剤などの薬害であることはココに
まとめました。
邪気の性質の分別と邪気の居場所の特定方法について
10月31日土曜日のエントリーの末尾の症例から検討します。
では、昨日から急に寒気がして、頭が痛くなった。
水のような鼻水がだらだら流れてくる。朝起きると軽く汗をかいて
寒気は取れてきたが、午後になり、再び寒気がして厚着をしたら
和らいだ、今度は熱が上がり、寒気が消えた、食欲は無く
なんとなく胸が悪く気持ち悪い、トイレに行くと下痢気味だった
ので、念のため病院に行くと新型インフルエンザと診断された。
タミフルと解熱剤が処方されたが脳症が怖くて飲めない。病院から変えると寒気がまた繰り返していた。
どうやら寒気と発熱を繰り返しているようだ。
このような場合の邪気の種類と位置ですが
結論から申し上げますと、邪気の種類は風邪と寒邪の合病(風寒証)。
邪気の位置は「少陽(しょうよう)」に有り
処方は柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)です。
邪気は体表に侵襲すると、次第に体の奥深くに入り込んで行きます。
一番体表の浅い部分を(太陽;たいよう)
少し、深く入り込んだ場所を(少陽;しょうよう)
体の一番深いところに入り込んだ場合は(陽明;ようめい)
と言います。
邪気の正体、性質を見極めても、邪気のいる場所が解らなければ、違う場所に作用する
漢方薬を選んでしまい意味がありません。
●例えば、邪気の種類が風邪と寒邪だと解っても、それらの邪気が「陽明」まで
深く入り込んでいるのに、風寒邪が「太陽」にいる時に作用する「葛根湯」を飲んでも意味がなく
効かないんです。
邪気の正体を見極めたら
今度は邪気の居場所を特定し、その場所で働く処方を選びます。
昨日から急に寒気がして、頭が痛くなった。
水のような鼻水がだらだら流れてくる。朝起きると軽く汗をかいて
寒気は取れてきたが、午後になり、再び寒気がして厚着をしたら
和らいだ、今度は熱が上がり、寒気が消えた、食欲は無く
なんとなく胸が悪く気持ち悪い、トイレに行くと下痢気味だった
ので、念のため病院に行くと
新型インフルエンザと診断された。
タミフルと解熱剤が処方されたが脳症が怖くて飲めない。
病院から変えると寒気がまた繰り返していた。
どうやら寒気と発熱を繰り返しているようだ。
この症例の場合の考え方。
↓
風邪の性質である「急に」ある日突然発症する。(突然性)があり、
寒気があることから、風邪が先導した他邪気は「寒邪」。
寒気の性質は着衣や温暖で緩解する程度の弱い寒気=(悪風;おふう)
と寒気があるのに汗が漏れる(自汗;じかん)があることは体表の防衛力が弱い表虚(ひょうきょ)の状態である。
邪気の位置は寒気と熱感が交差、往来する「往来寒熱(おうらいかんねつ)」であることから
体表部に邪気はもういない。
往来寒熱の場合、表面を発汗させる「葛根湯」「桂枝湯」「麻黄湯」類は無効です。
「少陽」で悪風と熱感を繰り返すタイプの往来寒熱がありますので柴胡桂枝湯を選びます。
寒気がある時、「寒気が一時、中断することがあるか、無いのか」ということは邪気の位置を知る上で、重要な情報です。
寒気から来る「青い風邪」の治し方
(太陽)→(少陽)→(陽明)と順に説明します。
太陽病(体の一番浅い部分、体表部)に邪気がある時連続する寒気があります。
寒気の種類で重要なことは「悪寒(おかん)」と「悪風(おふう)」を分けることです。
「悪寒(おかん)」=ストーブにあたっても、布団を被ってもとれない寒気。
「悪風(おふう)」=着衣、温暖で和らぐ程度の寒気。
悪寒で無汗(汗なし)、咳なし=葛根湯(かっこんとう)
悪寒で無汗、咳がある=麻黄湯(まおうとう)
悪寒で無汗、咳、水様の鼻水、風水(顔や瞼のムクミ)=小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
悪風(おふう)、自汗(汗がもれる)=桂枝湯(けいしとう)
悪風(おふう)、自汗、水様の鼻水=桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう)
●寒気から来る、風邪、インフルエンザはこの段階で体外に発散して治してしまいましょう。
これが、一番速いです。「風邪は皮膚まで!」
次に「少陽」(半表半裏証;はんぴょうはんりしょう)邪気の位置は少し深くなりました。まだ、完全には「裏」に入っていません。
表証(体表部)と裏証(からだの深い部分)の中間です。
少陽病7大証(七つの目印)全部無くてもよい。
往来寒熱(おうらいかんねつ)=寒熱が交差、往来する。
悪寒と熱感が往来していれば小柴胡湯
悪風と熱感が往来していれば柴胡桂枝湯
胸脇苦満(きょうきょうくまん)=胸脇部が満悶して、すっきりしない
食欲不振、
心煩喜嘔(しんぱんきおう)=胸が苦しくて、吐きそう、気持ち悪い状態
口苦=口の中が苦い
咽乾=口が乾く
目眩=めまい
最後に「陽明;ようめい」一番奥深く「裏」に邪気がある場合
風寒化熱(ふうかんかねつ)
といって、寒気からきた風邪でも、ほうっておくと邪気はどんどん体の深部に入り込み
正気(からだのぼうりりょく;免疫)と邪気(ウイルス、細菌など)の戦い
正邪の闘争は激しくなり、陽明の4大証が現れます。
大熱=高熱
大汗=大量の発汗で下着を何回も取り替える状態
大渇=熱と発汗で水分が失われ、激しい渇きがみられる
脈洪大=脈が大きく速くなる
●要するに、高熱でうんうん唸っている状態です。
処方は白虎湯(びゃっことう)です。
この時、解熱剤を使用すると脳症の危険があります。体温中枢のセットポイントを下げると
結果的に、ウイルスの増殖を助け、体は大量のサイトカインを出します。
サイトカインが出過ぎて(嵐)となるサイトカインストームがおこります。
本来ならば、ウイルスを攻撃する為のサイトカインなのですが、あまりに
多過ぎてストーム(嵐)状態になり、人体の(脳や肝蔵、腎臓、肺)は
自分の出したサイトカインによって傷害されてしまい、多臓器不全を起こすのです。
ボルタレンや、ポンタール、イブプロフェン、エテンザミド、アスピリン
などの副作用です。病院でよく出しますし、市販のOTCにも含まれる成分ですので
ご注意ください。
マスコミに登場する似非専門化が
「インフルエンザ脳症」=新型インフルエンザの特徴だ
などと、嘘八百を並べ立て、視聴者を洗脳することはゆるされない。
彼らは白衣を脱ぐべきだ。
明日は「熱」からくる「赤い風邪(風熱証)」の治し方
について書きます。