Pastime Paradise

2008/01/20(日)17:23

へっぽこ係長・トミカ

駄文(69)

 「おい、富井君。我が課の目標成績達成を祝って、明晩みんなで飲みに行こうじゃないか 若い奴等にも声を掛けておいてくれ。店は君達に任せるから」  おいおい、冗談はよしこちゃんだぜ。明日は待ちに待った花金じゃないか。何を好き好んでお前みたいな狸親父と酒を飲まねばならんのだ?このドビン、チャビン、ハゲチャビンが!  「ん?どうしたと言うんだ、黙りこんで。不都合でもあるのかね?」  「い、いやあ、別に…。も、モチのロン、行きますとも」  「では、頼んだよ」  「アイアイサー!合点承知の助です」  この、おたんこなす!すっとこどっこい!あんぽんたん!やーい、やーい、百貫でーぶ!お前の母ちゃんでべそ!  俺は気前の良い返事とは裏腹に、心の中でありったけの罵詈雑言を豊田課長に浴びせかけた。はぁ~ しかし、しがない係長である俺にとって、課長の言葉は絶対だ。面倒だが下のヤツらにも声を掛けねばなるまい。  課長に一礼して自分の席に戻った俺は、まずは目の前にいる夢見る夢子ちゃんのような新入りの女の子に声を掛けた。  「あ、本田くん。明日の夜なんだけどね…」    どうしてこの娘は俺が声を掛けるたびに、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をするのだ?別に獲って食おうってわけでもあるまいし。仕事中だというのに、いつもボンヤリしやがって。近頃の若い子ときたら全く!  「いや、課長がさ、明日みんなで飲もうと言ってきてね」  「ええッ!? でも…」  でももヘチマもない!と言いかけたが、明日は花金だ、彼女にだってランデブーの予定とかがあるのかもしれない。しかし、豊田課長の誘いは絶対である。何たって生産台数及び販売台数で世界第1位だからして(関係あんのか?)、なんぴとたりとも決して断れないのだ。  「まあ、課長が言いだしっぺなんだから仕方ないだろう。な、明日は予定を空けておいてくれよ。頼んだよ!」  と、そこへもう一人の女の子が体よくこちらへ向かって来た。こりゃあ、わざわざこっちから出向かずに済むぞ。しかし、この子も一体会社を何だと思ってやがるんだ。スカートの丈が短すぎてシミチョロじゃないか。一歩間違えば「サザエさん」のワカメだぞ。全く、この色気虫が。  「おい、松田く…」  「鈴木さぁ~ん」  彼女は俺の呼ぶ声など無視して、鼻に掛かった妙に甘ったるい声で俺の隣にいる若手の鈴木に声を掛けた。  「鈴木さぁ~ん、頼まれてたコピーなんですけどぉ、急に機械の調子が悪くなっちゃったんですぅ。どうしたらいいですかぁ?」  くーッ!このイカレポンチのアバズレめ!コピー一つ満足に取れないのかよ!?  「中で紙が詰まってるんだよ。ちょっと僕は今どうしても手が離せないから、誰か暇そうなヤツに取ってもらって、大至急頼むよ!明日の晩飯おごるからさ!」  あッ!明日の晩飯って、そりゃダメだ。明日は飲み会なんだから。まだ二人には言ってないけどさ。俺は慌てて彼等に目を向けた。  「本当にぃ~?え~ッ、暇そうなヤツって誰ぇ…」  そして辺りを見回そうとした彼女とバッチリ視線が合ってしまった。おいおい、まさか上司であるこの俺に、コピー機の紙詰まりを解消しろなんて言うんじゃないだろうな。  「ああ、トミカ…じゃなかった、富井係長。今手ぇ空いてますぅ?」  うわッ!やっぱり俺のところに言ってきやがった!それも最初、トミカって言っちゃっただろ!ワザとか?どうせ俺はお前等と違ってただのおもちゃだよ…(T T)    「このへんでドロンします―昭和へっぽこフレーズ大全」参照(^^)

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