おおかみこどもの雨と雪
テレビで放送されていたので、映画「おおかみこどもの雨と雪」を見ました。なんとも辛い気持ちになった映画でした。母親は女手一つで姉と弟の子供二人を育てます。子供たちは成長し、親元を離れていきます。残された母親は、一人田舎の家で暮らし続けます。親というのは、そういうものだとは思います。しかし、愚生の周りの人たちを見ていると、やはりつらい気持ちになるのです。愚生の住む村では、多くの高齢者が一人暮らしであったり、夫婦二人暮らしであったりしています。懸命に子供たちを育て、送り出し、その後の人生を田舎で淡々と暮らしています。子供たちが成長し、いずれ親元を離れていくというのは、田舎であろうと都会であろうと一緒です。問題は、親と子のあり方ではなく、地域のあり方です。「おおかみこどもの雨と雪」は、子供たちが親元を離れていったところで物語は終わります。気になるのは、その後です。その地域(ムラ)が、自立した子供たちを受け入れられるかどうかということです。子育てを終えた親にとって、残りの人生は自分自身のものですから、有意義に生きていけばいいと思います。子供に頼る必要はないし、自分の人生は自分自身で責任をもって生き抜かなければなりません。一方、子供たちはどうでしょうか。地域の中(ムラ)で生きていくことができるのでしょうか。どういう選択肢があるのでしょうか。子供たちが、いずれは地域の中(ムラ)で暮らしてくれれば理想だと思います。しかし、現実は地域の中(ムラ)では暮して行けず、外(都会)に出ていくことを選択するのがほとんどです。多くの子供たちにとって、育った地域(ムラ)で生きていくという選択肢はないようです。その結果、地域(ムラ)には年老いた親たちだけが残っているのです。おおかみこどもの「雨」は、育った地域(森)で生きていくことを選択しました。「人間」としてでなく「狼」としてでしたが、それはそれで羨ましいことだと思います。「ここで生きていこう」と思わせるものが、そこにあるということです。多くの子供たちに対して、地域(ムラ)がそんな魅力を与えることができ、選択してもらえるような地域(ムラ)にしていくことも、親の課題だと思うのです。