入院中もずーっと考えてた事。
悩みの種だった。

今までなるべく楽しい部分をHPには書こうと思ったけど、
これからタイで働きたい！住みたい！と思っている人に
現地採用の現実を知ってもらう為にも正直に書きたいと思う。

ぶっちゃけ、タイは好きだけど、
タイ人(他は違うかもしれないけれど)の考え方は好きになれない。

私が入った美容室はタイ系で私以外タイ人(1店舗40名ほど在籍してる)だった。
スタッフは皆良い子で仲が良かった。
問題は女社長・・・

彼女は美容師ではない。経営のみ。
始めは小さな1店だったのを一昨年1店増やし、去年2店さらに増やした。
そしてさらに来年1店増やす。
良い場所を押さえて増やした力は凄いと思うが、数はあっても中身ができてないのだ。

タイ人はどんな事にも見た目にお金をかける。中身は二の次。
根っからのフェイク魂の持ち主だ。
うちの社長もそうだった。

私が入社したとき、お店のコンセプトやシステムがほぼ無しに近かった。
聞く度に言うことが違うので少し不安だった。
私はその度にメモをしていた。
ミーティングの度にコロコロ意見が違うので、私は指摘するようになった。

『まずは、システムを作るべき！店の模様替えは後に回す方が良い。
ここまで手広くやるのなら組織化して、
社長の鶴の一声で次の日からルールや料金が変わるのを止めるべき。』と。

そもそも私が採用された理由は、
『日本式の美容室にしたい為、今までの経験を活かして日本のやり方を教え、
日本の材料の見極めや買出しをし、経営側＋お客様サービスをする』
だったので、意見を常に求められたし、
私自身、企画したり資料を作成したり、教えたりする方が
性に合っていると思い、経営側にかなりやる気満々で望んでいた。

が、どんなに話し合っても最終的にいつも言われるのは、
『それ、無理！タイ人は好きじゃない。
難しくてパニックになったから明日にしよう。』だった。

そしてまず変わったのは、制服導入だった。

・・・はっきりいってあきれた！
日本のような料金表すら無いのに、何してんだと思った。

それでも、最初の3ヶ月は必死になってシステムの確立を訴えた。
自分で顧客管理表を作成したり、メニュー表のサンプルを作ってみたり、
メンバーズカードの有効性を提案したり、とにかく色々やってみた。
サンプルを持っていくと、
『これ預かります』と持っていかれるので手ごたえがあったと思った。
なのに次のミーティングで、効果を聞き、返却を要請すると
『そんなの貰ってない』とか『無くした』とか言われるのだ。


これじゃ、何やっても無駄に終わるのではないか？
と思うようになって、私は提案などを自粛しだした。
だんだんやる気が無くなっていった。

忘れた頃に、やっと料金表を作ろうということになった。
そこで問題が発生した。

『１店舗目と2店舗目では料金が違う。常連と普通客では倍ほど料金が違う。』
ということだった。

マジありえない。

要は社長の頭の中とキャッシャーが料金表で、
鶴の一声料金で10年も営業していたのだ。
日本だったら大問題だ！
人種差別もいいところだ。

そして、なんども料金変更はあったが、ようやく値段が安定した。
日本の感覚で言うと、今まで3500円でしていた事を
5000円に変更した位の料金差が発生し、クレームもすごかったが、
やっと料金表を作れる事になった。

その間にも他の問題が沢山あって、
私は社長と意見が多々ぶつかるようになっていた。
そして気がつくと、
都合の良い所だけ『日本式』？を取り入れられていた。

たとえば・・・
罰金制度。(これは日本のシステムと言われた)
遅刻、早退、欠勤(冠婚葬祭も)などに対して発生する。
なのに、残業代は出ない、有給休暇はない。
減額はあっても昇給は殆ど無い。
(タイの法律には存在します。)

私はそれはおかしいと思って意見した。
『罰金を日本式にするなら、残業手当制度も作るべき』と。
返ってきた言葉は
『うちはタイの個人商店だから100％法律通りには出来ない。』

都合の良すぎる話である。そういうときだけ『タイの個人商店』になるのだ。


結局、システムとしては罰金制度、料金変更と予約帳の導入が変わったが、
その間に見た目は、椅子のカバーの張替え、店内にカウンターを増設、
ネイルの豪華な椅子を取り替え、ネイルスタッフ全員の道具箱を交換、
外壁に観葉植物植え、サインポールを取替え、
フラットテレビを導入、フルオーダーの壁に飾る美容の額縁つき写真を買い、
皆の名札をチェンジ、カットクロスをオーダーしてオリジナルに、
他の１店舗は全面改装した。
上記の事は他の店舗の全面改装以外、
一昨年にできたばっかりで、どこも傷んでないのにやった事。
シャンプー台の水漏れがすごくて水道管を変えたほうが良い時とかは渋るのに、
まったく不思議なもんです。

私一人が、求められていた日本のシステム導入を訴えても、
口で『日本のシステム』と言っているだけで、社長の頭は『ジャイアン式』なのだ。
もう、やっても無駄だと思った。

私のやる気はまったく無くなり、静かに過ごすようになった。
なるべく接触を避け、日本人顧客だけをこなす毎日になった。

経営側に携われ、物品の買出し(日本に出張)という最初の契約はまったく無くなった。
孤独感、胃痛と闘う日々が始まった。


社長は、機嫌が悪かったり、スタッフが気に入らなくなると、
レべル1では、話を聞くが、怒り、責任を負わせる。
レベル2では、聞く耳をもたなくなる。相手を見る目が怖くなる。
レベルマックスでシカト一直線！一切しゃべらない。
という幼稚な左遷をする人だった。
逆に自分に逆らわない気に入ってる相手には、
アメを与えすぎるという徹底ぶり。
ただその人も、たった一つの出来事で次の日からシカト一直線になる場合もある。
前の通訳がそうだった。そして彼女は辞めた。

物事も同じ。
ネイルがお気に入りで、ネイルに対しては道具や講師や内装にかなり投資して、
他の事に対しては厳しく財布の紐を締めていた。
お客様からも『ネイルの力の入れようはすごいね。』とよく言われたものだ。
店の中で差別化し、左遷するから、スタッフは毎月何人も辞めていった。

そして、私に対しても気まぐれ左遷が始まった。

その後一度話し合い、泣いて訴えて多少治まったが、
社長の頭の中で私は、“目の上のたんこぶ”というイメージが
定着してしまった。


居ない時は楽しく仕事が出来たが、社長が来ると
見るだけで吐き気がするようになった。

スタッフに助けられて、我慢してきたが限界だった。


労働時間は長すぎる、休みが少ない、給料は安い、タイ式に妥協して、
タイ語学校にも行けず語学力は向上しない。
社長には目をつけられる。

何やってるんだ？私は・・・

そしてとうとう体が赤信号を出した。
入院。

入院しても、お見舞いに来ないし、連絡すらなかった。
心が、限界だった。

このままだとタイも美容も嫌いになりそう。

最初にタイに来た時の野望からどんどん離れていくし、
その上、タイを嫌いになったらアウトだ。

退職しよう。

そして今日、長い話し合いの結果、辞める事が決まった。
わだかまっていた事を全て話した。

最後はびっくりするほど平和に終わる事が出来た。

今回、働いた事で外国に住む大変さ、文化の違い、常識の違いetc・・・
厳しい部分を勉強できたと思う。
これを次につなげていこう。