カテゴリ:古谷一行さん(横溝正史シリーズ)
![]() 放送日:昭和52年(1977年)5月28日~6月18日 (全4回) 第1作が信州・那須で第2作が岡山・高瀬。どちらも架空の田舎町で起こったおどろおどろしい事件であったが、今作の舞台は東京。前2作とは打って変わってお色気シーン(というか何というか…)もたっぷりだ。 ドイツ文学者である上杉誠也教授の還暦祝賀パーティーには、上杉教授が我が子のように可愛がっている姪(亡き妻の妹の娘で、両親亡き後上杉家で暮らしている)の宮本音禰や、音禰の叔父である佐竹建彦らに混じって探偵・岩下三五郎も出席していた。会場にいる岩下探偵に同業の金田一耕助から電話が入る。今日中に事務所の家賃を支払わないと追い出されてしまうという援助の依頼であったが、岩下探偵は快諾。何でも二人の依頼者から同一人物の調査を頼まれており、今日お金が入るとのことで早速金田一探偵も会場に駆け付ける。会場では建彦が連れてきたエロダンサー姉妹のエロダンスが披露されていたが、目のやり場に困り会場を出て地下を歩いていた音禰は怪しい濃い男と出会い、動揺して髪飾りを落として立ち去る。その頃、エロダンサー姉妹の妹・笠原操が何者かに毒殺された。 事件の調査を担当するのは警視庁捜査一課の日和警部。前作「本陣殺人事件」では岡山県警勤務だったが栄転したとのこと。久々の再会を喜ぶ金田一探偵と日和警部であったが、地下でも男の毒殺死体が発見される。死体のそばに音禰の髪飾りが落ちていたことから警察は音禰を疑うも、腕に彫られたおとねとしゅんさくの相合傘を見た建彦が男は高頭俊作だといい、高頭俊作であるならば音禰が犯人であるばずがないと言う。何故なら俊作と音禰は結婚することを条件に、音禰の曾祖父にあたる人の弟である佐竹玄蔵の10億円の遺産を相続することになっていた。ただ建彦も上杉教授も高頭俊作については名前だけしか知らなかったため各々岩下探偵に俊作の捜索を依頼していたのだが、その岩下探偵も地下で死体となって発見される。一方その頃、ショックで横になっていた音禰の元に謎の濃い男が再び現れ、音禰と無理やり関係を持つ。そして濃い男は俊作の従兄弟の高頭五郎だと名乗り、こう告げる。「お前は俺と二人きりの秘密を持った。もう俺から逃れられない。俺はお前を離さない。俺はいつでもお前のそばにいる、影みたいにな」 後日、米国から玄蔵が遺言状を公開するよう言ってきたため、関係のある人々が一同に集まった。関係者の調査に尽力した金田一探偵と調査員の堀井敬三も同席するが、音禰は堀井を一目見て驚く。殺人事件のあった日に抱かれた高頭五郎だったのだ。しかし堀井こと五郎は素知らぬ顔であった。 遺言状の第1の条項は、佐竹玄蔵の遺産280万ドル(1ドル360円として10億円)を全て宮本音禰に送る。但し高頭俊作と結婚することが条件だが、高頭俊作は先日死亡した。第2の条項として、第1の条項が不可能な場合、10億円は血縁の7人に等分に分ける。玄蔵が亡くなるまでにその人数が減ったら、残った人数で等分に分ける。一人でも減ると分配される遺産は多くなる――というものであった。 その7人は宮本音禰、ヤミ屋の佐竹建彦、エロダンサー姉妹の姉・笠原薫と妹・笠原操(操は先日死亡)。バーのマダム・島原明美、金粉ショーダンサー(?)姉妹の根岸蝶子と根岸花子、SMダンサー(?)の佐竹由香利という、音禰以外は揃いも揃って怪しい連中ばかり。世間知らずの箱入り娘である音禰に彼女たちの本性を見せるべく五郎が音禰を連れ出して彼女たちが働くいかがわしい店に出入りするうち、音禰の回りで次々と相続に関わる人達が殺されていく。 この連続殺人は三つ首塔に起因していた。70年前、玄蔵は武内大弐という男を殺し、玄蔵の殺人の罪を着せられて打ち首になったのが高頭俊作の祖父・高頭省三だった。三つ首塔は玄蔵、大弐、省三の3人の首像を祀った塔であった。 何やかんやあり、殺された島原明美のツバメだった古坂史郎が持っていた三つ首塔の古写真裏には播州邑鹿郡と記されていた。音禰と五郎は早速兵庫県にある三つ首塔へ向かうも、意外な人物が待ち受けていた。そして上杉教授(と後を付けていた金田一探偵)も三つ首塔へと向かった――。 前作「本陣殺人事件」の最後で日和警部が金田一探偵に瀬戸内でとれた美味しいイイダコを手渡していたが、今作で再会した際に金田一探偵が開口一番「あん時土産にいただいたイイダコ、美味かったぁ」と御礼を言うシーンにほっこり。舞台が東京に移ろうとも相変わらず日和警部の岡山弁が聞けて嬉しい。 ![]() 謎の濃い男・高頭五郎(実は…)役は黒沢年雄さん。顔も胸毛も濃すぎる。佐竹建彦役を飄々と演じている米倉斉加年さんや、根岸蝶子と花子の愛人にして支配人の志賀雷蔵を演じた小松方正さんのクセのある演技が素晴らしい。でもって蝶子と花子の金粉ショーも時代を感じさせてくれる。同様に建彦が連れてきたエロダンサー姉妹のエロダンスがこれまた昭和の香りがプンプン。エロダンサー姉妹の姉・笠原薫役の丘ナオミさん(当時の芸名は岡尚美さん)はそれまで日活ロマンポルノに数多く出演されていたようだ。 更に佐竹由香利の養父でありながら由香利とデキている鬼頭庄七役には小池朝雄さん。小池さんといえば何といっても「刑事コロンボ(Columbo)」でコロンボ役を演じたピーター・フォーク(Peter Falk)の吹替でお馴染み。その小池さんにSMショーで生乳を揉まれる由香利役の大関優子さんとは、佳那晃子さんの旧芸名だ。昭和56年(1981年)公開の「魔界転生」で佳那さんが演じた細川ガラシャ夫人はエロかったなぁ。 …と、ここまでのキャストが濃ゆすぎて古坂史郎役を演じたピーターさんの影が薄い。結構重要な役どころなんだけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2025.06.17 23:01:37
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