楊枝より確実に太いヨウジウオ

今回はこのヨウジウオ
イシヨウジ
細くて長くて、顔が尖がっていて、まあ、タツノオトシゴの仲間だと思っていただいて間違いはないのですが、これも魚だとは思えない変な形の魚です。
ヨウジウオはやはり細長いから楊枝なんでしょうねえ・・・。
楊枝よりは確実に大きいですが・・・。
もしかしたら口の部分(吻といいます)が楊枝に似ているからかもしれません。

写真の白いのが、イシヨウジウオ
セブではよく下が砂地のところにいます。
体は白っぽいですがよく見ると赤や黒の線が沢山入っています。
彼らは動くのは結構早いのですが、あまり遠くにまでは逃げないので比較的写真をとりやすい魚です。

ナイトダイブをすると、このイシヨウジウオが何十匹も固まって眠っているのに遭遇することがあります。
昼間は単体か、せいぜいペアでいることが多いのですが、夜は集団になって身を守っているのでしょうか。

イシヨウジウオは、伸ばせば1本の棒なのですが、頭を持ち上げたり、横を向いたりしたときの、体のクネっとした曲げ具合が、妙に女性っぽいというか、人間くさい感じがするので、そんなのが大量にごっそりと水底に横たわっている姿は、なんだか狂信的指導者が主催する新興宗教の信者たちが集団自殺をした現場を思わせるものがあります。

ヨウジウオ界のマドンナがこちらのオイランヨウジウオ。

オイランヨウジ

尻尾の団扇と赤と黄色の縞の段柄がオイランを思わせるので、この名前になったのでしょうね。
あ、ちなみに花魁(オイラン)とは、江戸時代に吉原遊郭にいた高級娼婦のことです。
現代風に言えば高級ソープ嬢。
でも、花魁の場合は歌や踊りなんかもできなきゃいけなかったでしょうし、かなり格が高くて一般庶民なんかが遊べる相手ではなかったようですね。
蜘蛛にも縞々の段柄模様が入ったやつで女郎蜘蛛っていうのがいますよね。
その手の商売のお姉さんは派手な着物を着ていたんでしょう。

閑話休題

で、オイランヨウジウオは大体ペアでウニの後ろとか岩の下とかに隠れていてあまり外には出てきません。
ニシキフウライウオのところでも説明しましたが、時々卵を持っているのがいます。
オイランタマゴ
これはオスだそうです。
オイランなのにオスということは・・・人間で言えばニューハーフ??
などと、余計なことも考えたくなりますが、ま、タツノオトシゴに代表されるようにこの仲間はオスが子育てをするものが多いようです。

で、こちらはヒバシヨウジウオ
ヒバシヨウジ

私が大好きなヨウジウオです。
ウニのとげに隠れていて、あまりいい写真ではないけれど、こいつらは結構泳ぐのが速いので撮影は難しいのです。

ブルーのラインと、オレンジの尻尾の団扇が美しいとは思いませんか?
この個体は小さめでした。7,8センチぐらいでしょうか?

そして、この緑色で太いのがトゲヨウジウオ
30センチ以上はあるかな。トゲヨウジ
こいつは、今まで紹介したヨウジウオより断然大きく、体も正面から見ると台形です。
あんまり動かないので、写真にも撮りやすいはずなのですが、大きすぎて全身を入れると
この写真みたいによくわからなくなっちゃいます。

体表にはよく見ると小さなとげがいっぱいあります。
大体、体がでかくて動きがスローモーなのは頭も悪そうに見えるものですが、この魚はそれの典型です。

ダイバーが近づいても、別に隠れたり逃げたりするわけでもなく、堂々と水底にいたりします。
まあ、これだけ、でかいと食われる心配もあまりないのでしょう。

ヨウジウオはその顔とどことなくオドオドした感じの態度から、私の頭の中ではどうしても「ムーミン」に出てくる“スニフ”とイメージが重なってしまいます。

日本人俳優でいえば小倉一郎さん。(最近見ないけど、昔の青春もので気弱な役をよくやってました)
ハリウッド役者ではジョン・カザール(「ゴッドファーザー」でファミリーの気の弱い次男坊を演じた人。「ディア・ハンター」でも、いつも空威張りでピストルを持ち歩き、他人を頼ってばかりいるので、ロバート・デニーロに叱られる役柄だった)

この二人が、私的には
陸のヨウジウオという感じがしてたまらないのです。
・・・しかし、どちらも随分とマイナーな脇役だなぁ・・・。

次は「ウミテング夫婦愛物語」


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