『緑の毒』 桐野夏生
『緑の毒』 桐野夏生を読みました。初出は野生時代で2003年から2011年にかけて書かれた短編がまとまった本です。最初に目次として14に分かれていたため桐野夏生さんにしては珍しい短編かと思ったのですが全部メインの登場人物が変わるだけで全体としてひとつの話になっていました。ストーリーは、男性医師が嫉妬のため狂っていく話でラストは救いようがありませんでした。うーん。本当にこんな人がいたら怖すぎるという主人公でした。嫉妬が全く違った方向に向かっていってしまい医師という特性を利用しての性犯罪を犯してしまう医師川辺の話でした。最後まで容赦なく人の邪悪な所を掘り下げている桐野さんらしい本でした。最後に、ツイッターとか出てきて時代も感じられました。川辺の妻カオルと玉木が、その後どうなるのかなど気になる点もありましたが、桐野作品らしいお話で楽しめました。