カテゴリ:The B-52's
Ricky Wilson (March 19, 1953 – October 12, 1985)
The B-52'sの設立メンバーであり、独特な変則チューニングで初期B'sサウンドを支えていた革新的ギタリスト、リッキー・ウィルソン(Ricky Wilson)の足跡を辿る無謀な試みの17回目。 1985年10月12日土曜日、リッキーはAIDSによる肺炎のため、誰にも別れを告げることなく32歳という若さで永逝した。 リッキーの実妹であるシンディを含むバンドのメンバー達はかなりショックを受け、彼の死が信じられずに茫然自失となった。当時はまだAIDSに関する偏見や差別が酷かったこともあって、シンディはリッキーの本当の死因を伏せることにし、家族やメディアには彼がリンパ節の癌で亡くなったと告げた。だが皮肉にもそうやって家族達を守ろうとしたシンディ自身、リッキーが最期まで病気を告げてくれなかったことにより心にトラウマを抱えてしまうこととなった。 シンディの悲しみも理解出来るが、リッキーが最期まで彼女に打ち明けられなかった気持ちも分かるような気がする。ただでさえ打ち明けにくい病を、結婚したばかりで幸せいっぱいの妹に、どうして告げられようか。シンディを心から大切に思っていたからこそ心配させたくなかっただろうし、彼女の幸せを壊すようなこともしたくなかったのではないだろうか? 私がリッキーの死を知ったのは、ちょうどこの後ぐらいに発売された輸入盤コンピレーションアルバムのブックレットに掲載されていた彼の死亡記事だった。それには確かにリッキーは癌で急逝したとあり、またメンバーは彼の死の数日前まで病気であったことを知らなかった、とも書かれていた。たまたま目に入った余りに突然の知らせに、私もまた呆然とするしかなかった。 リッキーの葬儀は彼の死から5日後の10月17日木曜日、故郷ジョージア州アセンズのFirst Assembly of God Church(ファースト・アッセンブリー・オブ・ゴッド教会)で多くの友人や家族達、更に地元ファンまでもが参列して行われ、その後Oconee Hill Cemetery(オコニー・ヒル墓地)に埋葬された。続いて友人達と家族はほろ苦いシャンパンで乾杯(献杯)し、暗澹とした一日は終わった。
リッキーの墓碑にはこのような碑銘が刻まれている。 “The breeze of grace is always blowing; set your sail to catch that breeze.” (優雅なそよ風はいつまでも吹いています:その風をとらえるために帆をセットしてください) …うーん、微妙に訳が違ってるかも!? って今に始まったことじゃないけど 誤訳はともかく、リッキーは帆船(sailboat)が好きだった。「リッキー物語 その7」でも書いたが、皆でマホパックに住んでいた際には自宅裏の湖で、自らが所有する帆船を楽しんでいたという。これはそんなリッキーにピッタリの、素敵な墓碑銘だと思う ~ リッキー・ウィルソン自身の物語はこれにて終了であるが、もう少しだけThe B-52'sの、彼に関係する話を取り上げてみようと思う。あとちょっとお付合いください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.09.16 21:37:27
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