Pastime Paradise

2015/02/16(月)04:34

「見仏記」と「想像ラジオ」

書籍・雑誌(147)

 いとうせいこうさんとみうらじゅんさんの「見仏記」は文庫版を1~4まで持っていて大のお気に入りだったのだが、6まで出ていたとはつゆ知らず、先日たまたま立寄った書店で見つけてビックリ!なんと5が2011年に、更に6が2012年に刊行されているではないか!(ちなみに1→1997年、2→1999年、3→2000年、4→2006年に刊行)嗚呼、3年も続編に気付かなかったなんて… この2冊と、今まで気付かなかったお詫びのつもりでいとうさんの「想像ラジオ」を購入した。  昔から敬愛しているみうらさんと、元々そこまで興味はなかったが10年くらい前に「熱血!スペシャ中学」というグダグダな番組を見て以来、好きになったいとう先生(いとうさんが先生で若手ミュージシャン達が生徒だった)という夢のタッグ、そして彼ら愛すべき見仏コンビに仏像という、これまた嬉しい組み合わせ――。まぁ仏像自体というよりも仏像から感じる歴史が好きなのだが、私にとってこの本はまさにお宝、珠玉の名著なのである。  いとうさんの細緻な描写、みうらさんの分かりやすいイラスト&ちょっとしたコメントが絶妙にマッチしていて、何度読み返しても楽しい。自分が見たことのある仏像について書かれていたりすると、“成程、お二人はそういう見方をしたのか”なんて感心したりして。  いつの日か私も御朱印帳を手に、各地のお寺を見て回りたいなぁ。45歳になったら香港で暮らしたいという予てからの夢は叶わなかったけど、お寺巡りなら実現可能だろう。各地で一週間ぐらい泊まって、気の向くままにゆったりとお寺を見て回って…。嗚呼、夢の見仏ライフ。  いとうさんの「想像ラジオ」は裏表紙に書かれている“東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出し…云々”というのを見て、おこがましくも当へっぽこブログで気が向いたときに綴っている死んだロックスター達の話の参考にさせてもらえるかな?などという軽い気持ちで購入し、読んでみた。  岡山という災害とはほぼ無縁の地域で生まれ育ったせいか、今ひとつ感情移入は出来なかったものの、ふと亡くなった父のことを思い出したりはした。だけど父は病と暫く闘った末に旅立ったので、悲しみつつも苦しみからやっと解放されてよかったという安堵の気持ちも正直あった。前日まで、いや直前まで笑いあっていた人が突然いなくなる喪失感というのは如何ばかりなものか。また同様に何の前触れもなく突然死んでしまった人の驚駭、悲嘆、絶望といったものも想像するしかないのだが――。  この作品で心に残っている台詞がある。「生きている僕は亡くなった君のことをしじゅう思いながら人生を送っていくし、亡くなっている君は生きている僕からの呼びかけをもとに存在して、僕を通して考える。そして一緒に未来を作る。死者を抱きしめるどころか、死者と生者が抱きしめあっていくんだ」  そう、私は常に父やリッキー(Ricky Wilson。The B-52'sのギタリスト。85年に32歳でAIDSにより逝去)、ベンさん(Benjamin Orr。The Carsのベーシスト兼ヴォーカル。00年に53歳で膵臓癌により逝去)等のことを思い続けながら日々を過ごしている。私の心の中で、そして当へっぽこブログの駄文の中で、彼等はちゃーんと存在しているのだ。  あまり駄文の参考にはならなかったけど、それでもいつもとは違う視点から死者について考えることが出来て、何だかちょっとだけ心が温かくなった。 見仏記 6  想像ラジオ

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