Pastime Paradise

元々「一休さん」は大好きなアニメの一つでござった。どこかで放送される都度、ついつい見てしまうし（現在も毎朝アニマックスで放送中）、このへっぽこブログでも一昨年の末に一度取り上げたことがあるでござる（こちら）。
　それがどうしたことか、ここに来て突如、拙者の中で“蜷川新右衛門ブーム”なのでござる。いや、お恥ずかしいかぎりでして…（*＾＾*）
　嗚呼、それにつけても新右ヱ門殿の愛しさ～　

　たまたま某有料動画配信サイトで「一休さん」を見つけ、軽い気持ちで購入したのがそもそもの始まりであった。ぬぬッ!? 新右ヱ門さんこと蜷川殿ってこんなに格好よかったのか…って、いや、あのケツあごのことではござらんよ。寺社奉行という高官にして実は幕府きっての剣の達人（劇中ではもっぱら峰打でござるが）、時折見せる男らしさと度量の大きさに拙者、すっかりまいってしまった次第でござる。いやぁ、面目ない（*＾＾*）

　大内家の末姫様（実は二人は両思い）に対した際の強さと優しさ、また、一休さんやさよちゃんら子供達に接する際の優しさと温かさも、拙者が蜷川殿に惹かれた理由の一つでござる。うーむ、新右ヱ門さんについて熱く語る自分が何だかちょっぴり恥ずかしくなってきたような…（＾＾ゞ

　一休さんの第５６話に「頑固じいさんとやさしい新右ヱ門」という、拙者お気に入りの話があるのでござるよ。
　轟玄内という頑固じいさんの話なのでござるが、このじいさん、かつては数々の武勲を誇ったものの寄る年波には勝てず、すっかり足腰が弱っているにもかかわらず威勢だけはいい困ったご老人なのでござる。ある時、二人の浪人が女にちょっかいをかけているところに出くわした玄内老人、早速刀を抜いて浪人たちに挑みかかるも刀を木の枝に引っ掛けてしまい四苦八苦の有様。そこへ通りがかった新右ヱ門さんが老人の後ろから無言で睨みを効かせると、浪人たちは逃げ出した。しかし玄内老人は自分に恐れをなして逃げたと勘違いし、新右ヱ門さんに自慢し始めたのでござる。
　「だってあれは…」
　老人に本当のことを言い掛けた一休さんを制して新右ヱ門さんは玄内老人の武勇を称え、まだ納得がいかない様子の一休さんに一言
　「夢を見るのはお年寄りならずとも、楽しいものでござる」

　祭りを見回り、一人の怪我人も出さぬよう喧嘩や盗みの取り締まりをするのも寺社奉行である新右ヱ門さんの役目でござる。一休さんとさよちゃんを連れて祭りを見て回っていると、早速喧嘩が！慌てて新右ヱ門さん達が駆けつけると、五人もの浪人が一人の町人を囲んでいた。
　浪人たちに一人で立ち向かった新右ヱ門さんを心配し、一休さんがとんちをだそうとすると
　「勝負するつもりはない。拙者が代わって罰を受ける。殴るも蹴るも勝手にせい！」
と、何と新右ヱ門さんは地べたに座り込んだのでござる。無抵抗の新右ヱ門さんに浪人たちは殴る蹴るの好き放題。駆け寄ろうとした一休さんにも
　「来てはならぬ！…これも拙者の務めのうち」
　すると今度は一人の浪人が股を潜れと言うではないか。しかし新右ヱ門さんはその浪人の言うなりに、黙って股を潜ったのでござる。
　さよちゃんからは弱虫だと言われ、騒ぎを聞きつけて駆けつけた玄内老人に至っては
　「何たる様じゃ！いっそ心の臓でも蹴られて死ねばよかったんじゃ、腰抜けめ！」
との捨て台詞を残し、怒って立ち去ってしまった。
　老人のあまりの言い様に一休さんは　
　「なぜなの？なぜ、戦わなかったの？腹は立つけど、あのおじいさんの言うことは尤もだよ！」
と、新右ヱ門さんに軽い怒りをぶつけたのでござるよ。
　すると新右ヱ門さんはこう答えたのでござる。
　「一人でも怪我人を出したくなかったのでござる。あの場で拙者が刀を抜けば、年に一度の祭りも忽ち争いの渦。巻き添いを食って怪我をする者も大勢出たことでしょう。
―浪人どもの顔はしかと覚え申した。次の機会には必ず！」

　ア、アレ!? 新右ヱ門さんってこんな格好いいキャラでござったか!?
結局後日、玄内老人と一休さんが再度浪人たちにやられそうになっている所に新右ヱ門さんが駆けつけ、得意の剣で一刀両断（勿論、峰打ちでござる）。老人は新右ヱ門さんを見直してめでたしめでたし～（＾＾）