カテゴリ:WRC~2000年
1998年 WRC世界ラリー選手権:伝説の激闘と歴史的瞬間 1998年のWRC(世界ラリー選手権)は、まさに歴史に残る名勝負が繰り広げられたシーズンだった。三菱、トヨタ、スバルといった日本メーカーがしのぎを削る中、ドライバーズタイトル争いはカルロス・サインツとトミ・マキネンの一騎打ちに。最後の最後まで何が起こるかわからない、ドラマティックなシーズンの展開を振り返ってみよう。
開幕戦のモンテカルロでは、スバルのコリン・マクレーが優勝し、マキネンは苦戦を強いられる。しかし、第2戦のスウェディッシュラリーで見事な勝利を飾ると、続くラリー・ポルトガルでも優勝し、シーズン序盤でチャンピオン争いの主導権を握ることに成功した。 マキネンの強さは、どんな路面状況でも冷静なドライビングを貫き、安定したペースを維持できる点にあった。特にグラベル(未舗装路)では無類の速さを誇り、ライバルたちを寄せ付けなかった。
特にグラベルではマキネンのランエボVが優位に立つ場面が多かったが、サインツはターマックで巻き返し、チャンピオン争いは終盤戦まで続くこととなる。
しかし、ラリーGBの初日にマキネンにまさかのトラブルが襲う。舗装路区間でスリックタイヤを装着していた彼は、オイルの流れ出た路面でスピン。コース脇の障害物に接触し、左リアのホイールを破損した。通常ならば、サービスに戻って修理できるはずだったが、彼はこのステージのゴールまで3輪走行を強いられることとなる。そして、サービスパークに戻る途中でストップし、痛恨のリタイアとなった。 これでタイトルはサインツの手に渡ったかと思われた。しかし、最終ステージで衝撃の出来事が起こる。サインツのトヨタ・カローラWRCは、フィニッシュまであと数百メートルという地点で突然ストップ。エンジンが完全に停止し、二度と再始動することはなかった。この結果、サインツはわずか1ポイント差でタイトルを逃し、マキネンの劇的な逆転王座が決定した。 コ・ドライバーのルイス・モヤが怒りと悔しさを露わにし、カローラWRCのリアウインドをヘルメットで割るシーンは今でも語り草となっている。
1999年に入ると、WRCはさらなる進化を遂げ、フォードの新型マシン「フォーカスWRC」やプジョーの参戦が話題となった。そして2000年代に入ると、セバスチャン・ローブやペター・ソルベルグといった新世代のスターが登場し、WRCの歴史は新たな時代へと突入していった。 しかし、1998年のWRCは、90年代ラリーの魅力を凝縮したシーズンとして、今でも多くのファンに記憶されている。あの年のラリーGBのドラマは、「最後の最後まで何が起こるかわからない」というWRCの醍醐味を象徴する出来事だったといえるだろう。
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Last updated
2025/02/27 05:22:23 AM
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