中村さんや73歳の経営者のような「脳」がないのだと思う
先週は、千葉の労組や川崎の大手メーカーの工場で取材だった。 工場の横の道を歩いているとき、広い敷地の塀が続くから、 不安になってくる。このまま歩いていけば、門が見えるのかな、と。 大企業の工場へ取材に行くとき、 ときどき、こんな思いになる。 敷地が広く、10分歩いても門が見えてこない。 この敷地を売り飛ばすと、すさまじいお金が入るのだろうな、と 思いつつ、ひたすら歩く。 ようやくたどり着いたところ、やはり、門は大きかった。 この光景は、もう、何度も見た。ここのメーカーははじめてだが…。 関係者のかた、ありがとうございました。 従業員数が1万人を超えると、あのくらいの門になるのかな。 先週は、73歳の経営者を取材もした。 10年ぶりくらいに会った。当時と大きくは変わらない。 63歳から73歳の10年間は、老化が進み、容姿が変わるころ。 それでも、10年前と同じ姿を維持するのは、 心身ともに充実していたからだろうか。 この経営者へのインタビューをしていたとき、 社会保険労務士の中村紳一さんのことを思い起こす。 ふたりは、ともに小さな事務所の経営者であり、 どこかで似ているように思った。 広い意味でいえば、 世間の市場原理の中で生き残る力が強いこと。 狭い意味でいえば、 自分の持つスキルや技術、知識、ノウハウなどに 磨きをかけつつも、そこから踏み込んで考える力があること。 たとえば、 こういう経験やスキルをこんな具合に加工して、 あの会社に売り込もう、といったことを深く考える。 これは、多くの会社員が苦手としていることであり、 レベルの高い自営業者の得意とするところ。 会社員は、会社がつくった財産、資産などを加工し、 販売しようとする。 自営業はゼロから、つまりは何もないところで 売れるものを見出し、攻勢をかける。 双方の差は、あまりにも大きい。 自営業者の中には、感覚がマヒしている人がいる。 自分の経験や知識、スキルなどに酔いしれて (じつは、自信のなさの表れ)、 さかんに誇示する人もいる。 こういう人を観察していると、劣等感が強烈に強い。 今の自分に自信がないから、 過去の、20~40年前の「栄光」を語り始める。 なぜか、新卒の採用試験以降の 20~40年間が消えている。 今の職業についても、仕事についても、 深くは語らない。 この人たちは自営業であったとしても、 中村さんや73歳の経営者のような「脳」がないのだと思う。 何をどのようにして加工して、 いつまでにどうしてビジネスにすればいいのかが、 クリアに見えていないのだろう。 結局、会社員の「脳」があっても、 自営業者のそれがない。 そこが、超致命的なことなのだろう。 そんなことも思い起こしながら、 73歳の経営者へインタビューをしていた。