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朝、雪洞から出ると、下界の灯りがきらめく。視界はきいている。予定通りの時刻に出発。まずは三ツ倉山に向かう。林道をまたぎ若いブナ林に入る。最後の急登は激ラッセル。目の前の雪壁をストックで削り落とし、足場にしていく。ここは雪崩が気になり、ビーコンを付けた。
急登が終わると、北側から雪まじりの強風が容赦なく吹き付ける。ヤッケのフードがたちまちパリパリになり、眼鏡の湿気も凍り付く。周囲は灰色で、雲の中にいることが分かる。第一目標の三ツ倉山には着いた。しかしこの風は厳しい。上部は樹木が減っていくので、僧ヶ岳まで風をまともに受け続けることになる。 雪を掘ってツェルトをかぶり、30分ほど天候を見極めるが、回復しない。前日のようなラッセル速度だと、残りの高度差400メートルは3、4時間かかる。僧ヶ岳の山頂を踏んだとしたら、もう一泊しなければならない。潔く引き返す。 下ってすぐに、風は弱まり青空も見える。うわー選択を誤ったかと思ったが、つかの間の回復。山は灰色の雲に覆われた。下界は晴れているのに下山とは、後ろ髪を引かれる。下降は楽である。 雪洞でスープを飲んで休憩し、往路下山。昨日のトレースは消えている。慎重にルートを選定する。標高を下げるとトレースが残っていたので、もう安心。何も考えずひたすら重力に任せる。 昼過ぎには林道に立つ。そこからは長い。ただただ歩くのみ。側壁からの雪崩に気を付けながら、危険地帯を通過。 無事に帰ってくるのが、登山の最大の目的だろう。登頂はその次だ。しかしながら、僧ヶ岳に到達できると信じていたのに、果たせなかったのが残念だ。半月ほど時期を遅らせれば、雪も締まって歩きやすくなるか。このまま終わらせることなく、再挑戦したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/02/10 10:57:16 PM
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