2024/05/06(月)02:29
フランク・ザッパの○△□
『フランク・ザッパの○△□』 フランク・ザッパ
「Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch」 Frank Zappa (82)
ザッパは誰でもなく、また十万人。ガッシーッと楽曲主義でフランク畑でつかまえて。
船は進む、ザッパ海峡、今日もまた。アッパレ ザッパレ!
回を重ねるごとにエスカレートする超豪華解説書「マ●コ・カパックの友」(不定期刊行物)付き。
A面
1. いまは納豆はいらない - No Not Now
2. えー、うっそぉ、ホントー? - Valley Girl
3. ア、いかん、風呂むせて脳わやや - I Come from Nowhere
B面
1. フランク・ザッパの○△□(マルサンカクシカク) - Drowning Witch
2. フランク・ザッパの▯(長方形) - Envelopes
3. 娘17売春盛り - Teen-Age Prostitute GW中は邦題界の王者たちを取り上げよう!ということで、今回はフランク・ザッパ(Frank Zappa)が82年にリリースした35thアルバム「フランク・ザッパの○△□(Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch)」を取り上げたい。
ザッパといえば邦題!邦題といえばザッパ!というくらいに、日本の洋楽好きには広く知られていたザッパの面白邦題。以前取り上げた「ハエ・ハエ・カ・カ・カ・ザッパ・パ!(The Man from Utopia)」よりはマシかもしれないが、「○△□(マルサンカクシカク)」って…。やっぱり「ハエ・ハエ・カ・カ・カ…」同様、ジャケットのデザインから付けたんだろうなぁ。
しかし絶滅の危機迫る邦題界に押し寄せた原題尊重の波に飲まれたのかは知らないけど、ザッパの邦題の幾つかは原題直訳か、もしくはカタカナタイトルにしれっと変更されている。
現在このアルバムは「たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船」という原題直訳の長ったらしいタイトルとなっており、曲名の邦題も以下のとおり。
A面
1. ノー・ノット・ナウ - No Not Now
2. ヴァリー・ガール - Valley Girl
3. アイ・カム・フロム・ノーウェア - I Come from Nowhere
B面
1. 溺れる魔女 - Drowning Witch
2. エンヴェロウプス - Envelopes
3. 十代の娼婦 - Teen-Age Prostitute
“ア、いかん、風呂むせて脳わやや(I Come from Nowhere)” は誰もが一度は「あいかむふろむのーうぇあ」と声を出して邦題のバカバカしさを確認してみただろう。“いまは納豆はいらない(No Not Now)” は「のっとなう」を納豆に無理やりこじつけたセンスが素晴らしい。“娘17売春盛り(Teen-Age Prostitute)” は「娘十八 番茶も出花(正しくは鬼も十八 番茶も出花)」っぽくて語感がいいけど、まぁ今のご時世で売春盛りはよろしくないかな。
日本では邦題で語られることの多いザッパのアルバムだが、普通に楽曲もよいのである。
「○△□」は全米Billboardチャートで23位とまずまずの成功を収め、シングルカットされた“えー、うっそぉ、ホントー?(Valley Girl)” も32位に達した。この曲ではザッパの娘で当時14歳だった娘のムーン(Moon Zappa)がラップを担当。父ザッパは真夜中にムーンを起こしてスタジオに連れて行き、彼女が友人たちと交わした会話を再現させたという。その後、彼女は女優、歌手として活動しており、昨年8月には「Earth to Moon」という回想録を出版している。
ザッパ門下生であるスティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)は、80年代前半にフランク・ザッパ・バンドのギタリストとしてザッパの演奏不可能なパートを受け持っていたようで、この「○△□」にも当然参加している。スティーヴ・ヴァイといえば、86年に公開された映画「クロスロード(Crossroads)」にも出演。十字路に現れる悪魔に魂を担保にブルースの極意を得るという契約を交わした「クロスロード伝説」をモチーフにした映画で、スティーヴが演じたのは十字路に現れた悪魔の手先であるギタリスト、ジャック・バトラー(Jack Butler)。ラルフ・マッチオ(Ralph Macchio)演じる主人公・ユジーン(Eugene Martone)とのギター対決ではユジーンが勝利するのだが、ラルフくんファンの私でも流石にいやいや、スティーヴには勝てんやろ…と心の中で思ったものだ。
ザッパは93年に前立腺癌により52歳で死去。変な邦題のおじさんとしか思っていなかったが、彼の音楽にもっと早くから触れておけばよかった。邦題からは想像が付かない格好良さがある。
最後に、帯文句にある「マ●コ・カパック(Manqu Qhapaq)」とはインカ神話によるクスコ王国の初代国王であるのだが、そのまま書いたらアップ不可だったため一字伏字にした。別にエロとは無関係なのに…
そんなフランク・ザッパに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪
えー、うっそぉ、ホントー?
ア、いかん、風呂むせて脳わやや
娘17売春盛り