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悠久のムンバイ

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May 10, 2005
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「統計数字に見るインド」

 10億人が暮らすヒンドスタン・インド大陸。あまりにも雑多すぎて、いろいろな環境が混在しているのでよくつかみにくいのですが、21世紀のインドの人たちの生活状況を最近の統計を基にして追ってみました。
 
 まず、身近なステイタスである乗用車を見てみると、インドの乗用車の所有者数は54万人となっています。ちなみに中国は70万人、タイが15万人ですので、悪くはない数字です。54万人といえば、仮に、一家族4人と仮定すれば、200万人の人が家に自動車がある生活を送っている勘定になります。200万人といえばたくさんいるように感じますが、いかんせん人口10億人のインドですから、500人に1人しか家に自動車がない計算になります。首都のデリーで一番乗用車が普及しているようですが、それでさえ13%の家庭にしか車はありません。他の都市では6%程度です。ましてや田舎はかなり低い数字でしょう。やっぱり多数はいまだに“自分の足”が主要な交通機関なのです。
 
 次に、電話を見てみましょう。電話の所持者は、インドでは4%です。これも他の国と比べてみると、中国25%、タイ23%、マレーシア51%ですので、インドはパキスタン3%やスリランカの8%と同様に大きく遅れています。よくヒンドゥー映画に、家の近くにある駄菓子屋の呼び出し公衆電話で恋人と会話を楽しんでいるシーンがよく出てきますが、普通の一般市民はやはり電話は家にないものなのです。
 4%ということは、インドでは4千万人です。4%といっても、分母が大きいのでその人数も巨大になります。4千万人ということは、日本の人口の半分近くは電話を所有しているにもかかわらず、インドでは100人のうちたったの4人しか電話を持っていない計算になるのです。ちなみに、家族4人として計算しても、家に電話がある人は10人のうち1人程度しかいないことになります。やっぱり少ないのです。他の統計で見ても、都市部で23%、田舎で4%の家族しか電話が家にないといっています。

 ところで、文明の象徴“携帯電話”が今ムンバイでは大手を振って歩き回ってますが、その所有率はどうでしょう。携帯電話の所持率は0.6%ですので、マレーシアの31%やタイの12%、中国の11%に比べてもまだかなり低いレベルです。インドでは、携帯電話の電話機本体が2~3万円くらいしますので、まだまだ高額ですからなかなか簡単には持てないのです。
 ところで、携帯電話の所持率は0.6%ということは6百万人ですが、そのほとんどは都市部に住んでいる人たちです。というのは、少し田舎に行けば「圏外」になってしまい携帯電話が通じないからです。地方でも都市部はかなりカバーされてきていますが、この巨大なヒンドスタン大陸をカバーしようとすれば大変なことでしょうから、田舎の人たちが携帯電話を持つようになるまでには、インドはまだまだ悠久の年月が必要なことでしょう。しかし反面、インドの地方でも、都市部は急速に整備されつつあるという事実もあります。
 
 また、パソコンを所持している率もインターネットを楽しんでいる率も同じように0.6%となっています。ということは、だいたい都会に暮らしている同じような階層の人たちが、パソコンを持ってインターネットを楽しみ、携帯電話を所持しているということになるのではないかと思います。ちなみに、クレジットカード所持者もこれは数字で6百万人(0.6%)と出ています。やはり、同じくらいの数字です。インドでは、この6百万人が日本と同じような生活を楽しんで、夜な夜な洒落たレストランに出没しているのでしょう。
 
 一方、中流以下の一般市民の生活はどうなのでしょうか。インドの全家族の40%が一室だけしかない家に住んでいるという統計があります。私の周りの人たちを見ても、1万ルピー以下の収入しかない家庭は、だいたい一室だけの家に家族がみんな住んでいます。その一室で暮らし、そこでご飯を食べて、そこで寝ています、雑魚寝です。しかし、そのような環境で暮らしている人たちが40%もいるというのには驚かされました。このような状況ですから、新婚夫婦の状況もタフです。結婚しても、独立した自分たち夫婦だけの部屋を持つことができるのは、新婚夫婦のたった39%だけです。残りの60%の新婚さんは自分たちの部屋さえないのです。

 日常の生活も原始的です。全家庭の53%が調理用として木を使用していて、ガスを使っているのは18%だけです。都会で生活する家族でさえ、3分の1の家庭が台所、風呂、トイレが家に付いていなくて、その多くの場合は電気も水も来ていない家に住んでいるのです。インドでは、生活必需品である水、電気、調理燃料でさえが十分にいきわたっていないのです。

 インド全体でも、62%の家族が自宅に水道が来ておらず、田舎ではほとんどの家族が池や川や井戸から水をくんで来ます。かつてラジャスタンを旅行した時に、鮮やかな赤や黄色、緑のサリーを着た女性が水を汲んだ水瓶を頭に乗せて運んでいる姿を目の当たりにしましたが、今でも、水を家に運ぶのが田舎の女性の一番大切な仕事なのです。
 統計上の数字では、さすがに都市部では65%の家庭に水が来ているようですが、ただしそれは水が来ているというだけのことで、その水がどのような品質なのかまではわかりません。鉄、鉛、水銀などの鉱物やバクテリアや細菌がウヨウヨ含まれていても水は水です。また、水道が来ているからといっても、水の供給が1日の内4時間以上ある家は半数にも達していません。水道があっても、使いたい時に水が出るというわけではないのです。
 
 しかし、ではそもそも政府の政策が悪いかといえば、そればかりではありません。水の供給で大きな問題のひとつに、多くの家庭が水の代金を支払っていないということがあるのです。水の使用者からきちんと代金を徴収しなければ水を供給するインフラを整備することはできないのですが、腐敗したインド政府にその能力はありません。インドでは、高い水道代の代わりにいくらかの賄賂を役人に支払えばそれで済んでしまうのですから、市民たちの払うお金が役人のポケットばかりに行ってしまい、インフラの整備に回らないのです。

 さて、最後にテレビの普及率を見てみると32%の家庭にテレビが普及しているようです。ムンバイでは、スラムの家々にもテレビはあるようですから、何はなくてもテレビは彼らの必需品なのでしょう。
それに反して、インド人の衛生観念は地獄的です。家の中にテレビはあっても、トイレやシャワーはありません。いわゆる垂れ流し状態です。玄関口の横に行って用を足す感覚ですから、悲惨です。それでいいのですから、このムンバイの街全体が薄汚くても仕方がありません。何年経ってもこの街は永遠にこのままで、決して綺麗に整備されることはないでしょう。
 
 でも、インドの人達の暮らしは未だにこの悲惨な状況ですが、一つだけ確実に言えることがあります。“ヒンドスタン大陸インドの豊かさ”と“インド人の生命力の強さ”です。どんなに世界経済が混乱しようとも、インドは自給自足をして自分の国だけで生きていくことができます。さすが、すばらしい。そして、どんな不幸がこの地球を襲っても生き残ることができるといわれている生き物とともに、インド人だけは生き残ることができるに違いないでしょう。





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Last updated  May 10, 2005 10:38:19 PM
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